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最新ニュース

2020/11/30(月)
☆ダブル表彰台(F1)
○第15戦バーレーンGPの決勝レースが,照明に照らされたバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われました。この日のレースはいきなり大荒れとなり,オープニングラップのターン3で複数台が絡むアクシデントが発生しました。その中でも衝撃的だったのはハースのR.グロージャンで,ターン2付近で発生した接触が次々に付近のマシンに影響を与え,ターン3でグロージャンはアルファタウリ・ホンダのD.クビアトと接触してしまいました。コントロールを失ったグロージャンはガードレールに激しくクラッシュ。マシンが2つにもぎ取られる形になり,ガソリン系統から出火してグロージャンが乗っていた部分が激しく燃え広がってしまいました。もちろんレースは即座に赤旗中断となりましたが,幸いなことにモノコックとHALOに護られ,グロージャンは自力でマシンから脱出しました。火傷をしたり,骨折の疑いがあったりしているようですが,命さえ危うい状況だっただけに,彼の運のよさと,近年のマシンの安全性が幸いしました。レースは事故発生前のSCライン2通過時点の順でリスタートを行い,ポールからスタートしたメルセデスAMGのL.ハミルトンは,最初のスタートと同様にダッシュを決めてトップの座を守りました。それに対して2番グリッドスタートしたメルセデスAMGのV.ボッタスは,最初のスタートで失敗し,順位を下げていました。3番グリッドからスタートしたレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンは,最初のスタートで2位に浮上していて,リスタートはそのポジションを守りました。序盤にクビアト(この日は本当についてません)とレーシングポイントF1のL.ストロールとが接触し,ストロールのマシンがひっくり返るというアクシデントが発生したため,セーフティカーが導入される事態となりました。ちなみに,クビアトには10秒加算のペナルティが科されています。その後は,ピットインのタイミングの違いで順位に変動はあったものの,トップ2は順調に走行を続け,そのままの順でチェッカーを受けました。荒れた展開となった今回のレースは,終盤に入っても牙をむきました。その対象となったのは今度もまたレーシングポイントF1で,3位を走行していたS.ペレスのマシンにトラブルが発生してしまいました。白煙を上げ始めたペレスのマシンは,さらに激しく出るようになり,コース脇に止めたときにはマシン後方が燃える事態となってしまいました。これにより4位を走行していたレッドブル・ホンダのA.アルボンが3位に浮上し,その後その順位を守っていってチェッカーとなりました。これにより,レッドブル・ホンダ勢はダブル表彰台獲得となりました。他のホンダ製パワーユニット勢ですが,アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーは6位でチェッカーを受けてポイントを獲得しています。この日全くついていなかったクビアトは,惜しくも11位でレースを終えています。既にハミルトンのチャンピオンは決まっていますが,今回のレース結果により,ボッタスとフェルスタッペンの2人がランク2,3位になることも決定しています。ただ,2人の差はわずか12ポイントですから,残り2レースとなった現在,ランク3位のフェルスタッペンが2位に浮上する可能性はまだ残されています。

☆大逆転(SGT)
○今季最終戦となる第8戦の決勝レースが,富士の裾野に広がる富士スピードウェイで曇り空の低い気温の中で行われました。GT500クラスは,6台が自力でチャンピオン獲得可能な大混戦となっていますが,ポールは平川亮&代役参戦している山下健太組のKeePer TOM'S GR Supraが獲得していました。あちらこちらでバトルやアクシデントが発生する中,同マシンはトップに立つと順調に2位との差を広げて行きました。その2位には,山本尚貴&牧野任祐組のRAYBRIG NSX-GTが浮上していました。両車の差は一時15秒以上開いていましたが,終盤に入って状況に変化が出てきました。トップを行くKeePer TOM'Sのペースが徐々に落ちてきて,差が確実に詰まってきて,3秒を切る状況となりました。それでも,残り周回数がなくなって逃げ切りがかのうとなり,最終周に入りました。誰もがポールトゥーフィニッシュで戴冠かと思われた時,最終コーナーでマシンがストップしてしまったのです。ペースが落ちていたのは,どうやら燃料の残量に不安があったからだったようで,何と最後の最後で燃料切れに陥ってしまったのです。ストップしたマシンの横をRAYBRIG NSX-GTが通り過ぎ,同車がトップチェッカーを受け,山本尚貴&J.バトン組でチャンピオンを獲得した2018年以来となるタイトルを決めました。もちろん,牧野にとっては初のタイトルとなります。11月27日(金)付けのこのページでお伝えしたように,RAYBRIGは今季限りでブランドがなくなりますので,これがラストランとなり,その時にチャンピオンを決めるという何ともメモリアルなレースとなりました。3位には,関口雄飛&S.フェネストラズ組のau TOM'S GR Supraが入っています。
GT300クラスは,ポールからスタートした吉田広樹&川合孝汰組の埼玉トヨペットGB GR Supra GTが,抜群のスタートを切った2番グリッドの井口卓人&山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTにトップの座を奪われてしまいました。両車は激しいトップ争いを演じていきますが,なかなかBRZを交わすことができませんでした。しかし,ピットインでブリヂストンを履く埼玉トヨペットがタイヤ無交換作戦を採ったのに対し,低い路温やピックアップ等に苦しんだダンロップを履くBRZは4輪交換せざるを得ず,埼玉トヨペットがトップに立ちました。その後も順調にトップを守って行き,開幕戦以来となる今季2勝目を,2位に40秒以上の大差をつける独走で獲得しました。BRZがペースを落とす中,藤波清斗&J.P.デ.オリベイラ組のリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが2位でチェッカー受け,今シーズンのタイトルを決めました。このタイトルは,チームにとっても,ドライバーにとっても初となります。3位には,阪口良平&小高一斗組のADVICS muta MC86が入っています。
2020/11/29(日)
☆独占 PART1(F1)
○第15戦バーレーンGPの予選が,曇り空ながらドライコンディションとなったバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われました。予選前に行われたFP3では,レッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンがトップタイムをマークしていて,ポール獲得との期待が持たれましたが,残念ながら結果はいつものように(?)なってしまいました。今回もポールを獲得したのは,既に前戦で今季のチャンピオンを決めているメルセデスAMGのL.ハミルトンでした。さらに,2番手タイムをマークしたのがV.ボッタスで,メルセデスAMG勢がフロントローを独占しました。ポール獲得とならなかったフェルスタッペンでしたが,しっかりと3番手タイムをマークしています。さらに,チームメイトのA.アルボンが4番手タイムをマークし,2列目はレッドブル勢が独占する結果となりました。アルファタウリ・ホンダ勢も好調で,P.ガスリーが8番手,D.クビアトが10番手タイムをマークしていて,ホンダ製パワーユニット勢は,4台全てがトップ10入りを果たしています。

☆独占 PART2(SGT)
○今季最終戦となる第8戦の予選が,ドライコンディションとなった富士スピードウェイで行われました。GT500クラスは,タイトルの可能性が10チームにあるという大混戦となっていて,どのチームが最後に笑うことになるのか例年以上に注目となります。当然スタートポジションが大きな影響を与えますので,どのチームも一段と熱くなったのではないかと思います。そのような状況の中,残り1分となったところでタイム更新合戦が始まりました。その戦いを制してポールを獲得したのは,平川亮&山下健太組のKeePer TOM'S GR Supraでした。このポール獲得により,平川はボーナスポイントを得てランクトップに立ちました。山下は代役参戦ですので,ランキング争いには実質上関係していません。ポールが1分26秒台ですが,2,3番手も同じく1分26秒台をマークしています。その2,3番手は,それぞれH.コバライネン&中山雄一組のDENSO KOBELCO SARD GR Supra,関口雄飛&S.フェネストラズ組のau TOM'S GR Supraでした。さらに,立川祐路&石浦宏明組のZENT GR Supraが4番手タイムをマークしていて,ここがホームコースとなるトヨタがトップ4を独占しました。
GT300クラスは,6台がコースレコードを更新するという激戦となりましたが,その中で1秒以上の更新を果たした吉田広樹&川合孝汰組の埼玉トヨペットGB GR Supra GTがポールを獲得しました。川合にとっては,これが自身初のポールとなります。GT500クラスでトヨタのSupraがトップ4を独占しましたが,両クラスともポールがSupraでしたから,この点でも独占となります。2,3番手は,それぞれ井口卓人&山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORT,阪口良平&小高一斗組のADVICS muta MC86でした。
2020/11/28(土)
☆全車(F1)
○第15戦バーレーンGPがバーレーン・インターナショナル・サーキットで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。この日の走行では,来季に向けて2021年型のタイヤテストも組み込まれました。また,トワイライトレースとして行われるこの大会ですが,その決勝レースが行われる時間帯にあたるのがこの日のFP2ですが,そのFP2ではレッドブル・ホンダのA.アルボンがクラッシュしたり,犬が紛れ込んだという情報があったりして,2回赤旗が提示されるセッションとなりました。そのような中でトップタイムをマークしたのは,既に今季のチャンピオンを決めているメルセデスAMGのL.ハミルトンでした。ハミルトンのマークしたタイムは,この日唯一となる1分28秒台でした。そのハミルトンからおよそコンマ3秒遅れで,レッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンが2番手タイムをマークしています。FP1ではワンツー発進だったメルセデスAMG勢でしたが,FP2ではV.ボッタスが3番手タイムとなり,フェルスタッペンに総合タイムでワンツーを阻止されています。他のホンダ製パワーユニット勢も比較的好調で,アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーが6番手,チームメイトのDA.クビアトが9番手でした。クラッシュに見舞われたアルボンでしたが,それでも10番手タイムをマークしていて,全車トップ10入りを果たしています。
2020/11/27(金)
☆今季限り(SGT)
