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2021/08/31(火)
☆昇格(MotoGP)
○今シーズンのヤマハワークスであるモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPは,昨シーズンまで長年にわたって所属していたV.ロッシがサテライトチームであるペトロナス・ヤマハSRTに移籍し,入れ替わる形で同チームからF.クアルタラロをワークスに昇格させました。そして,M.ビニャーレスとクアルタラロという新たな体制となり,2人とも来季までの契約が成立していて,少なくとも2年間はチーム体制が安定する状態になっていました。ところが,これまで度々お伝えしてきたように,ビニャーレスとの関係性が揺らぎ始め,例えばシーズン前にはビニャーレスのチーフメカをヤマハからの指摘により変更するということが起きたりしていました。それがきっかけの一つになったのか,関係外が崩れていった流れの中で,本来は来季まであった契約が破棄となり,今季末までの契約という内容に変わりました。さらに,修復不可能な状態となった関係はさらなる進展を見せ,ついには今季途中での解約となりました。そのビニャーレスは,その後すぐにアプリリアとの契約が成立していて,今季途中でプライベートテストに参加する発表までなされています。まだ正式発表はありませんが,テストに参加するだけでなく,シーズン途中でアプリリアのマシンを駆ってレースに出場するのではないかという噂まで出てきています。と言う大まかな流れの中,ヤマハワークスにはビニャーレスが抜けた分のシートが空いた状態になっています。週末に行われたイギリスGPでは,テストライダーを今季から務めているC.クラッチローを起用しました。もちろんこれは暫定的なもので,しっかりとした体制にもってくる必要があります。そのような中,ヤマハでチーフマネージャーを務めているL.ジャービスから発表があり,次戦アラゴンGPから,ペトロナス・ヤマハSRTから今季もフル参戦しているF.モルビデリをワークスに昇格させてビニャーレスの離脱で空いたシートに座ることになりました。昨シーズンはサテライトチームながらワークスのライダーよりもよい成績を収めるという活躍を見せただけにごく自然な流れと言えます。今季のモルビデリは,シーズン中のトレーニングで膝を負傷したため,このところのレースを欠場していました。そして,アラゴンGPから復帰することになっていて,それが新たなチームであるモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPからということになります。これまで彼が駆ってきたマシンは,型落ちのYZR-M1だったのですが,当然所属するチームが上がるだけでなく,マシンも最新型を使うことになるでしょう。なお,モルビデリが抜けるペトロナス・ヤマハSRTについては,次戦アラゴンGPはクラッチローが起用されるのでしょうが,その次となる第14戦サンマリノGPからは,かつてヤマハに所属し,現在は浪人状態にあるA.ドビツィオーゾを起用することが,同じくジャービスのコメントの中で明らかにされています。ただ,その発表段階では正式契約が結ばれている訳ではなく,あくまでも口約束の状態にあるようです。
2021/08/30(月)
☆史上初(MotoGP)
○第12戦イギリスGPの決勝レースが,ドライコンディションとなったシルバーストーン・サーキットで行われました。
MotoGPクラスは,レース序盤ポールからスタートしたレプソル・ホンダ・チームのP.エスパルガロとアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニのA.エスパルガロの兄弟がトップ争いを展開しました。しかし,ランクトップを行くモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが徐々に順位を上げ,5周目にはトップに立ちました。その後は順調に後続との差を広げて独走態勢に持ち込み,危なげない走りを展開して今季5勝目を挙げました。10番グリッドからスタートしたチーム・スズキ・エクスターのA.リンスは,速いペースを刻んでポジションをアップして2位まで順位を上げると,クアルタラロの独走は許したものの,こちらも後続に1秒以上の差をつける単独走行となり,今季初表彰台を獲得しました。A.エスパルガロとドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーとの間で繰り広げられた3位争いは,ファイナルラップで前を行くエスパルガロをミラーが交わす瞬間もありましたが,クロスラインで再びエスパルガロが前に立ち,見事3位表彰台を獲得しました。彼が表彰台を獲得するのは,2014年9月に行われた第14戦アラゴンGP以来となります。アプリリアにとっては,まだ500cc時代だった2000年7月に行われた第9戦イギリスGP以来の表彰台ですし,何よりも,MotoGPクラスになってからは初の表彰台となります。今回のレースは,そのアプリリアの初表彰台という記録だけでなく,トップ6が全て違うメーカー(1位から6位の順位がヤマハ,スズキ,アプリリア,ドゥカティ,ホンダ,KTM)という史上初の快挙が記録されています。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,レースウィークに入ってずっとリアタイヤのグリップに苦しんでいましたが,決勝レースでもなかなかその症状を解決することができず,しばらくはトップ10圏内を走行できたものの,レースが進むに連れてペースが落ちていき,最終的に13位でのチェッカーとなりました。
Moto2クラスは,ここまでランクトップを行くレッドブルKTMアジョのR.ガードナーと,ポールからスタートしたスカイ・レーシング・チームVR46のM.ベツェッキとのトップ争いに持ち込まれました。ベツェッキはガードナーを激しく追っていきましたが,ガードナーは安定した速さで走行を続けていき,最終的にコンマ5秒弱の差をつけて今季4勝目を挙げました。3位にライテック・スピード・アップのJ.ナバーロが入り,2019年の第14戦アラゴンGP以来となる今季初表彰台を獲得しています。今回は上位争いに絡むことができなかったイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,最終的に9位でチェッカーとなりました。
Moto3クラスは,レースウィークに入ってずっと速さを見せてきたステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティは,ポールからスタートした決勝レースでもその速さに変わりはなく,単独での走行を続けていってトップでチェッカーを受け,昨年の第8戦以来となる勝利を収めています。トップからは離されたものの,アビンティアVR46のN.アントネッリが単独で2位チェッカーを受けました。2台による3位争いは,レオパード・レーシングのD.フォッジアがこれを制しています。フル参戦日本人ライダー勢は,全体的に苦戦したこの大会ですが,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が上位争いに顔を出し,最終的に5位でのチェッカーとなりました。レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢が13位に入り,彼までがポイントを獲得しています。他のライダーはポイント圏外で,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が23位,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝は24位,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡は転倒リタイアに終わっています。

☆わずか3周(F1)
○第12戦ベルギーGPの決勝レースが,レースウィークを通して不安定な天候となったスパ・フランコルシャンで行われた。毎日のように雨に見舞われた今大会ですが,決勝日はさらに輪をかけたような状況となり,激しい雨に終日見舞われてしまいました。そのため,開始が延びたり,コースインしても再び赤旗が出てピットに戻ったりといったことが繰り返されました。延び延びになったために時間が繰り下がってしまい,最終的に1時間のみのレースという決断が下されました。ところが,荒れた天候は相変わらずで,セーフティカー先導で1周目スタートしたものの,3周目の時点で赤旗が提示され各車ピットイン。最終的に18時44分の時点でレースはそのまま終了となってしまいました。ただ,レースは成立しましたが,周回数が規定(周回数の75%)に足りず,獲得ポイントは半分となりました。この結果,表彰台はグリッド順のままで,優勝がレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペン,2位がウィリアムズのG.ラッセル,3位がメルセデスAMGのL.ハミルトンでした。フェルスタッペンにとっては,スパで初優勝,ホンダにとっては,1991年のA.セナ以来30年ぶりのスパ制覇となります。他のホンダ製パワーユニット勢は,アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーと角田裕毅が,それぞれ6位,15位でした。レッドブル・ホンダのS.ペレスは,ピットからコースインするレコノサンスラップでスピンを喫してタイヤバリアに激しくクラッシュするというアクシデントに見舞われていました。ところが,レース自体が延び延びになっていったことでマシンを修復する時間が取れ,最後尾からのスタート,そのままチェッカーとはなりましたが,とりあえずレースは走ることができています。

☆完勝(SF)
○第5戦の決勝レースが,前日と違って厚い雲に覆われたツインリンクもてぎで行われました。前日に行われた予選でQ1からQ3まで全てトップタイムをマークして完全制覇したTEAM MUGENの野尻智紀は,ポールからスタートした決勝レースでも順調にトップのままスタートを切りました。オープニングラップで多重クラッシュが発生したため,2周目からセーフティカー先導となり,それは5周目に解除されました。ピットインのタイミングのズレで順位に変動はあったものの,実質的に野尻のトップは変わらず,それは最後までその状態が続き,見事トップでチェッカーを受けました。この結果,前日の予選,そしてこの日の決勝のポールトゥウィンと,今大会は野尻の完勝と言えるものとなりました。2,3位は単独走行となり,予選と同様に2位がcarenex TEAM IMPULの関口雄飛,3位がB-Max Racing Teamの松下信治となっています。
2021/08/29(日)
☆初ポール(MotoGP)
○第12戦イギリスGPの予選が,日本はまだ残暑が厳しいですが,既に秋の気配となっているシルバーストーン・サーキットで行われました。
MotoGPクラスは,最終盤にここまで2戦連続してポールを獲得してきているプラマック・レーシングのJ.マルティンが,これまでのコースレコードを更新する圧倒的な速さを見せて3戦連続ポールかと思われました。しかし,予選終了直後に公式発表があり,コース外走行があったことからタイム抹消となり,彼は4番グリッド獲得が公式結果となりました。そのマルティンが抹消となったタイムを更新する前にトップタイムをマークしていたのは,今シーズンからホンダに移籍しているレプソル・ホンダ・チームのP.エスパルガロでした。なかなか結果が出せていなかったエスパルガロでしたが,今回のタイムで見事ホンダ移籍後初のポールとなると同時に,KTM在籍していた2019年の日本GP以来のポールともなります。今回のポールは,彼だけでなく,チームとしても,ホンダ勢としても今季初ポールとなります。そのポールから1000分の22秒差で,F.バグナイアが2番手タイムをマークし,4戦連続フロントロー獲得となりました。そのバグナイアから1000分の14秒遅れで,ここまでランクトップを行くモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが3番手タイムとなっています。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,Q1からの出走となり,タイムアタック途中で他車の転倒による黄旗に引っかかるという不運もあってQ1敗退となり,今日行われる決勝レースは,15番グリッドからのスタートとなります。
