トップ > 8月の最新ニュース
1月分へ 2月分へ 3月分へ 4月分へ 5月分へ 6月分へ 7月分へ
最新ニュース

2022/08/31(水)
◎代替&ワイルドカード(MotoGP)
○2人の日本人ライダーが,それぞれに立場は違いますが,今後行われる大会においてMotoGPクラスに参戦することになりました。まず1人目は,今季JRRとEWCにスズキ陣営から参戦している渡辺一樹です。週末にオートポリスで行われた第6戦において,連勝を続けている中須賀克行の後塵は拝したものの,2位表彰台を獲得しています。その渡辺が,第13戦オーストリアGPで転倒を喫し,右足首の骨折と靱帯損傷を負って15日間の安静が必要となっているチーム・スズキ・エクスターのA.リンスの代役として,今週末にミサノ・ワールド・サーキット−マルコ・シモンチェリで行われる第14戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPに参戦することになりました。2008年と2009年の日本GPに250ccクラスへワイルドカード参戦し,2010年にはレーシング・チームジャーマニーからMoto2クラスに4戦参戦した経歴を持つ渡辺ですが,12年ぶりのMotoGP参戦,そして初の最高峰クラス参戦となります。もう1人は,スズキのテストライダーを務めている津田拓也です。彼の場合は,3年ぶりの開催となる第16戦日本GPにワイルドカードで参戦することになりました。2017年に負傷欠場したA.リンスの代役として第4戦スペインGPに参戦した経歴がある津田ですが,それ以来5年ぶりのMotoGPクラス参戦となります。今季限りでMotoGPから撤退することが決まっているスズキですので,来季以降のMotoGP参戦は現実的に厳しくなる2人です。もちろんいい結果が残ることが大事ですが,それよりも悔いが残らない走りを展開できるといいですね。
2022/08/30(火)
◎決着(MotoGP)
○サマーブレイクが明けて後半戦に突入したMotoGPですが,タイトル争いと共に来季のシート争いにも注目が集まっています。その中で最も注目と言っても過言でないのは,ドゥカティのワークスチームであるドゥカティ・レノボ・チームのシートに誰が座るのかということでした。今季はF.バグナイアとJ.ミラーのコンビで臨んでいる同チームですが,バグナイアは既に開幕前に2年間の契約延長が決まっていて,ミラーについては今季でドゥカティとの契約が終了し,来季はレッドブルKTMファクトリーレーシングに移籍することが決定(契約期間は2年間)しています。その空いたシートに誰が座ることになるのかが注目となっていたわけです。ちょっと前まではホンダやヤマハの日本メーカー中心で進んできたMotoGPですが,最近は最大勢力を誇るドゥカティが年々中心となってきています。それだけに,ワークスライダーが注目されるのは当然と言えます。そのシートに座るのは,今季プラマック・レーシングからフル参戦しているJ.マルティンとグレシーニ・レーシングMotoGPからフル参戦しているEバスティアニーニのどちらかになることは間違いありませんでした。なかなか発表がなくて気をもませていましたが,8月26日(金)にドゥカティから発表があり,現段階で今季3勝を挙げているバスティアニーニを起用することになり,シート争いに決着を見ました。バスティアニーニの契約期間は,2024年までの2年間となっています。シート争いのライバルであったマルティンは,プラマックに留まることも併せて発表されています。同チームは,既にJ.ザルコとの契約延長が成立していますので,これで3年連続して同じ体制となります。今回の発表により,来季のワークスチームのシートについてはほぼ決まってきていて,あとはホンダのワークスであるレプソル・ホンダ・チーム(既にM.マルケスは決定済み)と,KTMのマシンを使用しながらも,来季からブランドとしてはガスガスとして参戦するガスガス・ファクトリーレーシング(既にP.エスパルガロは決定済み)の2メーカーとなっています。ただ,ホンダについては,今季限りで撤退するスズキワークスからフル参戦している一昨年のチャンピオンであるJ.ミルが座ることが確実となっています。
2022/08/29(月)
◎連勝継続(JRR)
○第6戦『スーパーバイクレース in 九州』の決勝レースが,好天に恵まれた我が大分県にあるオートポリスで行われました。
JSB1000クラスは,2番グリッドからスタートする予定だったYAMAHA FACTORY RACING TEAM 2の岡本裕生が,新型コロナウイルス陽性となってしまったため,決勝レースを欠場せざるを得ない状況となりました。優勝の可能性を秘めていたライダーだけに,レース全体にとっても痛い欠場となってしまいました。ただ,幸いなことに,同じヤマハワークスで,ポールからスタートする中須賀克行は陰性だったため,彼は無事グリッドに並ぶことができました。その決勝レースは,5番グリッドからスタートしたHonda Suzuka Racing Teamの亀井雄大が好スタートを切ってトップに立ちました。中須賀はやや出遅れた形となって順位を下げましたが,ある意味想定の範囲内で,レースが進むに連れて順位を回復していき,4周目にトップに立ちました。その後は危なげない走りを展開していつものように独走態勢に持ち込み,いつものようにトップチェッカーを受けました。これにより,今季ここまで全勝となる9連勝を飾りました。YOSHIMURA SUZUKI RIDEWINの渡辺一樹がこれまた徐々に順位を上げていき,2位走行の亀井を捉えて2位に浮上しました。渡辺と亀井は,そのままの順でチェッカーを受けています。
今回2レース制となっているST1000クラスは,ポールからスタートしたレース1の勝者であるAstemo Honda Dream SI Racingの渡辺一馬が,好スタートを切ってトップに立ちました。ところが,その後ろの争いで2台が転倒するアクシデントが発生してしまって赤旗が提示され,レースは9周に減算されて再スタートとなりました。再びポールからスタートした渡辺は,ここでも好スタートを切ってトップに立ちました。2番グリッドからのスタートしたTOHO Racingの國峰啄磨も好スタートを切って渡辺を追う展開となりましたが,渡辺が徐々に國峰との差をつけていって独走態勢を築いていきました。3番手にAutoRace Ube Racing Teamの津田拓也がつけ,徐々にJAPAN POST HondaDream TPの高橋裕紀が津田に迫っていきましたが,津田は高橋の追撃を交わしていき,最終的にトップ3の順位は変わらず,渡辺がオートポリスで連勝を飾りました。
ST600クラスは,オープニングラップで転倒事故が発生して赤旗となり,10周に減算されて再スタートとなりました。8番グリッドからスタートしたTeam 51 GARAGE YAMAHAの阿部恵斗は,どんどん順位を上げていきながら走行していき,ついにトップ争いに加わっていきました。そして,ポールからスタートしてトップ集団を形成していたMOTOBUM HONDAの荒川晃大とファイナルラップでトップ争いとなり,ここで阿部が荒川を交わしてトップに浮上し,そのままの順でチェッカーを受け,阿部にとって嬉しい初優勝を飾りました。3位には,トップ2と僅差でAKENO SPEEDYAMAHAの井出翔太が入っています。
