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最新ニュース

2021/06/30(水)
☆中国人初に向け(F1)
○3週連続開催となるF1ですが,その3つ目になるのが今週末にレッドブル・リンクで行われる第9戦オーストリアGPです。そのオーストリアGPに関してアルピーヌF1チームから発表があり,初日に行われるフリー走行1で,今季F2にフル参戦している中国人ドライバーの周冠宇を起用することになりました。彼が駆るのは,レギュラードライバーであるF.アロンソのマシンです。今回起用されることになった周は,一昨年から若手育成プログラムであるアルピーヌ・アカデミー(旧ルノースポール・アカデミー)の一員となり,アルピーヌ(旧ルノー)のテストドライバーを務めています。その年からFIA F2シリーズにフル参戦を開始し,5回表彰台に上ってルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得しています。昨シーズンは,ソチの大会において中国人ドライバーとして始めて国際シングルシーターレースで優勝を飾りました。今季はさらに調子を上げていて,2勝を含む4回の表彰台を獲得し,現段階でランクトップを行っています。もしこのままチャンピオンを獲得すると,中国の潤沢な資金力と共に,来季は中国人初のF1ドライバーになるかもしれません。今回の経験は,今季のモチベーションアップと,F1ドライバーへ上り詰めたときのいわゆる予習のようなものになるかもしれません。
2021/06/29(火)
☆27年ぶり(WRC)
○6月24日(木)〜27日(日)にわたって,2002年以来19年ぶりとなる第6戦『サファリ・ラリー・ケニア』が開催されました。今回の大会は,以前開催されたサファリ・ラリーと比べてコンパクトなイベントとなったのですが,難易度の高さは以前と変わりなく,『フェシュフェシュ』と呼ばれる粒が細かい砂地や森林地帯に設定された未舗装路のステージがドライバーたちを苦しめていきました。特に2日目がその牙をむき,最高峰クラスにエントリーしている11台の内,デイリタイアが4台,大会自体のリタイアが1台と半数近くが大きな影響を受ける事態となりました。その中で速さを見せたのがヒュンダイi20クーペWRCを駆るT.ヌービルでした。ライバルたちが次々にアクシデントに見舞われる中,最終日は2位に57秒以上の差をつけ,ここまでの流れを考えると彼が勝利にぐっと近付いていました。そのヌービルから大きく差をつけられてしまっていましたが,2位には何とトヨタ・ヤリスWRC駆って今季からフル参戦を開始している勝田貴元でした。同じマシンを駆るチームメイトたちが2日目に苦しめられる中,いくつかのアクシデントを乗り越えて2位に立って最終日を迎えていたのです。その勝田の後ろには,2日目に足回りのアクシデントに見舞われてタイムを落とさざるを得なかったトヨタ・ヤリスWRCを駆るS.オジエがつけていました。最終日の注目は,タイムが僅差となった勝田とオジエの位置関係でした。ところが,その2人の順位争いよりも注目を集める事態が発生したのです。優勝が確実視されてスタートを切ったヌービルが朝の走行でいきなりダンパーのトラブルが発生してリタイアとなってしまったのです。このリタイアにより,2位争いで注目となっていたトヨタ・ヤリスWRC勢のバトルが,優勝争いへと変わってしまったのです。ヌービルのリタイアにより勝田がトップに立ったのですが,百戦錬磨のオジエの追撃を受けてしまい,最終的に22秒弱の差をつけてオジエが大逆転で勝利を収めました。優勝まであと一歩のところで逃した勝田でしたが,ルーキーシーズンで見事2位表彰台を獲得しました。WRCで日本人ドライバーが表彰台を獲得したのは,1994年のこの大会で,ミツビシ・ランサーエボリューションを駆る篠塚建次郎がこれまた今回の勝田と同じく2位となって以来27年ぶりの快挙です。

☆1年残して(MotoGP)
○モンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロの4勝目で終わった第9戦TTアッセンですが,決勝レースではクアルタラロの後塵を拝したものの,予選では彼を抑えてポールを獲得したのが,チームメイトであるM.ビニャーレスです。そのビニャーレスに関して,このところ来季の挙手について噂が浮上していました。実際,表彰台獲得後に行われたインタビューにおいても,この点について質問が出されていました。その噂というのは,今季限りでヤマハと袂を分かち,来季はアプリリアに移籍するのではないかというものです。