Moto2クラスは,僅差でのポール争いとなり,最終的にスカイ・レーシング・チームVR46のM.ベツェッキが昨年7月に行われた第3戦アンダルシアGP以来となるポールを獲得しました。ライテック・スピード・アップのJ.ナバーロが,ベツェッキから1000分の73秒遅れで2番手タイム,さらに,そのナバーロからわずか1000分の7秒遅れでエルフ・マークVDSレーシング・チームのS.ロウズが3番手タイムとなっています。Q1からの出走となったイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,そのQ1を2番手タイムで突破しましたが,Q2ではトップから1秒以上離された14番手で予選を終えています。
Moto3クラスは,フリー走行でコースレコードを更新する速さを見せたステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティが,予選でどこまでタイムを伸ばすか注目となりました。しかし,他のライダーと同様に思った以上にはタイムが伸びず,それでも最後にタイムを更新して2戦連続ポールを獲得しています。そのフェナティから,1000分の43秒遅れという僅差で,インドネシアン・レーシング・グレシーニMoto3のG.ロドリゴが2番手タイムをマークし,5戦ぶりにフロントローを獲得しています。ボエ・オウルライドのR.ロッシが3番手タイムをマークし,2度目のフロントローを獲得しています。フル参戦日本人ライダー勢は全体的に余り振るわず,Q2からの出走となったSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が13番手,タイムアタック途中で転倒を喫してしまったレッドブルKTMテック3の佐々木歩夢が17番手でした。Q1で敗退となったカーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が20番手,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が23番手,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が26番手で予選を終えています。

☆スパ・ウェーザー(F1)
○第12戦ベルギーGPの予選が,不安定な天候となったスパ・フランコルシャンで行われました。スパ・ウェーザーと言われる不安定な天候が多い同地ですが,この日はまさにその状況に見舞われてしまいました。セッション毎に状況が変わるという難しいコンディションとなり,特にQ3は激しい雨に見舞われて赤旗が提示されたりして路面がどのような状況となるのか全く予想がつかない状態でした。そうした中で行われたQ3では,まず来季の去就が注目となっているウィリアムズのG.ラッセルがトップタイムをマークしました。これをターゲットに各車アタックしていきましたが,それを唯一上回ったのが,ランクトップ返り咲きを狙うレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンでした。ここまでランクトップを行くメルセデスAMGのL.ハミルトンが,ラッセルに1000分の13秒届かず3番手となっています。他のフル参戦日本人ライダー勢ですが,ウェットコンディションに慣れていないアルファタウリ・ホンダの角田裕毅はQ1で敗退となり,17番グリッドと後方に位置する状況となりました。他のドライバーはQ3まで進出を果たしていて,アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーが6番手,レッドブル・ホンダのS.ペレスが7番手でした。

☆圧倒(SF)
○第5戦の予選が,気温35度を超える厳しいコンディションとなったツインリンクもてぎで行われました。この日最も注目を集めたのは,ここまでランクトップを行くTEAM MUGENの野尻智紀でした。Q1,Q2共にトップタイムをマークすると,Q3でも他を寄せ付けない走りを見せ,2番手タイムとなったcarenex TEAM IMPULの関口雄飛にコンマ2秒以上の差をつける速さで,しかも,コースレコードを更新して今季2度目のポールを獲得しています。3番グリッドは,開幕前にフル参戦ができるかどうか不安定な状況となったものの,関係者の努力でフル参戦できているB-Max Racing Teamの松下信治でした。彼が予選でトップ3に入ったのは,2018年の第5戦以来となります。
2021/08/28(土)
☆転倒しても(MotoGP)
○シルバーストーン・サーキットで行われる第12戦イギリスGPが,昨年は新型コロナウイルスの感染状況により中止となったため,2年ぶりに開催され,初日は2回のフリー走行が行われました。
MotoGPクラスでこの日の総合トップタイムをマークしたのは,ここまでランクトップを行くモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロでした。この日のシルバーストーンは,転倒者が続出するという荒れた展開となりました。フリー走行2の序盤で転倒を喫したクアルタラロでしたが,その後の走行で速さを見せ,転倒で足を痛めていた中でのトップタイムとなりました。そのクアルタラロからコンマ5秒とかなり遅れをとりましたが,ドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーが総合2番手タイムとなりました。前戦のポールシッターであるプラマック・レーシングのJ.マルティンが,総合3番手タイムをマークしてこのところの好調さを見せました。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,リアのグリップ不足に悩まされてタイムを思うように上げることができず,15番手で初日を終えています。なお,フリー走行1でトップタイムをマークしたのはレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスでしたが,その後時速270q近いスピードで激しく転倒を喫してしまいました。その際目の中に異物が入って思うように目を開けられない状況になったようですが,幸いなことに大きな怪我には至っていないようです。
Moto2クラスは,前戦の勝者であるレッドブルKTMアジョのR.フェルナンデスが,その好調さを維持するかのようにこの日の総合トップタイムをマークしました。ライテック・スピード・アップのJ.ナバーロが,トップから1000分の17秒差で総合2番手タイムでした。午前の走行では転倒を喫したものの,午後の走行でエルフ・マークVDSレーシング・チームのS.ロウズが,総合3番手で初日を終えています。午前の走行で25番手と出遅れたイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍でしたが,午後の走行でタイムアップを果たし,十分な結果ではないものの,15番手タイムで初日を終えています。
Moto3クラスは,前戦のポールシッターであるステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティが,2015年のイギリスGP以来となる初日総合トップタイムをマークしました。レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢が総合2番手タイムを,アビンティアVR46のN.アントネッリが総合3番手タイムをマークして初日を終えています。佐々木歩夢は上位となりましたが,他のフル参戦日本人ライダー勢は振るわず,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が16番手,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が21番手,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が25番手で,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝は最下位で初日を終えています。

☆クラッシュしても(F1)
○サマーブレイク明け最初のレースとなる第12戦ベルギーGPが,『スパ・ウェザー』という不安定な天候で有名なスパ・フランコルシャンで開幕しました。この日もスパ・ウェーザーが当てはまるように,時折雨が降ったりする不安定な天候となりました。そのような中,レッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンが初日総合トップタイムをマークしました。ただ,セッション後半にトップタイムをマークした後,終了3分前にターン6で挙動を乱してコースオフを喫してクラッシュし,赤旗が提示されてそのままセッション終了となりました。総合2,3番手には,それぞれV.ボッタス,L.ハミルトンのメルセデスAMG勢がつき,後半もこの3者を中心としたレースが進むことを予感させる初日となっています。他のホンダ製パワーユニット勢ですが,アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーが5番手,レッドブル・ホンダのS.ペレスが10番手でした。アルファタウリ・ホンダの角田裕毅は,12番手で初日を終えています。
2021/08/27(金)
☆活動開始(MotoGP)
○これまで何度もお伝えしてきていますが,今シーズンのM.ビニャーレスは,チームと,そしてヤマハとの関係性が大きく崩れ,まず来季までとなっていた契約期間が途中解除となり,今シーズンをもってチームであるモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPから離れることがまず決まりました。さらに,第10戦スティリアGPにおいて,ビニャーレスは不必要にマシンをオーバーレブさせ,場合によってはエンジンに深刻なトラブルを引き起こす可能性が生じるような行動を意図的に行いました。これにより,第11戦オーストリアGPへの出場を停止するという処分がヤマハから下り,両者の関係性は修復不可能な状態までなりました。その結果,今期末までとなった新たな契約を解除し,シーズン途中という異例の事態に発展していました。シーズン途中でシートを失ったことになるビニャーレスですが,8月16日(月)にアプリリアから発表があり,ビニャーレスとの間で来季の契約が成立しました。そのアプリリアですが,現在はチーム・グレシーニとタッグを組んでアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニとして活動しています。しかし,グレシーニ・レーシングとの提携を今季限りで解消。グレシーニは来季からドゥカティのサテライトチームとして活動し,アプリリアはワークス体制を組んでアプリリア・レーシングとして再出発することになりました。その新たな体制となるアプリリアは,今回のビニャーレスと,既にアプリリアと来季までの契約が成立していたA.エスパルガロという組み合わせで臨むことも決まっています。そのような中,昨日アプリリア・レーシングから発表があり,8月31日(火)と9月1日(水)にイタリアのミサノで行われるプライベートテストにビニャーレスを起用することになりました。今季のアプリリアは,浪人状態となっているA.ドビツィオーゾを臨時に起用してプライベートテストを行うことがありました。一時は,来季からそのドビツィオーゾと契約を結ぶのではないかという噂まで浮上したほどです。しかし,エスパルガロ&ビニャーレスの体制が決まり,これは単なる噂で終わっています。今回のビニャーレス起用は,当然マシン開発という側面もありますが,来季に向けてチームやマシンに慣れるということが主目的となるでしょう。今回のテスト起用は新たな噂を生じ,元々は来季から起用するビニャーレスですが,既にヤマハとの契約を解消していますので,彼は現在フリーな状況にあります。ということで,今季途中から起用することになるのではないかという話が出てきています。今季はエスパルガロ&L.サバドーリの体制で臨んでいますが,そのサバドーリはレギュラーライダーとしては今季限りということが決まっています。そうしたこともあって,今回の噂が浮上してきているのでしょう。果たしてどのような発展を見せるのか,しばらく目が離せない状況にあります。
