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最新ニュース

2022/11/30(水)
◎バッティング(EWC)
○コロナ禍により2年間開催中止となった鈴鹿8耐でしたが,今年は3年ぶりに開催され,Team HRCの優勝で幕を閉じました。その8耐ですが,今年は8月の第1週に開催されましたが,例年は7月の最週末に開催されてきました。10月に発表されたEWCのレースカレンダーでは,来シーズンは再び7月の最終週に開催されることになっていました。ただ,このカレンダー通りですと,チェコで行われるSBKの第7戦とカレンダーがバッティングしてしまっていました。以前の8耐は,各メーカーとも名誉をかけてGPライダーを起用していました。しかし,近年の8耐は,J.レイを代表格にSBKのライダーを起用する傾向にあります。実際,今年優勝したTeam HRCは,テストライダーの長島哲太とBSBライダーの高橋巧と共に,SBKライダーであるI.レクオナを起用しています。単純に考えると,レース専用マシンで争うMotoGPよりも,同じ市販車ベースのマシンで争うSBKの方がライダーのマシンの乗り換えが容易なのかもしれません。もし10月の発表のままですと,来季の8耐はSBKライダーの参戦が不可能になってしまいます。そうしたことからカレンダー変更への動きがあったようで,鈴鹿サーキットから新たな発表があり,来季の8耐の開催を今年と同じ8月の第1週となる8月6日(日)に決勝レースを行うことになりました。これで無事SBKライダーが出場可能となったわけですが,全部がうまく行っているわけではなく,今度はMotoGPの第10戦イギリスGPとバッティングすることになってしまいました。どのレースカテゴリーも開催数が増える傾向にありますので,バッティングは避けて通れないことは間違いありません。近年の傾向を考えると,SBKを優先するのが当然なのかもしれません。ただ,やはりGPライダーの走りを8耐でも観たいという思いはなかなか抜けきることはできませんね。
2022/11/29(火)
◎復帰(SBK)
○11月24日(木)にSBKにフル参戦しているBarni Ducatiから発表があり,元MotoGPライダーであるD.ペトルッチとの契約が成立しました。現段階での契約期間は,2023年末となっています。今回契約が成立したペトルッチは,2007年にスーパーストック600に参戦を開始し,その後戦いの場を1000ccに移し,2010年にカワサキ系のTeam Pederciniを経た後,その翌年ドゥカティ系のBarni Ducatiに所属しました。2012年からMotoGPに参戦を開始し,2015年からプラマック・レーシングに,そして2019年からはついにドゥカティワークスに上り詰めました。しかし,2020年でドゥカティを離れ,昨シーズンはKTMへ移籍。わずか1年でMotoGPのシートを失い,その直後に行われた今年のダカール・ラリーにKTMから参戦し,ステージ優勝を飾るという離れ業を演じました。このままKTMからシリーズに参戦するのかと思われましたが,何とダカール・ラリーをもってシートを喪失。KTMのライダーに対する扱いには,はなはだ疑問を感じさせることがしばしば起こっています。再びロードレースに戦いの場を見出した彼は,MotoAmericaモトアメリカに参戦し,初めてづくしの中いきなりチャンピオン争いに絡むという活躍を演じました。さらに,シーズン後半には,負傷欠場したチーム・スズキ・エクスターのJ.ミルの代役として再びMotoGPにわずか1戦ながら参戦しました。来季の活動については,MotoAmericaに継続参戦ということも予想されましたが,最終的に古巣からSBKへ復帰することになりました。
2022/11/28(月)
◎日本人ドライバーが(SF)
○11月25日(金)にTOYOTA GAZOO Racingは2023年のモータースポーツ参戦体制を発表し,その中で昨日はSGTについてお伝えしましたが,今日はSFについてお伝えします。
今シーズンのSFは,トヨタ勢もタイトル争いに絡んだものの,最終的に昨年のチャンピオンであるTEAM MUGENの野尻智紀が2年連続チャンピオンに輝くと共に,同チームがチームタイトルを獲得しました。ポイント的には野尻に大きく差をつけられたものの,ランキング2〜4位をトヨタ勢が占めただけに,来季にかける思いはさらに強くなっているのではないかと思います。その来季のトヨタ勢ですが,6チーム11台という体制については変更がありません。ドライバーについては,今季ランク2位に輝いたS.フェネストラズが来季はフォーミュラEに専念することになっているため,その空いたシートに誰が座ることになるのか注目されていました。噂では外国人ドライバーが座るのではないかということもありましたが,今回の発表で,空くことになったKONDO RACINGのシートには,昨シーズンからTOM'Sに所属してフォーミュラ・ライツにフル参戦し,今シーズン見事にタイトルを獲得した23歳の小高一斗が座ることになりました。ほとんどのチームに変更はありませんでしたが,もう1つ変更となったのは,今季J.アレジが所属していたTEAM TOM’Sで,宮田莉朋は変更がないものの,アレジがSFから抜け,昨日お伝えしたようにSGTへの参戦を継続することになりました。そのため,この空くことになるシートに誰が座るのか気になるところですが,現段階では未定となっています。また,今回発表の中に入れられているチーム名についても,現段階では暫定ということになっています。SGTでもチーム名に変更がありましたから,SFでも同様に変更となるチームが出てくる可能性は十分考えられます。なお,今回発表された具体的な体制は,以下の表のようになっています。
2023年 SFトヨタの参戦体制
チーム ドライバー
3 KONDO RACING 山下 健太
4 小高一斗
7 KCMG 小林 可夢偉
18 国本 雄資
14 ROOKIE Racing 大嶋 和也
19 TEAM IMPUL 関口 雄飛
20 平川 亮
36 Kuo VANTELIN TEAM TOM’S 未定
37 宮田 莉朋
38 P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔
39 阪口 晴南
2022/11/27(日)
◎奪還に向け(SGT)
○複数のチームに可能性を持ったまま最終戦までもつれ込んだタイトル争いでしたが,最終的にGT500クラスは平峰一貴&B.バゲット組のカルソニック IMPUL Zがその栄冠を獲得して終了しました。今シーズンから投入されたニッサンのフェアレディZが,その初年度にしてタイトルを獲得し,ランク2位にもZが,そしてランク3位にはホンダのNSX-GTがつけました。それに対して,トヨタのスープラは,2勝を挙げたものの,ランキングでは4位が最高位でした。昨シーズンau TOM’S GR Supraがタイトルを獲得していただけに,1年で様相が随分違ってくるのがSGTの恐ろしさだとも言えます。来季タイトル奪還を目指すことになるトヨタですが,他メーカーに先だって来季のSGTとSFの体制について一昨日発表を行いました。本日は,その内SGTに関してお伝えし,SFについては,明日お伝えする予定としておきます。今回の発表によると,来季も今季と同じく6台体制で臨むことになります。その内の4台は,今季と同じ体制で臨み,2台は変更となります。変更となるのは36号車と37号車のTOM'S勢で,37号車についてはドライバーだけでなくチーム名も変更となり,『TGR TEAM KeePer TOM'S』から『TGR TEAM Deloitte TOM'S』へと変わります。ドライバーについては,36号車が昨年のチャンピオンである坪井翔と,今季1勝を挙げている宮田莉朋のペアとなります。37号車については,36号車からJ.アレジが移動となり,そのチームメイトについては現段階では未定となっていて,果たしてサプライズ的な追加発表があるのか期待が持てるところです。なお,今回発表された具体的な体制は,以下の表のようになっています。
2023年 SGTトヨタの参戦体制
チーム ドライバー タイヤ
14 TGR TEAM ENEOS ROOKIE 大島 和也 BS
山下 健太
19 TGR TEAM WedsSport BANDOH 国本 雄資 YH
阪口 晴南
36 TGR TEAM au TOM’S 坪井 翔 BS
宮田 莉朋
37 TGR TEAM Deloitte TOM’S J.アレジ
未定
38 TGR TEAM ZENT CERUMO 立川 祐路
石浦 宏明
39 TGR TEAM SARD 関口 雄飛
中山 雄一
2022/11/26(土)
◎チャンピオンナンバー継続(F1)
○2輪にしても4輪にしても,マシンにつけるゼッケンというのは,ヘルメットという方法もありますが,どのライダー,ドライバーのマシンであるかみ分けるのに重要な役割を果たします。そして,JRRは昨年のランキングの番号をつけるという方法を採ってはいるものの,MotoGPそしてF1では,生涯ナンバーという方法を採っています。代表的なところでは,MotoGPのV.ロッシの『46』というのがレースファンに最も定着しているナンバーと言えるのではないでしょうか。ただ,MotoGP,F1共に,チャンピオンについては,自身の生涯ナンバーをつけても,そしてチャンピオンナンバーである『1』をつけてもいいようになっています。11月24日(木)付けのこのページでお伝えしたように,MotoGPに関しては,今シーズンのチャンピオンであるドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアが来季『1』をつけるのか,自身の『63』をつけるのか,現段階では結論が出ていないようです。そのような中,F1で今シーズンもタイトルを獲得して2年連続チャンピオンに輝いたレッドブルのM.フェルスタッペンは,どちらにするか結論を出したようです。昨シーズンは最終戦でタイトルを獲得するという劇的なシーンを演じたフェルスタッペンですが,今シーズンは圧倒的な強さと速さを見せ,これまでのシーズン最多勝記録である『13』を上回る『15』勝をマークしてタイトルを決めました。一昨年まではメルセデスAMGのL.ハミルトンの独壇場という感じでしたが,特に今季はそうした様相が大きく変化した印象を世界中のファンに見せつけました。そうしたチャンピオンにふさわしい活躍を演じたフェルスタッペンが出した結論は,自身の生涯ナンバー『33』ではなく,今シーズンと同じく来季もチャンピオンナンバー『1』をつけることになりました。果たして来季もそのナンバーにふさわしい活躍を演じるのか,今から楽しみですね。
2022/11/25(金)
◎5年ぶり(F1)
○11月23日(水)にレッドブルから発表があり,来シーズンのサードドライバーとしてD.リカルドを起用することになりました。今回起用されることになったリカルドは,2011年にHRTレーシングからF1デビューを果たし,その翌年にトロロッソ(現在のアルファタウリ)に移籍し,そこで2年間過ごしました。そして,2014年にレッドブルに昇格し,5年間所属していました。その間,2014年と2016年にランク3位を獲得しています。その後,2019年にルノーに移籍し,そこで2年間を過ごし,2021年から今シーズンまでの2年間マクラーレンで過ごしました。そして,来季5年ぶりのレッドブル復帰ということになっています。実は,本来マクラーレンとの契約は来シーズンまであったのですが,同チームが来シーズン若手ドライバーのO.ピアストリを採用することとし,リカルドとの契約を途中解除ということになりました。契約の途中解除ですので,リカルドには当然それに見合うだけの違約金が保証されているものと思われます。報道によると,今回リカルドがリザーブドライバーではなく,サードドライバーとしての契約となったのは,マクラーレンとの違約金支払の条件が関係しているのではないかと言うことです。ということで,リザーブドライバー契約でしたら,チームに帯同すると共に,何らかの形でレースもしくはフリー走行への出走が可能ですが,サードドライバー契約と言うことですので,いわゆる『裏方』に徹することになります。今回のレッドブルの発表によると,テスト,シミュレーター,そして商業活動などでチームをサポートするとのことです。