ビニャーレスとヤマハの契約は22年までとなっていますので,本当にそんなことがあるのか疑問に思っていたのですが,ついにその点に関して発表がありました。昨日ヤマハ発動機から発表があり,ビニャーレスとの契約を今シーズン末で終了することになりました。今回の契約解除は,ビニャーレス側から申し込みがあったようです。今季限りでヤマハとの契約を解除することになったビニャーレスは,2011年に125ccクラスからデビューを果たしました。2012年から125ccクラスに替わってMoto3クラスとなりましたが,その新たなクラスに継続参戦し,2013年にチャンピオンを獲得しました。2014年はMoto2クラスにステップアップしてランク3位でシーズンを終え,ついに2015年から最高峰のMotoGPクラスにステップアップを果たしました最初の2年間はスズキのワークスライダーとして戦い,2017年にヤマハへワークスライダーとして移籍して現在に至っています。ヤマハとビニャーレスの不協和音は,今シーズンに入って顕著になってきていて,特にビニャーレスのクルーチーフをシーズン途中にもかかわらずヤマハ側からの要望により交替となったことがその一番の例です。彼のクルーチーフはE.ガルシアが務めていました。ただ単なるレース上だけの関わりではなく,私的な部分でもお互いに信頼関係を築いてきた間柄です。しかし,不安定な成績となっているビニャーレスということもあって,ガルシアからS.ガルブゼラへと変更になってしまったのです。自身の成績もあって,ビニャーレスとしてはヤマハからの要望を飲まざるを得なかった訳でしょうが,クアルタラロ以外のライダーが苦戦している状況から,ビニャーレスの不安定さだけではないという思いもあったことでしょう。今回の決断には,こうした様々な事情が重なっていって,今回の1年残しての契約解除につながっていったものと思われます。なお,今回の発表の中では,来季の彼がどのマシンを駆ることになるのかは明らかとなっていません。
2021/06/28(月)
☆初ワンツー(MotoGP)
○第9戦TTアッセンの決勝レースが,好天に恵まれたTTサーキット・アッセンで行われました。
MotoGPクラスは,2番グリッドからスタートしたモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが,5周目にトップに立つと後続との差を広げて行き,独走でトップチェッカーを受けてシーズン自己最多勝利数となる4勝を挙げました。ポールからスタートしたM.ビニャーレスは,スタートで出遅れて順位を下げたものの,15周目に2位にポジションアップを果たしてクアルタラロを追っていきましたが,2秒以上の差をつけられて2位でチェッカーとなりました。この結果,今季初となるヤマハワークス勢によるワンツーフィニッシュとなりました。10番グリッドからスタートした昨年のチャンピオンであるチーム・スズキ・エクスターのJ.ミルは,徐々にポジションアップしていって3位表彰台を獲得しました。今季自己最高位となる4番グリッドからスタートしたLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,好スタートを切って2位争いを展開していきました。時には2位に浮上して初表彰台が期待されました。しかし,他のライダーが後輪にハードタイヤを選択していたのに対し,中上はミディアムタイヤを選択していて,レースが進むに連れてこの違いが影響したのか,どんどん順位を下げていき,結局9位でのチェッカーとなってしまいました。なかなか表彰台が遠い中上ですが,今後も粘り強く戦っていって欲しいですね。
Moto2クラスは,ポールからスタートしたレッドブルKTMアジョのR.フェルナンデスが,激しいトップ争いの中2周目にコースから飛び出て順位を下げてしまいました。しかし,ペースに勝るフェルナンデスはここから順位を回復していき,ついに18周目にトップに立ちました。その後も安定した速さを見せていき,今季3勝目を挙げました。ランクトップを行くR.ガードナーは,なかなかペースが上がらなかったものの,それでも粘り強く走って2位争いを展開していき,トップからは1秒以上遅れたものの,2位表彰台を獲得してレッドブルKTMアジョ勢のワンツーとなりました。3位にエルフ・マークVDSレーシング・チームのA.フェルナンデスが入り,2019年の第13戦サンマリノ6リビエラ・ディ・リミニGP以来となる表彰台を獲得しました。イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,単独走行での6位を獲得しています。
