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平和の視点
     
越権行為
       
 まずは例え話から。あるレーシングチームがあるとします。そのチームが,今シーズンA社のタイヤを採用しようとしています。ある日,チームオーナーが,そのチームとスポンサーとの仲介役の人のところを訪問しました。実は,その仲介役の人は,スポンサーとの間でかなり権限があり,なおかつタイヤメーカーのB社と深い繋がりがあるということで有名なのです。チームオーナーは,仲介役の人に今シーズンの体制について説明しに行きました。すると,案の定タイヤに関することが話題となりました。仲介役は,A社ともB社とも一切言わず,ただ「適切なタイヤを選んだ方がいいでしょうね。」と一言。さて,スポンサーマネーが気がかりなこのチームは,どちらのタイヤを選ぶでしょう?
 仲介役がはっきりとタイヤメーカーの名前を出さなくても,常識的に考えて
暗黙の内に「B社にしなさい。」と圧力をかけているのは誰が考えたって分かります。しかし,何かことが起こっても,この仲介役の人間は「私は一切指示を出していない。」と言い逃れることでしょう。

 最近,朝日新聞 vs NHK&安倍・中川衆議院議員の戦いが話題となりました。
国会議員が,事前に番組の内容に口出しをすることは民主国家として許されない行為です。朝日は「事前に口出しをした」と主張し,NHK&国会議員はそれを否定しています。ただ,はっきりしていることは,NHKが事前に放送内容を知らせ,安倍元幹事長が放送法を持ち出して話をしたということは間違いなさそうです。安倍元幹事長が,保守派(タカ派)のリーダーであることは誰でも知っていること。NHKが作ろうとしている番組の内容と全く正反対の立場にある人だということは明白で,たとえはっきりと言わなくても,その人から出された言葉の裏にある意味は明白。「自分は指示を出していない。」という主張は,全くの詭弁でしかありません。
 NHKが事前に番組の内容を説明したこと,安倍氏が無言の圧力をかけたこと,これらは,
言論・表現の自由に対する背信行為であると断ぜざるを得ません。そして,安倍氏については幹事長という職を利用して越権行為をしたともいえます。

 憲法改正(改悪?)または護憲に向け,各政党がそれぞれの考えに基づいて動いています。その中で,
自民党のつくっている憲法の原案作りに現職自衛官が関与していることが明らかとなりました。仮に軍隊の存在を認めているとしても,民主国家においては「シビリアンコントロール」が最低限の約束。国民の監視下に置かれるべき軍隊(「自衛隊」と言えども,軍隊であることにはかわりありません。)に所属するものが,国家の大原則たる憲法作製に関わることは許されざることです。これこそ完全なる越権行為だし,そうしたことを平気で進めようとしている政権政党である自民党の唱える憲法が国民にとっていかに危ないものであるのか,図らずも露呈した形になりました。今後益々憲法改正に向けて様々な情報(意図的に流された)が出てくることが考えられます。しかし,私たちは,そうした情報に惑わされることなく,将来の子どもたちが安心して暮らせる国及び世界づくりにふさわしい憲法がどんな内容のものなのか,しっかりと考える必要があります。
   
過去ログ 教科書問題  有事法制 一度扉を開けてしまうと

いつか来た道 一人ひとりの行動を 免罪符

異質な国  ねじれ 元を糺せば
 メッセージ
    
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