J-GP3クラスは,P.MU 7C GALESPEEDの尾野弘樹とTeam Plusoneの木内尚汰とのトップ争いに木内のチームメイトである上原大輝が加わるという三つ巴の争いとなりました。ファイナルラップまで持ち込まれたその争いは,その周のストレートでトップに浮上した尾野が逃げ切ってトップチェッカーを受け,今季2勝目を挙げると共に,ランクトップの座を守りました。

◎大逆転で PART1(F1)
○第14戦ベルギーGPの決勝レースが,超高速サーキットで有名なスパフランコルシャンで行われました。パワーユニット交換によるグリッド降格のペナルティーが目立った今回の大会ですが,その中の1人がランクトップを行くレッドブルのM.フェルスタッペンでした。14番グリッドからスタートしたフェルスタッペンは,予選でも見せていた圧倒的な速さを決勝でも発揮し,周回を重ねる毎に面白いように前を行くマシンをパスしていき,12周目にその段階でトップに立っていたチームメイトのS.ペレスを交わしてついにトップに立ちました。ピットインのタイミングのズレでトップの座を譲ることはありましたが,再びトップに立つとそのまま逃げ切り,2位に入ったペレスに17秒以上の大差をつけ,14番グリッドからの大逆転で今季9勝目を挙げました。レッドブルのダブル表彰台獲得は,今季4回目となります。3位には,ポールからスタートしたフェラーリのC.サインツが入っています。アルファタウリ勢は,P.ガスリーが9位に入って久々にポイント獲得となり,角田裕毅は,ピットストップ作業で手間取ったためポイント圏内での争いとはなりませんでしたが,13位争いを制してチェッカーとなっています。

◎大逆転で PART2(SGT)
○第5戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE』の決勝レースが,450qレース初開催となった鈴鹿サーキットで行われました。
GT500クラスは,バトルやトラブルが様々見られる中で進行していき,最終的に塚越広大&松下信治組のAstemo NSX-GT,松田次生&R.クインタレッリ組のMOTUL AUTECH Z,そして最後尾のグリッドからスタートとなった平峰一貴&B.バゲット組のカルソニック IMPUL Zの3台によるトップ争いとなりました。その流れの中で,65周目のヘアピン進入の際,MOTULとIMPULのニッサン勢が2位争いをしていて,IMPULがコースをはみ出るアクシデントが発生しました。このアクシデントは,MOTULが押し出したと判断され,残り10周となったところでドライブスルーペナルティーが科され,トップ争いから脱落となりました。押し出されてしまったIMPULですが,それ以後もペースは衰えることなくトップを行くAstemoを追撃し,それに対してAstemoはややペースが落ちていました。そして,残り3周となったところでIMPULがAstemoを交わしてついにトップに躍り出ました。最終的に6秒以上の差をつけてIMPULがトップでチェカーを受け,大逆転で今季初優勝を達成しました。3位に関口雄飛&中山雄一組のDENSO KOBELCO SARD GR Supraが入り,3メーカーが表彰台を分け合いました。
GT300クラスは,ピットインのタイミングやアクシデントの発生等が影響する展開となり,その中でトップに立っていったのが谷口信輝&片岡龍也組のグッドスマイル 初音ミク AMGでした。前戦でトップに立ちながらもタイヤトラブルで勝利がするりと逃げていった同マシンですが,今回はベテランコンビがそれを取り戻すかのような走りを展開していきました。他のマシンにトラブルやアクシデントが発生する中,速さと安定感を見せて走り続け,最後は2位に入った富田竜一郎&大草りき&塩津佑介組のTANAX GAINER GT-Rに3秒以上の差をつけてトップでチェッカーを受け,2017年に岡山国際サーキットで行われた開幕戦以来となる勝利を収めました。3位には,織戸学&平良響&上村優太組のapr GR86 GTが入っています。
2022/08/28(日)
◎独占(JRR)
○第6戦『スーパーバイクレース in 九州』が,我が大分県にあるオートポリスで開幕し,初日は各クラスの予選と,今大会が2レース制になっているST1000クラスのレース1が行われました。
今季もYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行の連勝が続いているJSB1000クラスの予選は,そのチームメイトである岡本裕生がセッション終盤までトップタイムをマークしていました。しかし,九州出身でここを得意としている中須賀が最終盤に入ってトップタイムをマークし,今日行われる決勝レースでポールスタートを決めました。惜しくもポールを逃した岡本でしたが,2番手タイムとなってヤマハワークスがトップ2を独占しました。3番手タイムは,SDG Honda Racingの榎戸育寛がマークしています。
レース1が行われたST1000クラスは,ポールからスタートしたAstemo Honda Dream SI Racingの渡辺一馬が好スタートを切ってトップの座を守っていきました。その渡辺をTOHO Racingの國峰啄磨とAutoRace Ube Racing Teamの津田拓也が追うという展開となりましたが,レースが進むに連れて渡辺と國峰の一騎打ちとなっていきました。終盤に入って遅れていった津田は,ペースを上げてきたJAPAN POST HondaDream TPの高橋裕紀との間で3位争いとなりました。トップ2の争いは最後まで渡辺がトップの座を守り抜き,嬉しい今季初優勝を飾りました。津田と高橋との3位争いを高橋が制し,ホンダ勢が表彰台を独占しました。
ST600クラスは,今季ここまで連続してポールを獲得しているMOTOBUM HONDAの荒川晃大が,セッション序盤にマークしたタイムが最速となり,ここまで全戦でポールシッターとなっています。2,3番手タイムは,それぞれAKENO SPEEDYAMAHAの井出翔太,MOTOBUM HONDAの鈴木光来がマークしています。
J-GP3クラスは,今季ここまで3戦中2戦でポールを獲得しているTeam Plusoneの木内尚汰が最速タイムを刻み,今季3度目とポールとなりました。2番手タイムを上原大輝がマークし,Team Plusone勢のワンツーとなっています。3番手タイムは,前戦でポールを獲得しているP.MU 7C GALESPEEDの尾野弘樹でした。

◎グリッド降格(F1)
