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最新ニュース
2010/11/30(火)
☆一本化(F1)
○スペインの金融関連企業であるサンタンデールは,今季マクラーレンとフェラーリの2チームのスポンサーとなっていました。これは,どちらもF.アロンソとの関係によるものです。元々は,アロンソがルノーから移籍した2007年シーズンからマクラーレンのスポンサーとなっていました。しかし,チームとの確執からわずか1年でアロンソはマクラーレンを離脱し,再びルノーに復帰することになりました。その際,同社はマクラーレンのスポンサーを降りるのではないかという話もありましたが,結局噂だけで終わりました。今季アロンソがフェラーリに移籍したのに伴い,今度はフェラーリへのスポンサーとなりました。この段階でもマクラーレンのスポンサーを降りるのではないかという噂も浮上しましたが,結局今シーズンもスポンサー活動を継続していました。しかし,ここに来て再びマクラーレンのスポンサーを降り,スポンサー活動をフェラーリへ一本化するのではないかという噂が浮上してきています。今シーズンのマクラーレンでは,ドライバーのスーツにサンタンデールのロゴがありましたが,以前あったリアウィングにおけるロゴは消えていました。これは,スポンサーマネーが減少していたことを意味していますし,離脱への第一歩だったのかもしれません。ただし,同社から正式な発表はまだなされておらず,同社のスポークスマンを務めるJ−M.センドーヤ氏によると,「フェラーリとの取り組みに満足していて,勝利のために闘い続けているだろう。」という趣旨のコメントのみを出しているとのことです。
2010/11/29(月)
☆継続(IRL)
○先週の土曜日(27日)に元F1ドライバー佐藤琢磨のファンイベントが行われ,その会で来シーズンの去就について琢磨自身からコメントがありました。スーパーアグリF1チームが2008年にF1から撤退したのに伴い,昨シーズンはF1でのシートを琢磨は失っていました。今シーズンもF1でのシートを獲得することができず,新たな活躍の場としてアメリカのIRLシリーズにKVレーシングからフル参戦を開始していました。これまでヨーロッパのレースで成長を続けた琢磨にとって,独特なオーバルレースをも含むIRLではやはりすぐに結果を残すことは難しく,予選で上位に食い込むことはありましたが,最高位が9位,ランキング21位でシーズンを終えていました。琢磨のコメントによると,来季もIRLシリーズに100%の確率でフル参戦することになるようです。基本的には,今シーズン所属したロータスの支援を受けるKVレーシングに残留の方向で話が進んでいるようです。ただし,この点については確実ということではないようで,琢磨の発言によると「条件によっては他チームへの移籍の可能性もゼロではない」とのことです。F1への復帰が悲願と言える琢磨でしょうが,現実的にはそこに食い込むことはほぼ不可能な状況が今後も続くと思われます。ですすが,IRLに関してはその可能性が今後も十分あり得るだけに,今シーズンの経験を生かし,来シーズンはさらなる活躍を期待したいところですね。
2010/11/28(日)
☆消化不良(MotoGP)
○24日(水)から3日間にわたってヘレス・サーキットで行われていたMotoGPクラスのルーキーズテストとMoto2クラスのプライベートテストが,予定通り26日(金)に終了しました。ただし,予定通りにいったのは開催期間くらいなもので,3日間の内まともに走れたのは2日目だけで,初日と3日目は雨のためほとんど走行することができず,参加したチームやライダーにとっては消化不良の内に終わったのではないかと思います。まずMotoGPクラスのテストに関してですが,来シーズン最高峰クラスにステップアップすることになっているカルディオン・ABのK.アブラハム,そしてワークスチームでテストライダーを務めるF.バッタイーニのドゥカティ勢は,共に2011年型のプロトタイプをテストしました。2日目に至っては,ドゥカティワークスでチームマネージャーを務めるB.グアレスキ自身がテスト走行を行っています。今回ドゥカティが準備したマシンですが,スクリーマーエンジンは準備しておらず,全てビックバンエンジンのみを投入してきました。最終戦の翌々日に行われたシーズンオフのテストの結果,来季はビッグバンエンジンを投入することになりそうというコメントが出ていましたが,今回はその線に沿ったものだと言えます。MotoGPクラスは来シーズンで現行の800ccマシンによるレースが最後となり,2012年からは1000ccマシンによるブランニューマシンで争われることになっています。その2012年から最高峰クラスにマシン供給を開始することを表明しているのが,今シーズンから始まったMoto2クラスでコンストラクター部門のタイトルを獲得したシューターです。そのシューターは,プロトタイプマシンを準備し,それを今シーズンのドイツ選手権スーパースポーツクラスを制しているオーストラリア人ライダーのD.カドリンに託しました。さらに,そのカドリンに加え,2日目にはMoto2クラスで頭角を現してきたS.レディングとスペイン選手権のMoto2クラスを制したK.モラーレスも起用しています。ただし,そのうちのレディングは,3ラップ目の最終コーナーでハイサイドから転倒してしまって病院行きとなり,早い段階でのテスト終了となってしまっています。
Moto2クラスでトップタイムをマークしたのは,今季ランキング2位となり,今回は2011年型マシンを駆ったJ.シモンでした。もちろんこのタイムは,唯一のドライコンディションとなった2日目にマークしたものです。今シーズンはモリワキのマシンを駆ったものの,来シーズンはシューター製のマシンにスイッチすることが決まっているT.ルティも,シモンと同タイムを記録しています。来シーズンから新規参入することになっているイオダ・レーシングは,S.コルシとM.パッシーニにFTR製のマシンを託してテストを行いました。今季125ccクラスを制し,来シーズンはMoto2クラスにステップアップすることが決まっているM.マルケスも参加していて,シューター製のマシンを駆って12番手タイムをマークしています。今回のテストには,そのほかにアレックス及びポルのエスパルガロ兄弟や,A.エスパロガロと同様MotoGPクラスからMoto2クラスへと来シーズン戦いの場を移すことになっているM.カリオも参加しました。なお,今回のテストの会場において,Moto2クラスに参戦しているJirが,来シーズンもA.デ.アンジェリスを起用することを発表しています。使用するのは,TSR製のマシンです。
2010/11/27(土)
☆残留(BSB)
○BSBシリーズにおけるホンダのワークスチーム的存在であるHMプラント・ホンダから,先日22日(月)に来シーズンのライダーの発表を行っています。今シーズンの同チームは,SBKから復活した元BSBチャンピオンの清成龍一が,最終戦の3レース全てを制して大逆転で見事にチャンピオンを獲得しました。今回の発表によると,その清成が残留してBSBにおける4回目のチャンピオン獲得を目指すことになります。清成が最初にチャンピオンを獲得したのが,BSBにフル参戦を開始して3年目となる2004年シーズンでした。そして,ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ2005年シーズンでもチャンピオンを獲得していますので,果たして来シーズンがその再来となるかどうか注目となります。その清成のチームメイトになったのは,GPに参戦した経験を持つイギリスのベテランライダーであるS.バーンです。今シーズンのバーンは,SBKシリーズにドゥカティのサテライトチームであるアルテア・レーシングからフル参戦(チームメイトはC.チェカ)し,ランキング10位を獲得しています。SBKには昨シーズンから再びフル参戦していますが,その前年の2008年にはドゥカティのマシンを駆ってBSBでチャンピオンに輝いています。
2010/11/26(金)
☆親子&兄弟(FN)