2021/08/26(木)
☆契約延長(MotoGP)
○通常MotoGPクラスから徐々に来季の契約が決まっていきますが,もちろん他のクラスでもそれに先んじて契約が決まっていく場合が見られます。その中で,日本人ライダーについては,来季の契約について正式な発表は今のところ例が少ないです。ただ,オプション契約があるMotoGPクラスの中上貴晶,Moto2クラスの小椋藍については,今季の活躍を見ると契約延長は間違いないといっていいでしょう。一番気になるのが,最もフル参戦ライダーが多いMoto3クラスでしょう。全てのライダーがトップ10圏内でのフィニッシュを経験している今季ですが,しばしば表彰台に立つというところまでは行っていません。それだけに,契約延長がどうなるのかが注目となります。そのような中,8月18日(水)に日本人ライダーの中で最も早く来季の契約発表がありました。Moto3クラスにおけるKTM陣営の一つであるCIPグリーン・パワーから発表があり,今シーズンから起用している鳥羽海渡との間で,来季の契約を更新することが決まりました。今回契約延長が決まった鳥羽は,ザクセン・リンクで行われた第8戦ドイツGPにおいて2位でフィニッシュし,今季ここまでの日本人ライダー唯一となる表彰台獲得となりました。ランキング争いでは,9位につけています。ちなみに,ここまでのランク争いでは,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢の7位が日本人勢最高位です。今回の契約延長決定により,鳥羽はMotoGPフル参戦6年目を迎えることになります。
2021/08/25(水)
☆移籍(SBK)
○今季のSBKは,現段階でPATA Yamaha with BRIXX WorldSBKのT.ラズガットリオグルとKawasaki Racing Team WorldSBKのJ.レイとが同ポイントでランクトップ争いを展開しています。それに対して,他メーカーはその争いとは蚊帳の外にいるような状態にあります。そのような中,ドゥカティから発表があり,今季Team HRCからフル参戦しているA.バウティスタを来シーズン起用することになりました。ドゥカティに来季移籍することが決まったバウティスタは,2018年シーズンまでMotoGPにフル参戦していました。2019年から戦いの場をSBKに移し,その時に所属したのがARUBA.IT Racing-Ducatiで,この年からSBKに投入されたドゥカティ パニガーレV4 Rを駆ってフル参戦を開始し,ランク2位につける活躍を見せました。2020年に現在のTeam HRCへ移籍し,この時から新型マシンであるホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SPを駆っています。ただ,初年度に1回3位表彰台を獲得したものの,今季はまだ獲得できておらず,トップ10圏内でフィニッシュするのがやっとという状態が続き,現段階でランク10位という状況にあり,今回の契約成立でホンダのワークスから再びドゥカティのワークスに戻る形となります。バウティスタがARUBA.IT Racing-Ducatiに戻るということは,今季所属している内のどちらかがシートを失うことになります。そして,それに対応するかのようにBMWから発表があり,今季ARUBA.IT Racing-Ducatiからフル参戦しているS.レディングを,来季から起用することになりました。彼が所属するのは,BMWのワークスであるBMW Motorrad WorldSBK Teamとなります。今季のレディングは,トップの2人からはやや離されているものの,5勝を挙げて38ポイント差のランク3位につけています。ドゥカティのエースとも言える存在ですが,来季はBMWのエースとなるべく移籍することになります。そのBMWですが,今季はT.サイクス&M.ファン.デル.マークの体制で戦っていて,レディングが移籍してくるということは,通常であればどちらかがシートを失うことになります。しかし,どうやらどちらもBMW陣営からの移籍がないようで,他のBMWチームに移動するか,もしかしたら3台体制で臨むという選択肢も可能性としてあるようです。
2021/08/24(火)
☆5つ目(MotoGP)
○8月19日(木)にFIM(国際モーターサイクリズム連盟),IRTA(国際ロードレーシングチーム連盟),そしてMotoGPを統括するドルナスポーツ社から発表があり,第16戦として10月24日(日)にセパン・インターナショナル・サーキットにおいて決勝レースが行われる予定になっていたマレーシアGPについて,新型コロナウイルスのパンデミックによる入国制限により,開催を中止することになりました。今シーズンのMotoGPは,既にフィンランドGP,日本GP,オーストラリアGP,タイGPの開催が中止になっていて,それに今回のマレーシアGPが加わって5大会の開催が中止となってしまいました。そのマレーシアGPの代替開催についても発表があり,同じ開催日にミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開催されることになりました。同サーキットでは,9月19日(日)に決勝レースが行われる第14戦サンマリノGPとして開催されますので,今季は2回開催されることになります。ただ,同じ大会名では開くことができませんので,別名での開催となりますが,今回の発表の中では具体的な大会名は明らかにされていません。
2021/08/23(月)
☆独占(SGT)
○第4戦よりも遅く開催されるという変則的な状態で,第3戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』の決勝レースが,レース途中で小雨が降るという不安定な天候ながらも,最後までドライコンディションでの走行となった鈴鹿サーキットで行われました。
GT500クラスは,予選でフロントローを独占したNSX-GT勢が順調なスタートを切りました。ところが,ポールからスタートしてトップを走行していた伊沢拓也&大津弘樹組のModulo NSX-GTでしたが,5周目のシケインでブレーキトラブルが発生してしまい,クラッシュパッドに直撃しました。その際,マシンから出た火がクラッシュパッドに引火し,しかも,マシンがスポンジにはまってしまっていたのでドアを開けることができない危険状況となりました。しかし,世界的にも有名な鈴鹿のオフィシャルたちの迅速な働きにより,運転していた伊沢は無事救出されました。その後は順調にレースが進んでいきましたが,路面温度とタイヤとのマッチングもあったりして,ドライバー交替頃から順位が大きく変動していきました。このあたりで浮上してきたのが,予選3番手だった松田次生&R.クインタレッリ組のMOTUL AUTECH GT-Rを中心としたGT-R勢でした。予選ではNSX-GT勢が速さを見せましたが,決勝レースではこのGT-R勢が抜け出し,3台によるトップ争いが後半までずっと続いていきました。その中で予選3番手だったMOTULが抜けだし,最後は2番手走行の平手晃平&千代勝正組のCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rに11秒以上の差をつけて今季初勝利を収めました。今回の勝利により,同チームは鈴鹿で3連勝となっています。3位には,高星明誠&佐々木大樹組のリアライズコーポレーション ADVAN GT-Rが入り,見事GT-R勢が表彰台独占となりました。なお,前戦の勝者である山本尚貴&牧野任祐組のSTANLEY NSX-GTが4位に入ったことで,同じチームではあるものの,出場数の関係から山本がランクトップ,牧野がランク2位に浮上しています。
GT300クラスは,井口卓人&山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTが順調なスタートを切ってトップに立ちました。しかし,レースが進むに連れてペースが上がっていかず,ついにはトップの座を譲って後は順位を下げていきました。ここでトップに立ったのが三宅淳詞&堤優威組のたかのこの湯 GR Supra GTで,その後小暮卓史&元嶋佑弥組のJLOC ランボルギーニ GT3と谷口信輝&片岡龍也組のグッドスマイル 初音ミク AMGが順位を上げてきて,三つ巴のトップ争いとなりました。一時テールトゥーノーズのバトルとなりましたが,徐々にSupraが抜けだし,独走状態となりました。ところが,好事魔多し,後半に入ってGT500クラスマシンと接触してコースオフを喫する事態が起きました。幸いなことにコース復帰することができ,さらに後続との差が十分あったためトップのまま走行となり,無事そのまま逃げ切りました。今回の優勝は,ドライバーにとっても,そして,チームにとっても,嬉しい初優勝となります。2,3位も単独での走行となり,それぞれランボルギーニ,AMGの順でチェッカーを受けています。今回の勝利により,三宅淳詞&堤優威組がランクトップに立っています。
2021/08/22(日)
☆独占(SGT)
○今季のSGTは,本来5月に鈴鹿サーキットで第3戦が行われる予定でしたが,その第3戦は8月に延期となり,第4戦が7月,第3戦が8月開催という変則的なスケジュールとなっています。その第3戦の予選が,曇り空ながら,ドライコンディションの中で行われました。
GT500クラスは,伊沢拓也&大津弘樹組のModulo NSX-GTが,アタックするためコースインしたその周にダンロップコーナーでコースオフするという事態に陥りました。幸いなことに,コースにグラベルを出しながらではあるもののコースに復帰することができました。このアクシデントで目が覚めたのか,3周目にアタックを開始すると最速タイムを刻み,これがターゲットタイムとなりました。他のマシンも果敢にアタックしたものの,最後まで誰もそのタイムを更新することができず,昨シーズンに続いて第3戦のポールシッターとなりました。笹原右京&大湯都史樹組のRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが2番手タイムをマークし,ダンロップタイヤを履くNSX-GT勢がフロントローを独占しました。3番手タイムを松田次生&R.クインタレッリ組のMOTUL AUTECH GT-Rがマークし,今季自身最高グリッドを獲得しています。
GT300クラスは,前日に総合トップタイムをマークしていた井口卓人&山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTが,Q1でトップタイムをマークすると,2番手にコンマ5秒の差をつけてQ2でもトップタイムをマークし,今季2度目となるポールを獲得しました。トップからは差をつけられたものの,2番手争いは僅差となり,平木湧也&平木玲次組のマッハ車検 GTNET MC86 マッハ号が,三宅淳詞&堤優威組のたかのこの湯 GR Supra GTにおよそ100分の5秒差をつけて2番グリッドを獲得しています。
2021/08/21(土)
☆契約解除(MotoGP)