○第14戦ベルギーGPの予選が,薄曇りでやや気温が低い状況となったスパ・フランコルシャンで行われました。この予選で最速タイムを刻んだのは,ここまでランクトップを行くレッドブルのM.フェルスタッペンで,2番手タイムだったフェラーリのC.サインツにおよそコンマ6秒の差をつける圧倒的なものでした。ところが,今大会で通算4基目のパワーユニット(PU)を投入していることからグリッド降格が決まっていますので,2番手タイムだったサインツが今日行われる決勝レースではポールからスタートすることになります。なお,今回フェルスタッペンが使用するのをやめた3基目のPUですが,チームの発表によるとそれ自体に問題があるわけではなく,彼が使用しているのと同じロットのPUのテスト用部品に不具合が発見されたためで,念のための使用中止となったようです。タイトル争いにおいて一番避けなければならないのがトラブルによるノーポイントですので,ある意味当然の判断なのかもしれません。実は,3基目のPUを投入したのは,2基目のPUに不具合が見つかったためでしたが,その2基目も,その後の調査で大きな問題点がなかったということですので,これも使えることになります。ということは,フェルスタッペンは今回投入した4基目までのPUが使えるわけですので,今回のPU投入によるペナルティーが今季最後のものになる可能性が高くなったことになります。話を予選に戻すと,3番手タイムをマークしたのはフェルスタッペンのチームメイトであるS.ペレスで,彼は新しいPUは投入していませんので,決勝レースは2番グリッドからのスタートとなります。フェルスタッペンがPUを交換したのに対し,ペレスは交換していません。これは,フェルスタッペンに不具合の可能性があるパーツとペレスのものとでは,ロットが違うということで交換の必要がなかったということです。4番手タイムをフェラーリのC.ルクレールがマークしましたが,彼も新たなPUを今回投入していますので,フェルスタッペンと同じくグリッド降格となり,3番グリッドは6番手タイムだったアルピーヌのF.アロンソとなります。今回グリッド降格となるのは全部で7名と多数になっています。こんなに多いのは,会場であるスパ・フランコルシャンが超高速サーキットで,パッシングポイントが多いサーキットの1つということで,あえて今回新たなPUを投入したということのようです。なお,アルファタウリ勢ですが,P.ガスリーがQ2で敗退となって12番手タイム,角田裕毅はQ3で敗退となってブービーとなる19番手タイムで予選を終えています。ただ,グリッド降格となるドライバーが多いため,ガスリーは8番グリッド,角田は13番グリッドから決勝レースでスタートとなります。

◎今季初(SGT)
○第5戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE』が鈴鹿サーキットで開幕し,各クラスの予選が行われました。
GT500クラスは,松田次生&R.クインタレッリ組のMOTUL AUTECH Zがトップタイムをマークし,同チームにとって今季初となるポールを獲得しました。クインタレッリにとっては,3年ぶりのポール獲得となります。ニッサンのZの後塵を拝する結果となってしまいましたが,2,3番手タイムをそれぞれ塚越広大&松下信治組のAstemo NSX-GT,笹原右京&大湯都史樹組のRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTがマークし,ホンダにとっての地元となる鈴鹿での勝利を虎視眈々と狙える位置につけました。
GT300クラスは,今回が450qというやや長めの走行距離となるため,3人体制を組んでいるチームがいくつかあります。そのような中,今季全戦で3人体制を組んでいる富田竜一郎&大草りき&塩津佑介組のTANAX GAINER GT-Rが最速タイムを刻み,今季初のポールを獲得しています。2,3番手タイムをそれぞれ佐藤公哉&三宅淳詞組のHACHI-ICHI GR Supra GT,小暮卓史&元嶋佑弥組のWeibo Primez ランボルギーニ GT3がマークし,こちらも今季最上位につけました。
2022/08/27(土)
◎参戦決定(F1)
○第14戦ベルギーGPがスパ・フランコルシャンで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われ,ランクトップを行くレッドブルのM.フェルスタッペンが総合トップタイムをマークしました。
そのベルギーGPの会場においてドイツの自動車メーカーの1つであるアウディから発表があり,2026年からF1へ参戦することになりました。2025年までは現行のレギュレーションに則ったマシンで開催されるF1ですが,2026年から新たなレギュレーションに基づいたマシンが導入されることが決定しています。その新たなレギュレーションも大筋では発表がなされていて,サスティナビリティに基づいてさらなる電動化を進めたり,新しい燃料が導入されたりすることになっています。こうした点が自動車メーカーとして参戦する意義に繋がっていて,今回のアウディの参戦も十分頷けるものと言えます。発表前の噂では,既存のチームを買収して参戦するのではないかと思われていたのですが,今回の発表でパワーユニット(PU)を供給するというパワーユニットサプライヤーとしての参戦となります。今回の発表では,そのPUがどのチームに供給されるのかについては明らかにされていません。ただ,今シーズン中には発表がなされるということで,噂では買収するのではないかと思われていたザウバーになるのではないかということです。なお,今回はアウディのみの発表でしたが,ほぼ間違いなく同じドイツのメーカーであるポルシェも2026年から参戦することになりそうです。その際,提携するチームはレッドブルとなるようで,現在提携関係にあるホンダとしては複雑な心境ではないかと思われます。昨シーズン限りでF1撤退という方針を採ったホンダですが,その方針が大きな間違いであったことを改めて感じているのではないでしょうか。レースへの参戦に関して,もっとレースの現場に携わる人間の発言力を高めていく必要が日本メーカーにはありそうで,MotoGPからの撤退を決めたスズキも同様のことが言えるのではないでしょうか。
2022/08/26(金)
◎欠場&順調(MotoGP)
○先週末に行われた第13戦オーストリアGPでは,MotoGPクラスのオープニングラップでチーム・スズキ・エクスターJ.ミルが4コーナーでハイサイドに見舞われ,空中高く舞い上がって激しい転倒を喫してしまいました。その転倒では,当初右足首の骨折という診断だったのですが,その後に行われた精密検査で,靱帯も損傷していることが判明しました。この怪我により,15日間の安静が必要となり,9月4日(日)にミサノ・ワールド・サーキット−マルコ・シモンチェリで行われる予定の第14戦サンマリノ・リビエラ・ディ・リミニを欠場することになりました。現段階では,9月18日(日)に決勝レースを迎える第15戦アラゴンGPからの復帰を目指すことになるようです。
不運な状況になったミルに対して,明るい状況となったライダーがいます。それが,今季途中で欠場しているレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスです。8月24日(水)に主治医の診察を受けたマルケスから発表があり,手術後の経過が順調に進んでいて,手術を行った腕の骨がちゃんと繋がっていることが確認され,今後負荷をかけた動きを行って行くようです。そして,リハビリだけではなく,徐々にではあるのでしょうが,バイクに乗ることも許可されたということです。シーズンが進むに連れてタイトル争いが佳境には入っていく時期に入っていきますが,それと並行して来季のマシン開発も徐々に進めていく必要があります。本格的な開発はシーズン終了後になりますが,その前に来季のマシンの方向性を見極める必要があり,そこでエースであるマルケスがシーズン中のテストで走行することが重要となってきます。今回バイクへの騎乗が許可されたことは,このところ不調を極めているホンダにとって明るい兆しが見えてきているのかもしれませんね。
2022/08/25(木)
◎導入(MotoGP)