○GT500クラスにフル参戦しているTEAM KUNIMITSUといえば,常に『RAYBRIG』のロゴがマシンに飾られています。このRAYBRIGは,同チームを長年サポートしてきた『スタンレー電気』のブランドで,その関係は1994年から始まっていて,今年で26年となります。つまり,SGTの前身であるJGTCからずっとこのRAYBRIGブランドを身に纏ってきたことになります。まさにGTにおいては,TEAM KUNIMITSU=NSX=RAYBRIGという関係性が形作られていて,それが当たり前という感覚になっています。しかし,その感覚は今季限りで変えていかないといけない状況となりました。それは,昨日スタンレー電気から,来年3月をもって,これまで親しまれてきたRAYBRIGブランドを終了するという発表があったからです。この発表と呼応して,TEAM KUNIMITSUから発表があり,今週末に富士スピードウェイで行われる最終戦が『RAYBRIG NSX-GT』としての最後のレースとなります。なお,スタンレー電気の自動車用品については,来年度から『STANLEY』のブランドに統合されることになっています。TEAM KUNIMITSUについては,来季以降もSGTへの参戦を継続していきますが,その体制については,来年1月に開催される予定の『東京オートサロン』で発表されることになっています。
2020/11/26(木)
☆ほぼ同じメンバーで(MotoGP)
○昨日は11月23日(月)にFIMから発表された来季の暫定エントリーリストに関して,MotoGPクラスのリストをお伝えしました。本日は,Moto2,Moto3クラスについてお伝えしますが,台数が多いですので,こちらについては日本人ライダーについてのみお伝えします。
まずMoto2クラスですが,今回の発表では今季レッドブルKTMアジョからフル参戦していた長島哲太の名前が入っていません。それに対して,新たに今季Moto3クラスにフル参戦し,一時はランクトップに立つことさえあったホンダ・チーム・アジアの小椋藍が,ランク3位を手土産にMoto2クラスにステップアップすることになりました。チームについては,今季と同じくホンダ・チーム・アジアです。長島については,現段階でその去就に関する情報は入っていません。とはいえ,かなり厳しいことは間違いないでしょう。
Moto3クラスについては,小椋藍がステップアップをしましたが,それ以外のライダーは,チームこそ変わるライダーが多いものの,継続参戦することになっています。ということで,MotoGPクラスの中上貴晶を含め,来季は今季のフル参戦ライダーとほぼ同じ顔ぶれがエントリーすることになっています。なお,具体的なエントリーリストは,以下の表のようになっています。
2021年Moto2・Moto3クラス暫定エントリーリスト(日本人ライダー)
クラス ライダー チーム マシン
Moto2 79 小椋 藍 ホンダ・チーム・アジア カレックス
Moto3 6 山中 琉聖 カーエキスパート・プルエステルGP KTM
24 鈴木 竜生 SIC58スクアドラ・コルセ ホンダ
27 鳥羽 海渡 CIPグリーン・パワー KTM
71 佐々木 歩夢 レッドブルKTMテック3 KTM
92 國井 勇輝 ホンダ・チーム・アジア ホンダ
2020/11/24(水)
☆どちらに(MotoGP)
○最終戦が終わった日の翌日である11月23日(月)にFIM(国際モーターサイクリズム連盟)は,来季の暫定エントリーリストの発表を行いました。ここでは,最高峰クラスであるMotoGPクラスについてお伝えします。来季のシートに関しては,シーズン開幕前にヤマハやホンダから早くも発表がありました。その中では,今季ペトロナス・ヤマハSRTのF.クアルタラロのワークスへの昇格があり,同時に長年ヤマハのワークスライダーとして貢献してきたV.ロッシがワークスチームのシートを失うことも明らかとなりました。ホンダに関しては,M.マルケスとの契約延長の発表があり,しかも2024年までの4年間という長期契約が結ばれました。その後もワークスを中心に発表があり,その後インディペンデントのシートも埋まっていきました。最後に残ったのが,来季も契約延長が成立しているA.エスパルガロのチームメイトが誰になるかというアプリリアのシートでした。その点に関しては,いまだにアプリリアからの正式発表はありませんが,今回の発表ではR.サバドーリの名前が入っています。ただ,これは暫定的なもので,もちろん彼がそのシートに座ることになるかもしれませんが,ドーピング違反で出場停止が続いているA.イアンノーネの代役を多くのラウンドで務めたアプリリアのテストライダーであるB.スミスの昇格という線も消えていません。果たして結果がどちらになるのか気になるところですが,ここでは今回発表された具体的なエントリーリストを以下の表にまとめます。なお,今季と同様,日本人ライダーは中上貴晶のみのエントリーとなります。
2021年 MotoGPクラス暫定エントリーリスト
メーカー チーム ライダー
スズキ 36 チーム・スズキ・エクスター J.ミル
42 A.リンス
ヤマハ 12 モンスター・エナジー・ヤマハMotoGP M.ビニャーレス
20 F.クアルタラロ
21 ペトロナス・ヤマハSRT F.モルビデリ
46 V.ロッシ
ホンダ 44 レプソル・ホンダ・チーム P.エスパルガロ
93 M.マルケス
30 LCRホンダ・イデミツ 中上 貴晶
73 LCRホンダ・カストロール A.マルケス
ドゥカティ 43 ドゥカティ・チーム J.ミラー
63 F.バグナイア
5 プラマック・レーシング J.ザルコ
89 J.マルティン
10 エスポンソラマ・レーシング L.マリーニ
23 E.バスティアニーニ
KTM 33 レッドブルKTMファクトリーレーシング B.ビンダー
88 M.オリベイラ
9 テック3KTMファクトリーレーシング D.ペトルッチ
27 I.レクオナ
アプリリア 32 アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ R.サバドーリ
41 A.エスパルガロ
2020/11/24(月)
☆各種タイトル(MotoGP)
○昨日お伝えしたように,コロナ禍のために変則的になりましたが,今シーズンのMotoGPが終了しました。2輪レースファンとしては,やや寂しくなる時期を迎えることになってしまいました。さて,その最終戦が終了したことにより,MotoGPクラスにおける各種のタイトルが決定しました。具体的には以下の表のようになりますが,最終戦の注目点の1つとなったのは,コンストラクターのタイトルです。前戦でスズキがライダーとチームの2冠を獲得していて,最終戦のリザルトによっては,コンストラクターのタイトルを獲得できることになり,スズキとしては3冠達成の望みがありました。しかし,ご存知のようにミルはトラブルでリタイアに終わり,もう一人のA.リンスは,15位に入って何とか1ポイントのみ積み重ねる結果になりました。それに対して,大会前にはスズキと同ポイントだったドゥカティは,プラマック・レーシングのJ.ミラーが2位に入ってコンストラクターのタイトルを決めました。スズキにとっては,創立100周年,レース活動開始60周年というメモリアルイヤーでの3冠というまたとないチャンスでしたが,惜しくも逃す結果となってしまいました。
2020年 MotoGPクラス各種タイトル
タイトル名 チャンピオン
ライダー J.ミル(チーム・スズキ・エクスター)
チーム チーム・スズキ・エクスター
コンストラクター ドゥカティ
ライダー(インディペンデント) F.モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)
チーム(インディペンデント) ペトロナス・ヤマハSRT
ルーキー・オブ・ザ・イヤー B.ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)
2020/11/23(月)
☆インディペンデント(MotoGP)
○今季最終戦となる第15戦ポルトガルGPの決勝レースが,初開催となるアウトドローモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェで行われました。今年のMotoGPクラスは,コロナ禍により開幕戦が開催されなかったり,レースカレンダーが大幅に変更となって同じ場所で2週連続開催になったりと,これまでとは違う状況の中でのシーズンとなりました。さらに,王者M.マルケスの長期離脱という要素が加わったりして,リザルトにも大きな変化があり,最終戦前までには優勝者が9名に及ぶというこれまたこれまでには見られなかったような状況もありました。そのような中で行われた今季最終戦は,ここが母国GPとなるレッドブルKTMテック3のM.オリベイラがポールからスタートしました。好スタートを切ったオリベイラは,その後どんどん後続との差を広げて行き,序盤から独走態勢に持ち込みました。その後も全く危なげない走りを展開し,最終的に2位に3秒以上の大差をつけて今季2勝目を挙げ,母国GPでポールトゥウィンを達成しました。2位はファイナルラップまでプラマック・レーシングのJ.ミラーとペトロナス・ヤマハSRTのF.モルビデリとの間で争いが繰り広げられ,ファイナルラップで先行するモルビデリを交わしてミラーが2位に浮上し,そのまま逃げ切りました。昨シーズンまではホンダ,ヤマハ,ドゥカティの3メーカーに所属するワークスライダー同士のトップ争いが展開し,時折それに入ることはあるものの,多くはトップ争いの次にインディペンデント(サテライト)チームのライダーがバトルをするという流れでしたが,今季はメーカーも,チームも,そしてライダーも誰が浮上するか全く分からないというのも特徴でした。実際,最終戦のトップ3は全てインディペンデントチームのライダーで,4位にようやくレッドブルKTMファクトリー・レーシングのP.エスパルガロが入ったものの,5位にLCRホンダ・イデミツの中上貴晶が入り,トップ5中4台がインディペンデントチームとなっています。初表彰台を狙った中上でしたが,グリッド順が11番手と中盤になったこともあって,残念ながら表彰台争いに加わることができませんでした。それでも,終盤までタイヤを持たせることができるという彼の特徴が出た最終戦となりました。また,もちろん今季ホンダのエースらしく,最終戦もホンダ勢ではトップでチェッカーを受け,ランキングでもホンダ勢トップで今季を終えています。来季もチーム残留が決まっている中上ですが,今季の貢献を含め,彼には最新型のマシンを供給するべきですし,ホンダの立て直しのためには,レプソルとLCRの両チームがさらにタッグを組んでやっていくべきだと思います。A.プーチがホンダのトップに立っている状況の中で,どこまで,そしてどのようにやるか,その手腕に懸念材料が残りますが・・・。
Moto2クラスは,ポールからスタートしたOnexox TKKR SAGチームのR.ガードナーと2番グリッドからスタートしたスカイ・レーシング・チームVR46のL.マリーニによるトップ争いとなりました。場合によっては逆転タイトルもあり得る2人のバトルは終盤まで続き,最後はガードナーがマリーニを振り切って自身初勝利を挙げました。元GPチャンピオンであるW.ガードナーを父にもつ彼ですが,その父が最後に優勝したのが1992年8月に行われた第11戦イギリスGPですので,28年の時を経て親子優勝を果たしたことになります。ただ,最高峰クラスと中量級クラスという違いはありますので,2022年シーズン以降に最高峰クラス親子優勝が実現できるといいですね。3位には,こちらも逆転タイトルの可能性があったエストレージャ・ガルシア・マークVDSのS.ロウズが入っています。そのチャンピオン争いですが,ランクトップで最終戦を迎えたイタルトランス・レーシング・チームのE.バスティアニーニは,5位でチェッカーを受けてトップの座を守り,キャリア通算7年目で初タイトル獲得となりました。開幕戦を制し,シーズン序盤は好結果を残してきたレッドブルKTMアジョの長島哲太は,シーズンが進むに連れて尻すぼみ状態となりましたが,最終戦もその流れに変化はなく,何とかポイント圏内では終了できたものの,14位で最終戦を終えています。昨日お伝えしたように,今季でシートを失うことになっていますので,新たなチームを長島は見つけなければならない状況となっています。仮にチームが見つかったとしても,GP残留自体がどうなるか,来季が正念場になることは間違いないでしょう。