2022/11/24(木)
◎エントリーリスト(MotoGP)
○少し前の発表になりますが,11月3日(木)にFIM(国際モーターサイクリズム連盟)が来季の各クラスのエントリーリストを発表しました。MotoGPクラスについては,10月14日(金)付けのこのページでもお伝えしていますが,その時はゼッケン等については記していませんでしたので,今回はFIMの発表に基づいてお伝えします。来季のMotoGPクラスは,11チーム22名のライダーがエントリーします。使用するマシンのメーカーの内訳は,チャンピオンであるドゥカティが8台,アプリリアとホンダが4台,ヤマハ,KTM,ガスガスが2台となっています。新規参入ライダーは,今季Moto2クラスでタイトルを獲得したA.フェルナンデスのみとなっています。そのフェルナンデスが所属するのが,今シーズンはKTMのサテライトでしたが,来季は新規参入メーカーであるガスガスのチームであるテック3・ガスガス・ファクトリー・レーシングです。ただ,ご存知のように,ブランドはガスガスですが,マシン自体はKTM製となっています。フル参戦日本人ライダーは,来季もLCRホンダ・イデミツに所属する中上貴晶のみとなっています。なお,今シーズンのタイトルを獲得したF.バグナイアのゼッケンについては,彼自身がチャンピオンナンバーである「1」をつけるか,彼の生涯ナンバーである「63」にするかどうか,現段階で検討中となっています。
Moto2,Moto3クラスについては,日本人ライダーのみお伝えします。まずMoto2クラスは,今季の小椋藍に加え,新たにSBKからの移籍となる野左根航汰で,所属するのは,このクラスにおけるヤマハ系チームであるヤマハVR46マスター・キャンプ・チームとなります。
Moto3クラスは,チームの移籍はあったものの,今季フル参戦したライダー5名がそのまま残るということになります。
今回発表された具体的なエントリーリストは,以下の表のようになっています。なお,今回のリストは暫定版となっていますので,今後変更となる可能性が残っています。
2023年 MotoGPエントリーリスト(暫定)
クラス ライダー チーム マシン
MotoGP 5 J.ザルコ プラマック・レーシング ドゥカティ
10 L.マリーニ ムーニーVR46レーシング・チーム
12 M.ビニャーレス アプリリア・レーシング アプリリア
20 F.クアルタラロ モンスター・エナジー・ヤマハMotoGP ヤマハ
21 F.モルビデリ            〃
23 E.バスティアニーニ ドゥカティ・レノボ・チーム ドゥカティ
25 R.フェルナンデス RNF MotoGPチーム アプリリア
30 中上 貴晶 LCRホンダ・イデミツ ホンダ
33 B.ビンダー レッドブルKTMファクトリーレーシング KTM
36 J.ミル レプソル・ホンダ・チーム ホンダ
37 A.フェルナンデス テック3・ガスガス・ファクトリー・レーシング ガスガス
41 A.エスパルガロ アプリリア・レーシング アプリリア
42 A.リンス LCRホンダ・カストロール ホンダ
43 J.ミラー レッドブルKTMファクトリー・レーシング KTM
44 P.エスパルガロ テック3・ガスガス・ファクトリー・レーシング ガスガス
49 F.ディ.ジャン.アントニオ グレシーニ・レーシングMotoGP ドゥカティ
63 F.バグナイア ドゥカティ・レノボ・チーム
72 M.ベツェッキ ムーニーVR46レーシング・チーム
73 A.マルケス グレシーニ・レーシングMotoGP
88 M.オリベイラ RNF MotoGPチーム アプリリア
89 J.マルティン プラマック・レーシング ドゥカティ
93 M.マルケス レプソル・ホンダ・チーム ホンダ
Moto2 5 野左根 航汰 ヤマハVR46マスター・キャンプ・チーム カレックス
79 小椋 藍 イデミツ・チーム・アジア
Moto3 6 山中 琉聖 ガスガス・アスパー・チーム ガスガス
24 鈴木 竜生 レオパード・レーシング ホンダ
27 鳥羽 海渡 SIC58スクアドラ・コルセ
71 佐々木 歩夢 リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP ハスクバーナ
72 古里 太陽 ホンダ・チーム・アジア ホンダ
2022/11/23(水)
◎独占(F1)
○先週末に今季最終戦となる第22戦アブダビGPが開催され,レッドブルのM.フェルスタッペンがシーズン最多勝記録をさらに更新する15勝目を挙げて終了しました。チームはそのままヤス・マリーナ・サーキットに留まり,今季最後の公式テストであるポストシーズンテストに昨日臨みました。これは,ワンメークタイヤサプライヤーであるピレリが,来季使用する予定のタイヤをテストすることが目的となっており,各チームは2台のマシンを走らせることになっています。その2台の内訳ですが,1台はレギュラードライバーが,もう1台は出走回数が2戦以下のルーキードライバーがステアリングを握ることになっています。また,ドライバーが走らせるのは,来季自身が所属することになっているチームとなっていますので,例えば今季アルピーヌからフル参戦したF.アロンソはアストンマーティン,同アルファタウリからフル参戦したP.ガスリーはアロンソが抜けたアルピーヌのマシンをそれぞれ駆っています。レギュラードライバーが走らせる1台については,1人のドライバーがずっと駆ってもよし,午前と午後で違うドライバーが駆ってもよいことになっていますので,例えばチャンピオンチームであるレッドブルは,午前がS.ペレス,午後がフェルスタッペンが駆りました。そのような中で行われた今回のテストで最速タイムを刻んだのが午後の走行を担当したフェラーリのC.サインツで,2番手タイムは最終戦でランク2位を決定した午前担当のC.ルクレールでした。さらに,3番手タイムは2台目のマシンを駆ったR.シュワルツマンがマークしていて,フェラーリのトップ3独占となりました。4番手タイムはチーム移籍のガスリー,5番手タイムが2年連続チャンピオンとなったフェルスタッペンでした。来季も唯一のフル参戦日本人F1ドライバーとしてアルファタウリからフル参戦する角田裕毅は,トップからおよそ2秒遅れの20番手でした。なお,今回はあくまでもタイヤのテストが主目的で,マシンは今季型ですし,しかもチームによって色々取り組み方が違いますから,この結果が来季のリザルトを予想できるわけではもちろんありません。
2022/11/22(火)
◎3冠(MotoGP&SBK)
○SBKの今季最終戦となるオーストラリア大会が開かれ,最終レースでは既に今季のタイトルを決めていたAruba.it Racing-DucatiのA.バウティスタが勝利を収めました。その最終戦の結果,ドゥカティは3冠を達成しました。その3冠の内訳ですが,まずライダーのタイトルがバウティスタ,チームタイトルがAruba.it Racing-Ducati,そしてマニュファクチャラーズタイトルがドゥカティというものです。そのドゥカティですが,先日既に今季を終えているMotoGPでも,最終戦でタイトル争いが確定し,ドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアが自身初,そしてドゥカティとしてはC.ストーナー以来15年ぶりとなるライダーズタイトルを獲得しました。そして,チームタイトルをドゥカティ・レノボ・チームが,コンストラクタータイトルをドゥカティが獲得し,こちらも見事3冠獲得となりました。一昨年までのカワサキ,そして昨年のヤマハと,近年のSBKは日本メーカーが続けてタイトルを獲得してきました。MotoGPは,ほぼ日本メーカーの独占状態ともいえる状況でした。そうした中,地道にそれぞれのカテゴリーでマシン開発を進め,特にMotoGPにおいては,ライドハイトデバイスやウィングレット等,革新的なマシンを導入しています。今年のドゥカティの結果は,こうしたことの積み重ねの結果と言えますね。
2022/11/21(月)
◎記録更新&タイヤ戦略(F1)
○今季最終戦となる第22戦アブダビGPの決勝レースが,トワイライトレースとしてヤス・マリーナ・サーキットで行われました。レッドブルのM.フェルスタッペンとS.ペレスがフロントローを独占してスタートした決勝レースは,その2台がそれぞれのポジションを守って順調にワンツー体勢を築いていきました。ペレスとランク2位争いを展開しているフェラーリのC.ルクレールは,3番グリッドからスタートし,彼も順調にそのポジションを守りました。トップを行くフェルスタッペンは,その後も順調にトップのポジションを守って行ったのに対し,2位争いはタイヤ戦略の違いが大きな影響を与えました。レッドブルは2人のタイヤ戦略に違いがあって,フェルスタッペンは1回交換,ペレスが2回交換を選択しました。それに対して,ルクレールはフェルスタッペンと同じく1回交換を選択し,このレースは1回が正解だったようで,ペレスが2回交換してコースに復帰したときには,ルクレールがその前を走る結果となってしまいました。2位奪還に向けてペレスはプッシュしていきましたが,最後までルクレールを交わすことができず,およそ1.3秒差でルクレールが先にチェッカーを受けて2位でレースを終えると共に,ランキングでも2位で今季を終了しました。ほんの1秒ちょっとの差で,ペレスはランク2位の座を獲得することができなかったことになります。終始速いペースを刻み続けたフェルスタッペンは,タイヤ交換のタイミングの違いからトップの座を譲ることはありましたが,それ以外ではトップの座を守り続けてチェッカーを受け,今季彼が記録したシーズン最多勝記録を15に延ばして今シーズンを終えています。アルファタウリ勢ですが,角田裕毅は一時ポイント圏内を走行することもありましたが,残念ながらあと一歩の11位でチェッカーを受けています。これがアルファタウリで最後のレースとなるP.ガスリーは,レースウィークを通して残念ながら速さを見せることができず,14位でシーズンを終えています。なお,これがF1ドライバーとして最後のレースとなる(はずの)アストンマーティンのS.ベッテルは,10位でチェッカーを受けて見事ポイントを獲得しています。

◎2レース共に(SBK)
○今季最終戦となるオーストラリア大会のスーパーポールレースとレース2が,不安定な天候となったフィリップアイランド・サーキットで行われました。
スーパーポールレースは,今季が初のタイトル獲得となったAruba.it Racing-DucatiのA.バウティスタが,2位に入った昨年のチャンピオンであるPata Yamaha with Brixx WorldSBKのT.ラズガットリオグルに3秒以上の差をつける独走でこれを制しました。3位には,昨日行われたレース1において,半年ぶりの勝利を収めたKawasaki Racing Team WorldSBKJ.レイが入っています。