Moto3クラスは,レオパード・レーシングのD.フォッジアが,レースを引っ張っていきました。それをガビオタ・ガスガス・アスパー・チームのS.ガルシアが追う展開となりましたが,最終的に1000分の78秒差でフォッジアが今季2勝目を挙げました。3位には,2回のロングラップペナルティーを乗り越え,ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティが入っています。フル参戦日本人ライダー勢ですが,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が5位,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が13位に入ってポイントを獲得しています。カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖は17位,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝は23位,ホンダ・チーム・アジアからワイルドカード参戦の松山拓磨25位でレースを終えています。
MotoGPはこれで前半戦を終え,これからサマーブレイクに入ります。サマーブレイク明けの大会は,8月8日(日)にレッドブル・リンクで決勝レースを迎える第10戦スティリアGPとなります。

☆20年ぶり(F1)
○第8戦シュタイアーマルクGPの決勝レースが,好天に恵まれたレッドブル・リンクで行われました。ポールからスタートしたレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンは,好スタートを切ってトップの座を守りました。2番グリッドからスタートしたメルセデスAMGのL.ハミルトンもその順位を守って2人のトップ争いとなりました。チーム本拠地での勝利を目指すフェルスタッペンは,順調にハミルトンとの差を広げて行き,危なげない展開に持ち込みました。2番手をいくハミルトンは,フェルスタッペンの独走を許すものの,3位との差はどんどん広げて行き,どちらも単独走行となりました。最終的に35秒以上の差をつける独走でフェルスタッペンがトップチェッカーを受け,前戦に次ぐ勝利を収めました。この勝利により,チームメイトのS.ペレスの勝利を含めてチームは4連勝となりました。ホンダにとっては,1991年にマクラーレン・ホンダのA.セナが開幕戦アメリカGPから第4戦モナコGPまで記録して以来20年ぶりの4連勝となります。単独走行となったトップ2に対して,ペレスとメルセデスAMGのV.ボッタスとの間で繰り広げられた3位争いは白熱しました。レース途中までペレスが前を走っていましたが,ピットインしてタイヤ交換を行う際,左リアのタイヤ交換に時間がかかってしまい,その後ピットインしたボッタスのオーバーシュートを許してしまいました。ペースを上げていったペレスはボッタスとの差をどんどん縮めていき,最後まで分からない展開となりましたが,最終的におよそコンマ5秒の差をつけてボッタスが逃げ切りました。ペナルティで11番グリッドからスタートしたアルファタウリ・ホンダの角田裕毅は,9位を走行までポジションアップを果たしていきましたが,アルピーヌのF.アロンソの追撃に遭って10位となり,その後アロンソに肉薄したものの元チャンピオンに逃げ切られ,10位でのチェッカーとなってポイントを獲得しています。角田のチームメイトであるP.ガスリーは,オープニングラップで他のマシンと接触するアクシデントに見舞われ,ピットまではたどり着きましたが,サスペンションに損傷があってリタイアに終わっています。
2021/06/27(日)
☆コースレコード(MotoGP)
○第9戦TTアッセンの予選が,ドライコンディションとなったTTサーキット・アッセンで行われました。
MotoGPクラスは,フリー走行の1〜3までトップタイムだったM.ビニャーレスとフリー走行4でトップタイムだったF.クアルタラロのモンスター・エナジー・ヤマハMotoGP勢によるポール争いとなりました。まずクアルタラロがコースレコードとなる1分32秒を切るタイムをマークしてポールかと思われましたが,ビニャーレスがラストアタックでさらにそれを上回るタイムをマークしました。クアルタラロも負けじとラストアタックに臨みましたが,ミスがあってタイム更新とならず,ビニャーレスがコースレコードを更新して自身今季初のポールを決めました。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶が,予選セッション終了間際まで3番手タイムをマークしていて,今季自身初のフロントローかと思われましたが,最後の最後でドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアが中上のタイムを上回って3番手タイムとなり,惜しくもフロントローを逃しています。ただ,4番グリッドは今季自身最高位となりますし,今回の予選におけるホンダ勢最高位にもなります。