○昨日ヤマハ発動機から発表があり,モンスター・エナジー・ヤマハMotoGPからフル参戦しているM.ビニャーレスとの契約を,シーズン途中ながら即時に解除することになりました。ヤマハのワークスライダーとして活躍してきたビニャーレスですが,今季チームメイトとなったF.クアルタラロの台頭と反比例するかのようにヤマハとの関係性が崩れていき,ほぼ修復不可能な状態になっていました。そうした流れの中,まず来季までとなっていた両社の契約を1年短縮し,今季限りで契約終了となっていました。そして,サマーブレイク明け最初のレースである第10戦スティリアGPにおいて,サイティングラップに向かう際マシンがストップしたりすることもあってビニャーレスのイライラがさらにつのり,最後はレースにおいて意図的にオーバーレブをして,エンジンに重大な損傷を与えかねない,そしてそれにより他のライダーに危険を及ぼしかねない事態を起こしてしまいました。これにより,ヤマハはそのペナルティとして翌週に行われた第11戦ハンガリーGPへの出場を見合わせるというところまで発展してしまいました。ビニャーレス自身もこの点については自らの非を認め,それを謝罪するコメントを出しています。しかし,このことが修復不可能な状態まで発展してしまったのか,シーズン途中での契約解除という異例の展開となってしまいました。当然ビニャーレスはシーズン残りのレースに参戦する機会が失われたことになりますが,果たしてこの間どのような活動をするのか,ビニャーレス側の発表は行われていません。ただ,既に来季からアプリリアのワークスチームからフル参戦することが決まっていますので,例えばアプリリアのマシンを駆ってワイルドカード参戦かもしれませんし,レースには出場しなくても,テストライダーとしてマシン開発に携わっていくことになるのかもしれません。なお,ビニャーレスの今季の去就は未定ですが,ヤマハ側は既に対策を講じていて,ビニャーレスの代役として今季からヤマハのテストライダーを務めているC.クラッチローを残りのレースで起用することになりました。また,ヤマハのサテライトチームであるペトロナス・ヤマハSRTのF.クアルタラロが負傷で欠場していますが,その代役としてクラッチローを起用していたものの,そのクラッチローがワークスから参戦しますので,来週末にシルバーストーン・サーキットで開催される予定の第12戦イギリスGPでは,現在ペトロナス・スプリンタ・レーシングからMoto2クラスにフル参戦しているイギリス人ライダーのJ.ディクソンを起用することになりました。代役参戦ではあるものの,彼にとっては母国GPで最高峰クラスデビューを飾ることになります。
2021/08/20(金)
☆8耐も(EWC)
○昨日はF1の日本GP中止についてお伝えしましたが,今度は8耐について発表がありました。昨日鈴鹿サーキットを運営する株式会社モビリティランドから発表があり,11月7日(日)に決勝レースが開催される予定になっていた『2021 FIM世界耐久選手権(EWC)“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第43回大会』の開催を中止することになりました。昨年も同様でしたので,真夏の祭典として知られる鈴鹿8耐は2年連続して開催中止となってしまいました。これは,もちろんコロナ禍の影響で,今回の発表によると,「国内外における新型コロナの感染拡大状況や各地域での防止対策,海外からの渡航に関する規制解除の見通しが立っておらず海外チームの入国が難しい」ことから,今回の決定に至っています。今季の8耐は,当初いつものように7月に行われる予定になっていました。しかし,新型コロナウイルスの感染蔓延により,開催時期を夏から11月という秋へと変更になっていました。そのような中,デルタ株が蔓延する状況となり,「国内チームと海外チームが混在しており,防疫のための活動単位(バブル)運用が困難であることや,現段階で海外関係者の日本入国が見込めない」ことも開催中止の原因となっています。今年の8耐は,カワサキ,ヤマハ,ホンダがワークス体制で臨むことになっていて,SBK等における中心的ライダーの参戦が見込まれていて,ここ数年の中でも激しいバトルが期待されていました。それだけに,より一層残念な決定になってしまいました。今回の決定により,代替レースが10月9日(土)チェコにあるオートドローム・モストにおいて第4戦モスト8時間を追加することになり,これが今季の最終戦となります。この大会では,各クラスの優勝者に通常の5割増しとなる45ポイントが与えられ,これで今季のチャンピオンが決まることになります。
MotoGP,F1,EWCと今年も開催中止が決まりました。あと未定なのは,WRCの日本ラウンドとなります。これも,昨年中止になっていますし,現在のような感染状況ですので,開催に暗雲がかかったままであることは確かです。果たしてどのようになっていくのか,とても気になるところです。
2021/08/19(木)
☆2年連続(F1)
○コロナ禍の影響により,既にツインリンクもてぎでのMotoGPと富士スピードウェイでのWEC(世界耐久選手権)における日本での開催中止が決定していました。そして,本来既に販売が行われるはずだった鈴鹿サーキットで開催予定のF1のチケットの販売が延期されていて,開催自体が危ぶまれる状況にありました。さらに,感染力が強いと言われているデルタ株が蔓延し,いずれの都道府県においても日に日に感染する人数が増えている状況にもあります。
そのような中,鈴鹿サーキットと,それを運営するモビリティランドから昨日発表があり,10月8日(金)から開幕する予定だった『2021 FIA F1世界選手権シリーズ Honda 日本グランプリレース』の開催が中止されることになりました。昨シーズンも同様でしたので,残念ながら2年連続しての開催中止となりました。今回のプレスリリースによると,「F1日本GPを開催するために設定された期日までに,F1海外関係者の日本入国が確実な状況に至らなかったために,やむなく開催中止の決断をいたしました」ということです。今大会は,ホンダのF1フル参戦最終年,レッドブル・ホンダのM.フェルスタッペン及び同チームのチャンピオン争い,久々のフル参戦F1ドライバーであるアルファタウリ・ホンダの角田裕毅の初年度と話題が豊富なものです。鈴鹿サーキットの親会社であるホンダにとっては,大会名にスポンサーとして『Honda』が冠されるまさにメモリアルな大会になるはずでした。F1の声明によると,「今シーズンのレースを中止するとの決定が日本政府により下された」とのことでしたので,大会関係者が開催に向けて様々な努力をしたものの,最終的には日本政府の判断で中止に至っていったということが判ります。F1とは規模的に全く桁違いのオリパラは開催できても,F1の開催はできないというのが現在の日本政府の考えというということです。この点についてどう考えるかは,個人個人違うものだと思うのですが,残念な結果であることは間違いありません。
日本に限らず,パンデミックにより開催中止に至っている大会がありますが,F1としては,当初予定されている年間23戦という線は維持するべく,代替開催が準備されてきています。ただ,今回の発表段階では,日本GPの代替開催はまだ決定していないようです。当初噂されていたのが,サーキット・オブ・ジ・アメリカズでの代替開催ですが,そのアメリカ自体が日本と同様再び感染が拡大していて,代替開催が厳しい状況にあります。果たして全23戦というもの自体が堅持できるのか,そうした点も含めて今後の進展が気になるところです。
2021/08/18(水)
☆母国で(WRC)
○先週末に第8戦ベルギーが,F1などが開催されているスパ・フランコルシャンもコースに含まれて行われました。今シーズンのWRCは,開幕戦でトヨタが,そして第2戦でヒュンダイが勝利し,両者の激しい争いが展開するシーズンを期待するものとなりました。しかし,3戦以降は,ヒュンダイの不運もあったりして,第7戦までトヨタが5連勝を飾っています。トヨタの6連勝なるかが注目された今大会ですが,今回速さを見せたのが,ここが母国での大会となるT.ヌービルでした。ヒュンダイi20クーペWRCを駆るヌービルは,初日からトップに立つと2日目以降もトップの座を守り続け,母国での大会で今季初優勝を飾りました。チームメイトのC.ブリーンが2位に入り,ヒュンダイ勢がトヨタの6連勝をワンツーフィニッシュで阻止しています。6連勝を逃したトヨタですが,最終日は3台のトヨタ・ヤリスWRC勢が3位争いを展開していきました。チームメイトによる激しい3位争いとなりましたが,前戦で勝利を収めたK.ロバンペラがE.エバンスに6秒弱の差をつけて3位表彰台を獲得しています。唯一のフル参戦日本人ドライバーでトヨタ・ヤリスWRCを駆る勝田貴元は,2日目のSS10で電柱にぶつかる激しいクラッシュを喫してしまい,ここでリタイアとなりました。リタイアに終わったのは残念でしたが,幸いなことにはドライバーとコ・ドライバーの両者とも怪我がなく無事に終わっています。
2021/08/17(火)
☆移籍決定(MotoGP)
○来季のシートに関して,今最も注目を集めているのは,何といってもヤマハ陣営がどうなるのかというところです。本来F.クアルタラロ&M.ビニャーレスという今季の体制が維持されることになっていたのですが,.ビニャーレスとヤマハの関係性が修復不可能と思えるほど悪化し,ついには来季までとなっていた契約期間を短縮し,今季限りでチームを去ることになりました。さらに,ある程度は予想されていたものの,ヤマハのサテライトチームであるペトロナス・ヤマハSRTのV.ロッシが今季限りで引退することになり,ここもシートが1つ空くことになりました。果たして2つ空くことになったこのシートに誰が座るのか,正式発表が気になるところです。そして,そのことに関して気になっていたのが,今季限りでヤマハを去ることになったビニャーレスの去就です。ロッシに「M.マルケスと変わらないポテンシャルをもっている」と言わしめるほどのライダーですから,他のメーカーが目をつけないはずはありません。ただ,各メーカーのワークスに関しては,来季の体制がほぼ決まっていて,空いたシートがないのも事実です。唯一可能性があったのがアプリリアで,事実ビニャーレスがアプリリアに移籍するのではないかという噂が急遽浮上していました。
そのような中,昨日アプリリア・レーシングから発表があり,ビニャーレスとの間で,オプション1年を含めて来季の契約が成立しました。そのアプリリアは,グレシーニ・レーシングとタッグを組んで『アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ』としてMotoGPクラスにフル参戦してきました。ところが,そのグレシーニとの提携を解消することになり,来季はアプリリア自体がファクトリー体制で臨むことが決定していました。さらに,そのアプリリアのエースライダーであるA.エスパルガロとは,昨シーズン中に来季までの契約が決まっていましたから,今回の契約成立により,来季のアプリリアは,エスパルガロ&ビニャーレスというワークス体制で臨むことになりました。この2人の体制ですが,初めてのものではありません。ビニャーレスがMotoGPクラスにステップアップした時に所属したのがスズキで,その時のチームメイトがエスパルガロでした。2年間そのペアで戦った後,ビニャーレスは現在のヤマハワークスへと移籍しています。2人がチームメイトだったときはMotoGPにおけるマシン開発に着手したスズキ。そして,今度は,MotoGPクラスで唯一コンセッションの対象になっていて,今季浪人生活を送っているA.ドビツィオーゾをシーズン途中でテストに起用したように,マシン開発が途上にあります。そうした中でのタッグ復活となります。なお,今回の発表はビニャーレスについてのみで,テストライダーについては発表がありません。噂では,現在レギュラーライダーを務めているL.サバドーリの離脱についての発表がありませんので,場合によっては彼がテストライダーという形でチームに残る可能性もあるようです。一時は来季アプリリアからMotoGP復活するのではないかと見られたドビツィオーゾですが,今回の決定でその線は消えたことになりますので,彼の去就も気になるところです。
2021/08/16(月)
☆乗り換え&初表彰台(MotoGP)
○第11戦オーストリアGPの決勝レースが,不安定な天候となったレッドブル・リンクで行われました。