Moto3クラスは,レッドブルKTMアジョのR.フェルナンデスが,ポールからスタートする後続との差を広げて行きました。そして,最終的に2位に6秒近い大差をつける独走でトップでチェッカーを受け,今季2勝目をポールトゥーウィンで達成しています。2,3位には,それぞれレオパード・レーシングのD.フォッジアとコマーリング・グレシーニMoto3のJ.アルコバが入っています。チャンピオン争いは可能性のあるライダー同士が激しいバトルを展開していきました。このクラスらしくまさに団子状態での走行が続いていきましたが,ランクトップをいくガビオタ・アスパーチームMoto3のA.アレナスは集団の中でヒヤリとする場面があったりしましたが,12位でチェッカーを受け,わずか4ポイント差でのチャンピオン獲得となりました。チャンピオン獲得のチャンスがあった一人であるホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,アレナスらとのバトルを演じながらポジションアップを図りましたが,残念ながらトップ争いから遅れてしまって,最終的に8位でのチェッカーとなりました。同じくチャンピオン争いのライバルであるリバコールド・スナイパーズ・チームのT.アルボニーノが5位でチェカーを受けたことから,小椋とアルボニーノが同ポイントで並び,今季優勝を経験しているアルボニーノがランク2位に浮上し,小椋は1つランクを下げる結果となりました。来季の小椋は,Moto2クラスに同じチームからステップアップすることが決まっています。勝負強さが彼の持ち味ですので,Moto2クラスでもその力を存分に発揮して欲しいですね。他の日本人ライダー勢ですが,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢が13位,レッドブルKTMアジョの鳥羽海渡が15位で,何とかポイント圏内で最終戦を終えています。エストレージャ・ガルシア0,0の山中琉聖は17位,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝は22位で完走を果たしたものの,上位争いに加わっていたSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生は転倒リタイアに終わっています。リタイアに終わった鈴木は,これで4戦連続リタイアでシーズンを終えたことになります。以前から指摘しているように,色々な場面での振る舞いを含め,レースでの戦い方を今一度じっくり見つめ直しをする必要が彼にはあると思います。幸いなことに来季もチーム残留が決まっていますが,来季こそ正念場になることは十分予想されます。速さを持つ彼だけに,その才能をうまく活かしていってほしいものです。
2020/11/22(日)
☆初ポール(MotoGP)
○今季最終戦となる第15戦ポルトガルGPの予選が,ドライコンディションとなったアウトドローモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェで行われました。MotoGPクラスは,残り3分を切ったところで一旦前戦の勝者であるペトロナス・ヤマハSRTのF.モルビデリがトップタイムをマークしました。しばらくそのタイムを更新するライダーは現われなかったのですが,残り1分を切ったところでここが母国GPとなるレッドブルKTMテック3のM.オリベイラがタイムを更新し,自身初となるポールを獲得しました。3番手タイムは,プラマック・レーシングのJ.ミラーがマークしています。この大会がレギュラーライダーとして最後となるLCRホンダ・カストロールのC.クラッチローは,惜しくもフロントローは獲得できませんでしたが,4番グリッドを獲得して自身最後の予選を終えています。そのチームメイトであるLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,前日の転倒で指を痛め,予選直前に行われたFP4でも転倒を喫してしまいました。これらが影響したのか,今季の彼としては後方となる11番グリッド獲得にとどまっています。
Moto2クラスは,来季はチームを移籍してこのクラスにフル参戦することが決まっているOnexox TKKR SAGチームのR.ガードナーが,トップタイムをマークし,第5戦のオーストリアGP以来となる今季2度目のポールを獲得しました。2番手タイムは,前日に総合トップタイムだったスカイ・レーシング・チームVR46のL.マリーニがマークしています。3番手タイムは,このところ好調な走りを見せているスピードアップ・レーシングのF.ディ.ジャンアントニオが3番手タイムをマークし,第11戦アラゴンGP以来今季2度目となるフロントローを獲得しました。昨日所属するレッドブルKTMアジョが来季の体制を発表し,このチームでのシートを失うことが決定した長島哲太は,10番手タイムで予選を終えています。来季のシート獲得のためにも,尻すぼみ状態がずっと続いている今の状況を,一挙に打破する決勝での走りが必要となります。
Moto3クラスは,日本人ライダー勢が好結果を残す予選となりました。ポールはレッドブルKTMアジョのR.フェルナンデスが獲得し,2番手タイムをコマーリング・グレシーニMoto3のJ.アルコバがマークしました。そして,それに次ぐ3番手タイムをレッドブルKTMテック3の佐々木歩夢がマークし,昨年7月に行われた第9戦ドイツGP以来となるフロントローを獲得しました。さらに,4番手タイムをSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生がマークし,逆転タイトルを狙うホンダ・チーム・アジアの小椋藍が6番手となりました。ちなみに,彼とタイトル争いをしているランクトップをいくガビオタ・アスパーチームMoto3のA.アレナスは,小椋に次ぐ6番グリッドとなっています。ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝,レッドブルKTMアジョの鳥羽海渡,エストレージャ・ガルシア0,0の山中琉聖は,それぞれ15番手,17番手,最下位の31番手で予選を終えています。
2020/11/21(土)
☆初日初トップ(MotoGP)
○3週連続開催となるMotoGPですが,その3つ目のレース,そして今季最終戦となる第15戦ポルトガルGPがアウトドローモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。前戦でチーム・スズキ・エクスターのJ.ミルのチャンピオンが決まっているMotoGPクラスは,エスポンソラマ・レーシングのJ.ザルコがトップタイムをマークし,彼にとって最高峰クラス参戦4年目にして自身初となる初日総合トップタイムをマークしました。そのザルコからおよそコンマ1秒遅れで,来季もチーム残留が決まっているモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのM.ビニャーレスが総合2番手タイムでした。さらに,そのビニャーレスからおよそコンマ1秒遅れで,こちらもチーム残留が決まっているアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニのA.エスパルガロが総合3番手タイムでした。自身初の表彰台,優勝を狙うLCRホンダ・イデミツの中上貴晶ですが,FP2のこれからタイムアップしていこうかとしているところで転倒を喫してしまったため,総合12番手で初日を終えています。
Moto2クラスは,最高峰クラスへのステップアップが決まっているスカイ・レーシング・チームVR46のL.マリーニがトップタイムをマークし,第8戦エミリア・ロマーニャGP以来今季3回目となる初日総合トップに立ちました。総合2番手タイムは,トップと14ポイント差のランク2位につけているエストレージャ・ガルシア・マークVDSのS.ロウズマークしました。そして,ロウズから1000分の16秒差で総合3番手タイムをマークしたのが,フレックス・ボックスHP40のL.バルダッサーリでした。ある程度予想されたとはいえ,どうやらチーム残留が叶わないレッドブルKTMアジョの長島哲太は,総合16番手で初日を終えています。
Moto3クラスは,ガビオタ・アスパーチームMoto3のA.アレナスが,昨年9月に行われた第13戦エミリア・ロマーニャGP以来となるとなる初日総合トップに立ちました。総合2番手にコマーリング・グレシーニMoto3のJ.アルコバが総合2番手に立ち,それに次いでSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が総合3番手タイムをマークしています。他のフル参戦日本人ライダー勢は,逆転でチャンピオン獲得を目指すホンダ・チーム・アジアの小椋藍が総合9番手タイムと期待が持てるスタートを切っています。レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢が17番手,レッドブルKTMアジョの鳥羽海渡が19番手,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が23番手,エストレージャ・ガルシア0,0の山中琉聖がブービーの30番手で初日を終えています。
2020/11/20(金)
☆新規参入(MotoGP)
○11月18日(水)にスペインのオートバイメーカーの1つである『GASGAS(ガスガス)』から発表があり,Moto3クラスにおけるKTM陣営の1つであるアスパル・チームとタッグを組んでMoto3クラスに参入することになりました。ライダーは,S.ガルシアとI.グェバラとなります。GASGASといえば,これまでトライアルやエンデューロなどで数々の栄冠を獲得してきて,オフロードのイメージが強いメーカーです。現在はKTM傘下のメーカーの1つで,今季Moto3クラスにおいてステリルガルダ・マックス・レーシング・チームとタッグを組んでいるハスクバーナも同様です。今回の発表によると,使用するマシンはGASGAS独自のものではなく,KTMのRC250GPとなります。つまり,KTMとしては,ブランドイメージを高めるための一環と考えていいのかもしれません。
2020/11/19(木)
☆昇格&継続(MotoGP)
○中・軽量級クラスにフル参戦しているホンダ・チーム・アジアが,11月17日(火)に来季の体制について発表を行いました。今回発表を行った同チームは,世界で活躍できるアジア人ライダーを発掘・育成するため,ホンダと出光興産がタッグを組んで発足したチームです。2013年から活動を始めましたが,その初年度の高橋裕紀をはじめ,これまでに中量級クラスでは,現在MotoGPクラスでホンダのエース的役割を果たしている中上貴晶やMoto2クラスにフル参戦している長島哲太が所属しました。軽量級クラスでは,尾野弘樹や鳥羽海渡が所属した経歴があります。今シーズンの同チームは,Moto2クラスはタイ人ライダーのS.チャントラとインドネシア人ライダーのA.ファリド・イズディハール,Moto3クラスが小椋藍と國井勇輝というラインナップです。今回の発表によると,ライダーのメンバーには変化がなく,フル参戦するクラスに変化が生じています。まずMoto2クラスは,チャントラは継続するものの,新たに現在Moto3クラスでランク2位につけ,最終戦の結果次第ではチャンピオンを獲得する可能性がある小椋藍がステップアップを果たすことになりました。それに対して,Moto3クラスは國井勇輝は継続するものの,小椋のステップアップに伴ってMoto2クラスでのシートを失うことになったイズディハールがこのクラスで戦うことになりました。
2020/11/18(水)
☆全20戦(MotoGP)