○先週末に第13戦オーストリアGPの決勝レースが行われ,MotoGPクラスはドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアが3連勝を飾って終了しました。私たち日本人にとっては,それよりもMoto2クラスはイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍が,Moto3クラスはステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢が優勝を飾るという好結果を残したことの方が印象が強いかもしれません。そして,小椋については,この勝利によりついにランクトップに立っています。
そうした結果に終わったオーストリアGPですが,それが行われているレースウィーク中の8月20日(土)にプレスカンファレンスが行われ,その中で来シーズンからMotoGPクラスに『スプリントレース』が導入されるという発表が行われました。スプリントレースといえば,今シーズンからF1で導入されているものですが,F1に関しては,シーズン中のいくつかの大会で導入されているだけです。しかし,今回の発表によると,MotoGPでは,全戦にわたって導入されることになるようです。そのため,来季は全22戦で行われることになると思われるのですが,スプリントレースが加わることにより,レース数自体は全部で44レースということになります。ただ,周回数に関してはレースの半分で行われ,与えられるポイントも半分となり,1位に12ポイントが与えられ,2位が9ポイント,3位が7ポイント,以下は順に6,5,・・・となります。スプリントレースが導入されることにより,レースウィークの流れもそれに伴って変更となります。まず初日(通常は金曜日)は,これまで2回のフリー走行が行われていましたが,その点には変更がないものの,意味合いが少し変わり,この走行の結果でQ1とQ2の組み分けが行われます。2日目は,これまでFP3と予選が行われてきましたが,来季からはFP3の時間が15分短縮されて30分間となり,その後Q1,Q2が行われ,最後にスプリントレースが行われます。F1では,この結果によって決勝でのグリッドが決まりますが,MotoGPのスプリントレースはグリッド決定には関係がありません。3日目は,ウォームアップセッションはなくなり,各クラスの決勝レースが行われることになります。
今回の決定は,MotoGPの人気に陰りが出てきていることを少しでも改善するためのもののようです。ただ,この改革に異を唱えているライダーは少なくないのも事実なようで,今後理解を得るための取り組みが必要となるのではないでしょうか。
2022/08/10(水)
◎ほぼ同じ(SF)
○昨日は,8月8日(月)に発表があった来季のSGTの暫定カレンダーについてお伝えしましたが,同日SFを運営する日本レースプロモーション(JRP)が,SGTと同様に,JAFのFIAに対する申請に合わせて来季のレースカレンダーの暫定版を発表しました。それによると,これまたSGTと同様に,今季とほぼ同じ内容になっています。まず大会数ですが,今季と同じく全7大会となっています。ただ,今季は,7大会のうち富士スピードウェイ,モビリティリゾートもてぎ,鈴鹿サーキットで開催される大会は2レース制となっていますので全10戦なのですが,今回の発表では,その点がどうなるのかは分かりません。開幕戦の富士から最終戦の鈴鹿に至る会場の順についても,今季と変わりません。今シーズン鈴鹿と我が大分県にあるオートポリスでは,JRRのJSB1000クラスと併催となる2&4となっていますが,今回の発表では,この点についても分かりません。なお,今回発表された具体的なレースカレンダーは,以下の表のようになっています。ただ,今回のは暫定版ですので,今後変更となる可能性があります。
2023 SFレースカレンダー(暫定)
決勝日 サーキット
第1戦 4月9日 富士スピードウェイ
第2戦 4月23日 鈴鹿サーキット
第3戦 5月21日 オートポリス
第4戦 6月18日 スポーツランドSUGO
第5戦 7月16日 富士スピードウェイ
第6戦 8月20日 モビリティリゾートもてぎ
第7戦 10月29日 鈴鹿サーキット

◎シーズン途中で(MotoGP)
○先週末に第12戦イギリスGPがシルバーストーン・サーキットで開催され,MotoGPクラスはドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアが前戦に次ぐ2連勝を飾って終了しました。そのイギリスGPの開催を前にした8月4日(木)に,ヤマハのサテライトチームであるWithUヤマハRNF・MotoGPチームから発表があり,同チームからフル参戦しているA.ドビツィオーゾが,第14戦サンマリノGPをもってMotoGPから引退することになりました。2004年に当時の125ccクラスでチャンピオンを獲得したドビツィオーゾは,2006年から2年間にわたって250ccクラスにフル参戦し,どちらもランク2位になりました。そして,2008年にMotoGPクラスにステップアップを果たし,ホンダで4年間過ごしたあと,2012年に当時ヤマハのサテライトだったテック3に移籍しました。そこは1年で終了し,2013年からはドゥカティのワークスライダーとして活躍していきました。2017年から3年間にわたってランク2位に輝き,チャンピオン獲得まであとわずかとなっていましたが,残念ながらタイトル獲得には至らず,一昨年にドゥカティでのシートを失い,昨シーズンは浪人生活を送っていました。しかし,シーズン途中でヤマハのワークスライダーだったM.ビニャーレスがヤマハと袂を分かち,その空いたシートにヤマハのサテライトであるペトロナス・ヤマハSRTからフル参戦していたF.モルビデリが昇格し,その空いたシートに浪人生活を送っていたドビツィオーゾが加わりました。そのペトロナス・ヤマハSRTは体制変更となり,現在のWithUヤマハRNF・MotoGPチームとなりましたが,ドビツィオーゾは引き続き同チームから参戦を継続していました。そのヤマハのマシンであるYZR-M1は,昨年のチャンピオンであるF.クアルタラロは乗りこなして好成績を収めているものの,他のヤマハライダーは思うようにマシンを駆ることができず,何とかポイント獲得に至るという状況が続いています。ドビツィオーゾについては,イギリスGPで16位となってポイント獲得に至らず,現段階でわずか10ポイントしか獲得できておらず,ランク22位となっています。こうした状況のため,彼のモチベーションは全く上がらないといった印象があり,先日今季での引退を決めていて,さらに今回の発表でシーズン途中での引退となってしまいました。なお,第15戦アロゴンGPからは,ヤマハのテストライダーを務めているC.クラッチローが替わって参戦することも併せて発表されています。
2022/08/09(火)
◎ほぼ同じ(SGT)
○昨日SGTを運営するGTアソシエーションが,来季のレースカレンダーの暫定版を発表しました。これは,JAFがFIAに対して国際スポーツカレンダーの申請を行ったのに呼応しての発表となります。それによると,来季のレースカレンダーは,今季とほぼ同じ内容になっています。まず大会の数ですが,今季と同じく全8戦となっています。開幕戦はこれまで通り岡山国際サーキットで,最終戦も同じくモビリティリゾートもてぎです。以前は海外でのレースが組まれていましたが,コロナ禍でそれがなくなり,全て国内での大会となっていますが,その点も変化がありません。なお,今回発表された具体的なレースカレンダーは,以下の表のようになっていますが,今回のは暫定版ですので,今後変更となる可能性もあります。また,SGTは大会によって走行距離に大きな違いがありますが,今回の暫定版の段階では,その点については発表されていません。