○11月29日(月)と30日(火)に,来シーズンに向けた合同テストが富士スピードウェイで行われることになっています。そして,そのテストに参加するドライバーが24日(水)に発表され,さらにその際は未定となっていたチームのドライバーがその翌日に発表になっています。そのドライバーを見ると,何とも楽しみな状況となっています。というのも,25日に追加発表されたのはPETRONAS TEAM TOM’Sのドライバーだったのですが,そのドライバーが昨年までウィリアムズからF1にフル参戦していた中嶋一貴だったからです。昨シーズンでウィリアムズのシートを失っていた中嶋一貴は,今シーズンは新規参入を狙っていたステファンGPからの参戦が予定されていました。ところが,そのステファンGPの新規参入が認められなかったため,今シーズンはF1でのシートを獲得することができず,実質的にレーシングドライバーとしての活動が休止した状態となっていました。来シーズンF1でのシートを獲得することは絶望の状態ですから,国内での参戦を視野に入れての今回の参加となったのでしょう。しかも,彼はトヨタの支援を受けてレーシングドライバーとしてのキャリアを積んできていますから,トヨタ陣営のチームの一つであるPETRONAS TEAM TOM’Sからの参加となったのでしょう。楽しみとなったもう一つの理由は,今回のテストでNAKAJIMA RACINGのステアリングを握ることになったのが,中嶋一貴の弟で今季までイギリスF3に参戦していた中嶋大祐ということです。つまり,元F1ドライバー中嶋悟のチームであるNAKAJIMA RACINGに,その息子が加わることになったわけです。ということで,来週行われるテストでは,親子が同チームで参加し,親子&兄弟がライバルチームから参加することになっています。
2010/11/25(木)
☆シート獲得状況(F1)
○ストーブリーグ真っ最中の現在ですが,上位チームのシートは既に埋まっていて,中・下位チームのシートに関しては,まだ未定のところもあり,連日様々な噂が浮上してきています。近いところでは,フォース・インディアに関しては,まだ正式発表はされていませんが,ごく近い段階で発表がなされるのではないかといわれています。これからどんどんドライバーラインナップが決まっていきますが,ここで一旦噂を含めてそのシート獲得状況をまとめておきたいと思います。
2011 シート獲得状況
チ ー ム ド  ラ  イ  バ  ー
レッドブル S.ベッテル M.ウェーバー
マクラーレン L.ハミルトン J.バトン
フェラーリ F.アロンソ F.マッサ
メルセデスGP M.シューマッハ N.ロズベルグ
ルノー R.クビサ V.ペトロフ,A.スーティル,T.グロック,N.ヒュルケンベルグ,N.ハイドフェルド
ウィリアムズ R.バリチェロ P.マルドナルド
フォース・インディア A.スーティルV.リウッツィ,P.ディ・レスタ,K.チャンドック,N.ハイドフェルド
ザウバー 小林可夢偉 S.ロペス
トロロッソ H.アルグエリスアリ S.ブエミ
ロータス H.コバライネン,J.トゥルーリ,B.セナ,G.ファン.デル.ガルド
ヒスパニア C.クリエン,B.セナ,P.デ.ラ.ロサ,N.ヒュルケンベルグ
ヴァージン T.グロック,G.ファン.デル.ガルデ,S.ダンブロシオ,R.ディ.グラッシ
※赤太字…決定,赤細字・・・ほぼ決定,黒細字・・・未定
2010/11/24(水)
☆シート決定(MotoGP)
○今シーズン史上2番目となる最年少記録をマークしてチャンピオンに輝いたのが,スペイン人ライダーのM.マルケスです。そのマルケスの来シーズンについては,Moto2クラスにステップアップすることは決まっていたものの,具体的なチームメイトかは未定のままでしたが,ようやく正式発表されました。彼が所属するのことになったのは,来シーズンからの新規参入チームとなるモンラウ・コンペティションです。元125ccクラスチャンピオンで,現在はマルケスの個人マネージャーを務めるE.アルサモラがチームマネージャーに就任します。今シーズンはレプソルカラーで走っていたマルケスですが,そのレプソルによる支援は来シーズンも継続することになりました。スペイン期待のライダーらしく,同国の石油関連会社であるレプソルだけでなく,同じくスペインの地方銀行カタルーニャ・カイシャも支援が決定しています。なお,チームの主体であるモンラウとは,スペインのメカニック養成専門学校のことです。
既にMotoGPクラスの来シーズンのシートは決まっていますが,他のクラスに関しては,上記したマルケスのようにシーズン終了後続々と決まってきています。最近の発表では,以前カワサキのマシンを駆ってMotoGPクラスにフル参戦した経歴を持ち,今シーズンはMoto2クラスにフル参戦したA.ウェストに関しても正式発表がありました。今季彼が所属したのは,ドイツに本拠を置くMZ.レーシングでした。そのMZレーシングから来シーズンのライダーに関しての発表があったのです。それによると,ウェストとは契約延長となっています。そして,今シーズンはそのウェストの1台体制で臨んでいたものの,来シーズンは2台体制となり,もう一つのシートには,6年間SBKシリーズにフル参戦してきたM.ノイキルヒナーを起用することとなりました。マシンについては,今シーズンと同様にチームオリジナルマシンを継続して使用することになっています。
2010/11/18(木)
☆臨時ボーナス(F1)
○最終戦において大逆転でドライバータイトルを獲得したのは,ドイツ人ヤングドライバーのS.ベッテルです。そのベッテルが所属するレッドブルは,コンストラクター部門でもチャンピオンを獲得していますので,見事に2冠を達成しています。そのレッドブルが,チームスタッフ全員にダブルタイトル獲得を祝って臨時ボーナスを支給することを決めました。ミルトン・キーンズにあるチームの本部に勤務する人は,全部で約550人いますが,1人につき1万ポンド(約132万円)が支給されるとのことです。これによってチームが支払うボーナスは900万ドル(約7億5000万円)近い金額になり,レッドブルがコンストラクターズ選手権優勝によってFOMから受け取る賞金から支払われるそうです。この措置は,従業員との契約書にチャンピオンシップで勝利するとボーナスを支払うという項目があるためのもののようですが,やはり資金的に潤沢なレッドブル(最近では,日本のコンビニでも同社のエネルギードリンクを目にしますね。)ならではのものなのかもしれません。今回のチャンピオン獲得は,こうした点だけではなく,ベッテルとM.ウェーバーの関係にもいい影響があったようです。今シーズンに引き続いて来季もチームメイトとして過ごす両者ですが,特に今シーズン中は両者の関係が険悪になったのも事実です。決勝レースに接触してベッテルがリタイアに追い込まれたり,互いに非難し合う光景が見られたりとかしていました。しかし,シーズン途中から二人で会話がもたれてることもあり,ほんの少し雪解け傾向が見られていました。そして,最終戦の終了後にウェーバーがベッテルのところに来て,ベッテルによれば「すごく敬意を見せてくれたことが一番うれしかった」そうです。来季の2人の関係がどうなるのかも,レッドブルのタイトル防衛の鍵になりそうですね。
2010/11/17(水)
☆史上初(MotoGP)
○イタリア国内にある小国のサンマリノにチーム本拠地を置くWTRから,新たなプロジェクトの発表がありました。今シーズンのWTRは,Moto2クラスがV.デービス,125ccクラスがJ.ザルコ(既に来シーズンは今シーズンのチャンピオンチームであるアジョ・モータースポーツに移籍することが決定。)というフランス人ライダーを擁してフル参戦しました。そのWTRが,インドに籍を置くテン10・レーシングとの間で来シーズンから3年間技術面と商業面の提携関係を結ぶことが決定しました。この提携関係により,イタリア人ライダーを起用するとともに,GP史上初となるインド人ライダーも起用することになりました。来シーズンに関しては,125ccクラスのみの参戦となりますが,2012年には,125ccの後継クラスとなるMoto3クラスと,来年が創設2年目となるMoto2クラスの2クラスに参戦する予定になっています。今回発表されたプロジェクトでは,イタリア人ライダーとインド人ライダーという発表はあったものの,具体的な名前については触れられていませんでした。果たして史上初となるインド人ライダーに誰が起用されることになるのか,今後の発表を待ちたいと思います。そういえば,今季スポーツランドSUGOで行われたJRR第4戦でのST600クラスにおいて,インドではなくタイ人ライダーではありますが,決勝レースで1,3位に入るという快挙を成し遂げています。これまでは,GPにおけるアジア人ライダーといえばほぼ日本人が独占していましたが,今後はいろいろな国のライダーが登場していくことになるのでしょうね。