○新型コロナウイルス感染拡大によって,今シーズンのレースカレンダーは当初の予定とかなり違った状況で行わざるを得ませんでした。現段階でその感染状況がどうなるのか全く予想がつかない状況ではありますが,11月6日(金)にFIM(国際モーターサイクリズム連盟)から来季のレースカレンダーの暫定版が発表されました。それによると,レース数は全部で20戦となり,開幕戦は今季と同じくロサイル・インターナショナル・サーキットで行われるカタールGPとなります。最終戦についても例年通りで,リカルド・トルモ・サーキットで行われるバレンシアGPとなっています。残念ながら今季は開催中止となったツインリンクもてぎで行われる日本GPは,例年よりやや早い10月3日に第16戦として決勝レースが行われる予定になっています。第10戦に復活するフィンランドGPが組み込まれていますが,開催地であるキュミリングにはホモロゲーションが必要となっています。その次に行われる第11戦については,今回の段階では未定となっています。予想では,ブルノ・サーキットで行われるチェコGPになるのではないかといわれているようです。なお,今回発表された具体的なレースカレンダーは,以下の表のようになっています。また,感染状況によっては,今季と同じく大幅な予定変更になる可能性があります。もちろん,そうならないことを願いますが・・・。
2021年MotoGPレースカレンダー(暫定)
決勝日 大会 サーキット
第1戦 3月28日 カタールGP ロサイル・インターナショナル・サーキット
第2戦 4月11日 アルゼンチンGP アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンド
第3戦 4月18日 アメリカズGP サーキット・オブ・ジ・アメリカズ
第4戦 5月2日 スペインGP ヘレス・サーキット・アンヘル・ニエト
第5戦 5月16日 フランスGP ル・マン-ブガッティ・サーキット
第6戦 5月30日 イタリアGP ムジェロ・サーキット
第7戦 6月6日 カタルニアGP カタルニア・サーキット
第8戦 6月20日 ドイツGP ザクセンリンク
第9戦 6月27日 オランダGP TTサーキット・アッセン
第10戦 7月11日 フィンランドGP キュミリング
第11戦 未定 未定 未定
第12戦 8月15日 オーストリアGP レッドブル・リンク
第13戦 8月29日 イギリスGP シルバーストーン・サーキット
第14戦 9月12日 アラゴンGP モーターランド・アラゴン
第15戦 9月19日 サンマリノGP ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ
第16戦 10月3日 日本GP ツインリンクもてぎ
第17戦 10月10日 タイGP チャン・インターナショナル・サーキット
第18戦 10月24日 オーストラリアGP フィリップ・アイランド・サーキット
第19戦 10月31日 マレーシアGP セパン・インターナショナル・サーキット
第20戦 11月14日 バレンシアGP リカルド・トルモ・サーキット
2020/11/17(火)
☆2人目(WEC)
○11月14日(土)に今シーズンの世界耐久選手権(WEC)シリーズ最終戦となる第8戦バーレーン8時間レースの決勝が,ドライコンディションとなったバーレーン・インターナショナル・サーキットで行なわれました。最終戦を迎えた段階で,最高峰のLMP1クラスは,トヨタGAZOO RacingのトヨタTS050ハイブリッド勢2台によるタイトル争いとなっていました。レギュレーションの改定により,今シーズンでTS050ハイブリッドはラストシーズンとなりますが,いずれにしてもチャンピオンマシンになることは決定しています。WECにはリザルトによってハンディが科されますが,今大会のTS050ハイブリッドに関しては,サクセス・ハンデキャップシステムにより7号車には8号車より1周あたり0.54秒のアドバンテージが設定されています。M.コンウェイ&小林可夢偉&J-M.ロペス組が駆る7号車は,予選でポールを獲得し,決勝レースでもS.ブエミ&中嶋一貴&B.ハートレー組が駆る8号車を引き離していきました。後半に入ってマシン同士の接触によりセーフティカーが導入されて両車の差は10秒ほどに縮みましたが,リスタート後は再び7号車が圧倒的な速さで8号車を引き離していきました。TS050ハイブリッドにとってラスト走行となる最終スティントは,7号車が小林可夢偉,8号車が中嶋一貴の日本人ドライバーが担当しました。速さに勝る7号車は,8号車に1分以上の差をつけてチェッカーを受け,見事今シーズンのチャンピオンを獲得しました。これまでタイトル争いはもちろん,ル・マン24時間でも苦杯をなめてきた7号車ですが,TS050ハイブリッドの最終レースでようやく栄冠を手にしました。可夢偉にとっては,中嶋に次ぐ2人目の日本人WECチャンピオンとなります。なお,LMP1クラスに関しては,今大会にエントリーしているのはトヨタの2台だけでしたので,3位はいません。
2020/11/16(月)
☆初戴冠(MotoGP)
○第14戦バレンシアGPの決勝レースが,ドライコンディションとなったサーキット・リカルドトルモで行われました。MotoGPクラスは,ランクトップをいくチーム・スズキ・エクスターのJ.ミルが,結果次第で今季のチャンピオンが決まるレースとなりました。ポールからスタートしたペトロナス・ヤマハSRTのF.モルビデリは,フリー走行から安定した速い走りを展開していました。決勝レースでもその走りは変わらず,スタートからトップに立つと後続との差を徐々に広げて行きました。そして,最終的に2位に入ったプラマック・レーシングのJ.ミラーとの差は僅差となりましたが,トップでチェッカーを受けて今季3勝目を挙げると共に,ランク2位に浮上しました。ずっとレッドブルKTMファクトリーレーシングのP.エスパルガロが3位を走行していましたが,徐々にペースを上げてきたLCRホンダ・イデミツの中上貴晶に迫られてきました。そして,19周目の最終コーナーで中上が抜きにかかりましたが,抜いた瞬間に転倒を喫してしまい,エスパルガロはすぐに3位に復帰。後はそのまま逃げ切って2戦連続表彰台を獲得しました。気になるタイトル争いですが,ミルのライバルたちは表彰台獲得や優勝が必要だったりしましたが,ミルは必要な位置を守り続け,最終的に7位でチェッカーを受け,新型コロナウイルス感染拡大により混乱した今シーズンを見事に制しました。ミルのタイトル獲得はもちろん自身初ですし,スズキにとってはK.ロバーツJr以来20年ぶりとなります。今年はスズキにとって創立100周年,そしてレース活動60周年というメモリアルイヤーになりますが,それに華を添えるようなミルのタイトル獲得でした。
Moto2クラスは,レッドブルKTMアジョのJ.マルティンとフレックス・ボックスHP40のH.ガルソとのトップ争いが最後の最後まで続き,ファイナルラップでマルティンが初優勝を狙うガルソを交わしてトップチェッカーを受け,第5戦オーストリアGP以来となる今季2勝目を挙げました。3位には,トップからおよそコンマ2秒遅れでスカイ・レーシング・チームVR46のM.ベツェッキが入っています。レッドブルKTMアジョの長島哲太は,23番グリッドからスタートし,12位でチェッカーを受けています。
Moto3クラスは,レース序盤まではレッドブルKTMアジョのT.アルボニーノがトップを独走していましたが,中盤からそれに2台が追いつき,3台による争いが終盤まで続きました。そして,残り2周となったところでリバコールド・スナイパーズ・チームのT.アルボニーノがトップに浮上して差を広げて行き,最終的に2位に入ったエストレージャ・ガルシア0,0のS.ガルシアに1秒以上の差をつけ,昨年6月に行われた第8戦TTアッセン以来となる今季初優勝を挙げました。序盤トップを走っていたアルボニーノは3位でのチェッカーでした。ランクトップをいくガビオタ・アスパーチームMoto3のA.アレナスが4位でチェッカーを受けたのに対し,第2集団から離されて7位争いを展開していたホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,チェッカーギリギリでスカイ・レーシング・チームVR46のA.ミーニョに交わされて8位でのチェッカーとなり,ランク2位は変わらないものの,アレナスとのポイント差が12に広がってしまいました。他のフル参戦日本人ライダー勢ですが,エストレージャ・ガルシア0,0の山中琉聖が15位に入ってぎりぎりポイントを獲得できましたが,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が18位,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢が19位でポイント獲得に至りませんでした。レッドブルKTMアジョの鳥羽海渡とSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生は,上位争いに加わっている中でそれぞれ転倒を喫してしまい,リタイアに終わっています。

☆戴冠タイ記録(F1)
○第14戦トルコGPの決勝レースが,不安定な天候となったイスタンブール・パークで行われました。ハミルトンのタイトルがかかるこの大会は,激しい雨の序盤から,次第に路面が乾いていくという難しいコンディションの中での走行となりました。タイトルに王手をかけているハミルトンは,6番グリッドからのスタートとなりました。序盤はペースが上がらずに苦労しましたが,徐々にペースが上がってくると,ライバルたちの脱落等もあって順位をどんどん回復していきました。そして,気が付けば完全に独走状態に持ち込み,最終的に2位に入ったレーシングポイントのS.ペレスに30秒以上の大差をつける速さと強さを見せ今シーズンのタイトルを決めました。ハミルトンのタイトル獲得は今回で7度目となり,これは皇帝M.シューマッハが持つ記録とタイ記録となります。フェラーリ勢による3位争いとなりましたが,最終的に今季でフェラーリを去ることが決まっているベッテルが制し,一昨年の第4戦アゼルバイジャンGP以来の表彰台獲得となります。ホンダ製パワーユニット勢ですが,レッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンは,スタートで出遅れたり,タイヤに苦しんでコースオフを喫したりして大荒れの展開となりましたが,ホンダ勢では最上位の6位でチェッカーを受けています。チームメイトのA.アルボンが,そのフェルスタッペンからおよそ1.5秒遅れの7位でゴールしています。アルファタウリ・ホンダ勢は,D.クビアトが12位,P.ガスリーが13位でレースを終えています。

☆見えない敵と(SF)
○第4戦の決勝レースが,我が大分県にあるオートポリスで好天の中行われました。今回は予選,決勝共にワンデーで行われました。午後から行われた決勝レースは,序盤に2回あったセーフティカーの導入がレース展開に大きな影響を与えました。ポールからスタートしたTEAM MUGENの野尻智紀がセーフティカー導入を受けて早めに入ったのに対して,3番グリッドからスタートしたDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの山本尚貴は,チームメイトである福住仁嶺のピットインのタイミングということもあったのか,ピットインせずステイアウトを選択しました。トップに立った山本は,いずれ行わなければならないピットインに要する時間である30秒を目指して走行を続けていきました。見た目上はトップではないものの,実質上のトップをいく野尻は,その山本との差を見ながら走行を続けていき,まさに見えない敵同士でのバトルとなりました。30秒差をつけるべく走行を続けた山本でしたが,30周台でピットインしなければならず,残念ながら必要な差をつけることができないままピットインせざるを得ず,山本がコースに復帰したときには,野尻がトップに立っていました。最後の最後まで野尻を追っていった山本でしたが,残された周が足りず,そのままの順でチェッカーとなりました。野尻にとっては,今季初優勝となります。3位には,TCS NAKAJIMA RACINGの牧野任祐が入り,初表彰台を獲得しています。
2020/11/15(日)
☆3戦連続(MotoGP)
