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最新ニュース

2022/09/30(金)
◎契約延長(F1)
○来季以降に向けて各チームはドライバーとの契約について発表がなされていますが,契約についてはドライバーだけでなくスポンサーについても契約話が行われています。その点に関して,9月28日(水)にマレーシアのクアラルンパークにあるペトロナスタワーにおいて,メルセデスAMGペトロナスF1チームから発表があり,そのマレーシアの石油関連企業であるペトロナスとのタイトル及びテクニカルスポンサー契約を延長することになりました。契約期間は,2026年までとなっています。2010年からメルセデスAMGとペトロナスとのタッグが組まれ,その間数々のタイトルを獲得し続けてきていて,まさに大成功を収めている協力関係と言えます。今シーズンに関しては,レッドブルにお株を奪われている感があるものの,来季以降巻き返しがあることが十分予想されます。今回の契約延長が2026年までとなっていますが,その2026年は現行のレギュレーションが終わって新たなレギュレーションに基づいたマシンが導入されるまさにその初年度となります。その新たなパワーユニットに用いられる燃料に関しては,SDGsに基づいた持続可能なものが導入されますので,ペトロナス社としても十分取り組み意義があります。もちろん,燃料だけでなく新たなオイル等の開発も必要となりますから,その点についても取り組む意義が生じてきます。果たしてこのタッグが,現行のレギュレーションそして次代のレギュレーションでどのような発展を見せるのか期待していたいと思います。
2022/09/29(木)
◎欠場&代役参戦(MotoGP)
○Moto2クラスでは,イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍がトップチェッカーを受けて16年ぶりに日本人ライダーが優勝するという熱狂のうちに終わった第16戦日本GPでしたが,その中で注目となった1人が,唯一のフル参戦日本人ライダーであるLCRホンダ・イデミツの中上貴晶でしょう。その前に行われたアラゴンGPにおいて,レプソル・ホンダ・チームのM.マルケスに接触されて転倒。その際右手の薬指と小指の腱が断裂するという重症に見舞われ,日本GPを前にして手術を決行しました。通常であれば日本GPを欠場するところですが,3年ぶりの母国GPということで,激痛と出血に見舞われながらも,ポイント獲得はなりませんでしたが,根性で完走を果たしました。ただ,その代償は大きく,その後の診察により,骨が見えるほどに悪化していて,しかも小指の腱が再び断裂していたということで,再度手術することになりました。そして,今度はそれが回復することを重点に置くため,9月27日(火)にチームから発表があり,明日から開幕する第17戦タイGPを欠場することになりました。さらに,その代役として,今季の鈴鹿8耐ウィナーで,HRCのテストライダーを務めている長島哲太が代役参戦することも併せて発表されました。日本GPではワイルドカード参戦した長島ですが,その際は転倒リタイアに終わっています。タイGPの会場であるチャン・インターナショナル・サーキットの走行は,彼がMoto2クラスにフル参戦していたときに経験していますが,MotoGPクラスとしては初の走行となります。
タイGPで代役参戦するライダーは他にもいて,その中の1人が元MotoGPライダーであるD.ペトルッチです。今季限りでMotoGPから撤退することになっているスズキですが,そのスズキのワークスであるチーム・スズキ・エクスターから27日に発表があり,第13戦オーストリアGPの決勝で転倒を喫した際に,右足首の距骨骨折と距骨靭帯損傷の重傷を負い,日本GPを含めて欠場(第14戦はFP3まで走行し,その後欠場。)しているJ.ミルの代役としてペトルッチが出場することになりました。2012年からMotoGPに参戦を開始したペトルッチは,ドゥカティやKTMでのワークス参戦を経験しながら2021年まで参戦していました。しかし,昨年をもってMotoGPでの活動を終え,何と今年の年明けに開催されたダカール・ラリーにKTMのマシンを駆って参戦してステージ優勝を飾るという離れ業を演じました。当然来年もKTMのマシンを駆って参戦するものと思いましたが,突然契約解除の憂き目を見ました。MotoGPでもそうですが,どうもKTMはあっさりとこうした措置を採る傾向にあると感じているのは私だけでしょうか・・・。その後ペトルッチはアメリカで行われているAMAのスーパーバイク選手権にドゥカティのマシンを駆り,5勝を挙げてランク2位に輝いています。今回の代役参戦は,ドゥカティといったメーカーの垣根を越えたものとなっています。MotoGPでは,スッターやARTをはじめ,ドゥカティとKTMのワークスという経験を積んできている彼ですが,スズキのマシンを駆っての出場は,今回が初となります。

◎体制維持(MotoGP)
○Moto2クラスにフル参戦しているイデミツ・ホンダ・チーム・アジアから発表があり,今季小椋藍&S.チャントラの体制で臨んでいますが,来季もこの2人が継続してフル参戦することになりました。今年で参戦10年目を迎えた同チームですが,どちらのライダーも好調で,小椋は日本GPの勝利により今季3勝目となり,チャントラについては,インドネシアGPで初勝利を収めています。そうしたリザルトから,小椋はランク2位,チャントラはランク9位につけています。さらに,チームタイトルでは,ランク2位につけていて,これは同チームにとって過去最高となっています。小椋については,来季MotoGPへの昇格という噂があったのですが,先日自らMoto2クラスに留まることを明らかにしていました。また,Moto3クラスではホンダ・チーム・アジアエントリー名でフル参戦していますが,こちらも来季の体制について発表があり,今季と同じくM.アジ&古里太陽の2人で臨むことになりました。今季の現段階までにおける2人のリザルトですが,どちらもフル参戦初年度ということもあり,ポイント獲得圏内に入ることが現実的な状況となっています。第16戦終了段階では,アジが2レースでポイントを獲得し,古里については,母国GPでようやく初ポイントを獲得しています。成績的には十分とは言えませんが,フル参戦2年目となる来季こそは,表彰台獲得を目標とすることでしょう。
2022/09/28(水)
◎新たな開催地(MotoGP)
○来シーズンのF1は,先日暫定のレースカレンダーが発表されたように史上最多となる全24戦での開催となります。年々開催数が増えてきていますが,2輪の最高峰であるMotoGPについても,今後ますます開催地及び開催数が増えるようです。まず,9月26日(月)にMotoGPを運営するドルナ・スポーツから発表があり,インドでMotoGPを開催する契約が成立しました。契約期間は7年間となっています。その会場となるのは,かつてF1のインドGPを開催した実績があるデリー近郊にあるブッダ・インターナショナル・サーキットです。ただ,今回の発表では,いつから開催することになるのかについては明らかにされていません。ですから,もちろん来シーズンからということも考えられますし,2024年からということも可能性として当然あります。そのインドとの契約成立の発表があった翌日に,今度はカザフスタンとの契約が成立したことも発表されました。契約期間は5年間で,来シーズンから開催されることも発表されています。会場となるのは,アルマトイ近郊にあるモータースポーツ複合施設のソコル・インターナショナル・レーストラックです。インドはF1開催の実績がありますが,カザフスタンについては,F1にしてもMotoGPにしても,これまで開催されたことがありません。MotoGPの開催地に関しては,F1と同様,これまではヨーロッパが中心となっていました。自動車やオートバイの市場としてヨーロッパはもちろん大きいですし,何といってもレースの歴史自体が老舗とも言えます。しかし,近年はヨーロッパ以外ので開催が年々増えていき,逆にヨーロッパでの開催が減るという現象も見られます。特に増えてきているのが,アジア地域です。レースの世界では,どちらかというとこれまでマイナーな存在でした。しかし,近年アジア諸国の発展が目覚ましく,大きな市場となってきています。現段階でアジア地域においてMotoGPが開催されているのは,日本をはじめ,マレーシア,タイ,インドネシアとなっていて,これに新たな開催地としてインドとカザフスタンが加わることになる訳です。なお,来季のレースカレンダーについてはまだ発表されていませんので,インドがいつ加わるのか,アジア地域の開催がどのような順でなっていくのか,今後発表が待たれるところです。ただ,開幕戦については既に発表されていて,これまでのカタールではなく,来季からポルトガルが開幕戦の地となります。
2022/09/27(火)
◎ノーポイント(MotoGP)
○MotoGPクラスでは,ドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーが独走で優勝し,Moto2クラスでは,イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍が日本人ライダーとしては16年ぶりに勝利するというリザルトが残った第16戦日本GPの決勝レースでした。その決勝レースで,ランクトップ争いに絡んでいる2人のライダーがノーポイントに終わるという結果となりました。まず1人目は,ランク3位で日本GPを迎えたアプリリア・レーシングのA.エスパルガロです。決勝レース前のウォームアップ走行で,ヘルメットを押さえながら,というか頭を抱えながら走行している様子が見られて不思議な印象を持った方も少なくなかったのではないかと思います。さらに不思議だったのは,グリッドにつかずにピットレーンの方に向かったこと。その直後,マシンを乗り換えてピットレーンエンドに向かいました。MotoGPクラスでは,『フラッグトゥーフラッグ』というのがあって,レース途中で雨が降り始めたため,ウェット用のマシンに乗り換えるということがあります。しかし,今回は完全なドライ。これまた不思議なことでした。その疑問は,レース後に判明し,エスパルガロ自身が明かしたことによると,エンジンのマッピングにトラブルが生じた事による乗り換えだったということです。MotoGPマシンでは,『エコ・マップ』と言われているのがあって,これはグリッドに向かうサイティングラップで燃料を節約するために使われるエンジンモードです。このモードにすると,マシンはは100km/h以上,5000rpm以上にはならないようになります。当然このままではレース続行は不可能ですので,やむなくマシンチェンジを行ったようです。悪いことは重なるもので,その乗り換えたマシンのリアタイヤは,彼が選択していなかったソフトタイヤが装着されていたということでした。エスパルガロ自身が好んでいないタイヤで,しかもこの日の路面コンディションはソフトタイヤには適していない状況でした。ただでさえマシンチェンジしたためにピットスタートなっているのに,追い上げたくても彼にとってはペースを上げられないタイヤ。転倒リタイアのマシンが複数出たためにある程度順位を上げることはできましたが,最終的にポイント圏内まであと一歩の16位でチェッカーとなりました。ランクトップを行くモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが8位でゴールしてポイントを獲得していますので,2人のポイント差がさらに広がる結果となってしまいました。エスパルガロにとっては,差が広がったということだけではありません。彼は,今季のMotoGPクラスで唯一全戦でポイントを獲得してきていたのです。今回のノーポイントにより,この記録も途絶える事となってしまいました。
2人目は,ランク2位につけているドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアです。12番グリッドからのスタートと厳しい状況での決勝レースとなったのですが,それでも順位を少しずつ回復していって,ついにはクアルタラロのすぐ後ろまで追いつきました。このままチェッカーを受けると,もちろんポイント差は広がりますが,傷口は最小のままで済みます。ところが,ライダーのサガなのか,前を行くクアルタラロを抜こうとファイナルラップでアタックしてしまったのです。思うようにマシンが決まっていない上,追い上げでタイヤを使ってきていますので,このアタックは裏目に出てしまい,何と転倒リタイアに終わるという結果となってしまいました。この結果,2人のポイント差は,レース前10だったのが18に広がってしまいました。残りのレースが少なくなってきている状況ですので,これも痛いノーポイントとなってしまいました。
2022/09/26(月)
◎師弟(MotoGP)
○第16戦日本GPの決勝レースが,前日の不安定な天候から一変して好天となったモビリティリゾートもてぎで行われました。