スーパーポールレースが今季のSBKにおけるトップ3の争いとなりましたが,レース2においても,レースの途中までその3人が上位3つを占める形で進んでいきました。その中で,今季のチャンピオンであるバウティスタと一昨年までのチャンピオンであったレイとが抜けだし,2人によるトップ争いが展開されていきました。逃げようとするバウティストと,時折差をつけられることはあったものの,しぶとく彼を追い,最終盤で抜くような雰囲気を感じさせていたレイとの争いでしたが,いつ雨が降るかという不安定な状況が続いていて,最終盤に入ってついに雨が落ち始めてしまいました。そのため赤旗が提示され,その段階でレースの3分の2を消化していましたから,そこでレースが終了となり,その段階でトップに立っていたバウティスタの勝利となりました。レイのチームメイトであるA.ロウズが追い上げてきてラズガットリオグルとの3位争いとなりましたが,最終的にロウズがこのバトルを制し,カワサキワークスが表彰台の2つを占めています。今回が代役として参戦しているTeam HRCの長島哲太は,SBK初のレースでいきなり10位に入るという快挙を前日に成し遂げましたが,今日行われたスーパーポールレースは19位でのフィニッシュでした。しかし,レース2はレース1より1つポジションをアップした9位でフィニッシュし,2日連続して10位以内に入りポイントを獲得しています。
2022/11/20(日)
◎4年ぶり(F1)
○今季最終戦アブダビGPの予選が,日が沈んだヤス・マリーナ・サーキットで行われました。Q3の最初のアタックでトップタイムをマークしたのは,今シーズンもタイトルを獲得しているレッドブルのM.フェルスタッペンでした。ラストアタックでは,全てのドライバーがこのタイム更新を目指してアタックしていったわけですが,フェルスタッペンがラストアタックでタイムを短縮したのに対し,結局誰もフェルスタッペンのタイムを更新することができず,彼が今季7度目,通算20回目となるポールを獲得しました。チームメイトのS.ペレスが2番手タイムをマークし,レッドブルがフロントローを独占しました。意外なことに,レッドブルがフロントローを独占したのは,D.リカルド&M.フェルスタッペンが2018年のメキシコGPで独占して以来4年ぶりとなります。ペレスとランク2位争いを展開しているフェラーリのC.ルクレールが3番手タイムで,この2人の争いは激しいものとなりそうです。そして,その争いにフェルスタッペンやフェラーリのC.サインツがどのような協力体勢を敷くのかも興味のあるところです。アルファタウリ勢は,角田裕毅がQ2まで進出を果たし,12番グリッドを獲得しています。今回がアルファタウリで最後のGPとなるP.ガスリーは,Q1で敗退して17番グリッドから今日行われる決勝レースはスタートします。なお,今回がF1最後の予選となるS.ベッテルは,Q3まで進出を果たして9番手タイムをマークしています。

◎半年ぶり&初戦で(SBK)
○今季最終戦となるオーストラリア大会のレース1が,不安定な天候となったフィリップアイランド・サーキットで行われました。天候の変化によってマシンを乗り換えることができるフラッグトゥフラッグがMotoGPと共に導入されているSBKですが,レース1はまさにその状況となりました。3番グリッドからスタートしたKawasaki Racing Team WorldSBKのJ.レイは,トップ争いをする中でウェットからドライへと変わる状況に早めに対応し,いち早くピットインしてドライタイヤを履いたマシンへと乗り換えをしました。この早めの判断が功を奏し,14周目にトップに立つと,後に続くPata Yamaha with Brixx WorldSBKのT.ラズガットリオグルとの差を広げて行き,最終的に6秒以上の大差をつける独走でトップチェッカーを受けました。レイの優勝は,何と5月に行われたエストリア大会以来半年ぶりとなります。3位には,レイのチームメイトであるA.ロウズが入っています。今回怪我で欠場しているTeam HRCのI.レクオナの代役としてHRCのテストライダーを務めている長島哲太が参戦しています。今回が初めてのSBK参戦となる長島ですが,マシン自体は普段開発で乗っているものではあります。また,サーキット自体は,先日中上貴晶の代役として参戦したMotoGPにおいてレースでの走行経験があります。そうしたこともから長島にはやや幸運な面があるにはありましたが,初めての参戦にもかかわらず,その初戦で10位完走を果たし,見事ポイントを獲得しています。周りのライダーは1年間走行してきた中で,さらにウェットからドライへと変わる不安定な天候の中での結果ですから,見事の活躍と言っていいでしょうね。
2022/11/19(土)
◎昇格(WRC)
○12年ぶりの開催となった今季最終戦第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2022』は,今季TOYOTA GAZOO Racing WRT NGからフル参戦した勝田貴元が,母国の大会において3位表彰台を獲得するという快挙を成し遂げました。大会の優勝はヒュンダイ・シェル・モビスWRTのT.ヌービルが飾っています。そうした最終戦となったわけですが,シーズンで見ると,TOYOTA GAZOO Racing WRTからトヨタGRヤリス・ラリー1を駆ってフル参戦したK.ロバンペラが,史上最年少記録を更新してチャンピオンを獲得しました。見事にタイトルを獲得してシーズンを終えたトヨタですが,そのトヨタが,昨日来季の参戦体制について発表を行いました。それによると,何といっても私たち日本人ファンにとって嬉しい報告が,トヨタの育成的立場にチームからフル参戦していた勝田貴元が,ついにトヨタワークスであるTOYOTA GAZOO Racing WRTから参戦することになったことでしょう。ただし,勝田は3台目のワークス仕様のマシンを駆ることになるわけですが,シーズンを通してではなく,元王者で,今季スポットで参戦したS.オジエとシェアする形を採ることになります。オジエが出場する時の勝田がどうなるのか気になるところですが,その点についても今回発表があり,どうやらチーム外ということにはなるようですが,その時に使用するマシンはWRTを同じようにトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドということになるようです。WRTからフル参戦するドライバーについては今季と同じメンバーで,最年少記録でタイトルを獲得したK.ロバンペラと,今季ランク4位で終えたE.エバンスの2人です。

◎ランク2位争い(F1)
○今季最終戦となる第22戦アブダビGPがヤス・マリーナ・サーキットで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。中東に位置しているアブダビだけに,日中は高温となるため,今大会の予選と決勝は夕方に行われることになっています。そのため,日中の暑い中での走行となるフリー走行1ですが,そこで得られるデータはあまり重要とはなりません。そして,最終戦ということもありますので,フリー走行1では,リザーブドライバーによる走行を10チーム中8チームが行いました。その分レギュラードライバーが走行するフリー走行2でのタイムが,この日の最速タイムへと繋がっています。その走行で総合トップタイムを出したのは,今季のタイトルを決めているレッドブルのM.フェルスタッペンでした。前戦の勝者であるメルセデスAMGのG.ラッセルが総合2番手タイムを出していますが,フェルスタッペンとのタイム差がコンマ3秒以上あって,ややフェルスタッペンが抜け出たような初日となりました。総合3番手タイムは,ランク2位を目指しているフェラーリのC.ルクレールでした。そのルクレールと同ポイントでランク2位争いを展開しているレッドブルのS.ペレスは,総合5番手タイムでした。アルファタウリ勢は奮わず,角田裕毅が15番手,P.ガスリーが19番手で初日を終えています。
2022/11/18(金)
◎喪失&復帰(F1)
○今日から今季最終戦となる第22戦アブダビGPが開幕しますが,それを前にして,昨日,唯一来季の残りのシート1つが誰になるのか決まっていなかったハースF1チームがその点に関して発表を行いました。それによると,これまで噂されていたとおり昨シーズンから同チームのレギュラードライバーを務めているM.シューマッハが今季限りでチームを去ることになりました。誰もが知っているとおり,今回シートを喪失することになったシューマッハは,かつて『皇帝』と異名を取ってF1で数々の栄冠を獲得してきたミハエル・シューマッハの息子です。2020年にFIA F2でタイトルを獲得し,その翌年に現在のハースからF1デビューを果たしました。その初年度は,チーム自体が次のシーズンに向けたマシン開発を行っていたことから,マシンの戦闘力が全く劣っていたため,ポイントを獲得することが叶いませんでした。そして,2年目となる今シーズンは,それなりに戦闘力がアップしていて,イギリスとオーストリアでポイントを獲得することができました。しかし,チームメイトであるK.マグヌッセンと比べると見劣りし,さらにクラッシュが多く,決して資金的に潤沢とは言えないチームですので,その負担は軽くなかったことでしょう。こうしたことから,シーズンが進むに連れてシューマッハの残留は厳しいのではないかという見方が大勢を占めていました。そして,今回の発表となったわけです。そのシューマッハの発表後,同チームから新たな発表があり,これまた噂されていたとおり,昨シーズンに続いて今シーズンもアストンマーティンF1でリザーブドライバーを務めているN.ヒュルケンベルグを来季シューマッハ離脱で空いたシートに起用することになりました。来季から起用することになったヒュルケンベルグは,2010年にウィリアムズからF1にフル参戦を開始。その翌年にリザーブドライバーとしてフォースインディアに所属し,2012年に同チームのレギュラードライバーに昇格しました。その後,一旦ザウバーからフル参戦したものの,再びフォースインディアに戻って3年間過ごし,2017年にルノーに移籍しました。2019年までルノーにいたものの,翌年はレギュラードライバーのシートを失って現在に至っています。今シーズンはアストンマーティンのレギュラードライバーであるS.ベッテルが開幕前に新型コロナウイルスに感染したため,開幕戦と第2戦に代役で参戦し,あと一歩というところまでいったもののポイント獲得には至りませんでしたが,十分に戦えることを示すことができ,そうしたことから今回のレギュラードライバー復帰を獲得しています。なお,シート喪失となったシューマッハについては,来季具体的にどうなるのかまだ決まっていません。ただ,2026年からザウバーを買収してアウディがF1に復帰することが決まっていて,その際,ドイツ人ドライバーであるシューマッハが起用される可能性が高いといわれていますので,そうした関係性から今後何らかの動きがあるのではないかと思われます。
2022/11/17(木)
◎体制継続(SGT)
○GT300クラスは,どのチームがタイトルを獲得するか全く予想ができない難しいカテゴリーの1つですが,そうした中で常に参戦していて,欠くことのできない名物チームがあります。その中の1つが,『初音ミク』のカラーリングでもお馴染みのGOODSMILE RACING & Team UKYOです。2011年,2014年,そして2017年にタイトルを獲得した同チームですが,今季は鈴鹿サーキットで行われた第5戦で優勝を果たし,ランキングはドライバーズタイトルで9位,チームタイトルでは6位でシーズンを終えています。その同チームが,YouTubeで来季の体制について発表を行いました。それによると,同チームのステアリングを握るドライバーといえば谷口信輝&片岡龍也が定番となっていますが,来季もその2人を継続して起用することになりました。2012年シーズンからの2人ですから,来季で14年目のシーズンということになります。マシンに関しては,今季と同様メルセデスAMG GT3を使用し,タイヤについても今季と同様ヨコハマを履くことになります。さらに,監督が元F1ドライバーの片山右京,エンジニアがRS FINEの河野高男とどれをとっても今季と同様の体制となります。不思議と3年毎にタイトルを獲得するというジンクスのあった同チームですが,このところタイトルから遠ざかっています。今季はそれを象徴するかのように,第4戦ではトップを走行中にタイヤトラブルが発生してしまって優勝直前に後退するという不運がありました。来季は最後の優勝から6年目で,ちょうど3の倍数となります。ジンクス的にはタイトルを獲得してもおかしくないところでしょうから,体制の継続を活かしてそのジンクスを実現して欲しいところですね。