○第14戦バレンシアGPの予選が,時折雨がぱらつく不安定な天候となったサーキット・リカルド・トルモで行われました。MotoGPクラスは,Q1のラストアタック時に雨が降って結果に影響が出た感がありましたが,Q2の時はたいした雨にならず,大きな影響は出ませんでした。そのような中,午前中に行われたFP3でトップタイムをマークしたペトロナス・ヤマハSRTのF.モルビデリがトップタイムをマークし,今季2度目となるポールを獲得しました。そのモルビデリからわずか1000分の96秒差で,前日に総合トップタイムだったプラマック・レーシングのJ.ミラーが2番グリッドを獲得しています。そして,トップ2からはややタイム差があったものの,LCRホンダ・イデミツの中上貴晶が3番手タイムをマークし,3戦連続してフロントローを獲得しました。
Moto2クラスは,新鮮な顔ぶれが最上位につけました。まず,ポールポジションを獲得したのは,MVアグスタ・フォワード・レーシングのS.マンツィでした。もちろんこれは自身初のポールとなります。さらに,マンツィから1000分の13秒差で2番グリッドを獲得したのは,こちらも自己最高位となるフレックスボックスHP40のH.ガルソでした。3番グリッドは,上位争いの常連であるスカイ・レーシング・チームVR46のM.ベツェッキが獲得しています。この大会も上位に顔を出すことができていないレッドブルKTMアジョの長島哲太は,Q1で敗退して23番グリッド獲得で終了しています。
Moto3クラスは,KTM勢がフロントローを独占する結果となりました。まずポールを獲得したのは,KTMのMotoGPライダーであるB.ビンダーの実弟D.ビンダーでした。彼にポールは,これが自身初となります。そのビンダーからわずか1000分の43秒差で,レッドブルKTMアジョの鳥羽海渡が2番グリッドを獲得しています。その鳥羽のチームメイトであるR.フェルナンデスが,4戦連続フロントローとなる3番グリッドを獲得しました。他のフル参戦日本人ライダー勢も好調で,ランク2位につけてチャンピオンを狙うホンダ・チーム・アジアの小椋藍が7番手,その小椋の次につけたのがSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が12番手でした。残りのライダーはQ1で敗退となり,エストレージャ・ガルシア0,0の山中琉聖が20番グリッド,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢は26番グリッドでした。

☆23年ぶり(F1)
○第14戦トルコGPの予選が,雨が時折強く降る不安定な天候となったイスタンブール・パークで行われました。Q1では赤旗が提示されるほど激しい雨に見舞われたりして,この雨がいつもと違う予選状況を生み出しました。いつもならメルセデスAMG勢がフロントローを独占しますが,その両者はL.ハミルトンが6番手,V.ボッタスが9番手に留まり,今季初めてメルセデスAMG勢がフロントローを逃しています。それほどまでに難しいコンディションの中でポールを獲得したのは,自身初のポールシッターとなったレーシングポイントのL.ストロールでした。カナダ人ドライバーがポールを獲得したのは,J.ビルヌーブ以来23年ぶりとなります。チームメイトのS.ペレスが3番グリッドを獲得していますので,同チームにとっては祝杯ものの予選となっています。その2人の間に入って2番グリッドを獲得したのは,こちらは最上位争いをいつも演じているレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンでした。他のホンダ製パワーユニット勢は,レッドブル・ホンダのA.アルボンが4番手,アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーとD.クビアトは,それぞれ15番手,17番手で予選を終えています。
2020/11/14(土)
☆2戦連続(MotoGP)
○3週連続開催となるMotoGPですが,その2戦目,そして今季残り2戦目となる第14戦バレンシアGPがサーキット・リカルド・トルモで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。この日総合トップタイムをマークしたのはプラマック・レーシングのJ.ミラーで,前戦に続く2戦連続初日総合トップとなりました。同じ場所で行われた第13戦で惜しくも表彰台を逃したLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,FP1でトップタイムをマークし,FP2でもセッション中盤にトップタイムをマークしました。これをターゲットに他のライダーが走行を続けていきましたが,なかなか更新することができず,中上が初日総合トップに立つかと思いましたが,終盤に入ってミラーにタイムアップされてしまいました。それでも総合2番手タイムとなっています。総合3番手タイムは,ミラーのチームメイトで来季はミラーと共にドゥカティワークスに昇格することが決まっているF.バグナイアでした。
Moto2クラスは,FP1のタイムの方がよかったライダーがいて,その中の1人がFP1でトップタイムだったスピードアップ・レーシングのJ.ナバーロでした。FP2のトップタイムはチームメイトのF.ディ.ジャンアントニオでしたが,ナバーロのタイムの方がよく,彼が昨年8月に行われた第12戦イギリスGP以来となる初日総合トップに立ちました。ジャンアントニオのタイムよりFP1でスカイ・レーシング・チームVR46のL.マリーニがマークしたタイムの方がよく,これが初日総合2番手タイムとなりました。前戦で余り奮わなかったレッドブルKTMアジョの長島哲太は,この日も上位に顔を出すことができず,総合22番手で初日を終えています。来季のことが気になる段階になってきていますが,尻すぼみ状態の長島の去就が気になってきます。
Moto3クラスは,こちらもFP1のタイムの方がよかったライダーがいて,リバコールド・スナイパーズ・チームのT.アルボニーノがFP1でマークしたタイムが彼にとって今季2度目となる初日総合トップになっています。FP2でトップだったレオパード・レーシングのJ.マシアがこのタイムで総合2番手,FP2で2番手だったSIC58スクアドラ・コルセのN.アントネッリがこのタイムで初日総合3番手となっています。フル参戦日本人ライダー勢は,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が総合7番手,ランク2位につけているホンダ・チーム・アジアの小椋藍が総合9番手,そのチームメイトの國井勇輝が総合10番手,以上の3選手がトップ10県内で初日を終えています。他のライダーは,レッドブルKTMアジョの鳥羽海渡が総合13番手,エストレージャ・ガルシア0,0の山中琉聖は総合19番手,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢は総合22番手でした。

☆両セッションとも(F1)
○第14戦トルコGPがイスタンブール・パークで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。当初はカレンダーに組み込まれていなかったトルコGPですが,新型コロナウイルス感染拡大によるカレンダー変更で組み込まれ,2011年以来の開催となります。再舗装された路面は油が浮いているかのような状況で,まるでスケートリンクを走っているかのように,コースのあちらこちらで滑っていくマシンが見られる状況でした。そのような中,レッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンがFP1,FP2共にトップタイムをマークし,初日総合トップで走行を終えています。いつもならメルセデスAMG勢のワンツーとなるところですが,総合2番手タイムはフェラーリのC.ルクレールでした。そして,総合3,4番手タイムにようやくメルセデスAMG勢が並び,それぞれV.ボッタス,L.ハミルトンとなっています。他のホンダ製パワーユニット勢ですが,レッドブル・ホンダのA.アルボンが5番手,アルファタウリ・ホンダのD.リカルドが番手,P.ガスリーが7番手と,ホンダ勢は全員トップ10圏内で初日を終えています。
2020/11/13(金)
☆今季・来季(MotoGP)
○今後の参戦に関して,2人のワークスライダーがそれぞれ発表しました。まず1人目は,ディフェンディングチャンピオンとして今季を迎えたレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスです。今季のマルケスは,7月19日(日)に開催された第2戦スペインGPの決勝レース中において転倒を喫し,右上腕骨を骨折する重傷を負いました。すぐに病院に運ばれ,チタンプレートと12本のボルトで固定する手術を受けました。通常このようなけがをすると何戦か欠場するところですが,翌週開催の第3戦アンダルシアGPでメディカルチェックを受けて参戦可能の判断がされ,FP3とFP4は走行したものの,予選Q1は1周しただけでピットに戻り,その後の走行をキャンセルしました。その後に受けた診断において,手術で装着したチタンプレートがダメージを受けていたことが判明たために2度目の手術を受け,次の第4戦チェコGP以降は欠場が続いていました。そのマルケスの欠場に関して,11月10日(火)にHRCから発表があり,残り2戦となったMotoGPですが,医師等との協議の結果,残りのレース全て欠場を継続し,来季から復活することになりました。その間は,これまで通りテストライダーであるS.ブラドルが代役参戦を継続します。今回の決定により,開幕戦はMotoGPクラスのみ開催中止となりましたし,第2戦では転倒を喫して完走できておらず,それ以後は欠場していますので,今季のマルケスは一度も決勝レースでチェッカーを受けないままシーズンを終えることになります。
2人目は,ドゥカティワークスであるドゥカティ・チームA.ドビツィオーゾです。既に来季のドゥカティ・チームのシートは決定していて,J.ミラーとF.バグナイアの2人が所属することになっています。そのため,今季所属しているドビツィオーゾとD.ペトルッチはシートを失うことが決まっていて,ペトルッチは,KTMのサテライトであるレッドブルKTMテック3に移籍することも決定しています。それに対してドビツィオーゾはシートが決定しておらず,当初はまだ未定となっているアプリリアのワークスへの移籍も噂されていましたが,戦闘力不足がありますので,この話はなくなりました。チャンピオン獲得の可能性があるライダーですから,各メーカーも放っておくはずはなく,恐らく複数のメーカーからテストライダーのオファーがあったものと思われます。可能性としてヤマハのテストライダーという線が一番強いのでは無いかという予想もあったのですが,11月10日(火)に自身のSNSを通して発表があり,来季はレギュラーライダーとしても,そしてテストライダーとしても参戦しないことが決定しました。ただ,興味あるプロジェクトがあれば,戦いの場に戻ってくるようです。1年間の浪人生活を送ることになる訳ですが,もし再来年戻ってくるとすれば年齢が36歳になりますので,果たして希望に添うようなオファーがあるのかかなり心配になります。ドビツィオーゾとしてはある意味賭になる決定といえるかもしれませんね。
2020/11/12(木)
☆処分決定(MotoGP)