MotoGPクラスは,ドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーが,3周目にトップに立つと速いペースを刻んでいって独走態勢に持ち込み,最終的に2位に3秒以上の大差をつけてトップチェッカーを受け,昨年5月に行われた第5戦フランスGP以来の勝利を収めました。レッドブルKTMファクトリーレーシングのB.ビンダーとプラマック・レーシングのJ.マルティンとの間でファイナルラップまで繰り広げられた2位争いは,ビンダーがこれを制しています。復帰2戦目でポールを獲得したレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスですが,体調不十分なためドライでの決勝レースは厳しいことが予想されましたが,最後まで速いペースを刻んで走り抜けて4位でチェッカーを受けています。前戦でそのマルケスと接触して右の薬指と小指を痛めて手術間のない状況となってしまっているLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,レースウィークを通して欠場することなく最後まで走りましたが,走行のたびに出血するほどの状況はいかんともしがたく,最後尾からスタートし,20位完走で母国GPを終えています。3週連続開催となるだけに,次戦もかなり厳しい状況が続くことが予想されますし,果たして出場が可能なのかどうかも分からないほどのようです。今回は3年ぶりの母国GPでしたから致し方なかったでしょうが,今後のこともありますので,まずは体を治すことが先決のような気がしてならないのは私だけでしょうか。なお,HRC Teamからワイルドカード参戦した長島哲太は,10周目に転倒を喫してリタイアに終わっています。また,チーム・スズキ・エクスターのJ.ミルの代役として参戦した津田拓也は,13周目にトラブルでマシンから出火してコース脇にマシンを止め,こちらもリタイアとなりました。
Moto2クラスは,ランク2位で母国GPを迎えたイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍に期待がかかっていましたが,予選で苦戦して13番グリッドからのスタートとなってしまっていました。かなり苦戦することが予想されていましたが,何と抜群のスタートを切ってオープニングラップで早くも上位争いに顔を出しました。その後も着実にポジションをアップしていき,13周目にはついにトップに躍り出ました。その後,ランクトップを行くレッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスとベータ・ツールズ・スピード・アップのA.ロペスとが激しい2位争いを展開する状況となり,その間にトップの小椋は2人との差を1秒以上に広げて行きました。2位争いをフェルナンデスが制して小椋の後を追い始めましたが,レース後半に強さを見せる小椋は1秒以上の差を縮められることなく走り抜け,見事母国GPを制して今季3勝目を挙げました。日本GPで日本人ライダーが優勝したのは,2006年に250ccクラスで青山博一が制して以来となります。現在チーム・アジアで監督を務めているのが青山博一ですので,16年の間を挟み,師弟で母国GPを制したことになります。ランク2位の小椋が制したものの,ランクトップのフェルナンデスが2位に入っていますので,2人のポイント差は5ポイント縮んで2ポイント差となっています。ペルタミナ・マンダリカSAGチームから代役参戦している羽田大河は,ポイント獲得まであとわずかの17位でチェッカーを受け,自己最高位を獲得しています。
Moto3クラスは,前戦をポールトゥーフィニッシュで制しているオートソーラー・ガスガス・アスパー・チームのI.グエバラが,好スタートを切ってトップ争いに加わり,16周目にトップに立つとそのまま逃げ切り,連勝を飾って今季5勝目となりました。ランク2位につけているチームメイトのS.ガルシアが4位に終わったため,2人のポイント差は45に開いています。トップのグエバラには逃げ切られたものの,レオパード・レーシングのD.フォッジアが3位に1秒以上の差をつけて2位表彰台を獲得しています。その3位には,こちらも単独走行でステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢が入り,2戦連続表彰台を獲得しています。日本人ライダーが軽量級クラスで表彰台に上るのは,2001年の宇井陽一(当時もてぎで行われたパシフィックGPの125ccクラス)以来となります。他のフル参戦日本人ライダー勢は,来季SIC58スクアドラ・コルセへの移籍が決まったMTヘルメッツMSIの山中琉聖が8位,ホンダ・チーム・アジアの古里太陽が14位に入ってポイントを獲得しました。CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡は,オープニングラップで転倒を喫し,その後再スタートして3周遅れでの完走を果たしています。ポールからスタートしたレオパード・レーシングの鈴木竜生は5周目に転倒を喫し,リバコールド・スナイパーズ・チームから代役参戦の羽田太河は4周目に転倒を喫し,どちらもリタイアに終わっています。
2022/09/25(日)
◎3年ぶり(MotoGP)
○3年ぶりの開催となった第16戦日本GPの予選が,これまでの『ツインリンクもてぎ』から今季新たな名称となった『モビリティリゾートもてぎ』で行われました。この日のもてぎは,予想通り台風(温帯低気圧)の影響により雨に見舞われ,降り方も時々で違う不安定な天候となりました。
MotoGPクラスは,強い雨に見舞われる時もあり,その状況の中でトップタイムをマークしたのは,復帰して2戦目となるレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスでした。マルケスのポール獲得は,奇しくも前回2019年の日本GP以来3年ぶりとなります。2番手タイムは,プラマック・レーシングのJ.ザルコ,3番手タイムはレッドブルKTMファクトリーレーシングのB.ビンダーでした。さらに,4番手タイムをアプリリア・レーシングのM.ビニャーレスがマークしていて,トップ4は違うメーカーのマシンということになりました。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,Q1からの出走となり,転倒があったとはいえ,やはり手術明けの状況が厳しいのか,Q1を最下位で敗退となってしまいました。今日行われる決勝レースはドライになることが予想され,負傷している彼にとってはさらに厳しい走りとなるでしょうが,何とかポイント圏内まで進出することを願っています。なお,ワイルドカードで参戦しているHRC Teamの長島哲太は19番手,チーム・スズキ・エクスターから代役参戦となっている津田拓也は21番手となっています。
Moto2クラスは,Q2のセッション早々に雨が激しくなって赤旗中断となりました。そうした厳しい状況の中でポールを獲得したのはフレックスボックスHP40のA.カネトで,今季2度目とポールとなります。午前中に行われたフリー走行2でトップタイムだったベータ・ツールズ・スピード・アップのF.アルデグエルは,カネトから遅れは取ったものの,2番手タイムをマークして今季2度目のフロントローを獲得しています。前戦で3番グリッドを獲得していたシモコ・ガスガス・アスパー・チームのJ.ディクソンが,今回も3番手タイムでした。母国GP制覇が期待されているイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,上位争いに顔を出すことができず,13番手タイムで予選を終えています。ペルタミナ・マンダリカSAGチームから代役参戦している羽田大河は,Q1で敗退して20番手でした。
今季日本勢が好調なMoto3クラスは,それを象徴するかのようにレオパード・レーシングの鈴木竜生がトップタイムをマークしました。日本人ライダーが日本GPでポールシッターになるのは,2016年の尾野弘樹以来6年ぶりとなります。2番手タイムをビジョン・トラックレーシング・チームのS.オグデンがマークし,これは彼にとって自己最高位となります。3番手タイムをマークしたのは,オートソーラー・ガスガス・アスパー・チームのS.ガルシアでした。前戦で2位表彰台を獲得したステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢は4番手タイムで,惜しくもフロントローを逃しています。他のフル参戦日本人ライダー勢は,MTヘルメッツMSIの山中琉聖が17番手,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が18番手,ホンダ・チーム・アジアの古里太陽は19番手でした。代役参戦している濱田寛太は,27番手で予選を終えています。なお,昨日SIC58スクアドラ・コルセから発表があり,来季同チームに鳥羽海渡が移籍することになりました。同チームは,今回ポールを獲得した鈴木竜生が昨シーズンまで所属したところで,このところKTMを駆ってきている鳥羽にとっては,2019年ホンダ・チーム・アジアに所属して以来のホンダ車ということになります。
2022/09/24(土)
◎3年ぶり(MotoGP)
○コロナ禍により2年連続して開催中止となっていた日本GPが,3年ぶりに開催となりました。その初日の走行が途中で小雨に見舞われる時間帯もありましたが,ドライコンディションでの走行となったモビリティリゾートもてぎで行われました。大会の初日は,通常2回のフリー走行が行われますが,今回は元々の予定通り午後のみ1回の走行となりました。これは,前戦アラゴンからの連戦ということと,ロシアの侵略により航空路が変更となっていますので,機材の到着などまさかの事態に対応するための措置のようです。
MotoGPクラスは,そのフリー走行1でドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーがトップタイムをマークしました。チームメイトのF.バグナイアがミラーから1000分の28秒差の2番手タイムをマークし,初日はドゥカティワークスのワンツーとなりました。3番手タイムは,前戦でレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスに追突する形で転倒を喫してリタイアに終わったモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロでした。その転倒で胸に傷を負ってしまったクアルタラロですが,走行に大きな影響はないようです。その前戦でマルケスに接触されて転倒リタイアに終わったLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,手術を受けたばかりながらフリー走行1で無事走行し,トップからコンマ377秒差の12番手タイムで初日を終えています。配信された動画を観ると,走行終了後にグローブを取る際,痛みで顔をしかめながら慎重に取っていました。いかに厳しい状況の中での走行であるかが,この様子からもうかがえます。今大会には,ワイルドカードでホンダのテストライダーである長島哲太と,チーム・スズキ・エクスターのJ.ミルの代役としてスズキのテストライダーである津田拓也が出場しています。長島にとっては初のMotoGPクラスでの走行となりますし,今季限りでMotoGPからスズキが撤退しますので,津田にとっては最後のMotoGPクラス出場となります。その長島と津田ですが,初日はそれぞれ22番手,最下位の25位番手でした。
Moto2クラスは,今大会をランクトップで迎えたレッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスがトップタイムをマークし,好調なスタートを切っています。2番手タイムは,トップからわずか1000分の84秒差でイデミツ・ホンダ・チーム・アジアのS.チャントラがマークしています。前戦で今季2勝目を挙げたレッドブルKTMアジョのP.アコスタが,好調さを維持するかのように3番手タイムをマークしました。ランク2位で母国GPを迎えているイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,トップからおよそコンマ4秒差の4番手タイムでした。ペルタミナ・マンダリカSAGチームから怪我で欠場しているG.ロドリゴの代役として参戦している羽田大河は,24番手タイムで初日を終えています。
Moto3クラスは,MTヘルメッツMSIのD.モレイラが,第12戦イギリスGP以来今季3度目となる初日総合トップでした。ここまでランク3位につけているレオパード・レーシングのD.フォッジアが2番手タイムをマークし,今季好調な走りを見せているステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢が3番手タイムでした。他のフル参戦日本人ライダー勢は,レオパード・レーシングの鈴木竜生が6番手,MTヘルメッツMSIの山中琉聖が10番手と,母国GP初日で3人のライダーがトップ10圏内での走行でした。CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡とホンダ・チーム・アジアの古里太陽は,それぞれ12番手,20番手でした。リバコールド・スナイパーズ・チームのA.スーラが負傷したため,急遽代役参戦が決まった濱田寛太は,28番手タイムで初日を終えています。
なお,初日10番手となったMTヘルメッツMSIの山中琉聖ですが,来季はチームを移籍し,ガスガス・アスパル・チームに所属することが一昨日発表されています。今季はKTMのマシンを走らせていますが,来季はガスガスブランドのマシンを走らせることになります。とはいえ,ブランド違いでマシンは同じですから,乗り換えはそう難しくはないものと思われます。
2022/09/23(金)
◎契約延長&チームメイト(F1)