2023 SGTレースカレンダー(暫定)
決勝日 サーキット
第1戦 4月16日 岡山国際サーキット
第2戦 5月4日 富士スピードウェイ
第3戦 6月4日 鈴鹿サーキット
第4戦 8月6日 富士スピードウェイ
第5戦 8月27日 鈴鹿サーキット
第6戦 9月10日 スポーツランドSUGO
第7戦 10月1日 オートポリス
第8戦 11月5日 モビリティリゾートもてぎ
2022/08/08(月)
◎完勝(EWC)
○『2022 FIM世界耐久選手権(EWC)第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会』の決勝レースが,レースウィークに入って不安定な天候が続いていたものの,決勝レースでは安定した天候となった鈴鹿サーキットで行われました。
2周目に転倒したマシンが他のマシンにぶつかるというアクシデントが発生し,セーフティーが導入されるという波乱の幕開けがあり,さらにレース開始当初は順位の入替えがあるという状況となりました。しかし,その後カワサキワークスであるL.ハスラム&A.ロウズ&J.レイ組のKawasaki Racing Team Suzuka 8Hがトップに立ち,それをホンダワークスである長島哲太&高橋巧&I.レクオーナ組のTeam HRCが追うという展開となりました。そして,9周目にHRCがトップに立つと,後続との差を広げて行きました。8耐らしくアクシデントに見舞われるチームが出てくる中,HRCはその後も順調に走行を続け,速いペースを維持しながらトップの座を守り続けました。そして,2位以下を周回遅れにして最後まで走り抜け,予選,トップ10トライアル,そして決勝レースと,ホンダワークスが主立った全てのセッションでトップに立ち,完勝という形で8耐を制しました。この勝利は,ホンダにとって8年ぶり,ホンダワーク氏チームとしては14年ぶりとなります。MotoGPがそうであるように,このところ2輪ロードレースではいいところがない状況が続いているホンダだけに,今回の勝利は再びいい流れを取り戻すきっかけになることを期待したいと思います。なお,2位にはカワサキワークス,3位には,G.ブラック&渡辺一樹の2人体制で臨むことになったスズキワークスであるYoshimura SERT Motulが入っています。1,2位が8耐のみ参加のチームですので,フル参戦チームとしてはYoshimura SERT Motulがトップということになります。

◎2戦連続(MotoGP)
○第12戦イギリスGPの決勝レースが,ドライコンディションとなったシルバーストーン・サーキットで行われました。
MotoGPクラスは,終盤に入って前戦で勝利したドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアと,2位に入ったアプリリア・レーシングのM.ビニャーレスとのトップ争いとなりました。ファイナルラップまで続いた2人のバトルは,ビニャーレスがラインを外すことがあって少し差が開き,最終的におよそコンマ4秒の差をつけてバグナイアがトップでチェッカーを受け,2戦連続,今季4勝目を挙げました。惜しくもアプリリア移籍以来初勝利を逃したビニャーレスですが,こちらも2戦連続2位表彰台を獲得しています。3位にJ.ミラーが入り,ドゥカティ・レノボ・チームが表彰台の2つを占めています。予選で苦戦をしたLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,20番グリッドと最後列からのスタートとなりました。さすがに上位争いに加わることができなかったものの,上位争いにリタイアがあったこともあってポイント圏内での走行に持ち込み,最終的に13位でチェッカーとなって何とかポイントを獲得しています。予選ではホンダ勢では最下位でしたが,決勝レースではホンダ勢で最上位でした。トップ10圏内でフィニッシュできなかったのはホンダ勢だけで,同じ日に行われた8耐では最高の結果を残したホンダですが,MotoGPでは相変わらず不調が続いています。
Moto2クラスは,5台によるトップ争いから,徐々にCAGスピード・アップのA.ロペスとレッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスとのトップ争いとなりました。ファイナルラップまでロペスがトップを走行して初優勝が期待されましたが,残りが3つのコーナーとなったところでフェルナンデスが狙い澄ましたかのようにロペスを交わしてそのままチェッカーとなり,第10戦ドイツGPから3戦連続して勝利を収めました。これにより,ランキング争いでフェルナンデスがトップに立ちました。惜しくも勝利を逃したロペスですが,このクラスで自身初表彰台を獲得しています。最終盤3台による3位争いとなりましたが,やや抜け出したガスガス・アスパー・チームのJ.ディクソンが3位に入り,昨年に続いて母国GPで表彰台を獲得しています。3位争いとなっていたイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,最終盤5位を走行していましたが,終盤の強さを発揮して,ゴール直前で4位に浮上してそのままチェッカーとなりました。この大会前までランクトップだったムーニーVR46レーシング・チームのC.ビエッティが6位に終わったことにより,小椋がランク2位に浮上しています。
Moto3クラスは,いつものように複数台によるトップ争いがファイナルラップまで続きました。そして,これをレオパード・レーシングのD.フォッジアが制し,第2戦インドネシアGP以来となる今季2勝目を挙げました。2,3位には,それぞれレッドブルKTMアジョのJ.マシア,レッドブルKTMテック3のD.オンジュが入っています。フル参戦日本人ライダー勢では,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡がトップ争いに加わっていましたが,最終的に惜しくも表彰台を逃す4位でのチェッカーとなりました。自身初のフロントローからスタートしたMTヘルメッツMSIの山中琉聖は8位でチェッカーとなってトップ10入りを果たしたものの,予選で初めてQ2に進出したホンダ・チーム・アジアの古里太陽は17位で残念ながらポイント獲得には至りませんでした。ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢とレオパード・レーシングの鈴木竜生は,レース途中までトップ争いに加わっていましたが,佐々木は他のマシンに追突,鈴木はファイナルラップで転倒を喫しています。

◎最年少コンビ(SGT)
○第2戦の決勝レースが,急に雨が降ったりして不安定な天候となった富士スピードウェイで行われました。
GT500クラスは,S.フェネストラズ&宮田莉朋組のKeePer TOM’S GR Supraが,平峰一貴&B.バゲット組のカルソニック IMPUL Zに7秒以上の差をつける快走を見せ,見事初優勝を飾りました。フェネストラズと宮田は,どちらも1990年生まれで,今回の優勝はこのクラスで史上最年少ペアによる勝利ということになります。3位に,佐々木大樹&平手晃平組のリアライズコーポレーション ADVAN Zが入り,今季から新型マシンを投入しているニッサンが表彰台の2つを制しています。