○11月10日(火)にスポーツ仲裁裁判所(CAS)から発表があり,昨年第18戦マレーシアGPの決勝日に行ったドーピング検査で陽性反応が出たため出場停止処分を受けているアプリリアのワークスチームであるアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニのA.イアンノーネに対して,新たに2023年12月16日までの4年間の資格停止を科すことが決定しました。他のスポーツと同様,MotoGPもドーピング検査を行っています。昨年マレーシアGPで行ったドーピング検査では,イアンノーネをはじめ,M.マルケスとJ.ロレンソがその対象となりました。マルケスとロレンソの尿は問題なかったものの,イアンノーネの尿から筋肉増強剤として禁止物質になっている蛋白同化男性化ステロイド薬の陽性反応が出ました。イアンノーネ側はこれを不服として再検査を要求したものの,再検査として取り扱われたBサンプルからも同様のものが検出されました。その後,国際懲罰法廷(CDI)によるヒアリングが行われたものの,結果に変更はなく,暫定停止処分の発効日である2019年12月17日から2021年6月16日の18か月間の出場停止処分が科されていました。この処分を受け,今季のアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニは,テストライダーであるB.スミスを代役として第12戦まで起用(それ以後はL.サバドーリ)していました。処分が出されてからもイアンノーネ側はこれを不服として訴え,今回の物質は事前に食べた肉が起因しているということで争っていましたが,その訴えを明確に立証することができなかったため,最初に下された18ヶ月間という処分を棄却し,さらに厳しい今回の4年間資格停止処分が決定しました。来季のMotoGPクラスのシートは,このアプリリアのワークスのシート1つのみが未定になっています。ワークスながらシートが未定だったのは,イアンノーネへの処分がどうなるのか分からなかったからというのが大きな要因でした。今回の4年間資格停止という決定により,イアンノーネとの契約が無くなるのは間違いなく,彼に替わるライダーを決定する必要が生じてきます。一時は来季のシートが未定となっているドゥカティ・チームのA.ドビツィオーゾの名前も出ていましたが,どうやら彼は1年間の浪人生活(モトクロスには出場するようです。)を選択するようで,この線は全くなくなっています。現段階では,代役参戦してきたスミスの起用という線を第一にしながらライダー選びを行っていくようです。
2020/11/11(水)
☆タッグ&ステップアップ(MotoGP)
○11月7日(土)に,MotoGPクラスにおけるドゥカティのサテライトチームの1つであるエスポンソラマ・レーシングと,中・軽量級クラスにフル参戦しているスカイ・レーシング・チームVR46から発表があり,来季から両チームがタッグを組んでMotoGPクラスにフル参戦することになりました。また,ライダーとして現段階でMoto2クラスのランク2,3位につけるE.バスティアニーニとL.マリーニを起用することも併せて発表されました。この2人の契約は,所属するチームとではなく,ドゥカティ・コルセとのものです。従って,使用するマシンは,ドゥカティ・コルセから供給される今季型のプロトタイプマシンであるデスモセディチGP19となります。マリーニが使用するマシンは,現在と同じくスカイ・レーシング・チームVR46のカラーリングとなるようです。なお,同チームは,既に昨シーズンからT.ラバトと来季までの2年契約が結ばれていたのですが,今回の新たな契約成立により,ラバトはシートを失うことになります。MotoGPクラスの来季のシートは,アプリリアのワークスのシート1つしか残っていない状況ですので,ラバトがMotoGPクラスに留まるのはほぼ絶望的と言え,シーズン終盤の中で新たな戦いの場を探す必要性が生じています。
2020/11/10(火)
☆世界へ(EWC)
○11月7日(土)にFIM世界耐久選手権(EWC)に参戦しているF.C.C. TSR Honda France(F.C.C. TSRホンダ・フランス)が,東京の青山にある『ウエルカムプラザ青山』において2021年シーズンの参戦体制を発表しました。日本を代表するホンダ系コンストラクターの1つであるTSRは,Honda Franceとタッグを組み,2017-2018年EWC世界選手権からF.C.C. TSR Honda Franceとしてフル参戦を開始しました。そのシーズンではル・マン24時間等で優勝する活躍を見せ,日本チームとして初となるEWCチャンピオンに輝きました。2018-2019シーズンはランク2位,そして今季は2度目となるル・マンを制してランク3位となっています。今回の発表によると,ライダーとしてはJ.フックとM.ディ.メリオが残留し,もう一人のライダーとして,元GPライダーで,今季はJRRのST1000クラスにフル参戦して,見事初代チャンピオンに輝いた高橋裕紀を起用することになりました。高橋としては久々の世界戦フル参戦ですが,GPにおいてはかつてフランスのチームであるテック3に所属した経歴を持ちますので,そうした意味では少し助かるかもしれません。使用するマシンは,ホンダが満を持して今季フルモデルチェンジして投入を開始したCBR1000RR-RのEWC耐久仕様で,タイヤについてもこれまで通りブリヂストンとなります。なお,初代チャンピオンに輝いた高橋は,EWCだけでなく,ディフェンディングチャンピオンとしてST1000クラスに継続参戦する予定になっています。
2020/11/09(月)
☆初優勝&38年ぶり(MotoGP)
○第13戦ヨーロッパGPの決勝レースが,所々ウェットパッチが残るサーキット・リカルド・トルモで行われました。MotoGPクラスは,オープニングラップこそポールからスタートしたレッドブルKTMファクトリー・レーシングのP.エスパルガロがトップの座を守りましたが,今季好調な結果を残してきているスズキ勢が速さを見せるようになり,A.リンスが2周目にトップに立ち,4周目にはJ.ミルが2位に浮上しました。しばらくはリンスがトップを走行していきましたが,17周目に2位を行くミルがリンスのわずかなミスを突いてトップに浮上しました。トップに立ったミルは少しずつリンスとの差を広げて行き,見事最高峰クラスで自身初となる勝利を収めました。チームメイトのリンスは,やや3位走行のエスパルガロとの差が縮められましたが,それでも危なげなく2位でチェッカーを受け,スズキがワンツーフィニッシュしました。スズキ勢のワンツーフィニッシュは,何と1982年西ドイツGP以来の38年ぶりとなります。エスパルガロは3位の座を守り,今季4回目の表彰台獲得となりました。3番グリッドからスタートしたLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,序盤に5位まで順位を下げましたが,今季見られている中盤から終盤にかけての追い上げが今回もあり,4位に順位を回復するとともに,上位陣との差をわずかずつですが縮めていきました。最終的には他のライダーの追撃を交わすとともに,3位のエスパルガロに1秒弱以内の差まで縮めて4位でチェッカーを受けました。4位は自身最高位タイで,インディペンデントチームとしては最高位でのフィニッシュとなります。
Moto2クラスは,5番グリッドからスタートしたスカイ・レーシング・チームVR46のM.ベツェッキが,2位でチェッカーを受けたレッドブルKTMアジョのJ.マルティンに2秒近い差をつける独走で第6戦スティリアGO以来となる今季2勝目を挙げました。3位には,こちらも単独走行となったOnexox TKKR SAGチームのR.ガードナーが入っています。レースウィークを通して上位には入れていなかったレッドブルKTMアジョの長島哲太は,22番グリッドから12位まで順位を上げてチェッカーを受けています。
Moto3クラスは,4台によるトップ争いが終盤まで続いていきました。その中でレッドブルKTMアジョのR.フェルナンデスが抜け出て2位以下との差を少し広げ,自身初となる勝利を収めました。3台による2位争いは最後まで展開され,2位にエストレージャ・ガルシア0,0のS.ガルシアが入り,3位にホンダ・チーム・アジアの小椋藍が入りました。ランクトップをいくアスパーチームMoto3のA.アレナスがオープニングラップで転倒リタイアに終わっていますので,ランク2位につけている小椋は,アレナスとのポイント差が3に縮まっています。他のフル参戦日本人ライダー勢は余り奮わず,前戦で2位表彰台を獲得したレッドブルKTMテック3の佐々木歩夢は10位でチェッカーを受けてポイントを獲得したものの,エストレージャ・ガルシア0,0の山中琉聖は16位で惜しくもポイント獲得を逃しています。ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝は山中に次ぐ17位で完走を果たしています。SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生とレッドブルKTMアジョの鳥羽海渡は,リタイアに終わっています。

☆上位独占(SGT)
○第7戦の決勝レースが,好天に恵まれたツインリンクもてぎで行われました。前日に行われた予選では,ホンダのホームコースの1つであるここもてぎでトップ3を独占しました。果たして決勝レースがどうなるか注目だったのですが,そのホンダ勢の勢いはさらに増す結果となりました。ポールからスタートした伊沢拓也&大津弘樹組のModulo NSX-GTは,スタートで2番グリッドからスタートした野尻智紀&福住仁嶺組のARTA NSX-GTを従えてレース序盤を走行していきました。しかし,ペースに勝るARTAは10周目にトップに立つと,順調にトップの座を守っていきました。そのような中,トップ2台は早めにピットインしたのですが,その時GT300クラスのマシンがコース上にストップするアクシデントが発生してセーフティカー導入となり,トップ2はさらに有利な展開となりました。そして,ARTAはさらに2位との差を広げて行って独走態勢を築き,最終的に2位のModuloに46秒以上の大差をつけ,今季2勝目を挙げました。そして,3番グリッドからスタートした山本尚貴&牧野任祐組のRAYBRIG NSX-GTは,その順位を最後まで守りました。さらに,4,5位にそれぞれ武藤英紀&笹原 右京組のRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GT,塚越広大&B.バゲット組のKEIHIN NSX-GTが入り,何とSGTに参戦しているホンダのマシン全車がトップ5を独占するという快挙をホームコースで成し遂げました。
GT300クラスは,ポールからスタートした井口卓人&山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTが順調にトップの座を守っていました。ところが,セーフティカー導入のタイミングがBRZにとって悪く,早めにピットインしていた藤波清斗&J.P.デ.オリベイラ組のリアライズ日産自動車大学校 GT-Rと谷口信輝&片岡龍也組のグッドスマイル 初音ミク AMGとのトップ争いへと変わっていきました。その両者の争いは最後まで続き,僅差でリアライズ日産自動車大学校 GT-Rがトップでチェカーを受け,今季2勝目を挙げました。3位には,吉田広樹&川合孝汰組の埼玉トヨペットGB GR Supra GTが入っています。
2020/11/08(日)
☆コンディション(MotoGP)
○第13戦ヨーロッパGPの予選が,不安定な天候のサーキット・リカルド・トルモで行われました。前日に続いて雨が降ったり,その後止んだりという天候となった中,MotoGPクラスの予選時は雨はすっかり止んでいました。しかし,走行が進むに連れてコーナーによってはレコードラインが乾いてきたものの,ストレートでは水煙が立つという難しいコンディションでの走行でした。そのような中,Q2の中盤過ぎにまずLCRホンダ・イデミツの中上貴晶がトップタイムをマークし,これがターゲットタイムとなりました。しばらくの間このタイムを更新するライダーは現われませんでしたが,チーム・スズキ・エクスターのA.リンスがまずタイムを更新しました。その後今度はレッドブルKTMファクトリー・レーシングのP.エスパルガロがさらにタイムを更新し,今季2度目となるポールを獲得しました。トップタイムを刻んだ後の中上もさらにタイム更新目指して走行しましたが,最終コーナーで転倒を喫してタイムアップすることができず,3番手タイムとなって2戦連続フロントローを獲得しました。