2022/11/16(水)
◎4年連続&初年度に(WEC)
○11月12日(土)に今季最終戦となる第6戦『バーレーン8時間』の決勝レースが,強い日差しに照らされたバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われました。ポールからスタートしたS.ブエミ&B.ハートレー&平川亮組のトヨタGR010ハイブリッド8号車は,順調なスタートを切ってトップの座を守りました。チームメイトであるM.コンウェイ&小林可夢偉&J-M.ロペス組のトヨタGR010ハイブリッド7号車は,3番グリッドからスタートし,その周に1つ順位を下げてしまいました。しかし,すぐに順位を回復して3位を走行していきました。1回目のピット作業を終えると,8号車はトップの座を守り,7号車は2位に浮上していました。チームメイト同士によるトップ争いが展開されていき,3時間を経過したところで7号車が8号車をパスしてトップに立ちました。トップに立った7号車は,速いペースを刻んで8号車との差を徐々に広げて行き,最終的に2位に45秒以上の差をつける独走でトップチェッカーを受けました。その2位に8号車が入り,トヨタ・ガズー・レーシングが今季3度目となるワンツーフィニッシュを飾りました。タイトル争いを繰り広げていたA.ネグラオ&N.ラピエール&M.バキシビエール組のアルピーヌA480・ギブソンが3位に終わったため,わずか5ポイントという僅差でドライバーズタイトルは8号車のS.ブエミ&B.ハートレー&平川亮が獲得しました。ブエミとハートレーは,前身時代も含めてこのシリーズで初の3回タイトル獲得者となっています。平川については,ルーキーイヤーでのタイトル獲得となりました。また,チームタイトルはトヨタ・ガズー・レーシングのものとなり,4年連続してドライバーとチームのダブルタイトルを獲得したことになります。
2022/11/15(火)
◎初戴冠(SBK)
○第10戦インドネシア大会最終日の走行が,マンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットで行われました。前日に行われたレース1では,昨年のチャンピオンであるPATA Yamaha with BRIXX WorldSBKのT.ラズガットリオグルが独走で勝利を収めましたが,その勢いは最終日にも続いていて,この日行われたスーパーポールレースでは,一昨年までのチャンピオンであったKawasaki Racing Team WorldSBKのJ.レイに競り勝って連勝を飾りました。さらに,レース2ではタイトル獲得に王手をかけているARUBA.IT Racing- DucatiのA.バウティスタを振り切ってこのレースも勝利し,この大会を完全優勝で制しています。ただ,タイトル争いで見ると,この大会終了段階でランクトップのバウティスタが,ランク2位のラズガットリオグルに66ポイント差をつけていました。今季残りがオーストラリアのフィリップアイランド・サーキットで行われるレースだけになっていますので,バウティスタが最終戦を待たずして今季のチャンピオンを決めています。かつてはMotoGPクラスで活躍したバウティスタでしたが,2019年にSBKに転向して現在所属しているARUBA.IT Racing- Ducatiからフル参戦し,ランク2位でシーズンを終えていました。その翌年から2年間にわたってTeam HRCからフル参戦したものの,新しいマシンだけにマシンの戦闘力不足もあってランク9位と10位に終わっていました。そして,再びドゥカティワークスに戻ってついにタイトルを獲得しています。なお,唯一の日本人フル参戦ライダーで,来季はMotoGPのMoto2クラスにフル参戦することが決まっているGYTR GRT Yamaha WorldSBK Teamの野左根航汰は,レース1で15位に入ってポイントを獲得したものの,他の2レースはノーポイントに終わっています。
2022/11/14(月)
◎独走&母国で
今季最終戦第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2022』最終日の走行が,途中から雨に見舞われるあいにくの天候の中で行われました。初日,2日目と大荒れだったこの大会ですが,3日目から落ち着きが見られ,4日目も大きなアクシデントがなく,12年ぶりとなるラリージャパンは無事終わりました。
3日目を終わってトップに立ったヒョンデi20 Nラリー1を駆るT.ヌービルと,トップの座を明け渡して2位で最終日を迎えたトヨタGRヤリス・ラリー1を駆るE.エバンスとが僅差でのトップ争いとなっていました。最初のSS15でエバンスがトップタイムをマークし,ヌービルとの差を縮めました。ところが,次のSS16でエバンスがパンクに見舞われてタイヤ交換の必要性が生じ,一気に順位を下げてしまいました。エバンスの脱落により,ヌービルは余裕の走りを展開していき,2位に1分以上の大差をつけてラリージャパンを制しました。エバンスの脱落により3位を走行していたヒョンデi20 Nラリー1を駆るO.タナクが2位に浮上し,そのまま2位の座を守ってフィニッシュしました。同じくエバンスの脱落により4位を走行していたトヨタGRヤリス・ラリー1を駆る勝田貴元が3位に浮上したものの,その後ろにつけていたトヨタGRヤリス・ラリー1を駆るS.オジエとの差はわずかで,同じトヨタ勢による3位争いとなりました。午後から雨が降る難しいコンディションとなった中での走行でしたが,勝田は何とかオジエの追撃を振り切っていって,母国での大会で見事3位表彰台を獲得しています。

◎初ワンツー(F1)
○第21戦ブラジルGPの決勝レースが,この日もドライコンディションとなったアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェで行われました。1列目にメルセデスAMG,2列目にレッドブルという昨シーズンまではしばしば見られたグリッド順でスタートとなった決勝レースは,スタートこそ順調でしたが,その後はあちらこちらでましんどうしがぶつかったり,クラッシュしたりと荒れた展開となりました。その中の1つが昨年まで激しく争っていたフェルスタッペンとハミルトンとのバトルでしょう。フェルスタッペンが前を行くハミルトンをパスしようとハミルトンのイン側にマシンを持っていったのですが,これはやや強引とも言えるもので,両者は接触してそれぞれマシンに損傷が見られました。ハミルトンはその後も安定した走行を続けることができたものの,フェルスタッペンはピットインしてフロントウィングを交換する必要が生じ,さらに接触の責任を取って5秒加算のペナルティーが科されました。トップを行くラッセルは順調に最後まで走りきり,前日のスプリントレースに続いて連勝を飾りました。2位にハミルトンが入り,今季初めてワンツーフィニッシュを果たしています。レッドブル勢はこの大会であまりいい流れはなく,順位を下げたのに対し,フェラーリ勢は荒れたレースの中でペースを見せ,C.サインツが3位,C.ルクレールが4位でフィニッシュしています。大きく順位を下げたフェルスタッペンでしたが,順位をどんどん回復していき,最終的に6位まで順位を上げ,チームメイトのS.ペレスは7位でした。アルファタウリ勢は,一時トップ10圏内をP.ガスリーが走行していたものの,最終的に12位でした。角田裕毅は,スプリントレース後に前後のウイング,フロアをそれぞれ交換し,さらにセッティングも変更したことによりピットレーンスタートとなり,最終的に17位でチェッカーを受けています。
2022/11/13(日)
◎無事に(WRC)
○今季最終戦第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2022』3日目の走行が,天候に恵まれた中で行われました。初日,2日目と大荒れの展開となった今大会ですが,3日目にしてようやく大波乱となるアクシデントが発生することなく無事に終了することができました。この日をトップで迎えたトヨタGRヤリス・ラリー1を駆るE.エバンスでしたが,2位のヒョンデi20 Nラリー1を駆るT.ヌービルとの差はわずかコンマ3秒でしたから,ほぼあってなきような差といえます。そうした状況でSS8〜SS14まで行われたこの日の走行は,午前中こそエバンスはトップの座を守っていたものの,午後の走行でヌービルに遅れをとってしまい,最終的に3日目をトップで終えたのはヌービルでした。エバンスは4秒遅れの2位に後退しています。3位に今回がヒョンデi20 Nラリー1を駆ってスポット参戦となるO.タナクで,トップからは40秒近い差となっています。2日目を5位で終えたトヨタGRヤリス・ラリー1を駆る勝田貴元は,1つポジションを上げて4位に浮上しています。タナクとの差が約35秒ですし,8度のタイトルを獲得した輝かしい経歴を持つ相手だけに,簡単には逆転できない状況ではあるものの,母国での大会で表彰台に登れることを祈りたいと思います。

◎今季初優勝(F1)
○第21戦ブラジルGPのスプリントレースが,前日と打って変わって好天に恵まれたアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェで行われました。自身,そしてチームとしても初となるポールを獲得したK.マグヌッセンは,抜群のスタートを決めてトップの座を守りました。ただ,やはりマシン差は如何ともし難く,3周目に2番グリッドからスタートしてその座を守っていたレッドブルのM.フェルスタッペンに抜かれてしまいました。その後も後続のマシンからパスをされていき,それでも最終的に8位でチェッカーを受けています。3周目にトップに立ったフェルスタッペンでしたが,いつもならそのまま後続との差を広げて行くところですが,思うようにペースを上げることができず,後続のマシンの追撃を受けることとなります。どうやらコース上にあるデブリを拾ったようで,それがタイヤについてペースを上げることができないようなのです。そのフェルスタッペンを最初にパスしたのが,今シーズンからメルセデスAMGに所属しているG.ラッセルでした。トップに立ったラッセルは,速いペースを刻んでいって最後までトップの座を守り,2位に入ったフェラーリのC.サインツに4秒弱の差をつける独走でトップチェッカーを受け,自身今季初優勝を飾りました。この優勝は,ラッセルだけでなく,チームにとっても今季初優勝となります。昨年まで優勝して当たり前という同チームが,シーズン最終盤での優勝という意外な結果となっています。3位にL.ハミルトンが入り,メルセデスAMG勢が表彰台の2つを占める結果となっています。このスプリントレースの結果が今日行われる決勝レースのグリッド順となりますが,2位に入ったサインツは既にエンジン交換で5グリッド降格が決まっていますので,メルセデスAMG勢がフロントローを独占することになります。ペースが上がらなかったフェルスタッペンは,最終的にトップから10秒以上遅れた4位でチェッカーとなっています。チームメイトのS.ペレスは,そのフェルスタッペンから1秒ちょっと遅れた5位でチェッカーを受けています。アルファタウリ勢は,P.ガスリーが10位に入ってポイントを獲得しましたが,角田裕毅は16位でノーポイントに終わっています。