○2輪最高峰であるMotoGPはLCRホンダ・イデミツの中上貴晶,4輪最高峰であるF1はスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅が日本人では唯一フル参戦している今シーズンですが,この2人は今シーズンで契約が切れます。そのため,来季以降の契約がどうなるのかが注目されていました。どちらも今季思うような成績が収められていないだけに,シート確保が厳しい状況にあったことは間違いないでしょう。そのような中,先日HRCから発表があり,中上の残留が決定しました。これで,来季もフル参戦日本人ライダーがMotoGPクラスに存在することが決定しました。そこで角田の契約がさらに注目されていたのですが,昨日スクーデリア・アルファタウリから発表があり,角田が来シーズンもチームに残留することが決定しました。MotoGPクラスと同じく,これで4輪の最高峰でも来季日本人が活躍することになります。2021年シーズンに同チームに所属してF1デビューを果たした角田は,そのデビュー戦でいきなりポイントを獲得しました。日本人ドライバーがデビューレースでポイントを獲得したのは,角田が初となります。好スタートを切ったデビューシーズンは,最終的に4位が最高位で合計7回入賞を果たしています。新しいレギュレーションの下でスタートした今シーズンは,マシンの仕上がりが十分とは言えないこともあり,開幕戦こそポイントを獲得したものの,第16戦イタリアGP終了段階で入賞が合計3回と,まだシーズン途中ながら昨季より半減しています。ただ,チーム側は時折厳しい言葉を発することはありますが,彼のポテンシャルを一貫して信じているということを感じさせる言葉があり,今回の契約延長には,もう1年チャンスを与えるという事があるのではないかと思われます。なお,彼のチームメイトについては,当初今季と同じくP.ガスリーが残留するものと思われていました。ところが,レッドブル昇格の可能性が全くなくなったガスリーが,レッドブルとの関係性を解消しようとする動きが見られ,それをレッドブル自身も認めようという動きがあり,そこに今季限りでF.アロンソが去るアルピーヌからガスリー確保のオファーが出てきているようです。さらに,レッドブル自体も,新たにN.デ.フリースを獲得しようとする動きを見せていますので,どうやらガスリーがアルファタウリを去り,そこにデ.フリースが角田のチームメイトとしてシートに座る可能性がかなり高まってきています。
2022/09/22(木)
◎史上最多(F1)
○9月20日(火)にFIAから来季のF1開催カレンダーが発表されました。それによると,来季は予想されていたとおり史上最多となる全24戦で開催されることになります。注目点はいくつかあるのですが,その中の1つが新たな開催地で,それは第23戦に組み込まれたラスベガスGPです。当然開催国はアメリカですので,既にマイアミGPとアメリカGPは開催されていますので,来季からはアメリカ国内で3大会開催されることになります。このラスベガスGPですが,ギャンブルの街らしく,決勝レースの開催は土曜の夜となるようです。もう1つの注目点は,世界3大レースの1つであるモナコGPでしょう。近年ここでの開催がなくなるのではないかという噂が浮上していて,果たして来季からどうなるのかというところが注目されていました。その点に関して発表があり,3年間の開催契約延長が成立したということで,この伝統のレースは継続することに無事なりました。鈴鹿サーキットで行われる日本GPも当然カレンダーの中に入っていて,第18戦として組まれています。これまでとの違いですが,例年10月に開催されていましたが,来季は9月24日に決勝レースが行われることになりました。今回発表された具体的なカレンダーは,以下の表のようになっています。もちろんまだ暫定ですので,今後変更になる可能性はあります。
2023年 F1レースカレンダー(暫定)
決勝日 大 会 開催地
第1戦 3月5日 バーレーンGP サクヒール
第2戦 3月19日 サウジアラビアGP ジェッダ
第3戦 4月2日 オーストラリアGP メルボルン
第4戦 4月16日 中国GP 上海
第5戦 4月30日 アゼルバイジャンGP バクー
第6戦 5月7日 マイアミGP マイアミ
第7戦 5月21日 エミリア・ロマーニャGP イモラ
第8戦 5月28日 モナコGP モナコ
第9戦 6月4日 スペインGP バルセロナ
第10戦 6月18日 カナダGP モントリオール
第11戦 7月2日 オーストリアGP シュピールベルク
第12戦 7月9日 イギリスGP シルバーストーン
第13戦 7月23日 ハンガリーGP ブダペスト
第14戦 7月30日 ベルギーGP スパ・フランコルシャン
第15戦 8月27日 オランダGP ザントフォールト
第16戦 9月3日 イタリアGP モンツァ
第17戦 9月17日 シンガポールGP シンガポール
第18戦 9月24日 日本GP 鈴鹿
第19戦 10月8日 カタールGP ロサイル
第20戦 10月22日 アメリカGP オースティン
第21戦 10月29日 メキシコGP メキシコシティ
第22戦 11月5日 ブラジルGP サンパウロ
第23戦 11月18日 ラスベガスGP ラスベガス
第24戦 11月26日 アブダビGP ヤス・マリーナ
2022/09/21(水)
◎転向(MotoGP)
○昨年のMoto2クラスチャンピオンであるR.ガードナーは,今季MotoGPクラスにステップアップを果たし,テック3KTMファクトリーレーシングからフル参戦しています。週末に行われた第15戦アラゴンGPでは,完走は果たしたものの,16位でのゴールでノーポイントに終わっています。その第15戦終了段階では,9ポイントを獲得してランク23位と下位に低迷しています。とはいえ,わずか1ポイント差ながらチームメイトであるR.フェルナンデスを上回っています。そのフェルナンデスについては,テック3との契約が今季限りとなり,来季アプリリアのサテライトチームに転身するRNFレーシングに所属し,MotoGPへの参戦を継続することが決まっています。それに対して,ガードナーについては,KTMから契約を継続しないことを告げられた段階では,既にMotoGPクラスのシートがほぼ決まっていて,来季に関しては,Moto2クラスに戻るか,他のカテゴリーへ転向するかしか道が残されていない状況になっていました。そのことに関して,ちょっと前ではありますが,9月15日(木)にヤマハ・モーター・ヨーロッパから発表があり,ガードナーと来季の契約が成立し,GYTR GRT Yamaha WorldSBK Teamからスーパーバイク世界選手権(SBK)に参戦することになりました。契約期間は1年間です。彼の父親は,WGPで1987年に当時の最高峰である500ccクラスのタイトルを獲得したレジェンドライダーの一人のW.ガードナーですが,レミーに関しては,残念ながらわずか1年でMotoGPから去ることになってしまいました。なお,来季ガードナーのチームメイトが誰になるのかは,現段階では発表されていません。
この点に関連して気になるのは,今季同チームからフル参戦している野左根航汰の去就がどうなるのかということです。今シーズン野左根のチームメイトであるG.ガーロフについては,来季チームを移籍してBonovo Action BMWに所属し,SBKへのフル参戦を継続することが既に決まっています。
2022/09/20(火)
◎2度目(EWC)
○今季の2輪の世界耐久選手兼(EWC)は,全4戦で争われています。その内の第3戦が先日3年ぶりに行われた鈴鹿8耐です。その8耐は,皆さんご存知のように長島哲太&高橋巧&I.レクオナ組のTeam HRCが2位以下をラップ遅れにするという圧倒的な速さを見せて勝利しました。その8耐には,2種類の立場のチームがあり,1つはEWCにフル参戦しているレギュラーチームで,もう1つは8耐限定のチームです。優勝したTeam HRCも,2位入賞を果たしたKawasaki Racing Team Suzuka 8Hも,8耐限定のチームとなります。それに対して,3位入賞を果たしたYOSHIMURA SERT MOTULはレギュラーチームです。そして,そのYOSHIMURA SERT MOTULは,8耐終了時にEWCシリーズのランクトップに立っていて,8耐は優勝を狙うというより少しでも高ポイントを獲得するということが中心となっていたと言えます。同様のことはF.C.C. TSR Honda Franceにも言え,YOSHIMURAからは遅れをとったものの,シリーズでランク2位につけている立場ですから,少しでもYOSHIMURAとの差がつかない(つまりポイント差が開かない)順位でのチェッカーを目指して完走を果たしています。
そのような段階を経て,先週末最終戦となる『ボルドール24時間耐久ロードレース』の決勝レースが,フランスのポール・リカール・サーキットで行われました。24時間ですので,様々なトラブルやアクシデントが発生し,誰が優勝するか,そしてどのチームがタイトルを獲得するか分からない戦いとなりました。特に,今回はタイトル争いをしている上位陣にトラブルが発生し,遅れを取るだけでなく,リタイアに終わるという結果になるシーンがいくつも見られました。そうした流れの中,レースを制したのはヤマハYZF-R1を駆るF.アルト&E.ニゴン&S.オデンダール組のVILTAIS RACING IGOLでした。2位には,同じくヤマハのマシンを駆るD.リンフット&S.モライス&M.ギネス組のWojcik Racing Team EWC 77,3位にはカワサキZX-10Rを駆るR.ド・プニエ&E.マッソン&F.マリノ組のWEBIKE SRC KAWASAKI FRANCEでした。そして,気になるタイトル争いですが,ランクトップでこの大会を迎えたYOSHIMURA SERT MOTULでしたが,何とリタイアに終わった中のチームの1つが同チームだったのです。それに対して,鈴鹿8耐では遅れを取ったものの,この大会で完走を果たして4位でチェッカーを受けたJ.フック&M.ディ・メリオ&A.テシェ組のF.C.C. TSR Honda Franceでした。EWCを同チームが制するのは,2017-2018シーズン以来2度目となります。MotoGPやSBK,そしてJRRのJSB1000クラスでは,余りいい結果が残せていないホンダですが,このEWCでは8耐を制し,さらにシリーズタイトルまで獲得できましたので,ここだけはいいシーズンになったと言えますね。
2022/09/19(月)
◎タイトル決定 PART1(MotoGP)
○第15戦アラゴンGPの決勝レースが,好天に恵まれたモーターランド・アラゴンで行われました。
MotoGPクラスは,スタート直後にランクトップを行くモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが,久々に復帰したレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスに追突して転倒し,リタイアに終わるという波乱の展開となりました。そのマルケスは,クアルタラロとの接触でマシンに不具合が生じてしまい,今度はLCRホンダ・イデミツの中上貴晶と接触してしまいました。中上はコース上に投げ出され,後ろからいたマシンにはねられる可能性がある危ない状況となりましたが,幸いにも他のマシンがうまく避けてくれました。ただ,この転倒により右手の指2本を傷めてしまい,来週行われる日本GPへの出場に黄色信号が灯ってしまいました。いきなり2度接触してしまったマルケスは,マシンのリア部分が損傷してしまい,ピットに入ってそのままリタイアに終わってしまいました。そうした中,ランク2位につけているドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアは,ポールから好スタートを切ってトップの座を守っていきました。そのバグナイアを次第に追い詰めてきたのが,来季からドゥカティワークスでチームメイトとなるグレシーニ・レーシングMotoGPのE.バスティアニーニでした。順位を上げて2位にまで浮上してきたバスティアニーニは,9周目に一旦トップに浮上しました。しかし,すぐに抜き返されて2位となりました。2人のバトルは最終ラップまで持ち込まれ,7コーナーで見事にバグナイアを抜いてトップに立ち,そのまま逃げ切って第7戦フランスGP以来となる4勝目を挙げました。2位となったバグナイアですが,クアルタラロがノーポイントに終わったため,ランク争いで2人の差は10ポイントに縮まっています。3台による3位争いとなりましたが,今季好調なアプリリア・レーシングのA.エスパルガロがこれを制しています。今回のレース結果により,コンストラクタータイトルを早くもドゥカティが獲得を決めています。
Moto2クラスは,ランクトップを行くレッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスが,ポールからスタートしてトップの座を守っていきました。後続との差を広げて行って独走態勢に持ち込まれるかと思いましたが,徐々にペースが落ち始め,それに対してチームメイトのP.アコスタやフレックスボックスHP40のA.カネトが差を詰めてきました。3台によるトップ争いという展開となり,ここで速さを見せたのがアコスタでした。このバトルからアコスタが抜け出して独走態勢に持ち込み,2位に2秒以上の差をつけてゴールして第8戦イタリアGP以来今季2勝目を挙げました。2台による2位争いとなりましたが,カネトがこれを制しています。イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,序盤こそなかなかペースが上がりませんでしたが,レースが進むに連れてペースが上がっていく強さのある彼ですので,徐々に順位を上げていって4位争いとなり,最終的にこれを制しています。ランクトップのフェルナンデスが3位で終わったことにより,2人のポイント差は広がったものの,順位としては1つしか違いませんでしたから,わずかしか広がりませんでした。