2010/11/16(火)
☆残留&離脱(F1)
○AT&Tウィリアムズから発表があり,今シーズン同チームに所属して10回の入賞と47ポイントをチームにもたらした超ベテランドライバーのR.バリチェロとの契約を来シーズンまで延長することが決定しました。もう1年契約が延長となったことで,バリチェロは19回目のF1シーズンを迎えることになります。また,もう一人のフル参戦ドライバーで,今シーズンのルーキードライバーの一人でもあったN.ヒュルケンベルグとの契約を更新しないことも認めています。F3とGP2のチャンピオンを獲得した経歴を持つヒュルケンベルグは,ルーキーシーズンで7回の入賞と22ポイントの獲得というリザルトを残しています。何といっても印象的なのは,ブラジルGPでウィリアムズに5年ぶりのポールをもたらしたことでしょう。そのヒュルケンベルグの来シーズンについてですが,現段階ではまだ未定となっています。彼のマネージャーであるW.ウェバーによると,まだ正式決定はないものの,他チームと交渉を行っていて,来シーズンもヒュルケンベルグがF1で走ることを確信しているとコメントしています。中にはフェラーリに移籍するのではないかという噂もありますが,マッサが残留することになるでしょうから現実的には考えられない話です。また,彼の経歴に見合うような有望なシートは,今シーズン何度か入賞をしているフォース・インディアと,今シーズンのチャンピオンエンジンであるルノーを来季から搭載することになっているロータスぐらいしかなく,スムーズなシート獲得という訳にはいかないでしょう。なお,ヒュルケンベルグの離脱により空いたシートに誰が座ることになるのかについてですが,今回の発表では明らかとなりませんでした。チームの発表によると,年内には発表する予定になっているようです。浮上している噂では,ベネズエラの国有石油企業『PDVSA』から支援を受ける今シーズンのGP2チャンピオンであるP.マルドナドが有力なようです。
2010/11/15(月)
☆大逆転(F1)
○今シーズンの最終戦となる第19戦アブダビGPの決勝レースが,夕方5時からスタートを切るというトワイライトレースとして行われました。ポールからスタートしたのは,ランキングトップをいくフェラーリのF.アロンソから15ポイント差で追うレッドブルのS.ベッテルでした。わずか1戦で15ポイント差を逆転しなければなりませんから,現実的にはかなり厳しい状況の置かれていると考えていい状況と言えるベッテルでした。そのベッテルは,オープニングラップからトップに立ち,ファステストラップをマークしながらトップの座を守り続けました。そのオープニングラップでは,メルセデスGPのM.シューマッハにフォース・インディアのV.リウッツィが突っ込んでリタイアに終わるというアクシデントが発生しました。そのためセーフティーカーが導入され,それを機にウィリアムズのニコ・ロズベルグ,ルノーのV.ペトロフ,トロ・ロッソのH.アルグエルスアリたちがピットインしました。このピットインが,後に大きな影響を与えることとなります。ベッテルが順調にトップの座を守ったのに対して,ランク1,2位を行くアロンソとレッドブルのM.ウェーバーは思うようにペースアップすることができず,3番グリッドからスタートしたアロンソは,オープニングラップで順位を一つ下げて4位を走行していきました。そのアロンソがピットインをし,コースに復帰した時には,前にセーフティーカー導入時にピットインを完了していたルノーのペトロフがいました。ベッテルの所属するレッドブルは,ルノーエンジンユーザーですから,ペトロフの所属するルノーとしては,ルノーがチャンピオンエンジンに輝くようになるため当然ベッテルを援護することになります。元チャンピオンを押さえるという重責を担わされたペトロフは,見事にその役割を最後まで務めていきました。後続を引き離していたベッテルは,タイヤ交換を済ませてトップでコースに復帰し,最後までその座を守って今シーズン5回目となる勝利を収めました。2位,3位には,それぞれL.ハミルトンとJ.バトンのマクラーレン・メルセデス勢が入りました。ペトロフに押さえられたアロンソは7位で,ここまでランク2位だったレッドブルのM.ウェーバーが8位でチェッカーを受けました。この結果,アロンソと4ポイント差でベッテルが大逆転でランクトップに立ち,2008年にハミルトンがマークした23歳300日という史上最年少記録を,23歳134日という記録でベッテルが抜き,ワールドタイトルを手にしました。なお,ザウバーの小林可夢偉は,思うように順位を上げることができず,14位でチェッカーを受け,ランク12位でデビューシーズンを終えています。シーズン最後のレースはポイント獲得には至らなかったものの,チーム状況等を考えるとランク12位というのは立派な成績だったと言えますね。
2010/11/14(日)
☆逆転に向け(F1)
○今シーズンの最終戦となる第19戦アブダビGPが,アラブ首長国連邦のアブダビにあるヤス・マリーナ・サーキットで行われました。トップ10のグリッドを決めるQ3でトップタイムをマークしたのは,ランクトップをいくフェラーリのF.アロンソを15ポイント差で追うレッドブルのS.ベッテルでした。わずか1戦でその15ポイント差を逆転するのはかなり厳しいのですが,大逆転でのチャンピオン獲得に向けて好発進を切りました。ベッテルのポール獲得は,今シーズン10回目を数え,通算では15回目となります。2番グリッドを獲得したのは,数字上はまだチャンピオン獲得の可能性のあるマクラーレン・メルセデスのL.ハミルトンでした。ただし,アロンソとのポイント差は24ですし,他の上位を行くドライバーが下位,またはノーポイントに沈むという条件での話ですから,現実的にはハミルトンのチャンプ獲得は絶望的と言えます。3番グリッドを獲得したのは,決勝レースで2位以上に入れば自力でチャンピオン獲得となるアロンソでした。そのアロンソを8ポイント差で追うランク2位をいくレッドブルのM.ウェーバーは,思うようにタイムアップすることができずに5番グリッドからのスタートとなりました。ザウバーの小林可夢偉は,Q2で敗退となって12番グリッド獲得にとどまっています。
2010/11/13(土)
☆復帰(IRL)
○2005年を最後にして,トヨタとシボレーがIRLへのエンジン供給が終了しました。その結果,現在は実質的にホンダのワンメークとなっています。そのIRLシリーズですが,2012年から新しい規定に則ったマシン及びエンジンで争われることが決定しています。ちなみにその新しい規定とは,まずマシン本体については,ダラーラ製のモノコックに認可を受けた様々なメーカーのエアロパーツを装着できる新しいシャシーが用いられることになっています。また,エンジンについては,最大で6気筒,2400ccのエンジンで,550馬力〜700馬力までトラックに合わせて発生する新エンジンが用いられることになっています。この新しい規定に関して,既にホンダはその規定に則ったエンジンを供給することを発表していました。それ以後なかなか新たなメーカーからの発表がないという状態が続いていましたが,ついに新たな挑戦者が現れました。その挑戦者というのは,2005年シーズンで撤退していたアメリカを代表するメーカーであるシボレーです。今回の発表は,IRLとシボレーとによる共同発表という形を取っています。そして,その発表によると,新規定に則ったエンジンの開発に関しては,シボレーが単独で行うのではなく,イルモアとの共同開発によるものになるようです。
2010/11/12(金)
☆正式発表(MotoGP)