2022/11/12(土)
◎キャンセル続出(WRC)
○12年ぶりの開催となる第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2022』2日目の走行が行われました。当初の予定では,この日の走行はSS2〜SS7までの6ステージが行われることになっていました。その大波乱の予感はSS2でした。何とD.ソルドが駆るヒョンデi20 Nラリー1から出火し,激しい炎に包まれてマシンは全焼する事態となってしまったのです。また,このステージでは,初日首位に立っていたトヨタGRヤリス・ラリー1をかるS.オジエにタイヤトラブルが発生してしまい,タイヤ交換に時間を取られたため,リタイアこそならなかったものの,順位を大きく下げてしまい,トップ争いから脱落となりました。SS2でのソルドのアクシデントのため大会の進行に遅れが生じたため,SS3はキャンセルとなりました。次にSS4が行われたのですが,このステージでもトラブルが多発し,コース上にマシンが止まってしまったため,後続のマシンの走行ができない状態が起きたり,ガードレールがクラッシュによって壊れたりしました。そのため,このステージも途中でキャンセルとなりました。さらに,このSS4でのガードレール破損は,修復に時間がかかるため,安全性を考慮に入れてSS4の再走ステージであるSS7もキャンセルとなってしまいました。こうした次々に起こるアクシデントの中,トップに立ったのはトヨタGRヤリス・ラリー1を駆るE.エバンスでした。チームメイトのK.ロバンペラが3位につけ,トヨタがトップ3のうちの2つを占めています。2位には,ヒョンデi20 Nラリー1を駆るT.ヌービルが,エバンスからわずかコンマ3秒遅れと僅差でつけています。今回が母国GPとなる勝田貴元は,昨日より2つ順位を上げて5位で2日目を終えています。

◎初ポール(F1)
○第21戦ブラジルGPが,不安定な天候となったアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェで開幕しました。今大会は,スプリントレースが2日目に予定されていて,通常2日目に行われる予選が,初日に行われるというスケジュールになっています。雨が降ったり止んだりという天候の中で行われた予選でしたが,この不安定な天候が思わぬ(?)結果をもたらしました。Q3開始の段階では軽い雨が降って路面がちょっとだけ濡れている状況で,その段階でタイミングボードのトップに立っていたのはハースのK.マグヌッセンでした。Q3が開始してから4分ほど経ったときにメルセデスAMGのG.ラッセルが,コースからリアが少しはみ出たためかターン4でコースオフを喫してグラベル上をまっすぐに走行。方向転換をしてコースに復帰できるかと思いましたが,ここでもスピンを喫してグラベル上でスタックしてしまいました。このため赤旗が出されてQ3は一旦ストップとなりました。そして,セッションが再開される頃には雨脚が激しくなっていて,残りの時間もずっとその状態が続いたため,タイムアップすることができませんでした。この結果,セッション序盤トップに立っていたマグヌッセンがそのままの順で予選終了となり,自身にとっても,そしてチームにとっても嬉しい初ポール獲得となりました。2番手にはシーズン最多勝更新を目指す今季のチャンピオンであるレッドブルのM.フェルスタッペン,3番手には今回の波乱の原因となったラッセルがつけました。レッドブルのS.ペレスはアタックできないままで予選終了となり,9番手タイムで終わっています。アルファタウリ勢は,P.ガスリーがQ2進出を果たして12番手,Q1で敗退となった角田裕毅はブービーである19番手でした。
2022/11/11(金)
◎12年ぶり(WRC)
○今季最終戦となる第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2022』が開幕し,初日は豊田市の鞍ヶ池公園においてSS1の走行が行われました。以前は北海道で開催されていたことがあったラリージャパンですが,その後一旦途絶え,トヨタがWRCに復帰以後日本での開催に向けた動きが本格化し,一旦は再々が決定していました。ところが,コロナ禍によりF1やMotoGPと同じく開催が中止となり,これまたそれらのシリーズと同じく今年は開催となりました。ラリージャパンとしては12年ぶり,開催中止から3年ぶりの開催となります。
初日の走行でトップタイムをマークしたのは,昨年のチャンピオンで,今季はトヨタGRヤリス・ラリー1を駆ってスポットでの参戦をしているS.オジエでした。2,3番手タイムをそれぞれフォード・プーマ・ラリー1を駆るC.ブリーン,ヒョンデi20 Nラリー1を駆るO.タナクで,奇しくも3メーカーのマシンがそれぞれ1台ずつ並んだ形となりました。唯一のフル参戦日本人ドライバーであるトヨタGRヤリス・ラリー1を駆る勝田貴元は,母国の声援を受けながら走行し,7番手タイムで初日を終えています。なお,この大会にシトロエンC3ラリー2を駆ってWRC2クラスに出場している日本を代表するベテランラリードライバーである新井敏弘が,スタート後500m地点でクラッシュを喫してしまいました。このアクシデントによりSS1は赤旗中断。その後ステージキャンセルとなったため,以後のドライバーはSS1での走行ができなくなりました。そのため,『ノーショナルタイム』が与えられています。これは,SSが中断された場合に走行できなかったドライバーに与えられるタイムのことです。
2022/11/10(木)
◎不満?(MotoGP)
○最終戦となる第20戦バレンシアGPから2日後に行われた来シーズンに向けた最初のオフィシャルテストは,来季に向けた様々なマシンやパーツが投入されたようです。かつては日本製のマシンでないと勝てない状況が続いていましたが,ここ数年はその傾向がどんどん見られなくなってきています。特に今シーズンは,ドゥカティやアプリリアのイタリア製マシンが表彰台に上ることがしばしば見られるようになりました。それに対して,ヤマハは昨年のチャンピオンであるF.クアルタラロはタイトル争いを展開したものの,残りの3人のライダーはトップ10に入ることさえ苦労する状態で,そうしたこともあってサテライトからフル参戦したA.ドビツィオーゾはシーズン途中で引退する事態になりました。また,タイトル争いを展開したとは言え,クアルタラロはシーズンが進むに連れてドゥカティ勢がマシンがさらに速くなっていったのに対し,尻すぼみの状態となり,結果的にこれが要因となってタイトルを逃してしまいました。ホンダに関しては,トップ10圏内はもちろん,ポイント獲得さえ厳しい状況も見られました。そして,最終的にメーカータイトルでは最下位に転落するという信じられない事態となってしまいました。また,スズキに至っては,諸状況があって仕方なかったのかもしれませんが,今季限りでMotoGPから撤退するという選択をしています。
そうしたこともあって,今回行われたテストには,ホンダのライダーにしてもヤマハのライダーにしても,来季に向けてどのようなマシンが投入されることになるのか大いに期待していたと思います。特に,ホンダ,ヤマハのエースライダーであるM.マルケスとF.クアルタラロはそうした意識がより一層強いものがあったことでしょう。ところが,テスト後の2人のコメントは,否定的なものになっていました。マルケスによると,改善した点があるかと思えば,逆に遅くなってしまった点も出てきていて,こうした不安定な状況ではタイトル争いに加わることができないということです。また,クアルタラロによると,実はシーズン中に行われたミサノやバルセロナでテストした際には,ヤマハの欠点となっていた最高速に改善が見られ,スピードが出てきていたという感触を持っていたのです。ところが,今回走行してみると,同じ仕様のエンジンのはずなのに,なぜか今季型のものとほとんど同じになっていたというのです。ということで,両メーカーともにエースライダーは来季型に不満を持ったようです。もちろん,チーム側を奮起させるため,あえて辛口のコメントをしたということがあるのかもしれませんが,それにしても否定的な感じが多いものとなっています。来年2月に本格的なテスト走行が始まりますが,日本製マシンの復権のため,冬の間の開発に大いに期待したいと思います。
2022/11/09(水)
◎活動スタート(MotoGP)
○週末に行われた今季最終戦となる第20戦バレンシアGPの結果,今季限りでMotoGPから撤退するスズキに餞となるかのように,チーム・スズキ・エクスターのA.リンスが大会を制しました。そして,最終戦までもつれたタイトル争いは,ドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアがこれを制しています。その最終戦が行われたサーキット・リカルド・トルモでは,決勝日から1日空けた昨日,2023年シーズン最初のイベントとなるオフィシャルテストが行われました。今回のテストはわずか1日だけの開催で,来季フル参戦するライダーは,それぞれが所属するメーカー及びチームのマシンを駆りました。その中で,残留となるライダーは来季型のマシンやパーツ,もしくは今季型のアップデート版等を使っての走行となったでしょうし,新たなチームに移籍するライダーや,今季のMoto2クラスチャンピオンであり,来季唯一MotoGPクラスにステップアップするライダーでもあるA.フェルナンデスは,まずはマシンの感触を掴むことから取り組んだのではないかと思います。そうした新しい体制でのテストですので,見慣れない光景が展開されていったのも事実でしょう。そうした中で結果を見ると,来季もチーム残留となるライダーがトップ3に立っていて,総合で最速タイムを刻んだのは,ムーニーVR46レーシング・チームのL.マリーニでした。そして,チームメイトのM.ベツェッキが総合3番手タイムをマークしています。その2人の間に入ったのは,今季復活を遂げた感のあるアプリリア・レーシングのM.ビニャーレスでした。昨年のチャンピオンで,今季はランク2位で終えたモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロは,この日最多周回数となる92周を走行し,総合では9番手タイムでした。今季チャンピオンを獲得したバグナイアは,トップからコンマ6秒ほど遅れた総合12番手でした。チームもしくはライダーの移籍組での最高位は,総合4番手タイムだったRNF MotoGPチームのM.オリベイラでした。今季までずっとヤマハのサテライトとしてフル参戦してきた同チームですが,そのヤマハと袂を分かち,来季からアプリリアのサテライトとしてフル参戦することになりました。また,オリベイラ自身は,KTMのファクトリーライダーとして参戦してきましたが,新たにRNFに移籍してアプリリアのマシンを駆ることになりました。そうしたチームとしてもライダーとしても新たなスタートを切っているわけですが,その最初の走行で好結果を残しています。来季もチームに残留してこのクラス唯一のフル参戦日本人ライダーとなるLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,トップから1秒ちょっと遅れの総合19番手でこのテストを終えています。
もちろん今回のタイムは,それぞれライダーやチームの状況によって取り組み方が大きく違うでしょうから,タイムで単純に比較することはできません。本格的な2023年シーズンの取り組みとなるのは,来年2月5日から3日間にわたってマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われる予定のシェイクダウンテストからということになります。