Moto2クラスは,MotoGPクラスと同じく一部が乾くというコンディションでの走行となり,ペトロナス・スプリンタ・レーシングのX.ビエルゲがトップタイムをマークし,今季初,昨年3月に行われた第2戦アルゼンチンGP以来となるポールを獲得しました。コンマ2秒弱遅れでアメリカン・レーシングのJ.ロバーツが2番手タイムをマークし,そのロバーツから1000分の2秒という僅差でエストレージャ・ガルシア・マークVDSのS.ロウズが3番手タイムとなりました。前日下位に沈んだレッドブルKTMアジョの長島哲太は,Q1からの出走となり,そこを突破することができず,22番グリッド獲得にとどまっています。
雨の中での走行となったMoto3クラスは,ペトロナス・スプリンタ・レーシングのJ.マクフィーがトップタイムをマークし,昨年8月に行われた第11戦オーストリアGP以来となるポールを獲得しました。2番手タイムはマクフィーからコンマ4秒弱近く離されてレッドブルKTMアジョのR.フェルナンデスが獲得し,そのフェルナンデスから100分の4秒遅れでスカイ・レーシング・チームVR46のC.ビエッティが3番グリッドを獲得しています。フル参戦日本人ライダー勢では,ホンダ・チーム・アジアの小椋藍が8番手,レッドブルKTMアジョの鳥羽海渡が10番手とトップ10内に入りました。他のライダーは,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が18番手,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が19番手,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢が26番手,エストレージャ・ガルシア0,0の山中琉聖が30番手で予選を終えています。

☆独占(SGT)
○第7戦の予選が,やや肌寒くはなったものの,ドライコンディションのツインリンクもてぎで行われました。GT500クラスは。やや早めにアタックをした伊沢拓也&大津弘樹組のModulo NSX-GTが1分36秒前半のタイム刻んでトップに立ちました。その後,このタイムを目標に他のマシンもアタックしていきましたが,最後までそのタイムを上回るマシンは現われず,今季2度目となるポールを獲得しました。このもてぎはホンダのお膝元の1つですが,そのお膝元でホンダ勢は好調な走りを見せ,野尻智紀&福住仁嶺組のARTA NSX-GTが2番手タイムを,山本尚貴&牧野任祐組のRAYBRIG NSX-GTが3番手タイムをマークし,トップ3をホンダが独占しました。
GT300クラスは,平中克幸&安田裕信組のGAINER TANAX GT-Rが一旦は最速タイムを刻みました。しかし,前戦でセーフティカーが入るタイミングに恵まれず,惜しくも勝利を逃した井口卓人&山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTがその鬱憤を晴らすかのような走りを見せてそのタイムを上回り,2019年にスポーツランドSUGOで行われた第7戦以来となるポールを獲得しました。さらに,久保凜太郎&三宅淳詞組のたかのこの湯 RC F GT3もGAINER TANAX GT-Rのタイムを上回り,見事フロントローを獲得しました。
2020/11/07(土)
☆6メーカー(MotoGP)
○第13戦ヨーロッパGPがサーキット・リカルド・トルモで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。この日は,午前中はウェット走行だったものの,午後からは徐々に路面が乾いていくというコンディションとなり,それぞれのライダーのトップタイムは午後の走行となりました。MotoGPクラスは,プラマック・レーシングのJ.ミラーが,総合2番手タイムをマークしたアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニのA.エスパルガロを1000分の92秒上回って初日総合トップに立ちました。そのミラーは,午前に行われたFP1でもトップタイムでしたので,ドライでもウェットでも初日は速さを見せています。A.エスパルガロの初日総合2番手タイムは,彼にとって初日の今季ベストリザルトとなります。前戦で勝利を収めているペトロナス・ヤマハSRTのF.モルビデリが総合3番手タイムをマークし,トップ3は全て違うメーカーのライダーとなりました。実は,トップ3だけでなく,総合4番手がLCRホンダ・イデミツの中上貴晶,総合5番手がレッドブルKTMファクトリー・レーシングのP.エスパルガロ,総合6番手がチーム・スズキ・エクスターのA.リンスと,トップ6全て違うメーカーになるという珍しい結果になっています。なお,開幕前に行われたPCR検査で陽性反応が出たモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのV.ロッシは,その後行われた2回の検査で陰性となり,今日行われるFP3からは走行できるようになりました。初日は代役としてSBKライダーのG.ガーロフが走行し,総合19番手で初のMotoGP出走を終えています。
Moto2クラスは,イタルトランス・レーシング・チームのE.バスティアニーニがトップタイムをマークし,第7戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGP以来今季2度目の総合トップとなりました。ここまで3連勝を飾り,絶好調状態で今大会を迎えているエストレージャ・ガルシア・マークVDSのS.ロウズですが,総合トップの座は譲ったものの,わずか1000分の57秒差で総合2番手タイムをマークしています。そのロウズからわずか1000分の95秒差で,アメリカン・レーシングのJ.ロバーツが総合3番手でした。シーズンが進むに連れ,尻下がり状態からなかなか脱却できていないレッドブルKTMアジョの長島哲太は,トップからおよそ1.4秒差の総合23番手で初日を終えています。
午前中の路面状況の影響がまだ残っている中での走行となったMoto3クラスは,スカイ・レーシング・チームVR46のC.ビエッティが総合トップタイムをマークし,第8戦エミリア・ロマーニャGP以来となる今季2度目の総合トップに立ちました。総合2,3番手タイムは,それぞれエストレージャ・ガルシア0,0のS.ガルシア,ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティがマークしています。フル参戦日本人ライダー勢では,レッドブルKTMアジョの鳥羽海渡の総合9番手が最高位でした。他のライダーは,ホンダ製パワーユニット勢ですが,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が総合12番手,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が総合15番手,ホンダ・チーム・アジアの小椋藍が総合16番手,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢がブービーとなる総合30番手,エストレージャ・ガルシア0,0の山中琉聖はチームメイトと接触転倒したこともあって総合31番手で初日を終えています。なお,開幕前に発表があり,今季でチームの活動が停止となるエストレージャ・ガルシア0,0の山中琉聖は,来季はカーエキスパート・プステルGPからフル参戦することが決定しました。契約期間は1年ですが,2022年のオプションが含まれています。同チームはKTM勢の1つですので,現段階で来季は鳥羽海渡,佐々木歩夢,そして國井勇輝の3名がKTMのマシンを駆ることが決まっています。
2020/11/06(金)
☆欠場(MotoGP)
○今日からリカルド・トルモ・サーキットで第13戦ヨーロッパGPが開幕しますが,それを前にした11月4日(水)にヤマハワークスであるモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPから発表があり,11月3日(火)にV.ロッシが行った新型コロナウイルス感染の再検査において,再び陽性反応が出たため,欠場する可能性が高まっています。ロッシについては,10月15日(木)に行った検査において陽性反応が出たため,既に第11戦アラゴンGPと第12戦テルエルGPを欠場せざるを得ませんでした。そして,今回行った検査でも再び陽性反応となり,3戦連続欠場というピンチに陥っています。もし,欠場するとなると,今年SBKでGRTヤマハ・ワールドSBKジュニアチームからフル参戦しているG.ガーロフが代役参戦することになることも決定しています。もし代役参戦すると,ガーロフにとって自身初のMotoGP出場となります。ちなみにそのガーロフですが,来季も同じ体制でSBKにフル参戦することになっていますので,今季JRRのJSB1000クラスでチャンピオンに輝き,来季からSBKにステップアップする野左根航汰のチームメイトとなります。なお,ロッシについては,今日と明日再検査のチャンスがありますので,もし陰性となると出場が可能となります。
次に,レッドブルKTMテック3から発表があり,今季同チームからフル参戦しているルーキーライダーのI.レクオナが,ヨーロッパGPを欠場することが決定しました。欠場する理由ですが,彼自身には問題ないものの,彼の兄弟が新型コロナウイルス感染し,レクオナが濃厚接触者として認定されたことによります。2人は同居していて,さらにアシスタントも務めていますので,濃厚接触者となるのはやむを得ません。仮にレクオナが検査を受けて陰性であっても,10日間の隔離を余儀なくされますので,開催地であるリカルド・トルモ・サーキットに向かうことができません。なお,11日(水)にもう一度検査を受けることになっていますが,その時に陰性となれば,その後に開催される第14戦バレンシアGPには出場可能となります。
2020/11/05(木)
☆代役(SGT)
○11月1日(日)に岡山国際サーキットでスーパー耐久シリーズの第3戦『スーパー耐久 in 岡山』の決勝レースが行われました。そのレースにおいて,ST-XクラスにHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3を駆ってフル参戦している高木真一が,バックストレートからヘアピンコーナーへ侵入する際にコースオフを喫し,ランオフエリアの最も奥にあるスポンジバリア激しくクラッシュする事故に見舞われてしまいました。ここは岡山国際サーキットで一番スピードが乗るところですので,その衝撃はかなりのものだったことは間違いありません。事故直後に自らの力で助手席側のドアから脱出しましたが,その後ドクターヘリで病院に搬送されました。そして,検査の結果,腰椎と右手首を骨折していたことが判明し,そのまま入院となりました。今後手術が行われると同時に,長期の入院やリハビリが必要となることは間違いありません。その高木は,スーパー耐久だけでなく,SGTのGT300クラスにARTAからフル参戦もしています。そのSGTは,今週末にツインリンクもてぎにおいて第7戦『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』が開催されることになっています。当然彼はこのレースにへの出場は不可能で,さらに富士スピードウェイで行われる最終戦も欠場せざるを得ません。そのような中,ARTAから発表があり,高木の代役として両レース共に松田信治を起用し,ARTA NSX GT3を駆ることになりました。今回代役参戦することになった松田は,今季FIA-F2に参戦してきました。しかし,最終戦まで参戦継続する資金が用意できなかったことが原因のようで,シーズン残りわずかの段階でチームから解雇されました。戦いの場を失った松田の去就が注目されていましたが,今回の代役参戦の機会を得ています。これまで一貫してフォーミュラカーのレースに参戦してきた松田ですから,SGTはもちろん,ハコ車のレース自体も初めてとなります。現在ドライバーランキング3位につけてまだチャンピオンの可能性があるチームだけに,松田に対する期待はかなり大きなものでしょうし,松田自身のプレッシャーも大きいものになるでしょう。ただ,まだ若い彼の今後のレース人生を考えると,一つのターニングポイントになるかもしれません。彼の活躍に期待したいですね。