Moto2クラスは,ランキング争いを展開しているレッドブルKTMアジョの2人によるポール争いとなりましたが,最終的にランク2位のR.フェルナンデスがポール,ランク1位のR.ガードナーが2番グリッドということになりました。シーズン序盤好調だったエルフ・マークVDSレーシング・チームのS.ロウズが3番手タイムをマークし,3戦ぶりのフロントローとなります。初日20番手と出遅れたイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍でしたが,2日目はタイムアップを果たし,自己最高位タイとなる6番グリッドを獲得しています。
Moto3クラスは,インドネシアン・レーシング・グレシーニMoto3のJ.アルコバがコースレコードを更新する速さを見せ,自身初となるポールを獲得しました。ステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティが2番手タイムをマークし,2019年の第11戦オーストリアGP以来のフロントロー獲得となりました。そのフェナティから1000分の66秒遅れで,レオパード・レーシングのD.フォッジアが3番グリッド獲得となりました。日本人ライダー勢ですが,前戦で2位表彰台を獲得したCIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が5番手タイムをマークして2戦連続2列目からのスタートを決めています。フリー走行でトップタイムだったSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生でしたが,予選ではタイムを伸ばすことができず,12番グリッド獲得にとどまりました。他のライダーはQ1突破ならず,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が20番手,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が22番手,ホンダ・チーム・アジアからワイルドカード参戦の松山拓磨は23番手で予選を終えています。

☆2戦連続(F1)
○第8戦シュタイアーマルクGPの予選が,降水確率は高かったものの,幸いなことに雨に見舞われずドライコンディションとなったレッドブル・リンクで行われました。前戦でポールトゥーウィンを達成し,ランクトップの座を守っているレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンは,今回の予選でも速さを見せ,唯一1分3秒台をマークする速さを見せ,2戦連続となるポールを獲得しています。2番手争いをメルセデスAMG勢が展開する形となり,最終的にV.ボッタスが2番手,L.ハミルトンが3番手で予選を終えています。ホンダ製パワーユニット勢は,全車がQ3進出を果たし,レッドブル・ホンダのS.ペレスが5番手,アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーと角田裕毅が,それぞれ6番手,8番手といい結果を残しました。ただ,角田に関しては,予選中にボッタスの走行を邪魔したということで3グリッド降格処分が下り,残念ながら今日行われる決勝レースは11番グリッドからのスタートとなります。さらに,2番手タイムだったボッタスにも角田と同じペナルティーが科されていて,彼の場合は,FP2でピットボックスからで多彩にマシンをスピンさせたことがペナルティーの原因となっています。
2021/06/26(土)
☆連続トップ PART1(MotoGP)
○2週連続開催となるMotoGPですが,その2つ目のレースとなる第9戦TTアッセンがTTサーキット・アッセンで始まり,初日は2回のフリー走行が行われました。『ダッチ・ウェザー』と呼ばれる不安定な天候となりがちなこの大会ですが,その名に恥じないように,午前中に行われたFP1はドライコンディションで行われましたが,午後に行われたFP2では,MotoGPクラスの走行中に雨が降り始め,途中からウェットコンディションでの走行となりました。