2022/11/08(火)
◎JRRも(JRR)
○中須賀克行の全勝優勝で終わった今季のJSB1000クラスですが,その最終戦が行われていた11月5日(土)にMFJから新たな発表がありました。それによると,来シーズンからJSB1000クラスにカーボンニュートラル燃料をワンサプライヤーで供給することになりました。2輪,4輪問わずそれぞれの自動車(バイク)メーカーは,カーボンニュートラルに向けた活動を年々強めてきています。モータースポーツもその例に漏れず,F1をはじめとした国内外のモータースポーツで化石燃料からの脱却を目指した取り組みがなされてきています。JRRとしてもその流れを重視し,他のカテゴリーより先駆けてこの活動に取り組むことにしたようです。今回の発表によると,これはMFJ単独での取り組みではなく,ホンダ,ヤマハ,スズキ,カワサキの各メーカーの協力の下,ハルターマン・カーレス社の100%非化石由来のレーシングガソリンをそれぞれのメーカーでテストし,その結果エンジンに改造を施す必要のない事が確認されたことで今回の結論に至ったということです。同ブランドの燃料は,SGTでも採用することになっていますが,ブランドとしては同じでもやはり仕様は違うものになるようです。報道によると,通常ではリッターあたり1500円の価格になるようですが,国内外の車両及びタイヤメーカーなどが分担してコストを負担することになるため,エントラント側は400円の特別価格となるようです。国内最高峰とは言え,プライベーターがほぼ占めているクラスだけに,こうした支援を取り付けたことは評価できるのではないでしょうか。
2022/11/07(月)
◎順調に&有終の美(MotoGP)
○今季最終戦となる第20戦バレンシアGPの決勝レースが,レースウィークを通して好天に恵まれたサーキット・リカルド・トルモで行われました。
ドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアとモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロとの間でタイトル争いとなったMotoGPクラスですが,クアルタラロが逆転でタイトルを獲得する絶対条件は優勝でした。それに対してランクトップに立っているバグナイアは,14位以内に入ればタイトル獲得という有利な状況にありました。レースは好スタートを切ってトップに立ったのは,今シーズン限りでMotoGPからの撤退が決まっているスズキのワークスライダーであるA.リンスでした。スズキのマシンを駆る最後のレースとなるリンスは,最後までそのポジションを守り抜き,見事スズキにとって最後のレースで優勝して有終の美を飾りました。2位には,7番グリッドからスタートし,速いペースを刻んでいって最後は2位にまで浮上していったレッドブルKTMファクトリーレーシングのB.ビンダーでした。3位には,ポールからスタートしたプラマック・レーシングのJ.マルティンが入り,表彰台を3つのメーカーで分け合う形となりました。タイトル争いを繰り広げていたクアルタラロとバグナイアは,レース序盤に2人が軽く接触するというアクシデントはありましたが,バグナイアのウィングが外れるということはあったものの,2人とも無事走行を続けていきました。優勝しかないクアルタラロは,何とかトップグループに追いつこうとしましたが,最後まで届くことができず,4位でのチェッカーとなりました。パーツを失って走行を続けたバグナイアは,思うようにペースを上げることができず,しかも状況的に無理してあげる必要もなく,最終的に9位でチェッカーを受けて見事今シーズンのタイトルを決めました。ドゥカティのライダーズタイトル獲得は,2007年以来となります。さらに,イタリア人ライダーによるイタリアンメーカーのタイトル獲得は50年ぶりとなります。怪我の回復が不十分な状態ながら4戦ぶりの出場となったLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,堅実な走りを展開していき,しかも前を走るライダーが次々に転倒したこともあって,最終的に14位でチェッカーを受けてポイントを獲得しています。今シーズン不振を極めているホンダですが,このレースでポイントを獲得したのは中上だけで,他のライダーは転倒リタイアに終わってり,まさに今季のホンダを象徴するかのようなレースとなりました。来季も唯一のフル参戦日本人ライダーを務めることになる中上ですが,昨シーズンや今シーズンしばしば見せたホンダ勢最高位でチェッカーという姿はもちろん,ぜひ表彰台獲得も実現してほしいものです。
レッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスとイデミツ・チーム・アジアの小椋藍との間でチャンピオン争いとなったMoto2クラスは,フェルナンデスがポイント的にやや有利な状況ではあったものの,場合によっては小椋の逆転タイトルの可能性もありました。しかし,その小椋が2位走行中の8周目に転倒を喫してリタイアとなってしまい,この段階でフェルナンデスのタイトル獲得が決まりました。来季,唯一最高峰クラスにステップアップするライダーのフェルナンデスですが,Moto2クラスタイトルを引っさげてのMotoGP昇格となります。そのフェルナンデスが所属するレッドブルKTMアジョが決勝レースで速さを見せ,ルーキーであるP.アコスタが今季3勝目となる勝利を収めました。フェルナンデスが2番手でチェッカーを受け,最終戦は同チームのワンツーフィニッシュでした。レッドブルKTMアジョ勢からは大きく離されたものの,4位とは最終的に4秒以上の差をつける独走でエルフ・マークVDSレーシング・チームのT.アルボニーノが3位表彰台を獲得しています。ペルタミナ・マンダリカSAGチームから代役参戦している羽田大河は,完走は果たしたものの,ポイント圏外の22位でチェッカーとなっています。来季のMoto2クラスは,小椋が残留すると共に,SBKからの移籍となる野左根航汰がフル参戦します。惜しくもランク2位で終わった小椋ですが,来季こそタイトル獲得を実現して欲しいですし,野左根は元JSB1000クラスチャンピオンらしい姿を見せていって欲しいですね。
Moto3クラスは,今シーズンのタイトルを決めているヴァルレーサ・ガスガス・アスパー・チームのI.グエバラが,ポールからスタートすると,レッドブルKTMテック3のD.オンジュとのトップ争いがファイナルラップまで続いていきました。そのファイナルラップでオンジュがトップに立ったものの,ゴール直前でグエバラが抜き返し,今季7勝目を挙げてグエバラが自らタイトルに華を添えて今季を終えています。3位には,後続に8秒弱の差をつける独走でグエバラのチームメイトであるS.ガルシアが入っています。フル参戦日本人ライダー勢は,ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢が5位に入り,今季をランク4位で終えています。MTヘルメッツMSIの山中琉聖が9位,レオパード・レーシングの鈴木竜生が14位に入って,この3人がポイントを獲得しています。スポーツマンらしくない行為でピットスタート等のペナルティーを科されていたCIPグリーン・パワーの鳥羽海渡は,完走は果たしたものの,ポイント圏外の24位でのチェッカーとなりました。ルーキーイヤーであったホンダ・チーム・アジアの古里太陽は,15周目に転倒を喫して最終戦をリタイアで終えています。来季のMoto3クラスは,チームを移籍するライダーはいるものの,今季と同じメンバーがシーズンを戦います。かつてあったように,今季は複数の日本人ライダーが表彰台に上がるシーンがありました。来季はチャンピオン争いに複数の日本人ライダーが絡むようになることを期待したいと思います。

◎2年連続完全優勝(JRR)
○今季最終戦MFJ-GPの決勝レースが,レースウィークを通して好天に恵まれた鈴鹿サーキットで行われました。
前日レース1の決勝が行われたJSB1000クラスですが,この日の午前中にレース2が,午後にレース3が行われました。レース2では,ポールからスタートしたYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が,レース1と同じく順位をいったん下げたものの,4周目にトップに立つとそのまま単独走行に持ち込み,いつものように独走でこのレースも制し,連勝記録を22に延ばしました。レース序盤に中須賀とトップ争いとなったTOHO Racingの清成龍一でしたが,中須賀から遅れを取ると,今度はYOSHIMURA SUZUKI RIDEWINの渡辺一樹との2位争いとなりました。最終的に渡辺がこのバトルを制し,前日と同じトップ3の順でのチェッカーとなっています。午後に行われたレース3は,中盤まで中須賀と渡辺,そして完全プライベーターながら,今季トップ争いに顔を出す程までに成長しているHonda Suzuka Racing Teamの亀井雄大の3台によるトップ争いとなりました。終盤に入って亀井は脱落したものの,中須賀と渡辺のバトルはファイナルラップまで続き,最終的に中須賀が渡辺をコンマ3秒離してトップチェッカーを受け,昨年に続いて今シーズンも全勝優勝で締めくくりました。40歳を超えても中須賀の速さは変わらず,無傷でシーズンを終えるという驚異的な結果を残していて,彼のモチベーションの持ち方には本当に頭が下がる思いです。ただ,それにしても2年間誰も彼の前でチェッカーを受けることができないというのは,言い方を変えれば異常事態とも言えます。中須賀の連勝記録がどこまで伸びるのかという興味は当然わきますが,誰かがストッパーとなって欲しいという思いもわきます。他のメーカー及びライダーの奮起を期待します。
ST1000クラスは,タイトル獲得の可能性があるAstemo Honda Dream SI Racingの渡辺一馬,TOHO Racingの國峰啄磨,JAPAN POST HondaDream TPの高橋裕紀の3名によるトップ争いがファイナルラップまで続いていきました。激しく順位を変えるバトルでしたが,昨年のチャンピオンである渡辺一馬がこれを制し,見事2年連続チャンピオンを飾りました。惜しくも2位で終わった國峰ですが,ルーキーイヤーでのこの活躍は来季に期待を持たせます。
ST600クラスは,序盤は6台によるトップ争いとなりました。レースが進むに連れて少しずつばらけていき,その中でAKENO SPEED・YAMAHAの井出翔太が抜け出していきました。井出は単独走行に持ち込み,自身初となる優勝を最終戦で飾っています。2位にはJAPAN POST HondaDream TPの小山知良,3位にはSDG Motor Sports RT HARC-PRO.の國井勇輝が入っています。なお,このクラスのタイトルは,4位でチェッカーを受けたMOTOBUM HONDAの荒川晃大が獲得しています。
J-GP3クラスは,Team Plusoneの上原大輝と昨年のチャンピオンであるP.MU 7C GALESPEEDの尾野弘樹の2人によるチャンピオン争いとなっていました。レースの方は,トップが7周目に入った頃にコース上にマシンが残る転倒があり赤旗が提示され,6周目の順で周回数5周の超スプリントレースでリスタートとなりました。タイトルを争う2人に上原のチームメイトである木内尚汰が加わった3台によるトップ争いが展開していき,トップに上原が立った後,尾野と木内による2位争いが展開されていきました。2人がバトルをしている間にトップを行く上原が2人との差をつけていき,そのまま逃げ切って今季2勝目を挙げました。2位争いを尾野が制し,この結果,今季3勝を挙げている尾野がタイトルを制し,2年連続チャンピオンに輝きました。

◎1年目で&27年ぶり(SGT)