GT300クラスは,トップに立ったマシンがアクシデントに見舞われるという状況があり,最終的に井口卓人&山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTと,安田裕信&石川京侍組のGAINER TANAX GT-Rとの一騎打ちとなりました。サイドバイサイドのバトルが展開されていきましたが,BRZが86周目にトップに立つとGT-Rとの差をつけることに成功し,最終的に6秒近い差をつけて今季初優勝を飾りました。3位には,小林崇志&太田格之進組のUPGARAGE NSX GT3が入っています。
2022/08/07(日)
◎2日連続(EWC)
○世界耐久選手兼(EWC)の第3戦である『“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会』2日目の走行が,この日も不安定な天候となった鈴鹿サーキットで行われました。近年の8耐は,金曜日に予選を行い,その中のトップ10は土曜日に行われる『トップ10トライアル』でポールを含めた上位10位までのグリッドが決まるという流れになっています。そのトップ10トライアルは,上位10台のマシンが順番に1台ずつコースインしてタイムアタックを行っていくというものです。昨日の走行もそうした流れで行う予定になっていたのですが,直前に行われたフリー走行でアクシデントが連続して起こり,しかも天候も不安定だったりして予定時刻に大きくずれが生じていきました。その中でも,今季もF.C.C. TSR Honda FranceからEWCにフル参戦しているG.レア選手が,フリー走行で転倒を喫し,コース外壁に衝突するという事故に見舞われてしまいました。すぐにドクターヘリで病院に搬送されたものの,詳細は分かっていませんが重体というような報道もなされています。ともかく,今大会は無理だとしても,近いうちに無事サーキットに帰ってくることを心から願いたいと思います。
さて,そのような中で行われたトップ10トライアルですが,当初の予定を変更して,上位10チームが一斉にコースインして40分間の走行を行い,その時間内のタイムで上位10台のグリッドを決めるという形に変更となりました。その中でトップタイムをマークしたのは,前日の走行で唯一2分4秒台という圧倒的な速さを見せたTeam HRCの長島哲太でした。その長島は,この走行でも速さを見せ,前日のタイムをさらに上回る2分04秒934をマークし,見事ホンダワークスである長島哲太&高橋巧&I.レクオーナ組のTeam HRCがポールシッターとなりました。2,3番グリッドは,それぞれカワサキワークスであるL.ハスラム&A.ロウズ&J.レイ組のKawasaki Racing Team Suzuka 8H,ヤマハワークスであるM.フリッツ&N.カネパ&K.ハニカ組のYART-YAMAHA OFFICIAL TEAM EWCでした。

◎レコード更新&初(MotoGP)
○第12戦イギリスGPの予選が,不安定な天候となることが多いイギリスですが,2日間とも好天に恵まれたシルバーストーン・サーキットで行われました。
MotoGPクラスは,フリー走行でハイサイドに見舞われて両足首を痛め,歩くことさえままならない状態となったアプリリア・レーシングのA.エスパルガロが,何とこれまでのレコードを更新する1分57秒台のタイムをマークして周囲を驚かせました。このエスパルガロの走りが合図となったかのように,他のマシンがさらにタイムを縮めていきました。そうした流れの中でトップタイムをマークしたのは,ポルトガルGP以来今季2度目のポールとなったプラマック・レーシングのJ.ザルコでした。そのザルコから1000分の98秒遅れで,アプリリア・レーシングのM.ビニャーレスが2番手タイムをマークし,そのビニャーレスから1000分の66秒遅れでドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーが3番手タイムでした。来季の去就がさらに気になる立場に置かれているLCRホンダ・イデミツの中上貴晶ですが,何とホンダ勢4台が全てQ1からの走行という,まさに今季を象徴する結果になってしまっていました。しかも,その4台共にQ1で敗退するというかつてのホンダからすると考えられない結果となっています。そのホンダ勢でも中上は最下位となっていて,今日行われる決勝レースは,21番グリッドと最後列からのスタートとなってしまいました。
Moto2クラスは,レッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスがトップタイムをマークし,2019年の6月に行われた第7戦カタルニアGP以来3年ぶりとなるポールを獲得しました。イタルトランス・レーシング・チームのJ.ロバーツが,トップからわずか1000分の34秒遅れで2番グリッドとなっています。来季のMotoGP昇格が噂されているイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,トップ2には及ばなかったものの,トップからコンマ177秒遅れで3番グリッドを獲得しています。
Moto3クラスは,このクラスらしく僅差での争いとなり,最終的にMTヘルメッツMSIのD.モレイラが自身キャリア初となるポールを獲得しました。今回のポールは,モレイラとしてだけではなく,ブラジル人ライダーとしては軽量級クラスで初のポール獲得となります。ガビオタ・ガスガス・アスパー・チームのI.グエバラが,そのモレイラからわずか1000分の68秒差で2番手となりました。モレイラのチームメイトである中山竜聖も速さを見せ,モレイラから1000分の78秒遅れで自身最高位となる3番グリッドを獲得しています。もちろん,彼にとって初のフロントローということになります。他のフル参戦日本人ライダー勢ですが,今季5人のライダーがフル参戦していて,ここまで全員がQ2に進出するというところまではいっていませんでした。しかし,今回ホンダ・チーム・アジアの古里太陽がQ1突破を果たしたことにより,今季初めて5人全員がQ2でタイムアタックをすることになりました。その結果,レオパード・レーシングの鈴木竜生が8番手,ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢が9番手に入って,計3人がトップ10圏内に入っています。CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡は14番手,古里太陽は17番手で予選を終えています。

◎独占(SGT)
○およそ2ヶ月のインターバルを経て,昨日富士スピードウェイで第2戦の予選が行われました。このところの日本は,温暖化の影響からか猛暑が続いていて,連日熱中症患者が出るような状況となっています。今大会もそのような懸念がありましたが,蓋を開けてみると,不安定な天候もあって逆にとても涼しい状況の中での走行となりました。