そのMotoGPクラスですが,通常ですとFP2の方がタイムが向上していきますが,タイムアップのタイミングの違いからライダーによってどちらのフリー走行が速いかに違いが出てきています。そのような状況の中,開幕戦のウィナーであるモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのM.ビニャーレスが連続してトップタイムをマークし,自身今季初となる初日総合トップに立ちました。FP2ではタイムが伸びなかったものの,レプソル・ホンダ・チームのP.エスパルガロがFP1のタイムで総合2番手タイムでした。総合3番手タイムは,FP2で2番手タイムをマークしたレッドブルKTMファクトリー・レーシングのM.オリベイラが,そのタイムで初日総合3番手タイムとなっています。前戦の勝者であるレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスは,FP2走行中の10コーナーで,トラクションコントロールがうまく機能しなかったのかハイサイドに見舞われてしまいました。空中高く放り出され,路面にたたきつけられる形となりましたが,幸いなことに痛めていた右手を含めて大きな怪我に至らなかったようです。今季のホンダ製マシンは色々な問題があるようですが,今回のハイサイドの原因を早く解明しないと,他のホンダライダーにも同様なアクシデントが発生する可能性があります。そのホンダライダーの一人であるLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,FP1で8番手タイム,FP2は20番手タイムでした。
Moto2クラスFP2がウェットとなったため,FP1のタイムが初日総合タイムとなりました。そのFP1でトップタイムだったのはエルフ・マークVDSレーシング・チームのA.フェルナンデスで,自身今季初の初日総合トップとなりました。総合2,3番手をそれぞれR.フェルナンデス,R.ガードナーがマークし,ランクトップ争いをしているレッドブルKTMアジョ勢がつけています。イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,思うようにタイムが上がらず,総合20番手で初日を終えています。
走行のタイミングの違いから,Moto3クラスは唯一両セッション共にドライコンディションでの走行となりました。FP2のセッション途中で転倒を喫してしまったものの,SIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生がそのFP2でトップタイムをマークし,自身今季初となる初日総合トップに立ちました。その鈴木から1000分の89秒遅れで,ペトロナス・スプリンタ・レーシングのD.ビンダーが総合2番手タイムでした。総合3番手タイムは,レオパード・レーシングのD.フォッジアがマークしています。他の日本人ライダー勢ですが,前戦で2位表彰台を獲得したCIPグリーン・パワーの鳥羽海渡は総合8番手で好調を維持しています。カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖は20番手,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝と同チームからワイルドカード参戦の松山拓磨は,それぞれ22番手,25番手でした。レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢は,前戦に続いてこの大会を欠場しています。

☆連続トップ PART2(F1)
○3週連続開催となるF1ですが,その内の後ろ2つのレースはレッドブル・リンクで連続開催となります。その最初のレースとなる第8戦シュタイアーマルクGPが開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。ここまでランクトップにつけているレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンは,前戦で勝利した好調さを維持するかのように,2回のセッションを連続してトップタイムをマークしました。総合2,3番手タイムは,それぞれマクラーレンのD.リカルド,アルピーヌのE.オコンで,いつもとやや違う顔ぶれとなっています。他のフル参戦日本人ライダー勢ですが,レッドブル・ホンダのS.ペレスが総合9番手につけています。アルファタウリ・ホンダ勢は,FP1で速さを見せていて,P.ガスリーが2番手,角田裕毅が5番手でした。しかし,FP2の方は,まずガスリーのPUに問題が生じたみたいで,このセッションでは修復が間に合わずに走行できないままでした。角田の方は15番手でした。
2021/06/25(金)
☆4チーム8台に(MotoGP)