MotoGPクラスは,レース直前に雨に見舞われ,どのマシンもドライタイヤでスタートを切ったものの,「フラッグトゥフラッグ」となっていつウェットタイヤを履いたマシンに乗り換えてもいいことになりました。スタート時は小雨に見舞われましたが,その雨はすぐに止み,レースが進むに連れてトップ争いは3台のマシンに絞られました。その中でレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスがトップに立ち,今季2勝目の可能性が徐々に出てくるようになりました。ところが,一旦は止んだ雨が終盤に入って再び降り始め,しかも路面をかなり濡らしていきました。雨でトップ争いが数台に膨れ上がっていく中,スリックタイヤではいつスリップダウンしてもおかしくない状況となり,トップ集団は残り2周になったところでピットインしてマシンを乗り換えました。ところが,レッドブルKTMファクトリー・レーシングのB.ビンダーをはじめとしたライダーは勝負に出て,マシンを乗り換えずにそのまま走り続けました。乗り換えたマルケスはペースアップを図る中で転倒し,再スタートを切ったものの最終的に15位でチェッカーとなっています。トップに立ったビンダーは,後続との差を10秒以上広げて行き,スリップダウンに気をつけながら見事に走りきり,見事チーム本拠地でトップチェッカーを受けました。ビンダーの優勝は,昨年8月に行われた第4戦チェコGP以来自身2回目となります。乗り換えたライダーがスリックのままのライダーを追い上げ,トップには大きく遅れをとりましたが,乗り換えたドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアが2位,プラマック・レーシングのJ.マルティンが3位に入っています。今季限りで引退することを先日発表したペトロナス・ヤマハSRTのV.ロッシは,マシンを乗り換えずに走行し,今季自己最高位となる8位でチェッカーを受けています。同じく乗り換えなかったLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,表彰台圏内を争う位置にいる瞬間もありましたが,マシンコントロールに苦戦し,最終的に13位でチェッカーを受けています。
Moto2クラスは,レースが進むに連れて2台のマシンによるトップ争いとなりました。その2台とは,レッドブルKTMアジョのR.フェルナンデスと,イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍のルーキー同士です。トップを行くフェルナンデスを小椋が激しく追うという展開がしばらく続きましたが,残り5周を切ったあたりでフェルナンデスがペースアップを図り,小椋はそれについていくことができず,フェルナンデスが今季4勝目を挙げました。惜しくも優勝を逃した小椋ですが,このクラスで自身初となる表彰台を獲得しています。3位には,エルフ・マークVDSレーシング・チームのA.フェルナンデスが入っています。ペルタミナ・マンダリカSAGテルルからワイルドカード参戦の松山拓磨は,最後尾からスタートを切って21位完走を果たしています。
Moto3クラスは,複数台によるトップ争いという展開となり,最終的にサンタンデール・コンシュマー・ガスガスのS.ガルシアがトップに立って今季3勝目を挙げました。ガルシアに交わされたレッドブルKTMテック3のD.オンジュは,トップからわずか1000分の27秒差で2位となっています。3位にレオパード・レーシングのD.フォッジアが入り,今季5度目の表彰台を獲得しました。フル参戦日本人ライダー勢ですが,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡の10位が最高位でした。SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が11位に入ってポイントを獲得しましたが,他のライダーはポイント圏外での走行となり,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝は18位で完走し,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢は他者と接触して転倒リタイアに終わっています。
2021/08/15(日)
☆2戦連続(MotoGP)
○第11戦オーストリアGPの予選が,ドライコンディションとなったレッドブル・リンクで行われました。
MotoGPクラスでは,同じレッドブル・リンクで行われた前戦スティリアGPにおいてポールトゥーウィンを達成したプラマック・レーシングのJ.マルティンは,Q1からの出走となりました。そのQ1をトップ通過してQ2に進出を果たすと,ファイナルアタックで前日にチームメイトであるJ.ザルコがマークしたレコードタイムを更新する速さを見せ,見事2戦連続となるポールを獲得しました。実は,そのマルティンがレコードを更新する前にモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロがザルコのタイムを更新してレコードタイムを刻んでいたのですが,最後にマルティンがそのタイムをさらに更新したため,ランクトップのクアルタラロは2番グリッドということになりました。3番グリッドは,マルティンと同じくMotoGPクラスルーキーであるドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアでした。初日は総合4番手だったLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,Q2からの出走で期待されましたが,予選ではなかなかタイムが上がらずに終わり,Q2の中では最下位となる12番グリッド獲得で予選を終えています。
Moto2クラスは,前戦で惜しくも表彰台を逃したイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍が,終盤に入ってトップに立ち,初のポール獲得の期待が持たれましたが,ファイナルアタックでエルフ・マークVDSレーシング・チームのS.ロウズがトップタイムをマークし,自身8戦ぶりとなるポールを獲得しました。レッドブルKTMアジョのR.フェルナンデスも小椋のタイムを更新して2番グリッドを獲得していて,小椋はフロントローとなる3番グリッド獲得となりました。今回ペルタミナ・マンダリカSAGテルルからワイルドカード参戦している羽田太河は,31番グリッドの最後尾からのスタートとなりました。
Moto3クラスは,多くのライダーが他のライダーの後ろについてタイムアップを図るという作戦を採る中,終始単独走行でタイムアタックに臨んでいたステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティがトップタイムをマークし,2017年の第8戦イギリスGP以来となるポールを獲得しました。SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生は,フェナティがトップタイムをマークする前までずっとトップタイムだったのですが,そのタイムをマークした次の周に,インドネシアン・レーシング・グレシーニMoto3のG.ロドリゴに接触されて転倒を喫してタイムアップができない状況となってしまい,惜しくも2番グリッドとなりました。そのロドリゴですが,予選前に行われたフリー走行3でカーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖を転倒させる事態を起こし,転倒させられた山中は左上腕を骨折するという重傷を負ってしまいました。そのため,山中は以後の走行をキャンセルせざるを得ない状況になっています。日本人ライダーにとっては鬼門となったロドリゴですが,山中に対する危険な走行のペナルティとして,決勝レースはピットスタートとなります。さらに,鈴木に対する危険な走行のペナルティとして,決勝レースでロングラップペナルティが科されることになりました。そのロドリゴのチームメイトであるJ.アルコバは,3番手タイムをマークして2戦ぶりにフロントローを獲得しています。フル参戦日本人ライダー勢ですが,Q2に進出した佐々木歩夢と鳥羽海渡は,それぞれ6番手,13番手でした。Q1で敗退したホンダ・チーム・アジアの國井勇輝は20番手でした。ただ,8番手タイムだったロドリゴがピットスタートのペナルティを受けていますので,決勝レースにおける鳥羽と國井のグリッドは,1つ繰り上がることになります。
2021/08/14(土)
☆自身初(MotoGP)
○2週連続開催となるMotoGPですが,その2戦目となる第11戦オーストリアGPが開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。今回も前回と同じく,レッドブルのホームコースであるレッドブル・リンクでの開催となります。
MotoGPクラスは,FP1はドライコンディションで行われたMotoGPのの,FP2は雨に見舞われてウェットからスタートし,徐々に乾いていくという難しいコンディションとなりました。そのため,最速タイムは,午前中に行われたFP1でのタイムとなりました。そのFP1で最速タイムを刻んだのは,ドゥカティのサテライトチームであるプラマック・レーシングのJ.ザルコでした。彼の刻んだタイムは,これまでのレコードを更新するものでした。2,3番手タイムをそれぞれJ.ミル,A.リンスがマークし,チーム・スズキ・エクスター勢が好調さを見せました。前回5位入賞を果たしたLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,午後は12番手でしたが,午前のタイムで総合4番手でした。
Moto2クラスは,前回惜しいところでペナルティを受けて表彰台を逃したイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍が,このクラスで自身初となる初日総合トップタイムをFP1のタイムでマークしました。その小椋からわずか1000分の7秒差で,エルフ・マークVDSレーシング・チームのA.フェルナンデスが総合2番手タイムでした。ランクトップを行くレッドブルKTMアジョのR.ガードナーが,FP2のタイムで総合3番手となっています。今回ペルタミナ・マンダリカSAGテルルからワイルドカード参戦している羽田太河は,最下位となる31番手で初日を終えています。
Moto3クラスは,こちらもFP1のタイムがこの日の最速となっていて,ペトロナス・スプリンタ・レーシングのD.ビンダーが,2戦連続となる初日総合トップタイムとなりました。そのチームメイトであるP.アコスタは,総合3番手タイムでした。その2人の間に入って総合2番手タイムは,前戦で3位表彰台を獲得したステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティでした。フル参戦日本人ライダー勢ですが,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢が10番手,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が11番手,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が15番手,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が17番手,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が21番手で初日の走行を終えています。
2021/08/13(金)
☆出場停止(MotoGP)