○今季最終戦となる第8戦の決勝レースが,この日も好天に恵まれたモビリティリゾートもてぎで行われました。
GT500クラスは,上位陣は順調にスタートが切れたものの,レースが進むに連れてトラブルやアクシデントがあちらこちらで発生していきました。ところが,序盤に多重クラッシュが発生したため,セーフティーカーが先導する事態となりました。リスタート後はピットインのタイミングのズレから順位の変化がありましたが,それが落ち着いてくるとポールからスタートした山本尚貴&牧野任祐組のSTANLEY NSX-GTがトップに再浮上し,そのまま逃げ切って今季初優勝をポールトゥーウィンで飾りました。2,3位には,こちらも順調な走りを見せてそれぞれ平峰一貴&B.バゲット組のカルソニック IMPUL Z,大嶋和也&山下健太組のENEOS X PRIME GR Supraが入りました。この結果,複数のマシンにタイトルの可能性はあったものの,2位フィニッシュの平峰&バゲット組のカルソニック IMPUL Zがドライバーとチーム両方のチャンピオンに輝きました。IMPULにとっては,『全日本GT選手権』という名称だった1995年以来27年ぶりのタイトル獲得となります。
GT300クラスは,レース序盤ポールからスタートした武藤英紀&木村偉織組のARTA NSX GT3と,2番グリッドからスタートした小林崇志&太田格之進組のUPGARAGE NSX GT3とのトップ争いとなりました。UPGARAGEがトップ走行中多重クラッシュが発生して赤旗中断。リスタート後のピットインのタイミングでトップのUPGARAGEがピットでトラブルが発生してしまってピットインに時間がかかり,労せずしてARTAがトップに立ちました。その後も順調な走行を続けて単独走行となりました。その後ろでは,タイトル獲得の可能性があったマシンたちに次々にトラブルが発生したり,順位の入替えがあったりしていて,どのチームに凱歌が上がるか分からない状態となっていました。結局トップ走行のARTAが2位に4秒以上の差をつける独走で今季初優勝をポールトゥーウィンで飾りました。この勝利は,ルーキードライバーである木村はもちろん,ベテランの武藤にとっても,このクラスでは初となります。2,3位には,それぞれ松浦孝亮&坂口夏月組のBamboo Airways ランボルギーニ GT3,吉田広樹&川合孝汰組の埼玉トヨペットGB GR Supra GTが入りました。気になるタイトル争いですが,可能性のあったマシンにトラブル等があったことから,この大会をランクトップで迎えていた藤波清斗&J.P.デ・オリベイラ組のリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rが,19位でフィニッシュしてノーポイントに終わっていたものの,見事今季のタイトルを獲得しています。
ということで,今季のタイトルは,今季から投入されたZがその初年度でGT500クラスを制し,昨シーズンまでニッサンが投入していたGT-RブランドがGT300クラスを制する結果となっています。
2022/11/06(日)
◎3戦連続&自身初(MotoGP)
○今季最終戦となる第20戦バレンシアGPの予選が,初日と同じくドライコンディションとなったサーキット・リカルド・トルモで行われました。
MotoGPクラスは,タイトルを争うドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアとモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロのグリッドがどうなるのか注目となっていました。そのような中,ここまで2戦連続してポールを獲得しているプラマック・レーシングのJ.マルティンが,2番手タイムをマークしたレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスにおよそコンマ2秒の差をつける速さを見せて最速タイムを刻み,3戦連続ポールを獲得しました。マルティンに少しだけ差をつけられる結果となったマルケスでしたが,それでも復帰して以後のここ3戦は,連続してフロントローを獲得しています。前日総合3番手タイムだったドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーは,予選でも3番手タイムとなりました。4戦ぶりの復帰となるLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,怪我からの回復はまだ十分ではなく,Q1で敗退となっています。その中上ですが,フリー走行3において走行ライン上でスロー走行をし,その際マルティンの走行を妨害する形になってしまいました。そのため,今日行われる決勝レースにおけるグリッドが3つ降格というペナルティーが科せられることになり,結局24番手からのスタートとなります。
タイトルを争うレッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスとイデミツ・チーム・アジアの小椋藍のグリッドが注目となったMoto2クラスは,前日総合3番手タイムだったベータ・ツールズ・スピード・アップのA.ロペスが,前日総合トップタイムだったレッドブルKTMアジョのP.アコスタにわずか1000分の1秒差をつけて最速タイムをマークし,自身キャリア初となるポールを獲得しました。ランクトップを行くフェルナンデスが3番手タイムをマークし,フロントローからの発進を決めています。それに対して小椋藍の方は,初日こそやや出遅れましたが,予選では5番手タイムをマークしてセカンドローからのスタートとなりました。
既にタイトルが決まっているMoto3クラスですが,その今季のチャンピオンに輝いているヴァルレーサ・ガスガス・アスパー・チームのI.グエバラが最速タイムを刻み,今季4度目のポールを獲得しています。チームメイトのS.ガルシアは,単独走行をしながら時折タイミングボードのトップに立ったりしていましたが,最終的に3番手タイムをマークしていて,フロントローに同チームのマシンが2つ並ぶことになりました。その間に入って2番グリッドスタートを決めたのはレッドブルKTMテック3のD.オンジュで,トップから1000分の46秒差と僅差の2番手でした。フル参戦日本人ライダー勢は,珍しく今回転倒が目立っているステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢ですが,ピットでマシン修復を待っている間に仲のいいクアルタラロが次に自分自身の走行があるにもかかわらずわざわざ出向いて来て声をかけてくれるということを受けて再びタイムアタック合戦に臨み,最終的に5番グリッドを獲得しています。Q2序盤はタイミングボード上でワンツーとなっていたレオパード・レーシングの鈴木竜生とMTヘルメッツMSIの山中琉聖は,最終的にそれぞれ8番手,9番手で予選を終えています。Q1で敗退となったホンダ・チーム・アジアの古里太陽とCIPグリーン・パワーの鳥羽海渡ですが,古里は27番グリッドとなり,鳥羽はフリー走行3における行為により,ピットレーンからのスタートとロングラップペナルティーが科せられ,さらに1000ユーロの罰金も科せられることになっています。鳥羽と共にレッドブルKTMアジョのJ.マシアも同様のペナルティーが科せられましたが,これはやや強引にマシアが鳥羽のイン側に入ったために両社共に接触転倒してしまった際,注意喚起のためか鳥羽がマシアのヘルメットに手を出し,それに対してマシアが鳥羽のヘルメットに手を出し返したという小競り合いがその対象となっています。理由はどうであれ,スポーツマンシップとしてはペナルティーが科されるのは当然と言えます。

◎連勝継続(JRR)
○今季最終戦となるMFJ-GPが,好天に恵まれた鈴鹿サーキットで開幕し,初日は各クラスの予選と,JSB1000クラスのレース1決勝が行われました。
この大会のJSB1000クラスは,土曜日にレース1が,日曜日にレース2,レース3の決勝レースが行なわれることになっています。また,そのグリッドですが,レース1は予選におけるセカンドベストラップで,レース2はレース1におけるファステストラップタイムで,レース3は予選におけるベストラップタイムで決まることになっています。昨日行われた唯一の決勝レースであるレース1では,ポールスタートのYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が出遅れてしまいました。レース序盤こそTeam ATJの岩田悟等がトップを走行したものの,徐々に遅れだし,替わってYOSHIMURA SUZUKI RIDEWINがトップに立ちました。出遅れてしまった中須賀ですが,やはりいつものように他のライダーよりはペースが飛び抜けて早く,早い段階で渡辺の後ろにつけました。しばらく渡辺の後ろを走行していた中須賀は,徐々に渡辺のペースが落ちてミスが出るようになり,時々その渡辺のミスからトップに立つことがありましたが,あえてトップを守ることはせず,渡辺が抜き返すことが何度かありました。しかし,残り6周で渡辺のミスから再びトップに立つと,そこでペースアップを果たしてみるみるうちに独走態勢に持ち込み,これまたいつものように独走で昨年から続いている連勝を今回も継続しました。2位に落ちた渡辺を追走し始めたのが,今季怪我により欠場が続いていたTOHO Racingの清成龍一でした。3位争いから抜け出すと切れのある走りを展開して渡辺との差を少しずつ詰めていきました。そして,終盤に入って渡辺がシケインでコースオフを喫し,2人の差はかなり詰まりました。しかし,渡辺はその後踏ん張りを見せて清成の追撃を交わし,見事2位でチェッカーを受けました。怪我で苦しんだ清成でしたが,うれしい今季初表彰台を獲得しています。

◎初表彰台(SGT)
○今季最終戦となる第8戦が好天に恵まれたモビリティリゾートもてぎで開幕し,各クラスの予選が行われました。毎年混戦となるSGTですが,やはり今年もチャンピオン争いは混沌としていて,どちらのクラスも最終戦まで持ち込まれています。
GT500クラスは,GT300クラスの予選で赤旗が出た関係でスタート開始が遅くなり,日陰が目立つ中での走行となりました。国本雄資&阪口晴南組のWedsSport ADVAN GR Supraが一旦は最速タイムを刻んでポール獲得かと思われました。しかし,ファイナルアタックで山本尚貴&牧野任祐組のSTANLEY NSX-GTがそのタイムをコンマ3秒上回るタイムを刻み,見事ポールを獲得しました。牧野にとっては,このクラス自身初のポールとなりました。ポール獲得とはなりませんでしたが,佐々木大樹&平手晃平組のリアライズコーポレーション ADVAN Zが,ポールこそなりませんでしたが,国本雄資&阪口晴南組にコンマ2秒弱の差をつけて2番グリッドを獲得しています。
GT300クラスは,赤旗が出た関係で残り5分間でのタイムアタック合戦となりました。残された時間が短いため一斉に走行する中でのアタックとなり,一旦は小林崇志&太田格之進組のUPGARAGE NSX GT3が最速タイムを刻みました。しかし,最後の最後で武藤英紀&木村偉織組のARTA NSX GT3が唯一コースレコードを上回る1分44秒台をマークし,大逆転でポールを獲得しました。ルーキードライバーである木村にとっては,自身初のポールとなります。3番手には,黄金コンビである谷口信輝&片岡龍也組のグッドスマイル 初音ミク AMGがつけました。
2022/11/06(土)
◎僅差で&初(MotoGP)
○今季最終戦となる第20戦バレンシアGPが,ドライコンディションとなったサーキット・リカルド・トルモで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。