Moto3クラスは,ポールからスタートしたオートソーラー・ガスガス・アスパー・チームのI.グエバラが,好スタートを切ってトップの座を守っていきました。2番グリッドからスタートしたステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢はグエバラには離されたものの,後続とは差を広げて単独走行となりました。結局この順でのチェッカーとなり,グエバラは第10戦ドイツGP以来今季4勝目を挙げました。3位には,こちらも単独走行でレッドブルKTMアジョのD.オルガドが入っています。他のフル参戦日本人ライダー勢は,レオパード・レーシングの鈴木竜生が12位に入ってポイントを獲得しました。しかし,他のライダーはポイント圏外となってしまい,ホンダ・チーム・アジアの古里太陽が17位,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が23位,MTヘルメッツMSIの山中琉聖は,転倒を喫し,ピットに入ってそのままリタイアとなっています。

◎タイトル決定 PART2(JRR)
○第7戦の決勝レースが,台風が心配される中,ほとんどのクラスがドライコンディションでの走行となった岡山国際サーキットで行われました。
JSB1000クラスは,ここまで全勝でランクトップを行くAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行がポールからスタートしました。その中須賀は,多くの場合途中からペースを上げてトップに浮上し,後はそのまま独走態勢に持ち込んで勝利するというパターンがどちらかというと多いです。しかし,今回は好スタートを切ってトップに立つと,後は速いペースを刻みながら後続との差を広げて行き,最終的に2位に8秒以上の大差をつける独走で今回もまた勝利を収めました。今回の勝利により,残りの大会である最終戦でノーポイントに終わっても,誰も彼のポイントを上回ることができませんので,通算11度目となるチャンピオンに輝きました。2位には,スタートからそのポジションを守ったAstemo Honda Dream SI Racingの作本輝介を,終盤に入って3位につけていたSDG Honda Racingの榎戸育寛がペースを上げて追い上げる展開となりました。ところが,ファイナルラップでその榎戸が転倒してしまったため,作本が単独走行で2位となり,榎戸の脱落でHonda Dream RT SAKURAI HONDAの濱原颯道が3位表彰台を自動的に獲得しています。なお,大会直前に鎖骨骨折の手術を行っていたHonda Suzuka Racing Teamの亀井雄大は,いつもの表彰台争いからは離れた位置ではあったものの,最終的に5位でチェッカーを受けています。
ST1000クラスは,ポールシッターであるTOHO Racingの國峰啄磨が順調なスタートを切ってトップに立ち,2位にJAPAN POST HondaDream TPの高橋裕紀,3位にAstemo Honda Dream SI Racingの渡辺一馬がつけるという展開になっていきました。終盤に入ると渡辺が一気にペースを上げ,高橋を交わして2位に浮上すると,さらにトップを行く國峰に迫っていき,そしてこれを交わしてトップに立ちました。トップに立った渡辺は,最後までその座を守り抜き,トップでチェッカーを受けました。この勝利により,ランキング争いでは國峰と同ポイントでのランクトップに立ちました。
ST600クラスは,1度目はアクシデントで,2度目はスタート直後の降雨により赤旗中断となる波乱の展開となりました。この日唯一のウェットコンディションでのレースとなり,ここで速さを見せたのが,ウェットコンディションを得意とするTBB TEAMKENKEN YTch L8の長尾健吾でした。レース序盤にトップに立つと,後は後続との差をどんどん広げて行って独走態勢に持ち込み,2位に入ったMOTOBUM HONDAの荒川晃大に7秒以上の大差をつけてトップチェッカーを受けました。3位には,ポールからスタートしたTeam 51 GARAGE YAMAHAの阿部恵斗が入っています。
J-GP3クラスは,ポールからスタートしたP.MU 7C GALESPEEDの尾野弘樹が,スタートからトップに立つとその座を守っていきました。中盤に入ってからTeam Plusoneの上原大輝が尾野の後ろにつけてトップ争いとなりましたが,13周目に多重クラッシュが発生して赤旗が提示され,レースはそのまま成立となり,尾野の2連勝となりました。3位には,上原のチームメイトである木内尚汰が入っています。

◎逆転&独占(SGT)
○第6戦の決勝レースが,台風の影響もあってウェットから徐々にドライへと変わる状況となったスポーツランドSUGOで行われました。
GT500クラスは,ウェットコンディションで強さを見せるミシュランタイヤと,それを履くNISMO陣営が速さを見せました。雨の中でミシュランの性能を発揮したNISMO勢は,他陣営が苦しむ中ワンツー体勢を築いていきました。レースが進むに連れてライン上が徐々に乾いていく状況になっても2台のZ勢はタイヤ交換をできるだけ延ばす作戦を採り,これが功を奏して,何と11番グリッドからスタートした千代勝正&高星明誠組のCRAFTSPORTS MOTUL Zが大逆転で1位となりました。松田次生&R.クインタレッリ組のMOTUL AUTECH Zが2位に入り,NISMO勢がワンツーフィニッシュを果たしました。3位には,笹原右京&大湯都史樹組のRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが入っています。今回のレースの結果,ランキング争いで1位から3位をニッサン勢が独占しています。
GT300クラスは,ウェット路面に足を取られたりしてアクシデント等が起きて目まぐるしく順位が変動する中,早めにピットインして速いラップタイムを刻んで順位を上げていったのが,13番グリッドからスタートした加藤寛規&堤優威組のmuta Racing GR86 GTでした。他陣営がルーティンのタイミングでタイヤ交換をしてコースに復帰したときには,同マシンが完全なる独走態勢に持ち込んでいました。その後も速いタイムを刻み続けたGR86は,最終的に2番手以下をラップする圧勝で,今季からデビューしたトヨタGR86 GTに初勝利を大逆転でもたらしました。2,3位には,それぞれ安田裕信&石川京侍組のGAINER TANAX GT-R,富田竜一郎&大草りき組のTANAX GAINER GT-Rが入り,GAINER勢が表彰台の2つを占めています。
2022/09/18(日)
◎トップ3は(MotoGP)
○第15戦アラゴンGPの予選が,ドライコンディションとなったモーターランド・アラゴンで行われました。
MotoGPクラスは,4連勝してこの大会を迎えたドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアが,5連勝に向けて有利となる今季5度目のポールを獲得しました。チームメイトのJ.ミラーが,わずか100分の9秒遅れで2番手タイムをマークし,ドゥカティワークスのワンツーとなりました。さらに,ドゥカティのサテライトチームの1つであるグレシーニ・レーシングMotoGPのE.バスティアニーニが3番手タイムをマークしていて,ドゥカティ勢によるフロントロー独占となりました。2番手のミラーは今季でチームを去り,その空くシートにバスティアニーニが座ることが決まっていますので,トップ3は新旧ドゥカティワークスというような感じの顔ぶれとなります。ホンダ勢で唯一Q2からの発進となったLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,残念ながら速いペースを刻むことができず,12番手で予選を終えています。
Moto2クラスは,来季からMotoGPクラスにステップアップすることが決まっているレッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスがトップタイムをマークし,第12戦イギリスGP以来今季2度目となるポールを獲得しました。2,3番手をそれぞれA.アレナス,J.ディクソンがマークし,シモコ・ガスガス・アスパー・チーム勢がフロントローのうちの2つを占めました。ちなみに,来季のフェルナンデスが所属するのがMotoGPクラスに新たに進出するガスガスですので,これまた因縁を感じさせる結果となっています。来季もこのクラス残留となるイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,トップからおよそコンマ5秒遅れの8番手となっています。
Moto3クラスは僅差でのポール争いとなり,その中でオートソーラー・ガスガス・アスパー・チームのI.グエバラがトップタイムをマークし,今季4度目となるポールを獲得しました。そのグエバラからわずか1000分の95秒遅れでステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢が2番手を,その佐々木からわずか1000分の74秒遅れでレッドブルKTMアジョのD.オルガドがマークしています。他のフル参戦日本人ライダー勢は,来季もチーム残留が正式に発表されたレオパード・レーシングの鈴木竜生がトップからおよそコンマ4秒遅れの4番手でした。見事Q1を突破してQ2進出を果たしたホンダ・チーム・アジアの古里太陽は14番グリッドを獲得しています。Q1突破ならなかったCIPグリーン・パワーの鳥羽海渡は20番手,MTヘルメッツMSIの山中琉聖は21番手で予選を終えています。

◎レコード更新 PARAT1(JRR)
○第7戦が岡山国際サーキットで開幕し,ドライコンディションで各クラスの予選が行われました。
ここまでYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が連勝を続けているJSB1000クラスは,ノックアウト方式で予選が行われました。絶対王者中須賀は,次々にタイムアップをしていき,最終的に自らのコースレコードを更新する速さを見せ,2番手タイムをマークしたSDG Honda Racingの榎戸育寛にコンマ9秒弱の大差をつけて今回もポールを獲得しました。2番手から6番手までをホンダ勢が独占し,3番グリッドはHonda Dream RT SAKURAI HONDAの濱原颯道が獲得しています。
ST1000クラスは,早い段階でTOHO Racingの國峰啄磨が速いタイムを刻み,これのタイムを最後まで誰も更新することができないまま予選終了となりました。國峰に限らず,予選上位陣は早い段階でのタイムが予選タイムとなり,2番手タイムがAstemo Honda Dream SI Racingの渡辺一馬,3番手タイムがDOGFIGHTRACING YAMAHAの豊島怜でした。
ST600クラスは,途中赤旗が出たり,雨が降ったりという生憎の状況になり,結果的にこちらも早い段階でのタイムで予選順位が決まりました。その中でトップタイムだったのは,前戦の勝者であるTeam 51 GARAGE YAMAHAの阿部恵斗でした。2,3番手タイムは,それぞれMOTOBUM HONDAの鈴木光来,TBB TEAMKENKEN YTch L8の長尾健吾でした。
J-GP3クラスは,他のライダーがタイムを更新していく中,残り2分となったところでタイムアタックをしたP.MU 7C GALESPEEDの尾野弘樹が,唯一1分40秒を切るタイムをたたき出し,見事ポールを獲得しました。尾野にタイムを更新される前までトップタイムだったTeam Plusoneの上原大輝が2番手,そのチームメイトである木内尚汰が3番手で予選が終わりました。
なお,会場が西日本にある岡山国際サーキットだけに,台風の影響が心配される今日の決勝レースですが,それに備えて新たな周回数をはじめとしたタイムスケジュールが既に発表されています。

◎レコード更新 PART2(SGT)
○宮城県にあるスポーツランドSUGOにおいて第6戦が開幕し,第6戦の予選が行われました。
GT500クラスは,残り2分となったところで各車最後のタイムアタックを敢行していきました。そのような中,国本雄資&阪口晴南組のWedsSport ADVAN GR Supraが,最終コーナーで飛び出したマシンに前を塞がれる形になりながらも,何と唯一1分9秒台のタイムをたたき出してコースレコードを更新する速さを見せ,6戦目にして4回目となるポールを獲得しました。そのタイムを更新すべくアタックを敢行した立川祐路&石浦宏明組のZENT CERUMO GR Supraでしたが,あとちょっとで1分10秒を切るところまでいったものの,2番手タイムに留まりました。3番手タイムは,前戦のポールシッターであった松田次生&R.クインタレッリ組のMOTUL AUTECH Zでした。
GT300クラスは,今季久々にタッグを組んだかつての黄金コンビである新田守男&高木真一組が駆るK-tunes RC F GT3が最速タイムを刻み,高木自身4年ぶりとなるポールを獲得しました。今回のポール獲得で,高木が自ら持つ最多ポール獲得回数記録を14に伸ばしています。2,3番手タイムは,それぞれ井口卓人&山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORT,吉本大樹&河野駿佑組のSyntium LMcorsa GR Supra GTで,トップ3は全てダンロップタイヤユーザーでした。
