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先日,各国に派遣されている大使を外務省に集めて会議が開かれました。その会議とは,マスコミで報道されている言葉を借りれば,国連の常任理事国入りを目指しての「決起集会」ということでした。 戦後60年が経過したことを契機に,国連のアナン事務総長を中心にして,国連改革が推し進められています。その一つが,現在5カ国に制限されている常任理事国の枠を,さらに拡大しようとする動きです。その枠の一つに日本を入れてはどうかとする考えを,アナン氏が発表しました。このほど中国を中心に起こった反日の行動は,こうしたことがきっかけの一つになっているようです。それほどまでに,我が国の常任理事国入りは,世界的に注目を浴びています。 日本の常任理事国入りを懸念するのは,中国や韓国だけではありません。その大きな原因の一つが,アメリカの脅威をさらに強めることになるからです。現段階では,アメリカは国連での投票において当然1票しかもっていないわけですが,日本が入ることで,実質的にアメリカ票が2票になるというのです。これは,特に小泉首相誕生以来,「隷属的に」という言葉が当てはまるほどアメリカ追随政策がなされてきたからです。アメリカの思惑通りの行動をとる以上,「アメリカ票が2になる」と言われても仕方ありません。 もう一つの懸念材料が,日本の軍事力強化です。国連の大きな政策の一つに,国連軍による制裁措置ということがあります。つまり,常任理事国入りをするということは,自衛隊を国連軍の一員として正式に派遣する必要性が出てくると言うのです。当然我が国の現憲法ではそれに対応できませんから,現在進められようとしている「憲法改正」の動きを加速する必要が出てきます。こうした流れは,とりわけ太平洋戦争で迫害を受けた近隣諸国に与える影響が大と言えます。 しかし,果たしてそうなのでしょうか?本当に常任理事国入りをすると,憲法を「改正」し,自衛隊を国連軍として戦場に赴かせなければならないのでしょうか?私たち国民は,「そうしなければならなくなる」と思い込ませられているだけではないでしょうか?そう思い込ませられることが,まさに危険な動きと考えられます。 ここで考えなければならないのは,なぜ日本の常任理事国入りという話が出てきたかです。アナン事務総長をはじめ,日本の理事国入りを支持する国は,少数ではないという話です。なぜ上記してきたような懸念材料があるのにもかかわらず支持されるのか。それは,日本が「唯一の被爆国」であり,世界に誇れる「平和憲法を有している国」だからではないでしょうか。 北朝鮮の核保有問題が浮上したように,世界は相変わらず核兵器の拡大路線にあります。現在の常任理事国は,全て核保有国でもあります。また,米英によるイラク侵略に代表されるように,世界のあちらこちらで武力による紛争が頻繁に起きています。 こうした時代背景だからこそ,日本の存在がクローズアップされるのではないでしょうか。各国の思惑があって,常任理事国入りが実現するかどうかわかりませんし,入ることが本当にいいのかもわかりません。ただ言えることは,こうした世界における日本の存在意義を十分に認識し,その意義を益々高めていくような国づくりをしていくようにしなければならないということです。 |
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