○チーム・グレシーニから正式発表がありました。まずその一つ目ですが,既にバレンシアGP後に行われた合同テストでライディングしていましたから明らかになっていたようなものではあるものの,昨シーズン限りで終わった250ccクラス最後のチャンピオンで,今シーズンはインターウェッテン・ホンダから最高峰クラスにステップアップしていた青山博一が同チームに所属することが決定しました。今シーズンの青山は,ようやく最高峰クラスに進出できたものの,初めてのクラス及びマシン,そして青山と同様初めて最高峰クラスに進出したチームということで,トップ10に入るかどうかというところでのバトルが中心となっていました。さらに,シーズン途中では,転倒して背骨を損傷するという大怪我を負ってしまったため,長期欠場を強いられるという事態にも至りました。それでも復帰後にはトップ10フィニッシュを果たすなど,悪い状態ながらも徐々に結果を出すようにはなっていきました。しかし,チームが最高峰クラスから撤退する(チームとしては,当面再来年シーズンから復帰することを目標にしているようです。)ことが決まったため,新たな移籍先を見つける必要に迫られていました。そして,ホンダ系で最有力なサテライトチームであるチーム・グレシーニへの移籍が決定したわけです。同チームは,既に青山と同じく今シーズンからこのクラスにステップアップしていたM.シモンチェリの残留が決まっていましたから,奇しくも昨年,一昨年の250ccクラスチャンピオン同士のペアということになりました。250ccクラス当時は,常にチャンピオン争いを展開していて強力なライバル関係にある二人が,どのようなコンビネーションを見せるのか,それが注目となります。何より,上位争いを展開できるチームへの移籍だけに,青山がどこまで結果を残すことができるのか,大いに注目したいところです。次に,2つめの発表ですが,同チームのタイトルスポンサーを務めているのがイタリアのお菓子メーカーであるサンカルロ社ですが,来シーズンもそのサンカルロ社とのタッグが続くことになりました。
2010/11/11(木)
☆提携強化?(F1)
○F.アロンソを勝たせるため,N.ピケJrに意図的にクラッシュを起こしてリタイアするように指示したいわゆる『クラッシュゲート事件』をきっかけにして,一時期はF1自体から撤退するのではないかと噂されたルノーですが,来シーズンはレッドブルやロータスにエンジンを供給することが決定していて,撤退の噂自体は否定されたような印象です。ただし,グループ・ロータスと提携してF1への関与を縮小するのではとの噂についてはいまだに出ているのも事実です。これらの点に関してルノーのCEOであるC.ゴーンが語ったところによると,エンジンを含めF1に参戦する多数のチームへの技術供給を拡大していく方針であるとのことです。ただし,チームの名称についてはそれほどこだわりがあるわけではないようで,「ルノーの名称は維持したいが,ルノーF1チームに関していえば,関連した他の名前になる可能性はある」とのコメントを出していて,名称変更の可能性そのものは否定していません。また,チーム株式の売買の可能性についても明確な回答はなく,この点についても売却の可能性そのものを否定しませんでした。つまり,今後はテクノロジー面での参戦を継続することは当面確実なのですが,いわゆるソフト面に関してはかなり可能性を残した状態で参戦していくようです。
2010/11/10(水)
☆新チームで(MotoGP)
○最終戦であるバレンシアGPが終了し,Moto2クラスとMotoGPクラスは,そのままバレンシアにとどまってオフシーズンテストに臨みました。8日(月)にMoto2クラスのテストが行われた後,9日(火)と10日(水)はMotoGPクラスの走行が行われる予定になっています。そして,その初日の走行が行われ,来シーズン最高峰クラスにフル参戦している予定のライダーが,来シーズン所属するチームのマシンを使って走行していきました。注目は,何といっても長年過ごしたヤマハと別れを告げてドゥカティに移籍するV.ロッシでしょう。契約の関係からまだそのチームのカラーリングが施されたマシンにまたがることができないライダーが多いですが,ロッシもその中の一人です。ドゥカティといえばイタリアのチームらしく赤いマシンですが,今回ロッシが駆っているマシンは,黒を基調にし,ロッシらしく黄色い「46」のゼッケンが書かれたものです。さて,そのロッシが所属することになっているドゥカティから,今回のテストに関して情報が出されました。それによると,今回ドゥカティがバレンシアテストに持ち込んだマシンは3台あり,そのうちの1台が今季型マシンであるデスモセディチGP10で,残りの2台が来季型マシンであるGP11です。そして,ビッグバンエンジンとスクリーマーエンジンといった2種類のエンジンも持ち込んでいて,ロッシはもちろん,ドゥカティに残留することが決まっているN.ヘイデンの両方にそれらのマシンやエンジンが準備されているとのことです。できるだけ早く来年度の仕様のエンジンを使うことにするのかを決めることにより,それに合わせたマシン作りができますので,当然のことながら今回のテストはロッシにとっても重要となります。
日本人として一番の注目は,何といっても今シーズンからMotoGPクラスにステップアップした青山博一でしょう。既に発表があったように,彼が今シーズン所属したインターウェッテン・ホンダは,来シーズンは最高峰クラスから撤退することが決定しています。ですから,最高峰クラスでの参戦を継続するためには,青山は新たなチームを探す必要がありました。噂は出ていたものの,未だにその点についての正式発表はなされていませんが,今回のテストには無事参加しています。その新たなチームとは,噂に上っていたチームであるサンカルロ・ホンダ・グレシーニです。レプソル・ホンダがC.ストーナーとD.ペドロサの契約を早くに発表したため,同チームからフル参戦しているA.ドビツィオーゾの去就が注目されていました。その中で,彼がM.メランドリの抜けたホンダ・グレシーニのシートに座るのではないかという観測が出ていたのも事実です。しかし,ドビツィオーゾがレプソル・ホンダに残留し,同チームが3台体制になることが決定したことにより,ホンダ・グレシーニのシートが空いたことになりました。今回のテストに青山が参加したことにより,正式発表はないもののそのシートに青山が座るは間違いないでしょう。250cc時代にKTM陣営に加わることがありましたが,基本的に青山はホンダ系のライダーですから,唯一のフル参戦日本人ライダーである青山のシート獲得に,こうした点が好影響しているのも事実かも知れません。ともかく,実績のあるチームだけに,青山の活躍に期待ですね。
2010/11/9(火)
☆ワークスチーム(MotoGP)
○HRCから来シーズンのチーム体制について発表がありました。ライダーに関してですが,シーズン途中でD.ペドロサの契約延長と,ドゥカティからC.ストーナーが移籍してくることが決定していました。それに対して,もう一人のフル参戦ライダーであるA.ドビツィオーゾに関しては,ホンダにとどまることは確実視されていましたが,どのチームから参戦するのかなかなか正式発表がなされていませんでした。今シーズンの二人にストーナーを加えた3台体制で行くのではないか。ホンダで最も有力なサテライトチームであるグレシーニ・ホンダに移籍するのではないか。そうした二つの噂が浮上していたのですが,その噂に決着を見たのです。その結果は,3台体制で行くということです。通常2台体制で行くのが普通ですが,ホンダに関しては,ワークスチームが3台体制で行くのは今回が初めてではありません。とはいってもちょっと前に話になってしまうのですが,今シーズン限りでJRRから引退した伊藤真一がGPにフル参戦を開始した頃の1990年代に,M.ドゥーハン,A.クリビーレ,そして伊藤という3台体制で臨んでいた時期がありました。また,HRCからの発表はもう一つあって,それはタイトルスポンサーについてです。一昔前のホンダワークスといえば『ロスマンズ・ホンダ』という名称が一般的でしたが,たばこ広告禁止という流れの中でロスマンズが撤退し,HRCカラーでフル参戦した時期を経て,1995年からスペインの石油関連会社である『レプソル』がホンダのワークスチームのタイトルスポンサーを務めるようになり,それ以後はホンダワークスといえば『レプソル・ホンダ』という名称が浸透しています。この度そのレプソルとの契約が延長となりました。今回結ばれた契約延長は,2012年までの2年間となっています。
ホンダが3台体制に拡大したのに対して,スズキから発表があり,スズキのワークスチームは,来シーズン1台体制で臨むことが決定しました。今シーズンは,超ベテランライダーのL.カピロッシと,最高峰クラスルーキーのA.バウティスタの2台体制で臨んでいました。しかし,カピロッシがドゥカティのサテライトチームであるプラマック・レーシングに来シーズン移籍することが決定し,彼のシートが一つ空いた状態になっていました。通常ならそのシートに誰が座るのかいろいろな名前が浮上するのですが,今回はなかなか具体的な名前が出ることはなく,むしろこのまま1台体制になるのではないかという噂が主流となっていました。そして,その結果がやはり噂通りのものだったのです。今回の1台体制ですが,単に1台減ったということだけではありません。来シーズンは1台で臨むことになるものの,2012年シーズンに果たしてスズキがMotoGPにとどまるのかという問題が含まれているのです。世界的な経済状況の悪化に伴い,スズキもレース体制を縮小する傾向にあります。特にGPに関しては,2008年に表彰台を獲得して以降,2009,2010年シーズンは一度も表彰台に上ることができていません。こうした状況の中でワークスとして参戦を継続するのか,非常に微妙となっているのも事実でしょう。