以上のように予選終了後GT300クラスについては入力していました。ところが,それ以後に正式発表があり,一旦はポール獲得かと思われたK-tunes RC F GT3でしたが,予選後に行われた車検において,レースの成績に応じて搭載されていくサクセスウエイトに関して,同マシンは規定された重量より軽くなっていたことから,そのペナルティーとして予選タイムが全て抹消されることになりました。そのため,予選順位が1つずつ繰り上がり,今日行われる決勝レースのポールは井口卓人&山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTということになりました。
2022/09/17(土)
◎自身初(MotoGP)
○第15戦アラゴンGPがドライコンディションとなったモーターランド・アラゴンで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。
MotoGPクラスは,来季からワークスへの昇格候補の一人だったものの,惜しくも昇格が叶わなかったプラマック・レーシングのJ.マルティンが,自身初となる初日総合トップタイムをマークしました。ここまでランクトップを行くモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが,マルティンからわずか1000分の74秒遅れで総合2番手でした。マルティンのチームメイトで,来季も同じ体制となることが決まっているJ.ザルコが,クアルタラロから1000分の33秒遅れの総合3番手でした。今回から復帰することになったレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスは,ホンダ勢ではトップとなる8番手タイムで初日を終えています。この大会開幕前に来季も続投が決まったLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,フリー走行1では4番手タイムと好発進を決めましたが,フリー走行2ではホンダ勢では2番手となる11番手タイムでした。
Moto2クラスは,フレックスボックスHP40のA.カネトが,第9戦カタルニアGP以来今季2度目となる初日総合トップタイムをマークしました。来季MotoGPクラスへの昇格が前日に発表されたレッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスが,フリー走行1ではトップタイムでしたが,フリー走行2のタイムで初日総合2番手でした。CAGスピードアップのA.ロペスは,フリー走行1で3番手タイムをマークし,フリー走行2でも同様で,初日総合でも3番手タイムでした。フェルナンデスをタイトル争いで追うイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,やや出遅れた11番手で初日を終えています。
Moto3クラスは,昨年この大会を制しているレオパード・レーシングのD.フォッジアが,今季3戦連続6度目となる初日総合トップに立ちました。前戦で他車にぶつけられるという不運に見舞われたステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢は,転倒に見舞われるアクシデントはあったものの,総合2番手タイムをマークしました。フォッジアがチームメイトであるD.オルガドが,総合3番手タイムで初日を終えています。他のフル参戦日本人ライダー勢は,トップ10圏内で終了することができず,レオパード・レーシングの鈴木竜生が12番手,MTヘルメッツMSIの山中琉聖が14番手,ホンダ・チーム・アジアの古里太陽が15番手,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が20番手でした。
2022/09/16(金)
◎出場(JRR)
○今シーズンのJSB1000クラスでの注目は,何といってもずっと連勝記録を続けている中須賀克行が,その記録をどこまで伸ばすかということでしょう。ただ,もちろんそうしたチャンピオン争いという側面が一番注目となる訳ですが,若手の台頭という側面も重要で,その代表格が今季Honda Suzuka Racing Team からフル参戦している亀井雄大の活躍でしょう。ホンダの社内チームである同チームですが,ホンダ社内とは言え,ワークスではなく完全にプライベートチームで,ライダー自らチームの車を運転してサーキットに来たりしていて,人数も毎回限られたものでしかありません。そのような体制ながら,優勝こそないものの,ポールや表彰台を獲得したりしています。その亀井ですが,先週末に次戦の会場である岡山国際サーキットで行われた公開テストにおいて,転倒を喫してしまって鎖骨を2カ所骨折するという大怪我を負ってしまいました。プレートで骨折箇所を止める手術が行われることになり,岡山での大会を欠場することを発表していました。ところが,昨日発表があり,14日(水)に手術したばかりにもかかわらず,痛みがあまりないようで,医師からの許可も出たことから,当初の予定を変更して岡山での大会に出場することになりました。ただし,今日走行してみて,その後走行するかどうか最終判断をするということです。
もう1人当初の予定にはなかったライダーが出場することになりました。それは,かつてはスズキのワークスライダーとして活躍し,近年は自らのチームを立ち上げて上位争いに加わる活躍を見せていた加賀山就臣です。今シーズンの加賀山は,昨シーズンをもってライダーとしては卒業し,YOSHIMURA SUZUKI RIDEWINのチームマネージャーとして活動しています。同チームは渡辺一樹を擁してJSB1000クラスにフル参戦していますが,その渡辺が鈴鹿8耐での活躍を認められ,先日のMotoGPに続き,今度はEWCシリーズのボルドール24時間耐久レースにヨシムラSERT Motulから出場することになりました。そこで,その代役として加賀山に白羽の矢が立ったのです。まあ,チームマネージャーという立場の彼ですから,正確には自ら白羽の矢を立てたという表現が正しいのかもしれませんが・・・。いずれにしても,今季初となる彼の熱い走りを期待したいと思います。
2022/09/15(木)
◎復活(MotoGP)
○今週末は,モーターランド・アラゴンにおいて第15戦アラゴンGPが開催されます。その大会で,2人のライダーが参戦することになりました。そのまず筆頭にあげられるのが,何といってもレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスでしょう。2020年の第2戦スペインGPで転倒し,右上腕を骨折して以後,無理して出場したりしたこともあって3度もの手術をし,さらに欠場が続いていました。一旦は復帰したものの,やはり完調とはいえない状況が続いていて,例えば予選では速いライダーの後をずっと追い続けてタイムを出したりと行った,好調時のマルケスからは想像できないようなことさえもせざるを得ない姿を見せていました。こうした体調を考えて医師団と相談した結果,第8戦イタリアGPをもって欠場し,4回目の手術を施すという決断に至っていました。手術は順調に済み,その後の回復具合も同じく順調だったことから,先日第14戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGP終了後に行われた今季最後のオフィシャルテストに出場しました。100日ぶりの走行となったそのテストでは,ホンダ勢ではトップタイムをマークし,万全ではないながらも予想以上の走りを見せました。こうしたことを受け,新たな段階のリハビリとして,アラゴンGPに参加することになり,チームから一昨日に発表がありました。マルケスにとってアラゴンは得意とするサーキットの1つですので,復帰するのにもってこいでしょうし,左コーナーが多いという特徴がありますので,右腕への負担が,他のサーキットに比べると軽いというのも好都合です。アラゴンでの走りによっては,その次の日本GPへの参戦も十分期待できるのではないでしょうか。大いに期待したいところですね。
2人目は,MotoGP引退後ヤマハのテストライダーを務めているC.クラッチローについてです。ヤマハについては,サテライトチームであるウィズユー・ヤマハMotoGPから今季参戦していたA.ドビツィオーゾが,シーズン途中ながら母国開催であるサンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPをもって引退しました。そして,その替わりとしてクラッチローがアラゴンGPからシーズン終了まで参戦することになりました。今シーズンのヤマハのMotoGPマシンであるYZR-M1は,エースライダーで昨年のチャンピオンであるF.クアルタラロは好結果を残しているものの,他のヤマハライダーは全員優勝争いからはほど遠いところでの走りとなっています。ドビツィオーゾが引退する決断を下したことには,このことが少なからず影響しているものと言えます。そうした状況ですので,テストライダーであるクラッチローが実戦を通して開発するという流れは,ヤマハにとても有効なのではないかと思われます。
2022/09/14(水)
◎契約延長(MotoGP)
○株式会社ホンダ・レーシング(HRC)から発表があり,今シーズンで契約が切れるLCRホンダ・イデミツの中上貴晶が,来季も継続してフル参戦することになりました。中上の契約については,シーズン途中までは,今シーズン限りで,来季は現在Moto2クラスでチャンピオン争いをしているイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍が最高峰クラスへステップアップするのではないかという噂が中心となっていました。しかし,後半に入ってからその噂が随分変わってきていました。というのも,小椋自身が来季MotoGPクラスへのステップアップを臨んでいないという発言を行ったからです。小椋にとっての現段階でのモチベーションは,Moto2クラスでのタイトルを獲得することで,来季も継続して同クラスに参戦することを希望しているということなのです。ここ数年のホンダは,マシンの戦闘力がかなり不足していて,特に今シーズンはトップ10フィニッシュさえままならない状況で,コンストラクター争いでは最下位となっています。これはホンダとしてはあってはならない状況で,来季型のマシン開発は相当な覚悟が必要です。ところが,ワークスであるレプソル・ホンダは,M.マルケスは残留するものの,P.エスパルガロはガスガスのワークス(実質はKTM)へ移籍することが決まっていて,その空いたシートにはこれまでスズキのマシンしか走らせたことがないJ.ミルが座ることになっています。また,サテライトであるLCRホンダについては,A.マルケスの移籍も決まっていて,その空いたシートには,これまたミルと同様のA.リンスが座ることも決まっています。もちろんエースであるマルケスが開発の中心となるわけですが,彼の体調はまだ完璧ではありませんから,継続性という点で中上の力は必要となります。今回の契約延長は,十分必要性があってのことと言えるでしょう。
中上の契約延長の前日には,ドゥカティのサテライトチームの1つであるムーニーVR46レーシング・チームから発表があり,今季同チームからフル参戦しているL.マリーニが来季も継続して参戦することが発表されています。この発表に関しては,十分予想されたことですので,やはりという印象です。来季の契約については,通常最高峰であるMotoGPクラスが決まって以降にMoto2,Moto3クラスと順に決まっていきます。まだ未定のMotoGPクラスのシートは,来季P.エスパルガロが所属するガスガス・テック3のシート1つのみとなりました。
2022/09/13(火)
◎早くも(インディカー)
○まだ9月の中旬に入ったばかりですが,早くもアメリカンフォーミュラカーの最高峰である『NTTインディカー・シリーズ』が最終戦を迎えました。最終戦の会場は『コークスクリュー』で有名なカリフォルニア州モントレーにあるラグナセカです。唯一のフル参戦日本人ドライバーである佐藤琢磨は,今シーズンからデイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングに移籍してシーズンに臨んでいました。しかし,思うような成績を収めることができないままシーズンが進んでいきましたので,最終戦はいい形で終えたいところでした。ところが,予選から思うようにペースを上げることができず22番グリッド獲得にとどまり,決勝でもトップ争いからほど遠いところでのバトルとなりました。波に乗れていないときにはアクシデントが起きやすくなるものですが,この最終戦でもそのアクシデントに見舞われてしまいました。このシリーズは接触が起きがちなところがあり,イエローコーションがレース中複数回起きることは珍しくありません。ところが最終戦は平穏なレースが続き,レース中盤に唯一となるフルコースイエローが提示されました。そして,レースが再開となったときに啄磨は他のマシンと接触してしまい,その際,以前痛めていた右手親指をさらに痛めることになってしまいました。本人のコメントによると,亀裂骨折に見舞われたのではないかということです。手負いの状態,そして完調なマシンでなければ思うような結果を得ることができず,最終的に23位で今シーズンを終える結果となってしまいました。このレースで優勝したのは,日本でもお馴染みのチップ・ガナッシ・レーシングからフル参戦しているA.パロウでした。3位に入ったのがチーム・ペンスキーのW.パワーで,彼が2014年以来自身2度目となるチャンピオンを獲得しています。
2022/09/12(月)
◎初優勝(F1)