○V.ロッシが主宰するVR46から,来季以降に関わる2点について発表がありました。そのまず1つ目は,MotoGPクラスにフル参戦するチームは,MotoGPの商業権をもつドルナスポーツ社との間で5年間の参戦契約を結ぶ必要がありますが,その締結が成立しました。2つ目は,使用するマシンについてですが,ドゥカティとの間で3年間の提携が成立しました。生けるレジェンドライダーであるロッシは,イタリアの若手育成のために2013年に『VR46ライダーズ・アカデミー』を立ち上げました。そして,2014年にはMotoGPへの参戦が始まり,まずMoto3クラスにフル参戦しました。その後さらに活動の幅を広げ,2017年からはMoto2クラスへも進出を開始しました。今シーズンからはMotoGPクラスへも進出し,アビンティア・レーシングとコラボして『スカイVR46アビンティア』としてロッシの異父兄弟であるL.マリーニを起用してフル参戦しています。今季はコラボという形を採っていますが,来季からは単独チームとしてMotoGPクラスへの参戦を継続することになっていましたが,どのマシンを採用するのかが注目されていました。当初は,ロッシとヤマハの関係性からYZR-M1を駆ることになるのではないかと思われていましたが,徐々にその予想が薄くなっていき,最近は,かつてロッシを起用した経歴を持ち,そしてイタリアンメーカーであるドゥカティとの提携の可能性がかなり高まってきていました。そして,今回の発表に至っています。多くの他メーカーは,ワークスとサテライト1チームずつという体制ですが,来季からのドゥカティについては,ワークス1,サテライト3の合計4チーム8台の体制となります。全てのチームに最新式のドゥカティ・デスモセディチを供給している訳ではありませんが,新旧マシンを合わせてかなりのデータを集めることができるようになります。マシンの供給やデータ処理等に大変な作業が必要にはなりますが,ここ数年マシンの戦闘力が高まってきているドゥカティですが,来季以降その点がさらに高まっていくことでしょうし,イメージの高まりからバイクの販売台数増加にも繋がることが予想されます。現在のVR46は,SKYがタイトルスポンサーを務めていますが,来季のMotoGPクラスに関しては,サウジアラビアの国営石油会社である『ARAMCO』がタイトルスポンサーに就き,『アラムコ・レーシングチームVR46』というチーム名となります。なお,今回の発表では,来季起用するライダーについては明らかにされませんでした。ほぼ間違いがないのはマリーニの継続参戦でしょうが,そのチームメイトに誰がなるのかが不明です。当初は現在Moto2クラスに同チームからフル参戦しているM.ベツェッキが起用されると思われていましたが,ややその点に疑問符がつく予想も出ています。というのは,今回の発表の中でサウジアラビアの王子の「ロッシとその弟のマリーニという体制になれば」という主旨のコメントが付されているのです。来季のロッシの動向については,サマーブレイク前の状態でロッシ自身が判断するということになっています。ここまでのロッシは,表彰台争いに絡むことができず,ポイント獲得がどうなるかというような状態が続いていますし,転倒によりリタイアも見られます。判断材料にするレースが後1つ残ってはいますが,今季限りでの引退という線が1戦毎に高まっていました。そういう中での今回の発表内容でしたから,ロッシの動向についても注目となります。
2021/06/24(木)
☆2年連続(MotoGP)
○FIM(国際モーターサイクリズム連盟),IRTA(国際ロードレーシングチーム連盟),そしてMotoGPを統括するドルナスポーツから発表があり,10月1日(金)〜3日(日)に栃木県にあるツインリンクもてぎで開催される予定になっていた第15戦日本GPの開催を中止することになりました。今回の決定は,国内外における新型コロナウイルスの感染状況を踏まえたものです。ツインリンクもてぎでは,1999年から一昨年まで毎年GPが開催されてきました。しかし,昨シーズンに関しては,今回と同じく新型コロナウイルスの感染状況により開催中止となっていましたので,今回の決定により日本GPは2年連続して開催中止となります。もちろん来季の開催に関しては,実現するよう関係者は努力を続けていくようです。今回の決定に合わせて,今季のレースカレンダーについても新たな発表がありました。まず日本GPに関連してですが,日本GPが開催される予定だった日に,今季開催が延期となっていたサーキット・オブ・ジ・アメリカズを舞台にして争われるアメリカズGPが開催されることになりました。また,日本GPの翌週に開催される予定だった第16戦タイGPを,1週間遅らせた4月9日(金)〜11日(日)に開催することになりました。アメリカからの移動距離を考えると当然の変更と言えます。アメリカズGPと同様,開催が延期となっているアウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドでのアルゼンチンGPの扱いに関しては,今回の発表では言及されていません。なお,今回はあくまでもMotoGPに関しての発表ですので,鈴鹿サーキットで開催される予定になっているF1の日本GPとEWCシリーズの鈴鹿8耐に関しては,後日どのような扱いになるのか発表があるものと思われます。