☆チャンピオンチームに(MotoGP)
○今シーズンから始まったMoto2クラスで初代チャンピオンに輝いたのは,スペイン人ライダーのT.エリアスでした。そのエリアスが所属していたのが,ホンダ系のチームの一つであるグレシーニ・レーシングです。そのグレシーニ・レーシングから発表があり,来シーズンのフル参戦ライダーが決定しました。チャンピオンを獲得したエリアスは,来シーズン再びMotoGPクラスにLCRから復帰することが決定していて,その空いたシートに高橋裕紀が座ることになりました。今シーズンの高橋は,テック3に所属して1勝を挙げています。しかし,チームオリジナルのマシンでの参戦だったため,なかなか思うようなマシン作りができずにいたことも事実で,シーズン終盤までトップ10内のランキングだったものの,最終盤での失速によりランキング12位でシーズンを終えていました。その高橋が,ついにチャンピオンチームに移籍することが決定したのです。この移籍劇は,ある意味納得できるものと言えるのかもしれません。高橋といえば長年ホンダ系のライダーとして活躍してきました。最初にも記したように,グレシーニもずっとホンダ系のチームとして実績を残しています。また,そのグレシーニが使用しているマシンが,国内におけるホンダ系の超有力コンストラクターの一つであるモリワキです。こうしたつながりから考えるとある意味自然ですし,Moto2クラスにおけるモリワキのエースチームに,日本語で話ができるライダーがエースとして加わることは,マシン開発にとってかなりのプラスになります。ただ,高橋にとって厳しいシーズンとなることも事実です。言い訳できない状況でのフル参戦となったわけですから,GPでの正念場を迎えたとも言えます。ぜひとも素晴らしい活躍を見せて,GPにおけるしっかりとした足場を固めてほしいですね。なお,高橋のチームメイトは,WSSのフル参戦ライダーであるM.ピロに決まりました。
☆最終戦で(MotoGP)
○最終戦となる第18戦バレンシアGPの決勝レースが,ドライコンディションのリカルド・トルモで行われました。MotoGPクラスは,既に今シーズンのチャンピオンを決めているフィアット・ヤマハのJ.ロレンゾが,終盤に入ってトップに立つと後続との差を広げていき,今シーズン9勝目を挙げました。この勝利により,今シーズンの獲得ポイントが383ポイントとなり,これは最多シーズン最多獲得ポイントとなりました。また,これまでのシーズン最多表彰台獲得回数記録の16回に並んでいます。2位には,この大会3年連続ポールからスタートしたC.ストーナーが入り,彼にとって最後のドゥカティでのレースを表彰台獲得で締めています。そして,3位にフィアット・ヤマハのV.ロッシが入り,彼は最後のヤマハでのレースを締めました。ホンダのエースライダーであるレプソル・ホンダのD.ペドロサは,まだ体調が万全でない中で走行し,一時期は2位を走る走りを見せました。しかし,最後までその勢いを保つことができず,最後は7位でチェッカーとなりました。それでも,ランク2位の座を守ってシーズンを終えています。これがインターウェッテン・ホンダでの最後のレースとなる青山博一は,15番グリッドからスタートし,怪我に苦しんだ今シーズンを14位で終えています。
Moto2クラスは,最終ラップに今シーズンのチャンピオンを決めているモリワキのT.エリアスとランク2位争いをしているスピードアップのA.イアンノーネとが接触するというアクシデントが発生しました。その隙を突いてFTRのマシンを駆るK.アブラハムがトップに浮上し,自身初となる勝利を収めました。来シーズンは現在のチームとともにドゥカティのサテライトチームとしてMotoGPクラスにステップアップするアブラハムですが,その手土産を獲得したかのような最終戦となりました。エリアスはコースオフを喫して順位を大幅に下げましたが,イアンノーネはコースにとどまることができて2位でチェッカーを受けました。彼とランク2位争いをしているシューターのマシンを駆るS.コルシが3位でチェッカーとなったため,ランク2位争いはわずか2ポイント差でコルシに軍配が上がりました。日本人勢ですが,これがテック3で最後のレースとなる高橋裕紀は,今回も思うような走りを展開することができず,ポイント圏外の18位でシーズンを終えています。また,シーズン途中からの参戦となったシューターの國川浩道は,予選と同じく最下位でレースを終えています。
唯一チャンピオンが決まっていなかった125ccクラスは,来シーズンからMoto2クラスにステップアップすることが決まっているアプリリアのB.スミスが,3番グリッドからスタートしてオープニングラップからトップに立ちました。フリー走行でもいい走りを見せていた彼は,後続との差を広げていく走りを展開し,昨年の第5戦イタリアGP以来となる優勝を飾りました。このクラスは,昨シーズンの第7戦オランダGPからずっとスペイン人ライダーが優勝し続けていましたが,イギリス人ライダーのスミスが優勝したことにより,今シーズンの最終戦でついにスペイン人ライダーの連続優勝記録が26でストップしています。スミスと同じく来シーズンMoto2クラスにステップアップすることが決まっているデルビのP.エスパルガロは,5番グリッドからスタートして2位でチェッカーを受けています。また,来シーズンもこのクラスにとどまることになっているアプリリアのN.テロルは,エスパルガロとのバトルを制することができず3位でシーズンを終えました。ただし,ランキング2位の座は守っています。ここまでランクトップにつけているデルビのM.マルケスは,ポールからスタートしたものの,安全策を採ってあえてトップ争いに加わらず,4位でチェッカーを受けて最終戦で今シーズンのチャンピオンを獲得しました。来シーズンも現在のチームにとどまってこのクラスにフル参戦することが決まっているアプリリアの小山知良は,通算100戦目を7位で終え,非力なマシンを駆りながらもランキング8位でシーズンを終えました。来シーズンは,今シーズンのランキング上位勢がMoto2クラスにステップアップすることが決まっていますし,小山の手にようやくアプリリアの最新型マシンであるRSWが渡ることも決まっています。年齢制限から来季が最後の125ccクラス参戦となりますが,念願のチャンピオン獲得に向けてチャンスが広がってきた状況となりました。
☆死守(FN)
○最終戦となる第7戦の決勝レースが,気温がやや低くなった鈴鹿サーキットで行われました。最終戦の決勝レースは,午前・午後にそれぞれ1回ずつ行われる2レース制での開催となりました。午前に行われたレース1では,ポールからスタートしたDOCOMO DANDELIONのL.デュバルが好スターを決めてトップの座を守り,後続との差を広げていきました。チャンピオン争いを繰り広げているNAKAJIMA RACINGの木暮卓史とPETRONAS TOM'SのA.ロッテラーが,そのデュバルを追うという展開となりました。折り返し地点を過ぎたところで,トップを行くデュバルのマシンから白煙が上がるようになり,周を追うごとに白煙の量が増えていきました。どうやら駆動系にトラブルが発生したようで,そこから白煙が上がっているようなのです。デュバルを2番手で追う木暮は,そのオイルがバイザーにつき,前がよく見えない中での走行を強いられてしまいました。3位を行くロッテラーも同様で,なかなか前をパスするという状況までは持って行くことができません。いつデュバルのマシンが音を上げるかという状況になったものの,最後までマシンは保ち,デュバルが今季2勝目を挙げました。