○第16戦イタリアGPの決勝レースが,大勢のティフォシの声援が鳴り響くモンツァ・サーキットで行われました。ペナルティーなどによりグリッド降格処分を受けているドライバーが全ドライバー中9名ととても多い大会となりましたが,その中の1人がここまでランクトップを行くレッドブルのM.フェルスタッペンでした。予選2番手ながら5グリッド降格となって7番グリッドからスタートしたフェルスタッペンでしたが,ペースに勝る彼は,前戦と同じく走る毎にポジションをアップしていき,2周目には3位に,5周目には何と2位にまで浮上していきました。それに対して,ランク2位を行くフェラーリのC.ルクレールはポールからスタートすると,チームにとっての母国GPですのでその声援の後押しを受けるかのように好スタートを切ってトップの座を守っていきました。トラブルに見舞われてストップしたマシンが現れたことで11周目にバーチャル・セーフティーカーが導入されると,その翌周にルクレールがピットインしてタイヤ交換に。それに対してフェルスタッペンはタイヤ交換を延ばす作戦を採りました。そうしたことからフェルスタッペンはついにトップに立ちました。その後フェルスタッペンはタイヤ交換を延ばす作戦を採っていき,1度目のタイヤ交換を済ませて2位でコースに復帰。速いペースを刻んでトップのルクレールを追いました。ルクレールが2度目のタイヤ交換に入ると再びフェルスタッペンがトップに浮上し,さらに後続との差を広げて行きました。47周目にトラブルが発生したマシンが出たことからフルコースイエローとなり,これを見たフェルスタッペンはピットインしてタイヤ交換。ルクレールが3回目のピットインしたことから,フェルスタッペンのトップは変わりませんでした。このトラブルは思った以上に時間を要したためになかなかイエローが解除とならず,最終的にイエローのままでチェッカーとなりました。この結果フェルスタッペンがトップでチェッカーを受けて今季11勝目を飾り,ルクレールが2位,3位にはメルセデスAMGのG.ラッセルが入っています。レッドブルのS.ペレスは6位,アルファタウリのP.ガスリーは8位に入ってポイントを獲得しています。ペナルティーで最後尾からスタートとなった角田裕毅は,思うようにペースアップを果たすことができず,最終的に14位でのチェッカーとなりました。

◎ワンツー(WEC)
○第5戦富士6時間レースの決勝レースが,快晴となった富士スピードウェイで行われました。3年ぶりに行われた日本での開催ですが,前日の予選では,今季から導入されているハイパーカーでトヨタとしては初となるフロントローを地元で独占しました。その流れは決勝でも変わらず,ポールからスタートしたM.コンウェイ&小林可夢偉&J-M.ロペス組のトヨタGR010ハイブリッド7号車がトップを守り,2番グリッドからスタートしたS.ブエミ&B.ハートレー&平川亮組のトヨタGR010ハイブリッド8号車が2番手を守りました。しばらくはその順で推移したのですが,2スティント目に入っておよそ1時間40分弱が経過した頃に8号車が7号車を交わしてトップに立ちました。その後,どうしたことか7号車のペースが思うように上がらず,逆に8号車は順調に速いペースを刻んでいき,両者の差はどんどんついていきました。残り1時間を切った頃に最後のピットインを済ませましたが,その頃にはギャップが50秒まで広がっていました。結局,8号車がそのまま逃げ切ってトップでチェッカーを受け,遅れは取ったものの7号車は同一周回でチェッカーを受け母国での大会をワンツーで飾りました。トップから2周遅れではありましたが,3位にはA.ネグラオ&N.ラピエール&M.バキシビエール組のアルピーヌA480・ギブソンが入っています。
2022/09/11(日)
◎母国で PART1(F1)
○第16戦イタリアGPの予選が,好天に恵まれたモンツァ・サーキットで行われました。今日行われる決勝レースでは,PU交換のペナルティーや,アルファタウリの角田裕毅のような累積によるペナルティーによって,9人ほどライバーのグリッド降格が決まっています。その中の1人が,ここまで圧倒的な強さでランクトップをいくレッドブルのM.フェルスタッペンです。それに対して,ランク2位につけているフェラーリのC.ルクレールは,ペナルティーがなく予選の順位がそのままグリッドとなります。ただ,有力なドライバーに降格が決まっていますので,上位につけておればフロントローからのスタートができるというところもあります。しかし,チームのホームGPに燃えるルクレールは,そうしたことはものともせず,果敢にアタックをしていき,ファイナルラップで最速タイムを刻み今季8回目となるポールを獲得しました。ファイナルアタック前までフェラーリのワンツー状態だったのですが,そのファイナルアタックでグリッド降格が決まっているフェルスタッペンが意地を見せ,ルクレールからわずかコンマ1秒遅れの2番手タイムをマークしました。ファイナルアタック前までトップだったフェラーリのC.サインツは,3番手で予選を終えています。アルファタウリ勢は,P.ガスリーがQ3まで進出して9番手タイムでした。角田裕毅は,Q2まで進出しましたが,決勝は最後尾が決まっていることがあってか,Q2の走行はキャンセルしています。
なお,決勝のグリッドですが,ポールはルクレールと変わりませんが,2番グリッドが予選6番手であったメルセデスAMGのG.ラッセル,3番グリッドが予選7番手だったマクラーレンのL.ノリスとなっています。

◎母国で PART2(WEC)
○MotoGPやF1と同じく,コロナ禍により2年間開催中止となっていた富士スピードウェイでの世界耐久選手権(WEC)が無事開幕していて,昨日その予選が行われました。今季のWECは,レギュレーション変更により新たなマシンであるハイパーカーが導入されています。今回がこのシリーズの第5戦となるのですが,ここまでのTOYOTA GAZOO Racingの予選は,前戦である第4戦ルマン24時間でポールを獲得したものの,他の3戦はポールを獲得することができていませんでした。3年ぶりに行われる母国でのレースだけに,TOYOTA GAZOO Racingとしては何としても予選でも結果を残したいところですが,その意欲が予選結果にしっかりと現れました。この予選でポールを獲得したのは,前戦と同じくM.コンウェイ&小林可夢偉&J-M.ロペス組のトヨタGR010ハイブリッド7号車でした。それからわずか100分の2秒差で,S.ブエミ&B.ハートレー&平川亮組のトヨタGR010ハイブリッド8号車が2番手タイムをマークし,TOYOTA GAZOO Racingがフロントローを独占しました。3番手タイムは,A.ネグラオ&N.ラピエール&M.バキシビエール組のアルピーヌA480・ギブソンでした。
2022/09/10(土)
◎破談(F1)
○レッドブル及びアルファタウリのパワーユニット(PU)に関しては,昨シーズンまでホンダ製のものを使用していました。しかし,昨シーズンをもってホンダがF1から撤退することになり,当初はホンダからPUに関する知的財産を受け継ぎ,レッドブルが開発したものを使用することになっていました。というのも,レギュレーションは2025年まで現行のものが使用され,2026年から新たなレギュレーションが導入されることになっていますので,ホンダの財産を受け継ぐという形を採ってもレッドブルの力をもってして可能だと思われるからです。実際,レッドブルはその方向性を受けてメルセデス等からエンジニアを採用していました。ところが,その方向性に変化が生じ,PUのブランド名こそレッドブルとなっていますが,現行レギュレーションが用いられる2025年まではホンダとの関係を継続し,製造に関してはホンダ(HRC)が担当することになって現在に至っています。そのような中,ドイツの自動車メーカーであるポルシェがF1復帰を目指すべく活動を開始し,その際,レッドブル・テクノロジーの株式を50%取得し,レッドブルはポルシェ製のPUを搭載するという流れが生まれてきました。かつてF1でも様々な栄冠を獲得したポルシェの復帰だけに,誰しも2026年からのレッドブルは,ポルシェ製のPUで参戦するものと思っていました。逆に私たち日本人にとっては,いよいよレッドブルとホンダとの協力関係がなくなり,寂しい思いがあったのも事実です。ところが,最近になってその噂に変化が生じてきました。何と,レッドブル・レーシングのチーム代表であるC.ホーナーやレッドブルのモータースポーツコンサルタントのH.マルコがポルシェとの契約に反対していて,両者の提携話がうまくまとまらないのではないかという噂が浮上してきていたのです。それは単なる噂に留まらず,レッドブル側からその事を認めるような発言も出てきていました。そして,昨日ポルシェから正式な声明が出され,2026年以降のF1参戦に関するレッドブルとの交渉は終了したと発表されました。ただ,レッドブルとの提携話が破断しただけで,ポルシェがF1への参戦自体を諦めたわけではありません。今回の破談は,発言力,影響力を高めた形でF1に復帰したいポルシェ側と,これまで通り独自性を維持したいレッドブル側との思惑違いが原因のようです。2026年からレッドブルはPUをどうするのか気になるところですが,当初の予定通り,レッドブルが昨年独自に創設したPU製造会社である『レッドブル・パワートレインズ』が担当することになるようです。ただ,私たち日本人としては,ホンダとの協力関係が2026年以降も継続するという流れが生まれるのではないかという期待が生じたことも確かでしょう。

◎母国GPで(F1)
○サマーブレイクが明けて以降3週連続開催となるF1ですが,その3つ目のレースとなる第16戦イタリアGPが開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。好天に恵まれたモンツァ・サーキットで行われた走行で総合トップタイムをマークしたのは,チームにとって今回が母国GPとなるフェラーリのC.サインツでした。総合3番手タイムをチームメイトであるC.ルクレールがマークし,ワンツーとはなりませんでしたが,母国GPで好スタートを切っています。そのフェラーリ勢の間に入ってワンツーを阻止したのは,先週のレースで今季10勝目を挙げて着々とタイトル防衛の足固めをしてきているレッドブルのM.フェルスタッペンでした。チームメイトのS.ペレスは,6番手タイムで初日を終えています。アルファタウリ勢は,P.ガスリーが14番手,角田裕毅が15番手でした。フリー走行1で8番手タイムをマークしていた角田ですが,今シーズン累積した戒告処分が5回に達したため,ペナルティーで10グリッド降格することが決まっています。
2022/09/09(金)
◎残り3に(MotoGP)
○次々と来季のシートが決まってきているMotoGPクラスですが,昨日も来季の契約に関して発表がありました。ドゥカティのサテライトチームの1つであり,昨シーズン限りで2輪レースから引退した生ける伝説V.ロッシのチームでもあるムーニーVR46レーシング・チームから発表があり,今シーズン同チームからフル参戦しているM.ベツェッキが,来季も継続して参戦することが決定しました。チームとベツェッキは,既に2023年までの契約が結ばれてはいましたが,正式にその契約を確認したような感じではあります。チームメイトであるL.マリーニの契約については,今回発表されませんでした。ただ,今シーズンの活躍を見ると,そして彼がロッシの異父兄弟ということを考えてもチームに残留することは間違いないのではないかと思われます。とはいえ,何が起こるか分からないのがレースの世界ですから,正式発表があるまでは油断できないのも確かでしょう。
今回の発表により,残されたMotoGPクラスのシートは,今回のムーニーVR46レーシング・チーム,LCRホンダ,そして今季と同じくKTMのマシンながら来季からガスガスのブランドで参戦することになったテック3の計3チーム3つのシートということになります。ただ,ムーニーVR46レーシング・チームに関しては,上記したようにマリーニの残留の線がほぼ間違いないでしょうし,LCRホンダについては,中上貴晶の残留という線が強くなってきているようです。仮に中上でなくなったとしても,小椋藍が座ることは間違いありません。ということは,予想が立たないのはガスガス・テック3のシート1つということになりそうです。ちなみに,テック3KTMファクトリーレーシングとしてR.ガードナーとR.フェルナンデスの2人で今季参戦している同チームですが,フェルナンデスについては,今季までヤマハのサテライトとして活動し,来季からアプリリアのサテライトとして活動することになったRNFへの移籍が決定しています。昨年のMoto2クラスチャンピオンであるガードナーについては,残念ながら既にKTMから今季限りで契約を解除することが伝えられています。ガスガスはKTM陣営ですので,ガードナーがガスガスへ移籍することはあり得ません。ですから,来季のガードナーは,MotoGPクラスへの参戦は不可能で,Moto2クラスに返り咲くか,SBKを中心とした他のカテゴリーへ転身するしか方法はありません。
2022/09/08(木)
◎スピード向上(MotoGP)