2021/06/23(水)
☆46年ぶり&新記録か?(MotoGP)
○今季ここまでのMotoGPクラスは,ドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーとモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが2勝を挙げていて,後はそれぞれ違うライダーが勝利を収めています。その中で,第5戦フランスGPはドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラー,第6戦イタリアGPはモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロ,第7戦カタルニアGPはレッドブルKTMファクトリー・レーシングのM.オリベイラ,そして先週末に行われた第8戦ドイツGPは,およそ1年半ぶりにレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスが優勝しました。つまり,4戦連続して違うメーカーのライダーが優勝したことになります。MotoGPの公式サイト(こちら)によると,これは1975年以来46年ぶりという記録になるようです。この1975年の記録の内訳ですが,同じく同サイトによると,第4戦ネイションズGPがヤマハのJ.アゴスティーニ,第5戦ツーリスト・トロフィーがカワサキのM.グラント,第6戦ダッチTTがスズキのB.シーン,第7戦ベルギーGPがMVアグスタのF.リードとなっているそうです。同サイトはさらに続けていて,もし今週末に行われる第9戦ダッチTTでチーム・スズキ・エクスターのJ.ミルかA.リンス,もしくはアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニのA.エスパルガロの誰かが優勝すると,5戦連続違うメーカーのライダーが優勝するという結果となり,これは史上初の記録ということになるそうです。そもそも現在のように最高峰クラスに6メーカーがマシンを供給するということ自体が珍しいだけに,場合によっては6戦連続違うメーカーという可能性もなくはないということになりますね。
2021/06/22(火)
☆ホンダ・デー(MotoGP等)
○6月20日(日)に行われたレースは,このページだけでも4つについてお伝えしました。こういうように国内外の主要レースがいくつも重なるということは珍しく,私は更新作業に随分時間を要してしまいました。それらについてまとめていくと,この日は『ホンダ・デー』とも言える日だったと思います。
まず海外レースについてですが,2輪の最高峰であるMotoGPクラスについては,ホンダのエースライダーであるレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスが今季初優勝を飾りました。この勝利はマルケスにとってだけでなく,ホンダにとっても今季初優勝&初表彰台となります。今季のMotoGPクラスにおけるホンダは,他のメーカーが戦闘力のあるマシンを投入できているのに対し,ホンダは第7戦まで誰一人表彰台にさえ立てない状況でした。サイトの情報によっては,もし今季この状態が続けば,来季のホンダはコンセッションの対象になるということまで報道されていました。参戦間もないメーカーならともかく,GPにおける主要メーカーであるホンダがこういう報道をされること自体異例と言えますし,ホンダにとっては屈辱とも言えるものだったのではないかと思います。昨シーズンからの苦しい状況を乗り越えての勝利だけに涙に暮れるマルケスでしたが,ホンダにとってもこれまでにない勝利となったのではないかと思います。次に4輪の最高峰であるF1においては,レッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンが今季2勝目を挙げました。さらに,チームメイトのS.ペレスが3位に入り,3つの表彰台の内2つをホンダが占めています。さらに,このページではお伝えしませんでしたが,北米における4輪の最高峰であるインディカーにおいては,第9戦ロード・アメリカの決勝レースが行われ,ホンダエンジンユーザーの1つであるチップ・ガナッシからフル参戦しているA.