最終戦までチャンピオン争いが持ち込まれたMotoGPクラスは,来季もチーム残留となるムーニーVR46レーシング・チームのL.マリーニが,このクラスで自身初となる初日総合トップタイムをマークしました。総合2番手タイムは,こちらも同じくチーム残留が決まっているプラマック・レーシングのJ.マルティンでした。総合3番手タイムは,来季KTMワークスへ移籍することになっているドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーでした。この大会をランク2位で迎え,ポイント的にはかなり厳しいものの,逆転タイトルを狙っているモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロは,トップからコンマ225秒遅れの8番手タイムで初日を終えています。有利な状況でランクトップに立っているドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアは,クアルタラロに次ぐ9番手タイムでしたが,その差は1000分の18秒と僅差でした。怪我により第18戦日本GP以来の復帰となるLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,トップから1秒5弱遅れの22番手タイムで初日を終えています。
MotoGPクラスと同じく最終戦までチャンピオン争いが持ち込まれているMoto2クラスは,レッドブルKTMアジョ勢が好発進を決めていて,P.アコスタがFP2でトップタイムをマークしてこれが総合でもトップとなり,この大会をランクトップで迎えているA.フェルナンデスが,トップタイムだったFP1のタイムで初日総合2番手でした。アコスタにとっては,今季自身初の初日総合トップとなります。初日総合3番手タイムは,トップからコンマ18秒差でベータ・ツールズ・スピード・アップのA.ロペスでした。この大会で逆転タイトルを狙っているランク2位のイデミツ・チーム・アジアの小椋藍は,トップからおよそコンマ9秒遅れの11番手タイムとなり,やや出遅れた形での初日となりました。
唯一チャンピオンが決まっているMoto3クラスは,来季もチーム残留が決まっているレオパード・レーシングの鈴木竜生が,第10戦ドイツGP以来今季2度目となる初日総合トップに立ちました。D.フォッジアがトップから1000分の21秒遅れの総合2番手タイムをマークし,レオパード・レーシング勢がワンツー発進を決めています。FP1は23番手と出遅れた形となったCFモト・レーシング・プルエステルGPのC.タタイでしたが,FP2ではトップから100分の7秒遅れの総合3番手タイムで初日を終えています。他のフル参戦日本人ライダー勢は,MTヘルメッツMSIの山中琉聖が9番手,ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢が転倒したこともあって14番手,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が22番手,ホンダ・チーム・アジアの古里太陽が25番手で初日を終えています。
2022/11/04(金)
◎タイトル獲得条件(MotoGP)
○いよいよ今日から3日間にわたって今季最終戦となる第20戦バレンシアGPが,スペインのサーキット・リカルド・トルモで開幕します。既にMoto3クラスはガヴィオタ・ガスガス・アスパー・チームのI.グエバラのタイトルが確定していますが,MotoGP,Moto2クラスはこの最終戦まで決定がもつれ込んでいます。ここでは,それぞれのクラスのタイトル獲得条件について触れたいと思います。
まず最高峰のMotoGPクラスですが,タイトル争いは,昨年のチャンピオンで,この大会をランク2位で迎えているモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロと,もし獲得できれば初の栄冠ということになるランクトップを行くドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアの2人に絞られています。現段階で23点バグナイアがリードしていて,今回が最終戦ですので,これは彼が安泰とも言えるポイント差となっています。連覇を目指すクアルタラロがバグナイアのタイトル獲得を阻止するためには,ともかく優勝するしかありません。2位以下ですと,バグナイアが仮にノーポイントに終わってもバグナイアのチャンピオンということになります。バグナイアは,クアルタラロが仮に優勝しても,14位以内に入れば決定です。最大勢力を誇るドゥカティ勢ですので,バグナイアが自身のミスで転倒等を喫しない限り,他のドゥカティ陣営のライダーは無理をして彼をパスしようとはしないでしょうから,本当に有利な状況と言えます。
MotoGPクラスはかなりタイトル獲得条件が分かりやすいですが,Moto2クラスは少し状況が変わります。現段階でレッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスが,イデミツ・チーム・アジアの小椋藍を9.5点差をつけてこの大会を迎えています。やや大きな点差がついてしまいましたが,それでも大会によっては順位の変動が大きくなりやすいのが中・軽量級クラスですので,トップのフェルナンデスもそれほど余裕は感じていないかもしれません。私たち日本人レースファンにとっては,小椋のタイトル獲得を期待したいところですので,小椋のタイトル獲得条件を以下の表にまとめました。逆の見方をすれば,以下の表のようにならないとフェルナンデスのチャンピオンということになるわけですから,彼のファンの人はそうした視点でご覧下さい。
小椋藍のタイトル獲得条件
小椋 藍 A.フェルナンデス
優勝の時 表彰台を獲得できなかった場合
2位の時 6位以下の場合
3位の時 10位以下の場合
4位の時 13位以下の場合
5位の時 15位以下の場合
6位の時 ノーポイントに終わった場合
2022/11/03(木)
◎最終盤に?(SF)
○SFは既にシーズンが終了していて,最終戦前の第9戦においてTEAM MUGENの野尻智紀の2連覇が決定しました。ただ,ランク2位については,KONDO RACINGのS.フェネストラズとcarenex TEAM IMPULの平川亮とが僅差で争っていて,最終戦まで持ち込まれた2人の争いはフェネストラズに軍配が上がりました。日本人と馴染みが深くなってきているそのフェネストラズについて,いくつかのサイトで取り上げられています。来季のフェネストラズは,日産との2年間の契約が成立していて,フォーミュラE(FE)にフル参戦することになっています。ただ,彼自身は日本でのレースへの参戦は続けたいようで,今季と同様SGTやSFへの出場も希望があるようです。ただ,日産も参戦しているSGTについては,彼はトヨタ陣営であるTOM'sから参戦していますので,来季日産と契約を結んだフェネストラズですから,その希望が叶うことは考えられません。しかし,日産が参戦していないSFに関しては出場できる可能性は出てきます。しかし,彼のコメントによるとFEを中心に据えて活動することになるため,レースカレンダーがバッティングすることもあって,SFとの掛け持ちはないということです。ただ,話がうまくまとまれば,現在所属しているKONDO RACINGからFE終了後に行われるSFの最終2戦に日程的には参戦可能となります。KONDO RACINGは,皆さんご存知のように日産陣営のチームですから,契約的にも全く問題は生じないでしょう。日本人のレースファンはもちろん,共に戦っているドライバーたちとも友好関係を築くことができている彼ですので,ぜひ実現して欲しいですね。
2022/11/02(水)
◎復帰(MotoGP)
○今週末は,いよいよ今季最終戦となる第20戦バレンシアGPが,スペインのサーキット・リカルド・トルモで開幕します。既にMoto3クラスのタイトルは決まっていますが,MotoGPとMoto2クラスはそれぞれ2人のライダーにタイトル争いが絞られていて,どちらがチャンピオンに輝くのがチェッカーが出るまで分からない状況と言えます。その点が何といっても注目点となり,特に私たち日本人ファンにとっては,Moto2クラスでイデミツ・チーム・アジアの小椋藍のタイトル獲得なるかが一番気になるところでしょう。その最終戦で,私たち日本人ファンとしては別の観点で気になるところがあります。それは,日本GP以後ずっと欠場が続いているLCRホンダ・イデミツの中上貴晶の出場がどうなるかです。第15戦アラゴンGPにおいてアクシデントでマシンコントロールを失ったレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスにぶつけられた中上は,転倒して右手の薬指と小指に大きな怪我を負ってしまいました。次の日本GPには,手術して間もないにもかかわらず,3年ぶりの母国GP開催ということでかなり無理をして出場しました。まともにレースできる状態ではありませんでしたから,完走したことが彼にとってできた最大のパフォーマンスでした。しかし,その代償は大きく,怪我の状況はさらに悪化し,再手術が必要となってしまいました。その後は,何よりもけがを治すことが重要となり,タイ,オーストラリア,マレーシアと3大会を欠場し,彼の代役としてHRCのテストライダーを務めている長島哲太が出場していました。今季はあと最終戦しか残っていない状況の中,中上の動向が気になっていたところでしたが,10月31日(月)に中上自身がSNSで最終戦への出場を明らかにしました。当然まだ完調とはいえないのでしょうが,レースに出場できるまでは回復したということでしょう。最終戦への出場が重要となるのは,その後に控えているオフィシャルテストの存在です。2023年シーズン最初の合同テストに据えられているものですが,このテストは,来季型のマシン開発のベースとなるものです。メーカータイトルでは最下位となって,これまでのホンダからは予想だにできない状況になっていて,実際中上自身もかなり苦労しているという実態もあります。それだけに,来季型マシンへの注文と理解が重要ですので,そうしたことから最終戦への出場は来季に繋がることだと言えます。
2022/11/01(火)
◎記録更新(F1)
○第20戦メキシコGPの決勝レースが,ドライコンディションとなったエルマノス・ロドリゲス・サーキットで行われました。ポールからスタートしたレッドブルのM.フェルスタッペンは,好スタートを切ってトップの座を守りました。ペースに勝るフェルスタッペンは,その後も順調に2位以下との差を広げて行き,独走態勢を築いて2位に入ったメルセデスAMGのL.ハミルトンに15秒以上の大差をつけてトップでチェッカーを受けました。この勝利はフェルスタッペンにとって今季14勝目となり,これはこれまでM.シューマッハ(2004年フェラーリ)とS.ベッテル(2013年レッドブル)が持っていたシーズン最多勝利数を更新する新記録となりました。今回が母国GPとなったレッドブルのS.ペレスは,4番グリッドからスタートしてオープニングラップで3位に浮上し,ハミルトンには3秒以上離されたものの,4位に30秒以上の差をつけて母国で表彰台を獲得しました。アルファタウリ勢は,P.ガスリーがポイントまであと一歩となる11位でチェッカーを受けました。角田裕毅は,ポイント圏内まで迫っていたものの,51周目のターン6で強引にイン側に飛び込んだマクラーレンのD.リカルドにぶつけられ,これが原因となってリタイアに終わっています。そのリカルドですが,角田との接触により10秒加算のペナルティーを受けましたが,それでも7位でチェッカーを受けています。
 

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