2020/11/04(水)
☆代役(SGT)
○GT500クラスに参戦するTGR TEAM KeePer TOM’Sから発表があり,今週末にツインリンクもてぎで行われる第7戦と今月最終週末に富士スピードウェイで行われる第8戦に,N.キャシディに代わって山下健太を起用することになりました。今季の同チームは,平川亮&キャシディのペアで参戦してきました。ところが,そのキャシディが2020-2021シーズンから電動フォーミュラカーで争われているFEに,ヴァージン・レーシングから参戦することになっていて,その準備のため,残り2戦の出場が困難になってしまいました。そのため,今季はWECにフル参戦していて,SGTにはフル参戦していない山下を起用することになりました。今回白羽の矢が立った山下は,昨シーズンLEXUS TEAM LeMans WAKO'Sに所属して見事GT500クラスチャンピオンに輝きました。今季は,チーム自体がなくなったこともあってディフェンディングチャンピオンながらSGTへの参戦をせず,昨シーズンに引き続いてハイクラス・レーシングに所属してWECのLMP2クラスにフル参戦していました。そのWECは既にシーズンを終えていますので,今回の代役参戦へと繋がっています。今回彼が代役参戦することになったTGR TEAM KeePer TOM’Sは,現段階で首位と1ポイント差のランク2位につけています。もちろん山下自身がチャンピオンになることはできませんが,平川とチームのタイトル獲得に向け,ディフェンディングチャンピオンの力が大きく貢献できるものと思われます。
2020/11/03(火)
☆タッグ(EWC)
○10月31日(土)にヨシムラとユーロスポーツ・イベンツがライブ中継でデジタル・プレスカンファレンスを行い,ヨシムラが来季のFIM世界耐久選手権(EWC)にSERTとタッグを組んで『ヨシムラSERT Motul』として参戦することを発表しました。EWCにおけるスズキと言えば,これまでSERT(Suzuki Endurance Racing Team)が実質的なワークスチームとして参戦してきていました。そのSERTは,今季もタイトルを獲得し,これで史上最多となる通算16回目のタイトルということになりました。ヨシムラについては,今さら言うまでもなく,日本を代表するコンストラクターで,第1回の鈴鹿8耐制覇をはじめ,数々の栄冠を獲得しています。今季のヨシムラは,JRRへのフル参戦を休止し,鈴鹿8耐等へ主軸を置いていました。ただ,新型コロナウイルス感染拡大により,その鈴鹿8耐が開催中止となったため,マシン開発の意味からJRRにスポット参戦したりしていました。ヨシムラとSERTは,活動の場が違ってはいたものの,SERTに対してエキゾーストシステムを供給したり,求めに応じてテクニカルなサポートをしたりしていましたから,新たにタッグを組んでもスムーズに進めることができると思われます。今回の発表では,マシンのカラーリングも披露されています。それをみると,これまでのSERTは,スズキカラーである青と白を基調としていましたが,来季からはヨシムラカラーである赤と黒を基調としたものに変わります。ただ,フロントサイドからタンク下まで青と白のラインが入っていて,ここにSERTの面影が見られます。SERTにしてもヨシムラにしても,どちらも実質的なスズキワークスですから,来季登場することになったヨシムラSERT Motulも当然スズキワークスとしての活動となります。
2020/11/02(月)
☆有終の美(JRR)
○今季最終戦となる第5戦MFJ-GPの決勝レースが,ドライコンディションとなった鈴鹿サーキットで行われました。JSB1000クラスは,昨日お伝えしたように,レース1で既にYAMAHA FACTORY RACING TEAMの野左根航汰がチャンピオンを決めていて,来季のSBKに全日本チャンピオンとして臨むことになりました。そして,チャンピオンとして迎えたレース2では,チームメイトである中須賀克行をはじめ,Keihin Honda Dream SI Racingの清成龍一,そしてYOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACINGの渡辺一樹との間でトップ争いに持ち込まれました。そのような中,前日のレース1の勝者である中須賀がシケインでスリップダウンを喫してトップ争いから脱落してしまいました。それに対して,その段階でトップを走行していた野左根は2位以下との差を広げて行き,最終的に3秒以上の差をつける独走で今季7勝目を挙げ,有終の美を飾りました。2位には清成,3位に渡辺が入っています。
ST1000クラスは,チャンピオンに王手をかけている日本郵便HondaDream TPの高橋裕紀はスタートからトップに立ちましたが,これに対してジャンプスタートの裁定が下り,ライドスルーペナルティが科されて一挙に最下位へと落ちました。ポイントを獲得しさえすればチャンピオンに輝くわけですが,最下位だけにチャンプ獲得に黄色信号が一挙に灯りました。それに対して,逆転タイトルにかけるMuSASHi RT HARC-PROの名越哲平は,トップに立ってから一挙に後続との差を広げて行き,独走態勢を築いていきました。その後ろでは,4台による表彰台争いが展開されていき,ラップごとに順位が変わる激しいバトルとなりました。トップの名越は2位に6秒近い差をつける独走で今季2勝目を挙げ,2,3位争いはファイナルラップの最終コーナーまで続きました。そして,2位に伊藤レーシングEDPASヤマハの伊藤勇樹が入り,3位にはシケインでWestPower・S-SPORTS・SUZUKIの津田拓也と接触してポジションアップをしたKeihin Honda Dream SIRの作本輝介が入っています。
ST600クラスは,4周目に転倒車両があったために赤旗が提示され,ヒート2のレースへとなりました。そこでトップに立ったのは,鈴鹿を本拠地とするAKENO SPEED・YAMAHAの南本宗一郎でした。トップに立ってからは後続との差をこちらも広げて行き,最終的に2位でチェッカーを受けたTOHO Racingの國峰琢磨に4秒近い差をつけてトップチェッカーを受けました。チャンピオンに王手をかけていた51ガレージ ニトロレーシングの岡本裕生は4位でチェッカーを受け,2年ぶりにタイトルを獲得しています。
J-GP3クラスは,2周目に複数台が転倒を喫したため赤旗が提示され,再スタートが切られることになりました。その後は,このクラスらしく複数台によるトップ争いが展開されていきました。ファイナルラップでTeam TKRの村瀬健琉がトップに立ってそのまま逃げ切り,今季3勝目を挙げると共に,自身初となるチャンピオンに輝きました。2,3位には,それぞれマルマエMTRの徳留真紀,BATTLE FACTORYの鈴木大空翔が入っています。

☆7連覇(F1)
○第13戦エミリア・ロマーニャGPの決勝レースが,やや雲が多くなったもののドライコンディションとなったイタリアのイモラ・サーキットで行われました。スタート時は奇数グリッドの方が有利だったようで,ポールスタートしたメルセデスAMGのV.ボッタスが首位を守り,3番グリッドスタートしたレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンが2位に浮上したりしました。2番グリッドからスタートしたランクトップをいくメルセデスAMGのL.ハミルトンは,3位に順位を下げて走行していきました。タイヤ交換のタイミングが予定より早くなって,トップ2はピットインしたのに対し,ハミルトンはステイアウトを選びました。これが功を奏してハミルトンがトップに浮上し,それをボッタスとフェルスタッペンが追うという展開になりました。トップのハミルトンが差を広げて行く中,30周目にバーチャルセーフティカーが出され,このタイミングでハミルトンはタイヤ交換をしてトップで復帰しました。順調にトップを走行するハミルトンに対して,一旦はボッタスを交わして2位に浮上したフェルスタッペンは,51周目に右リアタイヤが突然バーストしてコースオフを喫し,そのままリタイアとなりました。フェルスタッペンがいなくなってボッタスが自動的に2位に浮上し,2回目のタイヤ交換でステイアウトしていたルノーのD.リカルドが3位へ。そのリカルドをアルファタウリ・ホンダのD.クビアトを追いましたが,最後まで抜くことはできませんでした。結局今回もハミルトン,ボッタスの順でワンツーフィニッシュを果たし,この結果,メルセデスがコンストラクタータイトルで前人未踏の7連覇を果たしています。ホンダ製パワーユニット勢ですが,予選では好調なホンダ勢でしたが,クビアトの4位だけがポイント獲得となり,レッドブル・ホンダのA.アルボンは完走を果たした中では最下位となる20位で終わり,アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーはマシントラブルでリタイアに終わっています。
2020/11/01(日)
☆雪辱&決定(JRR)
○今季最終戦となる第5戦MFJーGPが鈴鹿サーキットで開幕し,初日は各クラスの予選とJSB1000クラスのレース1が行われました。ここまで全戦優勝しているYAMAHA FACTORY RACING TEAMの野左根航汰は,既にタイトル確定に王手をかけていて,ほぼこのレースでチャンピオンを決定することが間違いない状況となっています。いつものようにYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行と野左根が予選でそれぞれ1,2位とフロントローを獲得していて,それに今季は鈴鹿を中心にスポットでの参戦をなっているヨシムラに所属している渡辺一樹が3番グリッドからスタートしました。好スタートを切ったのが中須賀でしたが,優勝でタイトル獲得を決めたい野左根がオープニングラップでトップに立ちました。YAMAHA FACTORY RACING TEAMの二人による優勝争いはずっと続き,残り2周となる直前のシケインで中須賀がトップに立つと,その順位を最後まで守り抜き,今季初優勝を飾りました。今季初めて優勝を逃した野左根でしたが,それでも自身初となる最高峰クラスチャンピオンに輝きました。3位には,YAMAHA FACTORY RACING TEAM勢2台を抜くことはできなかったものの,最後までその2台に食らいついて走行を続けた渡辺が入っています。

☆全車1桁(F1)
○第13戦エミリア・ロマーニャGPの予選が,ドライコンディションとなったイモラ・サーキットで行われました。ポール争いはいつものようにメルセデスAMG2人の争いとなり,L.ハミルトンがファイナルアタックでトップタイムをマークしました。しかし,その後V.ボッタスが1000分の97秒そのタイムを更新し,今季4回目となるポールを獲得しました。レッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンが3番手タイムをマークし,トップ3はいつものメンバーとなりました。ただ,フェルスタッペンが順調に3番グリッドを獲得できたわけではありませんでした。Q2で1回目のアタックを敢行しようとしたときにプラグにトラブルが生じてミスファイアを起こすという事態が発生してしまい,アタックできずにピットインせざるを得ない状況となりました。問題をすぐに解消した後にアタックを行い,何とかQ2を突破することができました。他のホンダ製パワーユニット勢に好調で,アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーがフェルスタッペンに次ぐ4番手,レッドブル・ホンダのA.アルボンが6番手,アルファタウリ・ホンダのD.クビアトが8番手と,4車全てが1桁内でのフィニッシュとなりました。
 

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