○2日間にわたって行われる今シーズン最後のオフィシャルテスト最終日の走行が,第14戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPの会場だったミサノ・ワールド・サーキット−マルコ・シモンチェリで行われました。最終日の走行は,チーム・スズキ・エクスターとドゥカティのサテライトの1つであるムーニーVR46レーシング・チームが走行をキャンセルしていて,他のドゥカティ勢は午前中で走行を切り上げています。そのような中で行われた走行で,この日総合トップタイムをマークしたのは,昨年のチャンピオンであるモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロでした。このタイムは,2日間を通じての総合トップでもあり,非公式ながらこのサーキットのオールタイムベストを更新するものでした。コーナリング性能は申し分ないものの,最高速に難があるといわれているヤマハのYZR-M1ですが,クアルタラロ等のコメントによると,来季型のマシンはその点が向上しているようで,クアルタラロとしてはポジティブに捉えているようです。総合2番手タイムをマークしたのは,前日にトップタイムだったドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアで,このタイムは,テスト総合でも2番手タイムでした。総合3番手タイムをマークしたのは,このところ表彰台獲得が珍しくなくなってきているアプリリア・レーシングのM.ビニャーレスで,上位2人と同じく2日間総合でも3番手でした。タイムとしてはいい結果が残ったアプリリアですが,もう1人のA.エスパルガロが転倒を喫し,左手小指に亀裂が入る傷を負ってしまい,近日中に精密検査を受ける予定となったようです。前日が100日ぶりの走行となったレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスは,初日こそ午前中で走行を切り上げましたが,この日は終日走行していて,2日間合計で100周走行しました。マシンの戦闘力不足によって不調を極めるホンダ勢ですが,マルケスが最高位となる総合13番手タイムでテストを終えています。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,2日間総合15番手でテストを終了しています。これで今季のオフィシャルテストは終了し,次のテストは例年通り最終戦バレンシアGP終了後にサーキット・リカルド・トルモで行われる2023年シーズン最初のオフィシャルテストとなります。
2022/09/07(水)
◎復帰&テストでも(MotoGP)
○週末に行われた第14戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPは,ドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアが2年連続ポールトゥーフィニッシュを飾って終了しました。MotoGPクラスのチームやライダーはそのまま同地に留まり,昨日から2日間にわたって行われる今シーズン中最後のオフィシャルテストが始まりました。今回のテストは今シーズン残りの大会を目指してということはもちろん,来季型マシンの開発に向けてという側面も大きくなっています。それだけに,ワークスチームを中心に,今季から残留となるライダーには,来季型マシンのプロトタイプが提供されて開発作業が進められることになります。そうしたことを受け,4度目の手術を受けるために欠場が続いていたレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスが,医師団の許可が下りていることから今回のテストに復帰することになりました。また,各メーカーのテストライダーも参加しています。今季限りでMotoGPから撤退するスズキに関しては,来季型のマシンを投入する必要がなく,残りのシーズンに向けた開発が進められることになりますし,怪我で欠場しているJ.ミルの代役として今季MotoEチャンピオンであるD.エガーターを起用しています。Moto2クラス等で活躍した経歴を持つエガーターですが,MotoGPクラスは彼自身初の経験となります。
そのオフィシャルテスト初日は,レースで勝利したバグナイアが総合トップタイムをマークしました。バグナイアだけでなく,他のドゥカティ勢のライダーがトップを独占した今回の大会ですが,テストでもその流れは変わらず,総合2番手がムーニーVR46レーシング・チームのL.マリーニ,FP2における3,4,5番手がそれぞれプラマック・レーシングのJ.マルティン,ムーニーVR46レーシング・チームのM.ベツェッキ,プラマック・レーシングのJ.ザルコとなっていて,トップ5を独占しています。ただ,チームやライダーによってはテストメニューが随分違いますので,単純にタイムを比較することは余り意味がないのも事実です。ちなみに総合3番手がアプリリア・レーシングのA.エスパルガロ,総合5番手がチームメイトのM.ビニャーレスとなっていて,今季好調なアプリリア勢が,テストでもその流れを保っています。なお,イタリアGP決勝レースから100日ぶりの走行となったマルケスは,来季に向けたマシンのテストを続けていき,総合19番手で初日を終えていますが,まだ体調が十分でないことから,2日目のテストに向けてこの日は午前中の走行で切り上げています。同じホンダ勢であるLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,新しいフェアリング等をテストしながら,総合20番手で初日を終えています。
2022/09/06(火)
◎どちらに?(F1)
○来季のシート争いも気になる時期に入っていますが,来季もHRC製パワーユニットを使用するアルファタウリのドライバーがどうなるのか注目される状況になっています。というのも,同チームのエース的立場にあるP.ガスリーのシートに関して2つの状況が浮上してきているのです。まず,ガスリー自身ですが,どうやらアルピーヌから接触されているようなのです。レッドブルの支援を受けてきた彼ですが,そろそろその立場から離脱するような流れができてきています。その1つがアルピーヌとの交渉です。アルピーヌからは,来季のドライバーとして白羽の矢が立っているようで,レッドブル側も条件さえ揃えばそれを認めることになるようです。その条件というのが,現在インディカー・シリーズにアンドレッティ・オートスポーツからフル参戦しているC.ハータの動向です。そのハータは,かつてインディカーシリーズとその前身であるチャンプカーでかつやくしたB.ハータの息子であり,このシリーズで7回優勝を果たしています。どうやらレッドブルは彼にF1参戦を促しているようで,両者の間で基本合意は成立しているようなのです。ただ,問題となるのはF1に参戦するための絶対条件であるスーパーライセンスを彼は現在獲得できていないということです。ライセンス獲得には規定されているレースで合計40ポイント獲得する必要があるのですが,彼は現段階で32ポイントしか獲得できていません。現状では不可能な状況なのですが,レッドブル側が主張しているのが,コロナ禍における特例です。この2年間,コロナ禍でレースが通常通りには開催できておらず,ポイント獲得が十分できない状況がありました。そのため,FIAが認めた場合,40ポイント到達してなくてもスーパーライセンスが与えられるというものです。ただ,ほとんどのチームが特例を認めるべきではないという考えを持っていて,FIA側も安易に認めないことが十分考えられます。もしハータのライセンス獲得がならなかった場合,ガスリーの移籍をレッドブルは認めないというのです。果たしてどちらに落ち着くのか,しばらく目が離せない状況となっています。なお,角田裕毅のシートも決まっていませんが,今回のガスリーとハータの動きには,彼は関係しないようです。
2022/09/05(月)
◎4連勝(MotoGP)
○第14戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPの決勝レースが,好天に恵まれたミサノ・ワールド・サーキット−マルコ・シモンチェリで行われました。
MotoGPクラスは,レース序盤にポールからスタートしたドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーをはじめとしたライダーが転倒するアクシデントが発生したりする中,予選では2番手タイムだったものの,フリー走行1での低速走行のペナルティーにより3グリッド降格のペナルティーが科せられていたドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアが好スタートを切りました。その後トップに立ったバグナイアを含めた4台によるトップ争いへと変わっていきましたが,それでもバグナイアのトップは維持していきました。終盤に入ってアプリリア・レーシングのM.ビニャーレスとのトップ争いとなり,そのビニャーレスが遅れを取り出すと,グレシーニ・レーシングMotoGPのE.バスティアニーニが2位に浮上し,来季のチームメイト同士によるバトルとなりました。この2人の争いはファイナルラップまで続きましたが,バグナイアが最後までバスティアニーニを押さえきり,見事4連勝を達成しました。MotoGPクラスにおける4連勝は,史上4人目となります。3位には,4秒以上の遅れは取りましたが,ビニャーレスが入って今季4回目の表彰台を獲得しています。このサーキットは得意としているはずなのですが,なかなか速いタイムを刻むことができなかったLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,22番グリッドからスタートし,何とかぎりぎりポイント圏内となる15位でチェッカーを受けています。チーム・スズキ・エクスターのJ.ミルの代役参戦している渡辺一樹は,初めてのMotoGPクラスでやはり苦労していて,順位は最下位ながら,無事完走を果たしています。なお,今大会限りでMotoGPから引退することになっているウィズユー・ヤマハMotoGPのA.ドビツィオーゾは,見事ポイント圏内の12位でチェッカーを受けています。
Moto2クラスは,3番グリッドからスタートしたプラスエゴ・スピード・アップのA.ロペスが,いい蹴り出しでトップに立ちました。その後,2位争いが白熱したこともあってペースが上がらなくなったため,2位以下との差を広げることに成功しました。結局,最後までトップの座を守り,自身初となる勝利を収めました。ロペスの独走を許した形となった2位争いは,フレックスボックスHP40のA.カネトが入り,3位には,レッドブルKTMアジョのA.フェルナンデスが入っています。この大会をランクトップで迎えたイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍でしたが,このレースウィークは思うような走りを展開することができず,それでも5位でチェッカーを受けています。ランクトップ争いを展開しているフェルナンデスが3位でしたから,小椋がトップの座を譲ることになり,2人のポイント差は4となっています。
Moto3クラスは,中盤に入ってレオパード・レーシングのD.フォッジアがトップに立つと,最後までそのポジションを守り抜き,そのままトップでチェッカーを受けました。3台による2位争いとなりましたが,2位にレッドブルKTMアジョのJ.マシア,3位にガビオタ・ガスガス・アスパー・チームのI.グエバラが入っています。フル参戦日本人ライダー勢は,レオパード・レーシングの鈴木竜生が6位,MTヘルメッツMSIの山中琉聖が13位に入ってポイントを獲得しています。ウィークを通して上位に顔を出すことができなかったCIPグリーン・パワーの鳥羽海渡とホンダ・チーム・アジアの古里太陽は,それぞれ19位,21位とポイント圏外でのチェッカーでした。前戦の勝者であるステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢は,オープニングラップで他車から追突されてしまい,残念ながらリタイアに終わっています。

◎2年連続(F1)
○第15戦オランダGPの決勝レースが,ドライコンディションとなったザントフォールト・サーキットで行われました。母国の声援を受けてポールからスタートしたレッドブルのM.フェルスタッペンは,好スタートを切ってトップに立ちました。ペースに勝るフェルスタッペンは,タイヤ交換のタイミングのずれでトップの座を奪われることはありましたが,それでも確実にトップに返り咲きました。ピットインの回数を減らす作戦を採ったメルセデスAMG勢では,G.ラッセルがチームメイトのL.ハミルトンを交わして表彰台争いに加わり,最終的にフェルスタッペンが2位に入ったラッセルに4秒以上の差をつける独走で今季10勝目を挙げました。この勝利は,母国GPを2年連続ポールトゥーフィニッシュで飾ったことになります。3位には,フェラーリのC.ルクレールが入っています。レッドブルのS.ペレスは,ピット作戦が功を奏したメルセデスAMG勢に遅れを取り,5位でチェッカーを受けています。予選でQ3まで進出を果たして期待されたアルファタウリの角田裕毅でしたが,左リアにトラブルが発生したようで,これが原因でマシンをコース脇に止めざるを得なくなり,残念ながらリタイアに終わっています。P.ガスリーも上位に加わるほどのペースが出せず,ポイント圏外の11位でチェッカーとなっています。
2022/09/04(日)
◎4年ぶり&独占(MotoGP)
○第14戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPの予選が,不安定な天候となったミサノ・ワールド・サーキット−マルコ・シモンチェリで行われました。
