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平和の視点
     
そんなの関係ある
 名古屋高裁で争われていた,航空自衛隊によるイラクのバグダッドへ空輸する活動に関する問題について判決が下されました。マスコミで大々的に報道されたように,損害賠償等に関しては棄却されたものの,空輸活動自体に対しては違憲判断が下され,表面上は国の勝訴となりましたが,実質的には原告の勝訴と言えます。
 「法律の番人」という立場にありながら,
時の政府に都合の悪そうな案件で憲法判断を避け,さらに,判決自体も政府にすり寄るかのようなものしか出していない状況が続いている我が国の裁判所において,久々に画期的な判断が下されました。
 しかし,「画期的」という表現をしましたが,実は事案自体の内容から考えて至極当然といえる判断であって,本来は驚くべきことではないのかもしれません。しかし,上述したような状況にある司法の場であるだけに,あえて「画期的」という表現をしました。この判決を下した裁判長は,今回の案件は自身の退官を控えて裁判長として最後とも言える裁判となったようです。そうした裁判であるだけに,最後の締めくくりとして
司法に生きてきた者の良心をそこに込めたのではないかと思います。そう考えると,その重みはさらに重さを増すのではないかと思います。
 
イラクへの自衛隊派遣(実質的には”派兵”)は,結果的に全く根拠のないものでした。当初は,イラクが無差別殺人兵器を製造しているという情報を根拠に,アメリカがイラクへ派兵し,日本が世界に先駆けてこれを支持。そして,何とかしてイラクへ自衛隊を送り込むために,特措法を改正までしました。しかし,アメリカが根拠としていた情報は全くのでっち上げということが明らかとなり,アメリカ自身も,国内においてイラク派兵を見直す動きとなっています。にもかかわらず,日本はそのでっち上げということを認めようとせず,国内外の批判にも耳を貸さず,相変わらずアメリカへすり寄る姿勢を崩そうとしません。アメリカを支持し,自衛隊をイラクへ送った張本人である小泉元首相は,当時の国会答弁で,「どこが非戦闘地域か」という問いに対して,「自衛隊が派遣されたところが非戦闘地域である」というような,全く憲法9条の精神を無視した,全く訳の分からない論理を押し通し,その後もずっと空輸活動を継続していました。しかし,今回の判決により,そうした状況にようやく楔が打たれようとしています。
 ところが,
自民・公明連立政権は,裁判官が渾身の気持ちを込めて出した判決をあえて無視し,あれだけ国際的にも疑問視されているアメリカのイラク攻撃を”直接的”に支援しているのです。さらに追い打ちをかけるように,その判決に対して,一番の当事者といえる航空自衛隊の最高責任者である航空幕僚長は,公式会見において「そんなの関係ねぇ」という表現を用い,あえて判決を無視する姿勢を示しました。世界の平和を希求する我が国日本のリーダーであるはずの政治家が,そして,シビリアンコントロール下に置かれているはずの自衛隊員が,こうした姿勢を見せていて本当にいいのでしょうか!まさに自民・公明連立政権と自衛隊幹部の「正体見たり」という感じです。
 
今回の判決は,私たち国民に対しする強烈なメッセージともとらえなければならないと思います。世界平和を希求することは,私たち全員の願いだと思います。課題となるのは,その方法です。急速に少子高齢化社会となる日本。それに伴って若年層の現象,経済活動の縮小化が否が応でも進むことでしょう。また,地球規模で見ると,温暖化に象徴される深刻な環境破壊がどんどん進んでいます。それに伴い,私たちの生命及び財産が脅かされています。。そうした背景にある我が国日本が,本当に取り組むべき国際貢献は,間違っていると分かっていても,本筋をねじ曲げるまでして”自衛”隊をつぎ込むことでしょうか?絶対にそうではないはずです。主権者である私たちは,意図的に流される情報に惑わされず,長期的視野に立ったこれからの日本のあり方を考えなければならないのではないでしょうか。そして,表面的なパフォーマンスに惑わされず,それを実現するにふさわしい政治家を選んでいくことも,重要なことではないでしょうか。まさに今回の判決は,「そんなの関係ある」ものです。
 
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