午後から行われたレース2は,ランクトップを行くMobil1 IMPULのJ−P.デ.オリベイラがポールからスタートし,1周目はトップの座を守ることができました。しかし,ガソリンを少なくしてスタートした木暮に2周目の1コーナーでパスされ,トップの座を譲りました。木暮は順調にトップの座を守っていきましたが,何とピットインした際にエンジンをストールさせてしまい,オリベイラの後ろでコースインとなってしまいました。さらに,後からピットインしたロッテラーにも交わされてしまい,3位まで順位を落としてしまいました。2位以上に入ればチャンピオン獲得となるオリベイラでしたが,転がり込んだトップの座を死守する走りを展開していき,見事優勝で今シーズンのタイトルを決めました。チームの財政が厳しい中,それでもFNへの参戦を継続したTEAM IMPULですが,その苦労が報われる形でのドライバー及びチームタイトルの獲得となりました。チームタイトルの表彰台上でチームオーナーである『日本一速い男』の異名を持つ星野一義がインタビューに答える形で語った「レース馬鹿」に関するコメントは,レースを愛する者たちにとって感動的なものでした。
☆1周目で(F1)
○残り2戦となったF1ですが,その2戦目となる第18戦ブラジルGPの決勝レースが,インテルラゴスで行われました。ウィリアムズのN.ヒュルケンベルグが自身初のポールからスタートしましたが,自力に勝るレッドブル勢の走りを上回ることができず,オープニングラップでS.ベッテルとM.ウェーバーに抜かれてしまいました。何とか6周目までは3位の座を守りましたが,7周目にランクトップを行くフェラーリのF.アロンソに抜かれてしまいました。チャンピオン争いをしているこの3台は,レース途中でセーフティーカー導入などがありましたが,順位が変動することなく最後までそのポジションを守りきり,ベッテルが今季4回目の勝利を収めました。この結果,アロンソがランク2位のウェーバーに8ポイント差をつけて最終戦を迎えることになり,チャンピオン争いをやや有利な形で迎えることになりました。ランク4位をいくマクラーレンのL.ハミルトンは,アロンソと22ポイント差に広がったため,数字上はチャンピオン獲得の可能性はあるものの,実質的にはほぼ絶望的な状況となりました。最終戦は,アロンソとレッドブル勢との間でチャンピオン獲得に向けて激しいレース展開となりそうです。ここまで2戦連続ポイント獲得となっているザウバーの小林可夢偉は,ピット作業を終えて12位でコースインした後,2台を抜く走りを見せて10位でチェッカーを受け,3戦連続でポイントを獲得しています。
2010/11/7(日)
☆ラスト(MotoGP)
○今シーズンの最終レースとなる第18戦バレンシアGPの予選が,リカルド・トルモ・サーキットで行われました。MotoGPクラスは,来シーズンからホンダに移籍することが決定していて,これがドゥカティでのラストレースとなるC.ストーナーが,フリー走行で速さを見せていた走りを予選でも見せ,今季4回目となるポールを獲得しました。ドゥカティでのストーナーのポールは,今回が通算20回目となります。初日の走行でトップタイムをマークしていた今シーズンのチャンピオンであるフィアット・ヤマハのJ.ロレンゾは,こちらもその速さを見せて2番グリッドを獲得しています。ルーキーシーズン最後の予選となるサンカルロ・グレシーニ・ホンダのM.シモンチェリが,最高峰クラスで自己最高位となる3番グリッドを獲得しました。今回のレースが最高峰クラス最後のレースとなるインターウェッテン・ホンダですが,そこの唯一のフル参戦ライダーである青山博一は,トップから1.5秒遅れの15番手で予選を終えています。
Moto2クラスは,今シーズンのチャンピオンを決めているモリワキのマシンを駆るT.エリアスが,今シーズン3回目となるポールを獲得しました。前戦で自身初となる勝利を収めたシューターのS.ブラドルが,自己最高位となる2番グリッドを獲得しています。午前中に行われたフリー走行3を制しているスピードアップのA.イアンノーネが,3番手タイムをマークしました。今回がテック3で最後のレースとなることが決定している高橋裕紀は,トップから1.111秒差の22番手,シューターの國川浩道は,残念ながら最下位の42番手で予選を終えています。
125ccクラスは,ここまでランキングトップを行くデルビのM.マルケスが,安定して1分39秒台のタイムをマークして速さを見せ,何と今季12回目となるポールを獲得しました。そのマルケスとチャンピオン争いを展開しているアプリリアのN.テロルが2番手タイムをマークし,最終戦まで持ち込まれたチャンピオン争いの激しさを象徴するかのような結果を残しています。フリー走行で速さを見せていたテロルのチームメイトであるB.スミスが,自身125ccクラス最後の予選を3番手で終えています。今回が100レース目となるアプリリアの小山知良は,トップから約1.9秒遅れで11番手タイムをマークしています。
☆チャンピオン争い(FN)
○今シーズンの最終戦となる第7戦の予選が,鈴鹿サーキットで行われました。最終戦は2レースが行われることになっていて,そのレース1のグリッドは,ノックアウトで行われる予選の1回目となるQ1でのリザルトで決まり,レース2のグリッドは,通常通りQ3のリザルトで決まるという方式となっています。レース1のグリッドが決まるQ1は,いつもだと様子見のような感じで予選が進んでいきますが,今回はグリッドが決まるということで最初から激しい予選となりました。その中でトップタイムをマークしたのは,昨年のチャンピオンで,2連覇を狙っているDOCOMO DANDELIONのL.デュバルでした。ここまでランキングトップをいくMobil1 IMPULのJ−P.デ.オリベイラが,コンマ009遅れの2番手タイムでした。オートポリスで行われた前戦の勝者で,オリベイラと同ポイントで最終戦を迎えているPETRONAS TOM'SのA.ロッテラーが3番手タイムをマークしています。レース2のグリッドが決まるQ3は,いつものようにコースオープンとなってもマシンがコースインせず,様子見をするという展開となりました。そして,いつものように予選残り7分となったところで全車がコースインを完了し,ランクトップのオリベイラが最速タイムをマークしました。ランク3位でチャンピオン争いに残っているNAKAJIMA RACINGの木暮卓史が2番グリッドを,チームメイトの山本直貴が3番グリッドを獲得して予選が終了しています。
☆初ポール(F1)
○第18戦ブラジルGPの予選が,インテルラゴス・サーキットで行われました。今回の予選は,ウェットコンディションで始まり,途中一部で雨が降り,最後のQ3は全車ドライタイヤでアタックをするという不安定な天候の中で行われました。そうしたコンディションの中でトップタイムをマークしたのは,何と今シーズンがデビューイヤーとなるウィリアムズのN.ヒュルケンベルグで,もちろん自身初となるポール獲得です。ウィリアムズにとっては,5年ぶりのポール獲得となります。フリー走行ではトップ1,2のタイムをマークしていたレッドブル勢は,ヒュルケンベルグにポールの座を譲ったものの,S.ベッテルが2番グリッド,M.ウェーバーが3番グリッドを獲得しています。ここまでランキングトップをいくフェラーリのF.アロンソは,マクラーレン・メルセデスのL.ハミルトンに次いで5番グリッド獲得となっています。ザウバーの小林可夢偉は,Q2で敗退して12番グリッドとなっています。
2010/11/6(土)
☆ルノー(F1)
○第18戦ブラジルGPが開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。そのフリー走行でトップタイムだったのは,わずかにチャンピオン獲得の可能性を残しているレッドブルのS.ベッテルでした。そのブラジルGPの会場においてレッドブルから発表があり,現在同チームがエンジンの供給を受けているルノーとの間で2年間の契約延長が成立しました。ここ4年間にわたってルノーエンジンを使用してきたレッドブルですが,信頼性の面でやや課題が残っているため,速さと安定さのあるメルセデスエンジンにスイッチしたいのではないかという噂がずっと囁かれていました。しかし,他のメルセデスエンジンユーザーとの関わりから,その願いが叶わない状況が続いていました。今回の契約延長は,これまでの関係を重視した結果だと考えられるのかもしれません。また,そのルノーエンジンに関してですが,新たに1つのチームがルノーエンジンユーザーに加わりました。それは,今シーズンからの新規参入チームの一つであるロータス・レーシングです。そのロータスは,F1参入の際にエンジンサプライヤーであるコスワースとの間で3年間の契約が成立していました。しかし,先月初めにその契約が解除されています。これにより,レッドブルとロータスがルノーエンジンユーザー仲間になったわけですが,そのレッドブルとロータスは,先日ロータスがレッドブルから来季以降ギヤボックスおよび油圧システムの供給で合意が成立しています。