○2週連続開催となるMotoGPですが,大会名こそ違え,今日から同じレッドブル・リンクで第11戦オーストリアGPが開幕します。それを前にして,ヤマハのワークスであるモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPから発表があり,同チームからフル参戦しているM.ビニャーレスの出場を今大会は停止することになりました。前戦第10戦スティリアGPでは,サイティングラップでスタートできなかったためピットロードに入り,その後の決勝レースはピットスタートとなりました。さらに,レースでは最後にピットに入ってしまって,完走扱いにはなりましたがノーポイントに終わっています。とても不可解な動きが見られたビニャーレスでしたが,このレースにおけるビニャーレスは,どうやらマシンの扱いに問題があったようなのです。今回のヤマハの発表によると,ビニャーレスが原因不明の不規則なバイクの操作を行ったということです。これは,過去数日間のテレメトリとデータを分析した結果分かったことのようで,悪くするとこの行為がマシンのエンジンに重大なダメージを与える可能性があり,それがビニャーレス自身に深刻な問題が発生すると共に,他のライダーに危険をもたらす可能性にも繋がるということです。このため,今回の出場停止処分という決断に至ったようです。ビニャーレスとヤマハとの契約は,本来は来季まで継続することになっていました。ところが,シーズンが進むに連れて両者の関係に深刻と思える亀裂が生じていって,ついには来季までの契約を破棄し,今季限りで契約解除という異例の状態となっています。今回のヤマハの発表では,どのような不正操作があったのか具体的なものは発表されていません。ただ,一部の報道によると,彼がエンジンのリミットを超えて回転させていたという証言があるようです。通常であれば,リミットに気をつけながらライダーはマシンを操作しますし,超えそうなときにはランプが点灯して警告するようになっているはずです。ですから,よほどのことがない限り起こりえないことです。ましてや,ワークスライダーほどのスキルがあれば,そうしたことはほぼ起きないはずです。これはビニャーレス側の噂ですが,ヤマハ側にも噂があるようで,赤旗中断でピットに帰ってきた際,ビニャーレスがセットアップはこのままでいいと言ったのに対して,メカニックがその意に反してパーツを変更したというような話が出てきています。ちなみに,最初に記したように,赤旗中断から再開するとき,ビニャーレスのマシンは止まってしまってサイティングラップに出ることができませんでした。果たしてこれらのことが噂通りのものであるかは分かりませんが,やはりビニャーレスとヤマハの亀裂が深刻な状況にありそうな印象は拭えない感じです。もしそうであれば,両者のためにも,そして他のライダーに影響を与えないためにも,シーズン途中での契約解除までいった方がいいのではないかと思います。なお,今回の出場停止による代役参戦は,実施しないことも同時に発表されています。
2021/08/12(木)
☆暫定のまま(F1)
○現在はサマーブレイク中のF1ですが,その夏休み前に前半戦の最後として開催された第11戦ハンガリーGPのリザルトは暫定扱いとなっています。これは,レースにおいて2位でチェッカーを受けたのがアストンマーティンF1チームのS.ベッテルでしたが,レース終了後に行われたレース後に行われた検査において,レギュレーション違反が見つかったため失格となってしまいました。その原因は,燃料にあります。レギュレーションでは,終了後に1リットルの燃料を残しておく必要があり,これはその燃料に違反がないか調べるためのものです。ところが,今回のベッテルの場合,マシンからは0.3リットルしか回収することができなかったのです。そのため,ベッテルは失格となってしまって,ベッテル以降の順位が繰り上がるというリザルトとなっています。今回の措置を不服としたチーム側がFIA(国際自動車連盟)に提訴したことにより,リザルトは暫定となっています。そのような中,8月10日(火)にFIAから判決が下され,チーム側の訴えを棄却しました。チーム側によると,燃料ポンプに不具合があったため,「燃料セルから誤って大漁の燃料が排出されてしまった」ことが原因だということでした。訴えでこの新証拠は採用されたものの,だとしてもそれとサンプル不足とは関連性がないという判断をされたため,訴え棄却となったようです。ただ,一旦は判決が出ましたが,チーム側はさらsに上訴する権利も有していますので,現在は果たして上訴するのかどうかの判断待ちとなっています。これを入力段階では,上訴するのかどうかについての情報がありません。いずれにしても,一旦は判決が出ましたが,まだ最終決定には至っていませんので,第11戦のリザルトは,依然として暫定扱いとなっています。
※追記・・・以上のように入力しましたが,更新以後アストンマーティンF1から発表があり,控訴を断念することになりました。この結果,ベッテルの失格が確定すると同時に,レースリザルトについても,繰り上がった状態でのリザルトが決定となりました。
2021/08/11(水)
☆入れ替わり(SGT)
○昨日は来季のSFにおけるレースカレンダーについてお伝えしましたが,SFと同じく8月6日(金)にSGTをプロモートするGTA(GTアソシエーション)から来季のレースカレンダーが発表されました。それによると,開催数は今季と同じく全8戦となっています。大きな流れも今季とほぼ変わりがなく,大きく変わるのは鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎでの開催数で,今季はもてぎで2戦,鈴鹿で1戦の開催数でしたが,来季はそれが入れ替わり,鈴鹿で2戦開催する予定になりました。SGTは大会によって走行距離が500qだったり300qだったりしますが,富士スピードウェイで開催される2レースが500qとなっています。昨シーズンはコロナ禍の影響により大幅にカレンダーが変更となり,開催場所がもてぎと鈴鹿,そして富士のみという変則的な開催となりました。今季はほぼ予定通り行っていますが,現段階で唯一鈴鹿での開催日が,鈴鹿にまん延防止措置が適応されたため,開催日が変更されました。来季こそは,予定通りの開催となることを願っています。今回発表された具体的なレースカレンダーは,以下の表のようになっています。なお,今回の発表は暫定的なもので,今後他のレース等の関係から変更されることがあります。
2022年 SGTレースカレンダー(暫定)
決勝日 サーキット レース距離
第1戦 4月17日 岡山国際サーキット 300q
第2戦 5月4日 富士スピードウェイ 500q
第3戦 5月29日 鈴鹿サーキット 300q
第4戦 8月7日 富士スピードウェイ 500q
第5戦 8月28日 鈴鹿サーキット 300q
第6戦 9月11日 スポーツランドSUGO 300q
第7戦 10月2日 オートポリス 300q
第8戦 11月6日 ツインリンクもてぎ 300q
2021/08/10(火)
☆今季通り(SF)
○8月6日(金)にSFを運営する日本レースプロモーションから,来季のレースカレンダーについて発表がありました。例年この時期に来季のカレンダーの発表がありますが,今年もその流れを継続しました。それによると,今季と同じく全7戦での開催となります。今回の発表によると,開幕戦は今季と同じく4月に富士スピードウェイで行われます。それ以後の流れはほぼ今季と同じですが,富士とツインリンクもてぎでの開催数に違いがあります。ただ,最終戦が鈴鹿サーキットとなることには変わりありません。シーズン前に行われる合同テストに関しても,今季と同じく1回目が鈴鹿で,2回目が富士でどちらも3月に行われます。ただ,他のカテゴリーと同様,新型コロナウイルスの感染状況によっては,これまで度々あったように変更となる可能性がありますが,来季こそは安心して開催できることを長いタイと思います。なお,今回のレースカレンダーはJAFから申請段階のもので,世界選手権など他のレースとの関係性等から,今後変更となる可能性が十分あります。ちなみに,今回発表された具体的なレースカレンダーは以下の表のようになっています。
2022年 SFレースカレンダー(暫定)
決勝日 サーキット
第1戦 4月10日 富士スピードウェイ
第2戦 4月24日 鈴鹿サーキット
第3戦 5月22日 オートポリス
第4戦 6月19日 スポーツランドSUGO
第5戦 7月17日 富士スピードウェイ
第6戦 8月21日 ツインリンクもてぎ
第7戦 10月30日 鈴鹿サーキット
2021/08/09(月)
☆初優勝(MotoGP)
○1ヶ月以上にわたるサマーブレイクが明け,その最初のレースであるスティリアGPの決勝レースが,ウェットからドライへと変わる状況となったレッドブル・リンクで行われました。
MotoGPクラスは,3周目にでワイルドカード参戦したレッドブルKTMファクトリー・レーシングのD.ペドロサが転倒し,そのマシンにアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニのL.サバドーリが乗り上げてしまって炎上するという大クラッシュとなってしまいました。これにより赤旗中断となり,レースは1周減算して改めて仕切り直しとなりました。ポールからスタートしたプラマック・レーシングのJ.マルティンは,チーム・スズキ・エクスターのJ.ミルとのトップ争いに持ち込み,レースが進むに連れて徐々に独走態勢に持ち込みました。そして,最終的にミルとの差を1.5秒以上に広げてトップでチェッカーを受けました。最高峰クラスルーキーライダーであるマルティンにとってこれがこのクラスで初の勝利となり,その勝利を見事ポールトゥーウィンで達成しています。3位には,ランクトップを行くモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが入り,ランキング争いでさらに有利な体制を築きました。このサーキットを得意とするLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,徐々に順位を上げていって最終的に4位争いとなり,惜しくもレッドブルKTMファクトリー・レーシングのM.オリベイラに交わされてしまいましたが,ホンダ勢としてはトップとなる5位でチェッカーを受けています。赤旗の原因となったサバトーリは,残念ながら右足の踝を骨折したためレース欠場となりましたが,KTMのテストライダーであるペドロサは,体調に問題なくレースに出場しました。しかも,何と引退以来3年ぶりとなるレースにもかかわらず10位でチェカーを受けました。ペドロサがテストライダーに就任して以来どんどんマシン開発が進んで結果を残してきているKTMですが,経験があり,しかも速くて開発能力にも優れているライダーがチームにいるというのは,とても安心できるのではないでしょうか。現役時代ずっとホンダに貢献してきたライダーをあっさり切り,現在マシン開発に苦しんでいるホンダとしては,複雑な心境なのではないかと私は勝手に思っています。
Moto2クラスは,MotoGPクラスの前に決勝レースが行われていますが,実はMotoGPクラスと同じく転倒したマシンに他のマシンが激突するというアクシデントが発生し,これが多重クラッシュに繋がったため赤旗中断となりました。昨シーズンもMotoGPクラスであわや大惨事という事態が発生していますので,コースレイアウト等をさらに見直す必要があるのかもしれません。さて,そのレースですが,トップ争いからスカイ・レーシング・チームVR46のM.ベツェッキが抜け出していき,2位に1秒以上の差をつけてこのサーキットで2年連続となる勝利を収めました。2位争いでは,終盤にイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍が抜け出し,トップに徐々に迫っていく状況となりました。ところが,コースリミット違反でロングラップペナルティが科されてしまって残念ながら脱落。その後ろを走行していたアスパー・チームMoto2のA.カネトが入りました。3番手は,ランクトップを行くレッドブルKTMアジョのR.ガードナーを抑えてエルフ・マークVDSレーシング・チームのA.フェルナンデスが入っています。惜しいところで表彰台,そして優勝を逃した小椋は,単独走行となって5位でチェッカーを受けています。来週も同じサーキットでレースがありますが,今回のリベンジをぜひ果たしてもらいたいものですね。