MotoGPクラスは,コースの所々で降雨を知らせるレッドクロスの旗が振られる状況となっていて,Q2開始直後はタイヤ選択でウェットとドライが混在しての走行となりました。しかし,路面が完全ウェットとなることはなく,しかもドライタイヤで走行しているライダーのタイムが上がってきていることから,ウェットを選択したライダーがドライへと履き替えていくようになりました。走行するたびにドゥカティ勢を中心にしてトップタイム更新合戦が繰り広げられていくようになり,今季限りでドゥカティを離れ,来季からKTMへと移籍することが決まっているドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーが最終盤に入ってトップタイムをマークし,その後誰もこのタイムを上回ることができなかったため,ミラーにとっては4年ぶりとなるポールを獲得しました。ミラーのチームメイトで,ここまで3連勝を飾ってこの大会を迎えているF.バグナイアが,ミラーからわずか1000分の15秒差で2番手タイムをマークしました。来季ミラーが抜けたシートに座ることになっているグレシーニ・レーシングMotoGPのE.バスティアニーニが3番手,4番手がムーニーVR46レーシング・チームのM.ベツェッキで,ドゥカティ勢が予選でも速さを見せてトップ4を独占しています。初日のフリー走行1でスロー走行をしたため,バグナイアは3グリッド降格のペナルティーが決まっているものの,ベツェッキが4番手でしたから,今日行われる決勝レースは,ドゥカティ勢がフロントローを独占することに変わりはありません。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,初日に続いて下位での走行となり,他のホンダ勢全員と同じくQ1から出場してここで敗退し,決勝は22番グリッドからスタートすることになります。今回怪我で欠場しているチーム・スズキ・エクスターのJ.ミルの代役として参戦している渡辺一樹は,中上に続いた23番グリッドからのスタートを決めています。
Moto2クラスは,ムーニーVR46レーシング・チームのC.ビエッティが,転倒するアクシデントに見舞われたものの,トップタイムを事前にたたき出していて,第9戦カタルニアGP以来5戦ぶりにポールを獲得しました。2,3番手は,それぞれインデ・ガスガス・アスパー・チームのA.アレナス,プラスエゴ・スピード・アップのA.ロペスがマークしています。ここまでランクトップに立っているイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,トップからおよそコンマ5秒遅れの8番手タイムでした。
Moto3クラスは,レッドブルKTMテック3のD.オンジュが,第8戦イタリアGP以来となる最速タイムを刻み,今季3度目のポールを獲得しています。2,3番手にそれぞれレッドブルKTMアジョのD.オルガド,MTヘルメッツMSIのD.モレイラがつけ,さらにそのモレイラのチームメイトである山中琉聖が4番手タイムをマークし,KTM勢がトップ4を独占しています。他のフル参戦日本人ライダー勢は上位に顔を出すことができず,レオパード・レーシングの鈴木竜生が16番グリッド,ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢が17番グリッド,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が24番グリッド,ホンダ・チーム・アジアの古里太陽が27番グリッド獲得にとどまっています。

◎僅差で(F1)
○第15戦オランダGPの予選が,この日もドライコンディションとなったザントフォールト・サーキットで行われました。今回が母国GPとなるレッドブルのM.フェルスタッペンは,初日こそトラブルに見舞われて思うような走行ができませんでしたが,地元の声援に後押しをされるように予選では速さを取り戻していて,Q2こそ3番手タイムの終わりましたが,Q1でトップ,そしてQ3でもトップタイムをマークし,今季4度目となるポールを獲得しました。フェルスタッペンにおよそ100分の2秒遅れを取ってしまいましたが,フェラーリのC.ルクレールが2番手タイムをマークし,そのチームメイトであるC.サインツが3番手タイムを出していて,フェラーリ勢も好調さを維持しています。フェルスタッペンのチームメイトであるS.ペレスは,ラストアタックでスピンを喫してしまってタイムアップがならず,5番グリッド獲得となっています。アルファタウリ勢では,まだ来季のシートが決まっていない角田裕毅が速さを見せ,自身今季4度目となるQ3進出を果たし,9番グリッドを獲得しています。P.ガスリーはQ2で敗退し,今日行われる決勝レースは11番グリッドからのスタートとなります。
2022/09/03(土)
◎独占(MotoGP)
○第14戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPがドライコンディションとなったミサノ・ワールド・サーキット−マルコ・シモンチェリで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。
MotoGPクラスは,来季からドゥカティワークスに昇格することが先日発表されたグレシーニ・レーシングMotoGPのE.バスティアニーニが,今季2度目となる初日総合トップに立ちました。総合2番手タイムは,そのバスティアニーニと来季チームメイトとなるドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアでした。ただ,そのバスティアニーニは,FP1でライン上をゆっくり走行して後ろから来たライダーたちにとって危険な走行となってしまったため,3グリッド降格のペナルティーが科されることが決まっています。バグナイアのチームメイトで,来季はKTMに移籍することが決まっているJ.ミラーが総合3番手タイムでした。4番手タイムをプラマック・レーシングのJ.ザルコがマークし,初日はドゥカティ勢がトップ4を独占しています。来季の去就が決まっていないLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,16番手タイムで初日を終えています。また,怪我で欠場しているチーム・スズキ・エクスターのJ.ミルの代役として参戦している渡辺一樹は,FP1で規定となっているトップからの105%ルールを破ることができませんでしたが,FP2では何とか突破し,トップから4秒以上遅れた最下位でMotoGP初走行日を終えています。
Moto2クラスは,FP1でトップタイムだったムーニーVR46レーシング・チームのC.ビエッティのタイムをFP2で誰も破ることできず,彼が自身初となる初日総合トップに立ちました。FP2でトップタイムだったプラスエゴ・スピード・アップのA.ロペスが,総合では2番手となっています。FP1で2番手タイムだったインデ・ガスガス・アスパー・チームのM.パシーニは,FP2で転倒を喫してしまったものの,FP1のタイムで初日総合3番手に立っています。イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,FP2を9番手で終えています。
Moto3クラスは,レオパード・レーシングのD.フォッジアがトップタイムをマークし,自身今季5度目となる初日総合トップに立ちました。そのチームメイトである鈴木竜生は,初日総合3番手タイムでした。その鈴木と前戦で激しいトップ争いをしてそれを制したステリルガルダ・マックス・レーシング・チームの佐々木歩夢は,トップからおよそ4秒弱離されたものの,総合2番手タイムをマークして好調さを維持しています。他のフル参戦日本人ライダー勢は,MTヘルメッツMSIの山中琉聖が7番手タイムをマークしてトップ10圏内で初日を終えました。CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡は20番手,ホンダ・チーム・アジアの古里太陽は22番手で初日を終えています。

◎ワンツー発進(F1)
○3週連続開催となるF1ですが,その2つ目のレースとなる第15戦オランダGPが,好天に恵まれたザントフォールト・サーキットで開幕しました。ここが母国GPとなるレッドブルのM.フェルスタッペンですが,FP1でギアボックスにトラブルが発生してしまい,まともに周回できないままで終了してしまいました。FP2ではそのトラブルが解消して走行できましたが,8番手タイムで母国GP初日を終えています。そのレッドブルとライバル争いを展開しているフェラーリ勢が好調で,C.ルクレールが初日総合トップ,C.サインツが総合2番手タイムをマークし,フェラーリ勢がワンツー発進しています。前戦で他のマシンと接触してしまったメルセデスAMGのL.ハミルトンでしたが,この日は総合3番手タイムで終えています。アルファタウリの角田裕毅は,トップ10まであとわずかである11番手でした。角田のチームメイトであるP.ガスリーと,フェルスタッペンのチームメイトであるS.ペレスは奮わず,それぞれ16番手,12番手で初日を終えました。
2022/09/02(金)
◎離脱&加入(MotoGP)
○8月30日(火)にKTMとアプリリアから来季の体制に関する発表を行いました。
まず,KTMから発表があり,今季レッドブルKTMファクトリーレーシングからフル参戦しているM.オリベイラとの契約を今季限りで解除することになりました。さらに,KTMのサテライトチームであるテック3KTMファクトリーレーシングからフル参戦しているR.フェルナンデスとの契約も,同様に今季限りで解除することも併せて発表がありました。オリベイラとフェルナンデスは,共にKTMの育成プログラムである『MotoGP KTM GPアカデミー』に所属してきているライダーで,今回の発表はそこを卒業することにもなります。
次に,同日アプリリアとRNFチームから発表があり,オリベイラとフェルナンデスが来季から同チームに所属し,アプリリアのライダーとして参戦することになりました。今回発表があったRNFチームは,昨年までペトロナス・ヤマハSRTという別名でフル参戦していて,ペトロナスのMotoGP撤退を受けて新たな体制を組み,ウィズユー・ヤマハRNF MotoGPチームとして参戦しているものの,ヤマハのサテライトという立場には変わりがありませんでした。しかし,RNFとしては1年限りでヤマハと袂を分かち,来季から新たにアプリリアのサテライトとして参戦することになりました。この結果,来季のヤマハは,ワークスチームのみでのフル参戦となり,逆に今季サテライトを有していないアプリリアが,来季から2チーム4台体制ということになったわけです。今季のRNFチームは,A.ドビツィオーゾ&D.ビンダーという体制で臨んでいますが,既にドビツィオーゾが今季限りでMotoGPから引退することが決まっています。オリベイラ&フェルナンデスが加入することになってシートが埋まりましたので,ビンダーがシートを失うことも決定しました。ただし,そのビンダーの去就については,今回発表がありませんでした。噂によると,MotoGPクラスでのシートを獲得するのがかなり厳しく,今季Moto3クラスからMotoGPクラスへ飛び級したこともあって,参戦した経験がないMoto2クラスへの転向もビンダー自身視野に入れているようです。
2022/09/01(木)
◎ようやく(MotoGP)
○株式会社ホンダ・レーシング・コーポレーション(HRC)から発表があり,現在スズキのワークスであるチーム・スズキ・エクスターからフル参戦し,2020年のチャンピオンでもあるJ.ミルと来季から2年間の契約が成立しました。もちろんチームはレプソル・ホンダ・チームで,既に2024年までの長期契約が成立しているM.マルケスのチームメイトということになります。今シーズン途中で突然スズキから発表があり,今シーズン限りでMotoGPから撤退することになりました。まさに寝耳に水の状態で,今季同チームからフル参戦しているミルとA.リンスは来季以降もスズキのマシンを駆ることになるとみられていました。そのような見通しで突然の発表があっただけに,両ライダー共に急遽来季以降のシートを確保する必要が出てきていました。そのような流れの中で,ミルについては,結構早い段階でレプソルへの加入が噂されるようになっていて,実際今季レプソルからフル参戦しているP.エスパルガロが今季限りでチームを離れ,来季はKTMのワークスライダーに復帰することが発表されていました。シートが1つ空いたわけですから,そこにミルが座ることになるのは明白で,いつ発表があってもおかしくない状態でした。ところが,なかなか発表がなく,その間にリンスがホンダのサテライトであるLCRホンダ・カストロールへの移籍が発表されていました。そして,ようやく一昨日に行われた今回の発表に至っています。今回の発表により,スズキのワークスライダーである2人は,来季チームこそ違え,同じRC213Vを駆る(といっても,ワークスとサテライトでは微妙に仕様が違うでしょうが。)ことになるわけです。来季のホンダの体制については,ワークスが決定し,サテライトについては,LCRの1つは埋まり,あとは今季中上貴晶が所属しているLCRホンダ・イデミツのシートがどうなるのかが未定となっています。ほぼ間違いなく中上がシートを失い,Moto2クラスでタイトル争いを展開している小椋藍がそこに座るものと思われていました。ところが,ここにきて流れが変わってきて,小椋自身来季MotoGPクラスへの昇格を見合わせるという発言を行うようになっているのです。もしそうなると,中上の1年残留という線が濃くなってきます。中上もコメントしているように,現在のRC213VはMotoGPクラスの中でもっともと言えるほど戦闘力が低く,4台全車がポイント圏内での争いがようやくといった状況にあります。それだけに,小椋がルーキーとしてMotoGPマシンを駆る時,より一層苦労するのはほぼ間違いなく,実際中上のチームメイトであるA.マルケスが,ホンダに所属してMotoGPクラスに昇格以来結局ここまでほとんどいい活躍ができないまま,来季ドゥカティへ移籍することになってしまいました。ただ,現段階で小椋がMoto2クラスのランクトップに立ちましたので,今季のタイトル獲得も少しずつですが可能性が見えてきています。果たしてホンダの残り1つのシートがどうなるのか,しばらくは先行き不透明なまま進行しそうな感じがしますね。
 

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