2010/11/5(金)
☆再度(F1)
○今日からブラジルGPが開幕しますが,新規参入チームの一つであるヒスパニア・レーシングから発表があり,この大会では山本左近に代わってC.クリエンがステアリングを握ることになりました。こうしたことは,シンガポールGPでも行われていて,今シーズン2回目となります。B.セナ&K.チャンドックの二人でスタートした同チームですが,イギリスGPで最初のドライバー交替が行われ,セナに代わって左近がレースに参戦しました。ドイツGP以降は,チャンドックがシーズン途中にもかかわらずレースシートを失い,イタリアGPまで左近とセナがコンビを組みました。そして,左近が食中毒にかかってしまったということで,シンガポールではクリエンが代役参戦をし,その後は再び左近がステアリングを握ってきたという経緯があります。しかし,今回はシンガポールの時と違い,交代の理由は明らかにされていません。日本人には珍しく(?)比較的潤沢なパーソナルスポンサーをもつ左近ですが,1レースあたり45万ドル(約3600万円)のスポンサーフィーを支払ってレースに参戦しているというのがもっぱらの噂で,今回欠場となったのは,そのスポンサーフィーが滞ってしまったからではないかとの憶測も出ています。
2010/11/4(木)
☆確定(F1)
○FIAがパリの本部で世界モータースポーツ評議会のメンバーと会合を開いて来シーズンのレースカレンダーを確定しました。それによると,9月に発表された暫定のレースカレンダーからの変更がなく,新たな開催地となるインドGPを加えて全20戦で行われることになります。ただし,その新たな開催地のインドGPと,今シーズン限りで撤退が噂された中国GPについては,サーキットがFIAの承認を受けるという前提のもとでのリスト掲載となっています。ドイツGPの会場は,ホッケンハイムとニュルブルクリンクとで交互開催されることになっていて,来季はニュルブルクリンクでの開催順となります。
2011 F1レースカレンダー(決定)
  決勝日 大会
第1戦  3月13日 バーレーンGP
第2戦  3月27日 オーストラリアGP
第3戦  4月10日 マレーシアGP
第4戦  4月17日 中国GP
第5戦  5月 8日 トルコGP
第6戦  5月22日 スペインGP
第7戦  5月29日 モナコGP
第8戦  6月12日 カナダGP
第9戦  6月26日 ヨーロッパGP(バレンシア市街地サーキット)
第10戦  7月10日 イギリスGP
第11戦  7月24日 ドイツGP(ニュルブルクリンク)
第12戦  7月31日 ハンガリーGP
第13戦  8月28日 ベルギーGP
第14戦  9月11日 イタリアGP
第15戦  9月25日 シンガポールGP
第16戦 10月 9日 日本GP
第17戦 10月16日 韓国GP
第18戦 10月30日 インドGP
第19戦 11月13日 アブダビGP
第20戦 11月27日 ブラジルGP
2010/11/3(水)
☆移籍 PARTT(MotoGP)
○これまでのMotoGPクラスにフル参戦を継続するとともに,オリジナルマシンを使用して今シーズンから始まったMoto2クラスにもフル参戦しているテック3から,来シーズンMoto2クラスに同チームから参戦するライダーの発表がありました。それによると,今シーズン同チームから参戦している高橋裕紀とR.デ.ローサに替わって,M.ディ.メッリオとB.スミスの2人が参戦することになりました。元125ccクラスチャンピオンであるディ.メッリオは,昨年シーズンは250ccクラス,そして今シーズンはMoto2クラスと,中量級クラスに125ccクラスの時と同様アスパー・チームからフル参戦していました。ただし,この中量級クラスでは,現段階までは未勝利のままです。もう一人のスミスは,2006年から125ccクラスに参戦し,現段階までは,2勝を含んで19回の表彰台獲得というリザルトを残しています。今シーズンは,昨シーズンと同様に,そしてディ.メッリオと同様アスパー・チームからフル参戦しています。
気になるのは,Moto2クラスでテック3のエースライダーとして走っている高橋裕紀の動向です。今回の発表では,その点については明らかにされませんでした。250ccクラスで活躍した後,昨シーズンはMotoGPクラスにステップアップしたものの,チームの資金不足からシーズン序盤でシートを失ってしまうという不運に見舞われてしまいました。今シーズンはテック3のシートを得て,MotoGPへの参戦を継続することができていました。無事参戦を継続することができるといいのですが…。
☆移籍 PARTU(SBK)
○元GPライダーで,SBKにおいて2度チャンピオンに輝いているJ.トスランドから発表があり,来シーズンはチームを移籍し,BMWイタリアからフル参戦することになりました。チームメイトは,今シーズン同チームからスーパーストック1000カップにフル参戦したA.バドヴィニとなります。来シーズンの同チームは,SBKにおけるBMWのファクトリーチームであるBMWモータースポーツの支援を受けることになっています。そして,来シーズンのBMWのファクトリーライダーであるT.コーサーとL.ハスラムに供給されるマシン(BMW S 1000 RR )と同じスペックのものが供給されることになるようです。2004年はドゥカティの,2007年はテン.ケイト.ホンダのマシンを駆ってチャンピオンを獲得したトスランドは,2008年と2009年にはテック3ヤマハからMotoGPクラスにフル参戦しました。今シーズンは再びSBKに戻り,ヤマハのファクトリーチームからフル参戦していました。そして,来季は彼にとって4機種目となるBMWのマシンを駆ることになったわけです。
また,カワサキからも発表があり,来シーズンのファクトリーライダーのラインナップが明らかとなりました。来シーズンからSBKにおけるカワサキのファクトリーチームであるPBM(ポール・バード・モータースポーツ)は3台体制となるようで,そのラインナップは,今シーズンのC.バーミューレンとT.サイクス,そしてWSSのファクトリーライダーで来季SBKにステップアップするJ.ラスコルツの3名です。使用するマシンは,来年フルモデルチェンジを果たすZX-10Rです。来季から使用する新しいZX-10Rは,既に発表されているようにこれまでとは大幅に変更されたものになるとともに,かなりポテンシャルが期待できるマシンに仕上がっているようです。ここ数年SBKにおいて陰に隠れた感じのするカワサキですが,来シーズンは巻き返しが期待できそうですね。
2010/11/2(火)
☆復帰(MotoGP)
○元GPライダーであるL.チェッキネロが代表を務めるLCRから,来シーズンについて発表がありました。まず,ホンダのサテライトチームとして最高峰クラスにフル参戦している同チームですが,来シーズンもこれまで同様にHRCの支援を受けてホンダのサテライトチームとして参戦を継続することが決定しました。さらに,来季のライダーには,今シーズン新設されたMoto2クラスの初代チャンピオンに輝いたT.エリアスを起用することになりました。2005年からMotoGPクラスへステップアップしたエリアスは,ヤマハ,ホンダ,ドゥカティの3メーカーのマシンを駆る経験をしながら昨シーズンまでフル参戦していました。その間の成績は,優勝回数が1回,表彰台獲得回数が6回でした。しかし,昨シーズン末で最高峰クラスのシートを失い,今季はMoto2クラスに戦いの場を移していました。そこで見事にチャンピオンを獲得し,再び最高峰クラスへ返り咲くことになったわけです。125ccクラスへの参戦も経験しているエリアスですが,1999年から2001年までの3年間,当時現役ライダーだったチェッキネロと同クラスでレースをした経験を持っています。その時は,チェッキネロがベテランライダー,エリアスがデビュー間もない若手ライダーという立場でした。その2人が,今回新たにタッグを組むことになったのは,時の流れと縁を感じさせるものですね。
なお,2008年から今シーズンまで同チームのライダーを務めるR.ド.ピュニエの去就については,今回は発表がありませんでした。しかし,ドゥカティのサテライトチームの一つで,既にL.カピロッシを起用することが決定しているプラマック・レーシングへの移籍が確実視されています。今シーズンそのプラマックのライダーの1人で,今季限りでシートを失うことが決定しているA.エスパルガロですが,先日Moto2クラスにフル参戦しているポンス・レーシング(元250ccクラスチャンピオンで,500ccクラスへもフル参戦を経験しているA.ポンスが代表を務めるチームです。)に所属してMoto2クラスで戦うことが決定しています。エスパルガロのチームメイトは,ポンスの息子であるアクセル.ポンスとなることも決定しています。