Moto3クラスは,ウェットからドライへと変わる状況でのレースとなりました。その中で抜け出したのが,レッドブルKTMアジョのP.アコスタとサンタンデール・コンシュマー・ガスガスのS.ガルシアでした。時にはマシンをぶつけ合うような激しいトップ争いを演じた2人でしたが,ファイナルラップの最終コーナーでガルシアが転倒してしまい,アコスタが今季5勝目を挙げました。惜しいところで転倒を喫したガルシアでしたが,後続との差が随分広がっている状況だったため,再スタートを切って何と2位でチェカーを受けました。ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティが,バトルを制して3位表彰台を獲得しています。この大会は今一歩振るわない状況が続いていたフル参戦日本人ライダー勢ですが,決勝レースはその不振を吹き払うような結果を残しました。まず,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢が日本人勢では最高位となる5位でチェッカーを受けました。さらに,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が7位,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が8位に入り,どちらも自己最高位を獲得しました。CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が12位,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が15位に入り,今大会は日本人ライダー5人全員がポイントを獲得するという快挙でした。
2021/08/08(日)
☆ルーキーで(MotoGP)
○第11戦スティリアGPの予選が,ドライコンディションとなったレッドブル・リンクで行われました。
MotoGPクラスは,最初のアタックでここまでランクトップを行くモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロがトップタイムをマークし,ファイナルアタックはこのタイムがターゲットとなりました。ここで速さを見せたのは,ルーキーながら既に1度ポールを獲得しているプラマック・レーシングのJ.マルティンでした。彼のタイムはこれまでのレコードを更新するもので,このままポールを獲得するのかと思われました。ここでさらにタイムを刻んだのが,最初のアタックでトップたっだクアルタラロでした。もちろん彼もレコードを更新するもので,そのままポール獲得かと思われました。ところが,アタックの途中でほんのわずかコースから外れたようで,コースリミット違反ということからタイムが抹消となり,彼のタイムはその前に出していたものが採用されることになり,3番グリッド獲得にとどまりました。クアルタラロのタイム抹消により,マルティンがルーキーながら今季2度目となるポールシッターとなりました。2番グリッドは,ドゥカティのワークスライダーであるドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアでした。初日総合トップタイムを刻み,このサーキットを得意とするということもあって期待されたLCRホンダ・イデミツの中上貴晶でしたが,路面温度上昇の影響があったりしたのか,思うようにタイムアップすることができず,10番グリッド獲得にとどまっています。
Moto2クラスは,ここまでランクトップを行くレッドブルKTMアジョのR.ガードナーが,後半戦でもその好調さを示すかのようにトップタイムをマークし,今季3度目のポールシッターとなりました。この予選で驚きの速さを見せたのは,ルーキーながらしばしばトップ10フィニッシュを果たしているイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍でした。予選におけるここまでの彼の最高位は第3戦ポルトガルGPにおける4番グリッドでしたが,今回はそれを超える2番グリッド獲得でした。3番グリッドは,スカイ・レーシング・チームVR46のM.ベツェッキでした。
Moto3クラスは,バラエティーにあふれた上位争いとなりました。まずトップタイムをマークしたのは,レッドブルKTMテック3のD.オンジュでした。彼にとって初となるポールでしたが,さらにトルコ人ライダーとしても初のポール獲得となります。サンタンデール・コンシュマー・ガスガスのS.ガルシアが,トップからわずか1000分の24秒遅れで2番グリッド獲得となりました。さらに,ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティが,トップからこちらもわずか1000分の53秒遅れで3番手タイムをマークし,それぞれ違うブランドのマシンがフロントローに並ぶことになりました。フル参戦日本人ライダー勢ですが,前日と同じく多くのライダーが思うようにチムを伸すことができませんでした。そのような中,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生とレッドブルKTMテック3の佐々木歩夢がQ2に進出し,それぞれ14番,15番グリッドを獲得しています。Q1で敗退となったカーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡は,それぞれ21番手,22番手,25番手と後方からのスタートとなります。
2021/08/07(土)
☆今季初(MotoGP)
○ある程度予想されていたこととは言え,長年先頭を走ってきたV.ロッシの今季限りでの引退が発表された翌日,第10戦スティリアGPがレッドブルのお膝元であるレッドブル・リンクで開幕しました。途中雨に見舞われてドライからウェットに変わるという不安定な天候の中,初日は2回のフリー走行が行われました。
他のクラスはドライでの走行でしたが,MotoGPクラスはFP1がドライ,FP2がウェットというコンディションとなったため,この日の総合タイムは,どのライダーもFP1のタイムがリザルトとして残りました。そのFP1でトップタイムをマークし,幸先のよい後半戦のスタートを切ったのが,唯一のフル参戦日本人ライダーであるLCRホンダ・イデミツの中上貴晶でした。彼の総合トップタイムは,昨年10月に行われた第12戦テルエルGP以来,今季初となります。総合2,3番手はそれぞれチーム・スズキ・エクスターのJ.ミル,アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニのA.エスパルガロでした。中上とミルとのタイム差は,わずか1000分の76秒差でした。
Moto2クラスは,FP1でトップタイムだったスカイ・レーシング・チームVR46のM.ベツェッキが,FP2は転倒したこともあってタイムを伸ばすことができませんでしたが,FP1でのタイムを誰も更新することができず,昨年7月に行われた第3戦アンダルシアGP以来,今季自身初となる初日総合トップタイムとなりました。同じくFP1で2番手タイムだったエルフ・マークVDSレーシング・チームのA.フェルナンデスが,このタイムで初日総合2番手でした。FP2でトップタイムだったレッドブルKTMアジョのR.ガードナーが,このタイムで初日総合3番手タイムでした。イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,FP1のタイムで初日総合8番手タイムとなっています。
Moto3クラスは,ペトロナス・スプリンタ・レーシング勢のトップ争いとなり,D.ビンダーがJ.マクフィーをわずか100分の4秒上回り,今季3度目となる初日総合トップとなりました。総合3番手は,トップからわずか1000分の57秒差でサンタンデール・コンシュマー・ガスガスのS.ガルシアでした。フル参戦日本人ライダー勢ですが,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢が6番手と好位置で初日を終えました。しかし,他のライダーはタイムを伸ばすことができず,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が19番手,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が23番手,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が25番手,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が26番手と後方のタイムで初日を終えています。
2021/08/06(金)
☆引退(MotoGP)
○昨夜,後半戦最初のレースである第10戦スティリアGPを前にしてプレスカンファレンスが行われ,その場で今季ヤマハのサテライトチームであるペトロナス・ヤマハSRTからフル参戦している『生けるレジェンドライダー』であるV.ロッシ自身から発表があり,今シーズンをもって2輪レースから引退することになりました。現在42歳のロッシですが,GPでのデビューは1996年まで遡ります。最初は当時の小排気量クラスである125ccクラスにアプリリアのマシンを駆ってフル参戦し,2年目の1997年に彼自身GPで初となるタイトルを獲得しました。1998年に当時の中排気量クラスである250ccクラスに同じくアプリリアのマシンを駆ってステップアップを果たし,125ccの時と同じように2年目にチャンピオンを獲得しました。そして,ついに2000年に当時の最高峰クラスである500ccクラスにホンダのワークスライダーとしてステップアップを果たし,これまたステップアップ2年目にして見事最高峰クラスチャンピオンに輝きました。2002年になると最高峰クラスが500ccクラスから現在のMotoGPクラスへと替わり,ここで初代のチャンピオンとなりました。この時は,全16戦中15回表彰台を獲得するという圧倒的な強さと速さでタイトルを獲得しています。2003年にもタイトルを獲得して最高峰クラス3連覇を果たしましたが,ホンダとはこの年限りで袂を分かち,2004年からヤマハに移籍してヤマハのワークスライダーとして活動を開始し,現在のように長年にわたる良好な関係性を築くことになります。ヤマハに移籍すると,これまで記録してきた2年目にタイトルを獲得するという自身のジンクスを破り,移籍初年度にタイトルを獲得しました。2005年にもタイトルを獲得して最高峰クラス5連覇を果たし,まさにロッシ時代を築いていきました。ところが,2006年にアクシデントやトラブルに見舞われたこともあって,わずか5ポイント差で当時ホンダのワークスライダーであった故N.ヘイデン選手にチャンピオンの座を譲ることになりました。2008年にそれまでのミシュランからブリヂストンにタイヤメーカーを変更すると再び快進撃が復活し,ヤマハにとっての母国GPとなる日本GPでこの年のタイトルを決めました。翌年にもタイトルを獲得しましたが,徐々に新たなモチベーションを求めるようになったロッシは,2011年シーズンからドゥカティのワークスライダーとして活動を始めました。ところが,自身にとっての母国メーカーではありましたが,彼のライディングとデスモセディチの特性が合わなかったのか,在籍2年間で優勝さえままならない状況が続き,ついに2013年から再びヤマハに復帰して現在に至っています。ここ数年は若手の台頭もあってタイトル争いになかなか絡むことができない状況が続き,「引退」ということが噂されるようになりました。しかし,世界的な人気には変化がなく,どのサーキットにおいても「46」のロゴが飾られた蛍光イエローの旗やウェアがスタンドを埋めるという状況がずっと続いています。ただ,優勝はもちろん,表彰台さえ獲得がままならない状況になってきていて,今季になると,ヤマハのワークスライダーということは変わらないものの,チームはそれまでのワークスであるモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPからサテライトであるペトロナス・ヤマハSRTへと移籍すると共に,前半戦の状況で自身の進退を決めるということになりました。その前半戦はリタイアが相次ぐと同時に,トップ10フィニッシュはもちろん,ポイント獲得も厳しい状況が続き,GPファンには覚悟しなければならない事態となっていき,ついに今回の引退発表となりました。ここまでのGPにおける戦績は,出走415戦中,優勝115回,表彰台獲得235回,ポール獲得65回,ファステストラップ96回,そしてタイトル獲得9回(その内最高峰クラスで7回)という圧倒的な記録を残していて, まさにレジェンドと言われるにふさわしい栄光に輝くライダーとして今後も語り継がれることになります。なお,今回は今季限りでの引退ということで,来季からの去就については発表がありませんでした。ほぼ間違いないのは,来季から自身が主宰するVR46がドゥカティのサテライトチーム(チーム名は『アラムコ・レーシング・チームVR46』)として最高峰クラスにおいて単独チームで活動を本格的に始めますので,ここでの活動が中心となるのでしょう。ただ,今回は2輪レースからの引退というだけで,レーサーとしての情熱は消えていないことも十分考えられ,噂では,母国の4輪メーカーであるフェラーリのマシンを駆って4輪レース,中でもWEC(世界耐久選手権)に参戦するのではないかということも可能性として挙げられています。