GT500クラスは,国本雄資&阪口晴南組のWedsSport ADVAN GR Supraがトップタイムをマークし,3戦連続ポールという快挙を成し遂げました。2番手タイムを佐々木大樹&平手晃平組のリアライズコーポレーション ADVAN Zがマークし,ヨコハマタイヤ勢がフロントローを独占しました。さらに,3番手にS.フェネストラズ&宮田莉朋組のKeePer TOM’S GR Supraがつけ,4番手が立川祐路&石浦宏明組のZENT CERUMO GR Supraとなり,セカンドローはSupra勢が独占しています。ホンダ勢は奮わず,全車Q1で敗退となっています。
GT300クラスは,このところ良い走りを見せている井口卓人&山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTが一挙にタイムアップを果たしてトップに立ち,このままポールかと思われました。しかし,最後に蒲生尚弥&篠原拓朗組のLEON PYRAMID AMGがわずか1000分の17秒BRZのタイムを上回り,僅差で今季初ポールを獲得しました。同チームのポール獲得は,2020年に富士で行われた開幕戦以来となります。3番グリッドは,谷口信輝&片岡龍也組のグッドスマイル 初音ミク AMGが獲得しています。
2022/08/06(土)
◎記録更新(EWC)
○コロナ禍により2年連続開催中止となった鈴鹿8耐ですが,今季は無事開催となり,昨日は予選の1回目と2回目が行われました。鈴鹿8耐の予選は,エントリーする3人(チームによっては2人体制のところもあります。例を挙げると,スズキワークスであるYoshimura SERT Motulは,S.ギュントーリ&G.ブラック&渡辺一樹の3人体制で臨むことになっていましたが,ギュントーリがテスト走行の時に怪我を負ってしまったため,急遽ブラックと渡辺の2人体制で臨むことになっています。)のライダー中,2人のベストタイムの平均で争われます。そして,その中の予選上位10チームが決勝レースにおけるグリッドのトップ10及びポールポジションを賭けてタイムアタックをしていく本日実施の『トップ10トライアル』に進出することになっています。
昨日の鈴鹿は,雨が降ったり止んだりという不安定な天候となり,完全ドライでの走行となったのは予選1回目の2人のライダーが走行する時間帯だけとなってしまいました。そうした状況となった予選で最速タイムを刻んだのは,元GPライダーで,今シーズンからHRCのテストライダーを務めているTeam HRCの長島哲太でした。彼がマークしたのは,これまでの予選計時における最速タイムを更新する2分4秒942というもので,2位のライダーが2分6秒台でしたから,他を圧倒するタイムでした。8年ぶりの優勝を狙うホンダにとって,幸先のいいスタートを切っています。

◎後半戦スタート(MotoGP)
○第12戦として開催予定だったフィンランドGPが開催中止になったことにより,1ヶ月半に及ぶ長期のサマーブレイクとなったMotoGPですが,そのサマーブレイクが明け,昨日からシルバーストーン・サーキットにおいて第12戦イギリスGPが開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。
MotoGPクラスでは,前半戦をランクトップで終えているモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが最速タイムを刻み,幸先よく初日総合トップに立ちました。総合2番手タイムをマークしたのは,今季限りでスズキがMotoGPから撤退することを受け,来季はホンダワークスであるレプソル・ホンダ・チームに移籍することが決定しているチーム・スズキ・エクスターのJ.ミルでした。総合3番手タイムは,チーム移籍以来初の表彰台を獲得して前半戦を終えているアプリリア・レーシングのM.ビニャーレスでした。まだ来季の去就が未定のままとなっているLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,18番手で予選を終えています。来季のシートを守るためには,この1,2戦が重要となっているでしょうから,今日行われる予選では,ぜひ上位に食い込む走りを見せて欲しいところです。
Moto2クラスは,前戦TTアッセンを制してサマーブレイクに入ったレッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスが,その勢いを継続しているかのように初日総合トップに立ちました。総合2タイムは,ガスガス・アスパー・チームJ.ディクソンが,途中で転倒を喫したものの,総合2番手タイムで初日を終えています。総合3番手タイムは,CAGスピード・アップのA.ロペスがマークしています。トップからわずか1ポイント差で前半戦をランク3位で終えているイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,7番手タイムでこの日の走行を終えています。
Moto3クラスは,母国GPに燃えるステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのJ.マクフィーが,唯一2分10秒台のタイムをマークし,自身今季初となる初日総合トップとなりました。総合2,3番手は,それぞれガビオタ・ガスガス・アスパー・チームのI.グエバラ,CFモト・レーシング・プルエステルGPのX.アルティガスでした。フル参戦日本人ライダー勢では,レオパード・レーシングの鈴木竜生の4番手が最高位で,ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢が10番手,MTヘルメッツMSIの山中琉聖が17番手,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が20番手,ホンダ・チーム・アジアの古里太陽は27番手で初日を終えています。
2022/08/05(金)
◎契約延長(F1)
○8月3日(水)にウィリアムズ・レーシングから発表があり,同チームからフル参戦しているA.アルボンと複数年の契約延長が締結されました。2019年にトロロッソ(現在のアルファタウリ)に所属してF1にフル参戦を開始したアルボンは,同年のシーズン途中で,当時レッドブルからフル参戦していたP.ガスリーと交替する形でレッドブルから参戦することになりました。翌年もレッドブルからフル参戦したものの,表彰台獲得回数が2回と,チームメイトであるM.フェルスタッペンに大きく水をあけられる結果に終わりました。そういうことから,昨シーズンはレッドブルのリザーブ兼テストドライバーとして過ごすこととなりました。レッドブルでのレギュラードライバーとしてのシートは失いましたが,レッドブルとの関係性は続いていて,今季はレッドブルの承認を経てウィリアムズのレギュラードライバーへと昇格し,ここまで2回ポイントを獲得していて,これは同チームが今季ここまで獲得している全ポイントとなっています。こうしたこともあって,今回の契約延長に至ったと考えられます。途中でも記しているように,アルボンとレッドブルとの関係は現在も続いていますので,場合によってはレッドブルもしくはアルファタウリへの復帰も可能性としては残っています。今回ウィリアムズと複数年の契約延長が成立したということは,その間アルボンのレッドブル復帰がないということを意味します。レッドブル及びアルファタウリで来季のシートが決まっていないのは,唯一のフル参戦日本人ドライバーである角田裕毅のみとなっています。もしアルボンがレッドブルに復帰となると,シートを喪失するのは角田ということになります。しかし,アルボンの復帰がないということは,角田がシートを守る可能性が十分あることを意味していると考えられます。今回の契約成立は,そうした意味でも大きな影響があると言えますね。