2010/11/1(月)
☆チャンピオン決定(JRR)
○最終戦の決勝レースが,午前中はドライ,午後はウェットとというコンディションの中,鈴鹿サーキットで行われました。今大会でのJSB1000クラスは,午前と午後それぞれに1レースずつ行う2レース制となっています。まず,レース1では,ポールからスタートしたホンダの秋吉耕祐が,スタート時には同じくホンダの伊藤真一にトップの座を譲ったものの,1周目の2輪専用シケインで抜き返してトップの座に立ちました。しかし,今回が卒業レースとなる伊藤は,ここで意地を見せて2周目の1コーナーで秋吉を交わしてトップに浮上しました。ここまで3連勝を挙げている伊藤がでしたが,今回は秋吉の方がマシンの仕上がりがよかったようで,その周のシケインで再度秋吉がトップに浮上して伊藤との差を広げていきました。最終ラップに秋吉がスパートをかけると誰もついていくことができず,秋吉が2&4以来となる勝利を収めました。2位には,伊藤が入っています。3位争いを展開していた2年連続チャンピオンでヤマハのエースライダーである中須賀克行は,9周目に転倒してリタイアとなりました。中須賀の転倒によりカワサキの柳川明が3位に浮上し,そのポジションを守ったままでチェッカーを受けています。午後に行われたレース2は,ウェットコンディションでのレースとなりました。ホールショットを伊藤が奪ったものの,2コーナーで秋吉がトップに立つとどんどん後続との差を広げていって独走態勢を築きました。11周目にオーバーランをして一瞬ヒヤッとさせる場面はありましたが,大きな影響がなくコースに復帰してレース2をも制してダブルウィンを果たしました。2位には,JRRラストランの伊藤が入っています。3位争いはレース2と同じく中須賀と柳川との間で展開されましたが,中須賀が逃げ切って3位表彰台を獲得しました。この結果,ここまでランクトップだった中須賀でしたが,レース1での転倒ノーポイントが響いて,ダブルウィンを果たした秋吉が見事に大逆転で自身初となるチャンピオンの座を獲得しました。
ST600クラスは,ポールからスタートしたヤマハの大崎誠之がホールショットを奪うと,トップの座を守り守っていきました。チャンピオンを狙うホンダの山口辰也は,2位に浮上すると大崎を追い,一時はトップに立つこともありました。しかし,ストレートスピードに部がある大崎がすぐに抜き返しと最後までその座を守りきり,ポールトゥーフィニッシュを達成しました。ここまでランクトップに立っていた山口は,2位の座を守りきってフィニッシュし,このクラスのチャンピオンを決めました。今シーズンの山口は,モリワキには所属しているものの,プライベーターという形でのフル参戦だっただけに,特にうれしいチャンピオン獲得劇だったのではないでしょうか。ラストラップまで展開された3位争いは,最終的にヤマハの中冨伸一が制しています。
今回は単独開催となったJ−GP2クラスは,時折雨が降る中でスタートが切られ,ヤマハの宇井陽一がトップに立っていました。ところが,途中で雨脚が強くなって赤旗が提示され,2ヒートでのレースとなりました。ヒート2では,山口辰也と野田弘樹とのトップ争いとなりました。最終ラップまで続いた争いは野田が制し,うれしい初勝利を収めました。ここまでランクトップに立っていたホンダの小西良輝が3位に入り,今シーズンから始まったこのクラスの初代チャンピオンに輝きました。
J−GP3クラスは,途中までは6台により,そして途中からは3台によるバトルが最終ラップまで続くというこのクラスならではの展開となりました。そのバトルを制したのは,ホンダのマシンを駆る尾野弘樹でした。2位に同じくホンダの菊池寛幸が,3位にはヤマハの篠崎佐助が入りました。ここまで2位に20ポイント以上の差をつけてランクトップに立っていたホンダの大久保光は,10位に入ってこのクラスの初代チャンピオンに輝いています。
いつものように前日に決勝レースが行われたGP−MONOクラスは,藤井謙汰と岡田義治との間でのトップ争いとなりました。8周目に藤井がトップに立つと,岡田を振り切って走行を続け,トップでチェッカーを受けました。3位には,松井洪弥が入っています。ここまで3ポイント差でランクトップだったのが小室旭でしたが,ランク2位だった藤井が勝利を収めたのに対して,小室は4位でのチェッカーとなってしまい,藤井が逆転でチャンピオンに輝きました。祖父が元HRCのワークスライダー,父が日本を代表するコンストラクターの一つであるTSRの代表とロードレースの血統を引く藤井が,自身の力でその血統に新たな勲章をもたらしています。
なお,今大会の具体的なレース結果は,こちらをご覧ください。
☆3年連続(MotoGP)
○第17戦ポルトガルGPの決勝レースが,エストリル・サーキットで行われました。前日の予選は,全クラスとも天候不良により中止となりましたが,MotoGPクラスの決勝レースはドライコンディションの中で行われました。フリー走行の結果でポールスタートとなった今シーズンのチャンピオンであるフィアット・ヤマハのJ.ロレンゾは,スタートでポジションを落としたものの,17周目にトップに浮上すると後続との差をどんどん広げていき,独走で今季8勝目を挙げました。この勝利により,ロレンゾはこの大会で3年連続ポールトゥーフィニッシュを達成しています。2位には,ロレンゾのチームメイトであるV.ロッシが入っています。レプソル・ホンダのA.ドビツィオーゾとサンカルロ・グレシーニ・ホンダのM.シモンチェリというホンダ勢同士による3位争いは,1000分の59秒差でドビツィオーゾが制しています。3位争いには敗れたものの,MotoGPクラスルーキーのシモンチェリは,自己最高位となる4位でチェッカーを受けました。16番グリッドからスタートをしたインターウェッテン・ホンダの青山博一は,12位でこの大会を終えています。なお,テック3・ヤマハのB.スピースは,サイティングラップ中に転倒を喫し,左足首を脱臼したため決勝レースをキャンセルしています。
ハーフウェットの中スタートしたMoto2クラスの決勝レースは,10番グリッドからスタートしたシューターのマシンを駆るS.ブラドルと11番グリッドからスタートしたI.C.Pのマシンを駆るA.バルドリーニとの間でトップ争いとなりました。最終ラップまで展開されたバトルは,わずか1000分の68秒差でブラドルが制し,自己初めてとなる中量級クラスでの勝利となりました。2位に入ったバルドリーニは,GP通算143戦目で初めての表彰台獲得でした。5台による3位争いは,モトビのマシンを駆るA.デ.アンジェリスが制しています。テック3の高橋裕紀は,5周目に転倒を喫して再スタートを切ったものの,周回遅れの26位でチェッカーとなっています。なお,シューターのマシンを駆る國川浩道は,フリー走行でのタイムが決勝レース参加のタイムをクリアできていなかったため,出走できていません。
125ccクラスは,ドライコンディションで始まったものの,7周目に降雨のため赤旗が提示され,2レース制となりました。ここまでランクトップを行くデルビのM.マルケスは,何とサイティングラップ中に転倒するというアクシデントに見舞われました。すぐにピットに戻ってマシンを修復し,ウォームアップラップからレースに復帰して最後尾スタートとなりました。今シーズン絶好調のマルケスは,絶好のスタートを切って5位まで浮上すると,3台によるトップ争いに持ち込みました。最終ラップでトップに立つとそのポジションを守りきり,今シーズン10勝目を挙げました。唯一チャンピオンが決まっていないこのクラスですが,2位に17ポイントの差をつけてマルケスは最終戦を迎えることになります。ポールからスタートしたアプリリアのマシンを駆るランク2位のN.テロルでしたが,マルケスに逆転されて2位でチェッカーとなりました。テロルのチームメイトであるB.スミスは,テロルのチャンプ獲得のためのサポート役を果たすため,彼の後ろとなる3位でチェッカーを受けています。アプリリアの小山知良は,マシントラブルでレース1をまともに走ることができず,周回数不足のためレース2に進むことができませんでした。
     
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