2021/08/05(木)
☆被害者の場合(F1)
○コスト削減政策により,F1においても予算の上限が決められています。この金額には,もちろんマシンの開発やアップデートはもちろん,チームの運営資金など様々なものが含まれています。その中には,クラッシュ等によるマシン修復に必要なコストも含まれます。また,同じくコスト削減の一環として,年間に使用できるパワーユニット(PU)の基数が制限されています。そうした中で毎回レースが開催されている訳ですが,サマーブレイク前に行われた2つのレースで,そのことに関する問題点が浮上しています。まず,シルバーストーン・サーキットで行われた第10戦イギリスGPにおいて,メルセデスAMGのL.ハミルトンがその時点でランクトップに立っていたレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンを競り合いの中で押し出すアクシデントを起こしてしまいました。その結果,フェルスタッペンのマシンは激しく損傷し,リタイアとなって痛いノーポイントレースとなってしまいました。驚くべきは,チームから発表された修復費用ですが,何と億単位の金額が必要だということです。さらに,ハンガロ・リンクで行われた第11戦ハンガリーGPにおいては,スタートでミスしたメルセデスAMGのV.ボッタスがブレーキで失敗をし,他のマシンを巻き込む多重クラッシュを引き起こしてしまいました。このアクシデントでレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンとS.ペレスはどちらもマシンに損傷を受け,ペレスはリタイアとなりました。フェルスタッペンはマシンを修復して何とかレースに復帰でき,苦労しながら10位完走を果たしました。ただ,イギリスとハンガリーの結果,ハミルトン,そしてメルセデスAMGがフェルスタッペンを逆転してドライババートコンストラクターの両面でランクトップに立ちました。レッドブルにとっては,ランキング争いで後退させられた(?)だけではなく,両ドライバー共にPUが大きく損傷したため,後半戦最初のレースでPUを交換する必要があるようです。年間基数が限られているだけに,こうした点でも大きな影響を受けることになりました。ハンガリーGPでは,フェラーリのC.ルクレールがアストンマーティンのR.ストロールにぶつけられる形となり,こちらもマシンが大きく損傷してリタイアとなりました。当然ルクレールもPU交換が必要となりますので,こちらも大きな影響を受けることになりました。自分に非がある場合は,修復費用やPU基数に影響を受けるのは当然ですが,今回のレッドブル・ホンダやフェラーリの受けた損害は,全くといっていいほど非がありません。まさに「もらい事故」という感じです。ところが,リタイアしてノーポイントに終わるというレース結果だけでなく,コストや基数制限にまで影響が及ぶということにやはりやりきれないところはあるでしょう。アクシデントの判断は難しいところはありますが,これらの点に関して何らかの対応が必要なのかもしれませんね。
2021/08/04(水)
☆代役参戦(MotoGP)
○先月28日(水)にヤマハ唯一のサテライトチームであるペトロナス・ヤマハSRTから発表があり,同チームのフル参戦ライダーであるF.モルビデリの代役として,昨シーズン限りで現役を引退し,今シーズンからヤマハのテストライダーを務めているC.クラッチローを起用することになりました。元々左膝を痛めていたモルビデリでしたが,6月末に行われた第9戦TTアッセンを前にしたトレーニングでさらに悪化させる状況となってしまいました。そのTTアッセンでは,SBKにおけるヤマハ陣営ライダーの一人であるG.ガーロフが代役参戦していました。それ以後にモルビデリは手術を受け,現在は1ヶ月半にわたるサマーブレイクに入っています。しかし,回復するまでには至っておらず,8月中に行われるレースへの参戦が厳しい状況にあります。そうしたことを受け,ヤマハとの協議の上でテストライダーであるクラッチローを起用することになっています。クラッチローが代役参戦するのは,レッドブル・リンクで2週連続開催される第10戦スティリアGP,第11戦オーストリアGP,そして8月最終週にシルバーストーン・サーキット行われる第12戦イギリスGPの3戦となっています。モルビデリの復帰は,現段階で9月12日(日)に決勝レースが行われる予定の第13戦アラゴンGPからとなっています。
2021/08/03(火)
☆完走&初ポイント(BSB)
○今季ワークスチームから2人の日本人フル参戦ライダーがいるBSBですが,先週末その第4戦がスラックストンで行われました。BSBにおけるホンダワークスであるHonda Racing UKからフル参戦している高橋巧と水野涼ですが,サーキットを含めて初めてだらけということもあって,ポイント獲得はもちろん,完走さえままならない状況が続いていました。ところが,ようやくその実力の一端が発揮されるようになってきているのか,この第4戦にして初めて両者が3つのレース全てで完走を果たしました。しかも,ホンダにおける日本人ライダーのエースをずっと続けている高橋巧が,ようやくレース2において15位でチェッカーを受け,わずか1ポイントであるものの,初めてのポイント獲得となりました。開幕前の事前テストで肩を痛めていて,ただでさえ初参戦で苦労する中,大きなハンデを負っての参戦を続けていました。わずか1ポイントであっても,高橋にとって自信回復に繋がるポイントになったのではないかと思います。前戦はFP1で転倒して手を痛めたことから,早々に欠場せざるを得ない状況となった水野でしたが,今回は,ポイント獲得こそできなかったものの,無事3つのレースで完走を果たしました。ちなみに,2人のレース結果ですが,高橋が20位,15位,21位,水野が21位,19位,22位でした。なお,McAMS YamahaのJ.オハローランが,この大会3つ全てのレースを制しています。
2021/08/02(月)
☆多重クラッシュ&初優勝(F1)
○第11戦ハンガリーGPの決勝レースが,不安定な天候となったハンガロ・リンクで行われました。決勝レーススタート30分前になって雨が降り始め,滑りやすい状況となったところでスタートが切られました。ポールからスタートしたメルセデスAMGのL.ハミルトンは順調にスタートを切りましたが,2番グリッドからスタートしたチームメイトのV.ボッタスは大きく出遅れ,3番グリッドからスタートしたレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンが2位に浮上しました。出遅れたボッタスは,イン側でタイヤをロックさせ,マクラーレンのL.ノリスに追突。それをきっかけにして,次々に他のマシンがクラッシュする多重クラッシュに発展しました。このクラッシュに巻き込まれた中の一人が,レース前までランクトップだったフェルスタッペンでした。他のマシンから接触されたましんは,右側バージボードとフロアにダメージを負ってしまったため,フェルスタッペンは思うようにペースを上げられない苦しい状況に陥りました。再スタートでもトップに立っていたハミルトンでしたが,再スタート時のタイヤ選択が間違っていたようで,他のマシンが再スタート時でミディアムタイヤを選択したのに対し,ハミルトンのみがインターミディエイトを選択。その後ピットインしてタイヤを他のドライバーと同じにしたことで,一挙に最後尾まで順位を落としてしまいました。このような混乱した状況でトップに立ったのが,スタート時の混乱の影響を受けなかったアルピーヌのE.オコンでした。ハミルトンの脱落によりトップに立つと,その後アストンマーティンのS.ベッテルの追撃を受けましたが,最後までトップの座を守り抜き,見事自身初となる優勝を飾りました。2秒弱の差をつけられて,2位でベッテルがチェッカーを受けました。ところが,レギュレーションでレース後に1リットルの燃料サンプルが回収されることになっているのですが,ベッテルのマシンからは0.3リットルしか回収できなかったため,ペナルティで失格となってしまいました。この裁定に対してチーム側がFIA国際控訴裁判所に上訴したため,現段階で今回のリザルトは暫定という形になりました。一旦は最下位に落ちたハミルトンでしたが,彼のマシンは圧倒的なペースを刻むことができていて,どんどん順位を回復していって,最終的に3位でチェッカーを受けました。ただ,ベッテルの失格最低により,現段階では2位という暫定のリザルトになっています。同様の理由により,暫定3位はフェラーリのC.サインツJrとなっています。レッドブル・ホンダのフェルスタッペンは,マシンにトラブルを抱えたり,遅いマシンに引っかかったりして順位を思うように上げることができず,10位(暫定9位)でチェカーを受け,ドライバーズタイトル争いでハミルトンに逆転されてしまいました。チームメイトのS.ペレスは,スタート時の混乱の中で他車に追突されてしまい,リタイアに終わっています。今回の結果により,コンストラクタータイトル争いでもメルセデスAMGに逆転されてしまいました。ボッタスのミスにより,レッドブル・ホンダとしては何とも痛い結果となってしまっています。スタート時の混乱の影響をさほど受けなかったアルファタウリ・ホンダ勢は,レース終盤にペースに勝るP.ガスリーの先行を指示したこともあり,ガスリーが暫定5位,角田裕毅が暫定6位という結果となっています。ちなみに,暫定ではありますが,6位という結果はルーキーである角田にとって,自身最高位となっています。なお,このレース終了により,F1は4週間にわたるサマーブレイクに入りました。後半戦開始は,8月29日(日)に決勝レースとなる第12戦ベルギーGPからとなっています。
2021/08/01(日)
☆今季2回目(F1)
○前半戦最後となる第11戦ハンガリーGPの予選が,この日も好天に恵まれたハンガロ・リンクで行われました。前日に行われたフリー走行では,メルセデスAMG勢のワンツーで終わりましたが,この日もその状況となりました。トップ10を決めるQ3の最初のアタックでトップタイムをマークしたのは,前戦の勝者であるメルセデスAMGのL.ハミルトンでした。そのハミルトンからややタイム的には離されたものの,チームメイトのV.ボッタスが2番手タイムをマークしました。ここまでランクトップを行くレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンはなかなかグリップが得られなかったということで3番手タイムで最初のアタックを終えました。4番手タイムは,フェルスタッペンのチームメイトであるS.ペレスでした。その後,どのドライバーもファイナルアタックに臨みましたが,ファーストアタックにおけるハミルトンのタイムを誰も更新することができず,そのままの順で予選終了となりました。これにより,順位こそ違え,前日と同じくメルセデスAMG勢のワンツーとなりました。3,4番グリッドがレッドブル・ホンダ勢となり,両チームによるトップ4は今季2回目となります。アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーが5番手タイムをマークし,ホンダ製パワーユニット勢はトップ5に3台が入りました。前日にクラッシュを演じてしまったアルファタウリ・ホンダの角田裕毅は,前日に余り走行できなかったことが影響したのか,ロングランに臨んだりしてタイムアップを図りましたが,思うようにタイムを伸ばすことができずQ1敗退となり,今日行われる決勝レースを16番グリッドからスタートすることになりました。
 

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