2022/08/04(木)
◎契約延長(F1)
○8月2日(火)にホンダのモータースポーツ活動を統括するHRCから発表があり,レッドブル・グループの要請を受け,パワーユニット(PU)の供給を2025年末まで延長することが決定しました。カーボンニュートラルに向けての活動を強化するため,昨シーズンをもってホンダはF1での活動から撤退しました。そのため,当初レッドブルは,『レッドブル・パワートレインズ』を組織してホンダの知的財産を活用しながらオリジナルのPUを搭載することになっていました。しかし,ホンダとの協議の結果,来季までホンダが供給するPUを搭載することになりました。これは,現行のPUに関するレギュレーションについて,2025年まで継続して使用することが大きく影響していました。そして,新たに両者が協議した結果,来季までの供給ということをあらため,現行のレギュレーションが継続する2025年末まで現在と同じようにHRCがレッドブルにPUを継続することになったのです。この結果,来季以降もレッドブルはもちろん,系列チームであるアルファタウリについても,2025年末までホンダ製のPUを搭載することになります。2026年からのPUに関しては,まだ正式に決まっているわけではないものの,同年からF1に復帰することが見込まれているポルシェとの提携になるのではないかと噂されています。ただ,2026年からのレギュレーションは,カーボンニュートラルを見込んだものになる可能性が高く,そうなるとホンダがF1から徹底する理由と矛盾することにもなりますし,ホンダの中にはF1復帰を切望する立場の人たちもいるでしょうから,撤退をとりやめる流れが新たに起きる可能性もあり,もしそうなると,レッドブル及びアルファタウリとホンダの関係性がどうなっていくのか,今後の進展も気になるところです。
2022/08/03(水)
◎変更(EWC)
○コロナ禍により,2年連続して開催が中止となっていた鈴鹿8耐ですが,今週末ようやく3年ぶりに真夏の祭典がかえってきます。それに向けて,昨日から2回目となる鈴鹿サーキット主催の合同テストが始まりました。その初日にトップタイムをマークしたのは,前回に続いてホンダワークスであるTeam HRCでした。2番手タイムをカワサキワークスであるKawasaki Racing Team Suzuka 8Hがマークし,さらに3番手タイムをヤマハワークスであるYART-Yamaha Official Team EWCがマークし,予想通りの3チームが好調な走りを見せました。そのような中,スズキのワークスであるYoshimura SERT Motulもトップ5には食い込むことができませんでしたが,こちらも上位に顔を出していて,本番に向けてメニューをこなしているものと思われます。ところが,ここに来て予想外の展開がありました。それは,今季も同チームからフル参戦しているC.シメオンと数名のチームクルーが,新型コロナウイルス感染症の検査で陽性と診断されたため,8耐への参加ができなくなりました。今大会はレギュラーライダーであるシメオンとS.ギュントーリ,そしてもう一人のレギュラーライダーであるG.ブラックに代わり,テストライダーを務めている渡辺一樹がこれに加わって参戦することになっていました。ところが,今回のシメオンの陽性判定に伴い,チームから発表があり,今回はライダーキャプテンとして参加する予定だったブラックを,急遽代役として起用することになりました。そのブラックは,早速昨日行われた合同テストで走行を開始しています。
2022/08/02(火)
◎引退&移籍(F1)
○レッドブルのM.フェルスタッペンが8勝目を挙げて終了した第13戦ハンガリーGPですが,そのレースウィーク前後の中で2つの発表がありました。まず7月28日(木)にアストンマーティン・アラムコ・コグニザントF1チームから発表があり,今シーズン同チームからフル参戦しているS.ベッテルが,今シーズン限りでF1から引退することになりました。2007年にBMWザウバーからデビューしたベッテルは,2009年にレッドブルに移籍し,その翌年から4年連続してタイトルを獲得しました。その後,2015年にフェラーリへ移籍しましたが,一度もタイトルを獲得することができず,昨シーズンから現在のあるトンマーティンに所属しています。この間,タイトルを4度獲得すると共に,歴代3位となる通算53勝を挙げています。今シーズンの最終戦では,F1で通算300回目のレースを迎えることになります。シーズン途中では,来季も参戦を継続する旨を自身が発表したものの,最終的には引退の道を選んでいます。
次に,昨日同チームから発表があり,今季限りで引退するS.ベッテルに替わり,来季からF.アロンソが加わることになりました。契約年数は複数年ということです。これにより,来季のアストンマーティンは,アロンソと残留であるL.ストロールという,今季と同じベテランと若手の組み合わせを継続することになります。
2022/08/01(月)
◎逆転(F1)
○第13戦ハンガリーGPの決勝が,ドライコンディションとなったハンガロリンクで行われました。このところのヨーロッパは日本以上に酷暑が続いているところがありますが,この日のハンガロリンクは気温が20度に満たない涼しいコンディションの中での走行となりました。ポールからスタートしたのは,自身初のポールとなるメルセデスAMGのG.ラッセルでした。そのラッセルは,順調にスタートを切ってレース中盤までトップの座を守りました。ラッセルの初ポールに対して,ランクトップを行くレッドブルのM.フェルスタッペンは,予選Q3でマシンにトラブルが発生してしまい,Q3でタイムアップすることができなかったため10番グリッドからのスタートとなりました。そのフェルスタッペンは,予選の時のようなエンジン不調が起こることなく,速いペースを刻んで順調にポジションアップを果たしていきました。早めにピットインしてアンダーカットを狙ったりしながら走行を続け,一旦はトップに足しました。しかし,直後にスピンを喫してしまってポジションを2位に下げました。このスピンによりトップに返り咲いたのは,ランク争いでフェルスタッペンを追う,フェラーリのC.ルクレールでした。しかし,ペースに勝るフェルスタッペンはほどなくして再びトップの返り咲き,その後は独走態勢に持ち込んでトップチェッカーを受け,今季8勝目を挙げました。高いペースを保ったフェルスタッペンに対し,ルクレールはタイヤの摩耗もあってペースを上げることができず,それに対して予選ではやさを見せたメルセデスAMG勢がペースを上げてきました。そして,まずラッセルがルクレールが2位に浮上し,さらにラッセルよりペースが勝るハミルトンがラッセルを交わして2位に浮上しました。レースはそのままの順でチェッカーとなり,メルセデスAMG勢が表彰台の2つを占めました。終盤に入ってタイヤ交換を行ったルクレールは,4位でのチェッカーとなっています。フェルスタッペンのチームメイトであるS.ペレスは4番手,週末を通して思うような走りが展開できなかったアルファタウリ勢は,P.ガスリーが12番手,角田裕毅は19番手でレースを終えています。
 

トップ > 8月の最新ニュース