パロウが優勝しました。2019年シーズンにはSFにフル参戦した彼だけに,日本でもお馴染みのドライバーの一人ですが,昨シーズンからインディカー・シリーズにフル参戦を開始しました。昨シーズンは優勝できませんでしたが,今季は開幕戦でいきなり勝利し,今回のロード・アメリカでは,残り2周となったところでトップに立ち,大逆転で今季2勝目を挙げています。この勝利により,パロウは現段階でランクトップに立っています。ちなみに,2位に同じくホンダユーザーの1つであるアンドレッティ・オートスポーツからフル参戦しているC.ハータが入り,ホンダ勢のワンツーフィニッシュとなっています。
国内に関してですが,国内2輪の最高峰であるJRRの第4戦が行われました。この大会は,既にお伝えしているように最高峰のJSB1000クラスは開催されず,この大会における最高峰と言えるのはST1000クラスでしょう。そのST1000クラスでは,この日レース2の決勝が行われ,Astemo Honda Dream SI Racingの作本輝介が自身初優勝を飾りました。ちなみに,その1つ下のクラスであるST600クラスにおいては,ST1000クラスと同じくレース2の決勝が行われ,MuSASHi RT HARC-PRO.の野口遥希が優勝,MOTO BUM HONDAの荒川晃大が2位,日本郵便 Honda Dream TPの小山知良が3位に入り,ホンダユーザー勢が表彰台を独占しています。次に,国内4輪の最高峰はSFですが,その第4戦の決勝レースが行われました。この大会で優勝したのは,ホンダエンジンユーザーの1つであるDOCOMO TEAM DANDELION RACINGからフル参戦している福住仁嶺で,自身初優勝となりました。2位にTCS NAKAJIMA RACINGの大湯都史樹が入り,ホンダエンジンユーザーのワンツーとなりました。トップ5を見ると,3位にトヨタエンジンユーザーの1つであるcarenex TEAM IMPULからフル参戦している関口雄飛が入ったものの,残りの4つはホンダエンジンユーザーが占めています。
こうしたレース結果でしたので,ホンダにとっては,『ホンダ・デー』とも言えるとてもよい一日になったのではないかと思います。
2021/06/21(月)
☆581日ぶり(MotoGP)
○第8戦ドイツGPの決勝レースが,一時的に雨がパラついたザクセンリンクで行われました。
MotoGPクラスは,参戦以来ずっとこのサーキットで勝利を収めてきているレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスが,序盤にトップに立つと,独走態勢に持ち込む状況となりました。いつものマルケスであれば,ほぼ間違いなくそのまま逃げ切ると誰もが思うところですが,現在の彼は体が完調とはいえませんので,果たしてどこまでその体がもつか不安なところがあります。2位に浮上してきたレッドブルKTMファクトリー・レーシングのM.オリベイラが1秒弱の差まで縮める状況となって,果たしてマルケスがどこまで耐えれるか注目となりました。ところが,残りわずかとなると再び差を広げて行き,最後はおよそ1.6秒の差をつけてそのまま逃げ切りました。昨シーズンを棒に振ったマルケスにとって,実に581日ぶりの勝利となりました。マルケスはもちろん,ホンダもここまで表彰台を獲得できていませんでしたが,今回の勝利でようやくホンダにとっても初優勝,初表彰台となります。3位には,ランクトップを行くモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが入っています。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,序盤からペースを上げることができずに順位を下げ,最終的に13位でチェッカーとなりました。
Moto2クラスは,3番グリッドからスタートしたランクトップを行くレッドブルKTMアジョのR.ガードナーが,トップに立つと後続との差を広げて行き,2位に入ったアスパー・チームMoto2のA.カネトに6秒以上の大差をつける独走でチェッカーを受け,第6戦から3連続優勝を果たしています。3位には,今季4度目の表彰台となるスカイ・レーシング・チームVR46のM.ベツェッキが入りました。イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,ファイナルラップで5位を走行中に転倒を喫してしまい,惜しくもリタイアに終わっています。
Moto3クラスは,いつものこのクラスらしくファイナルラップまで複数台のトップ争いが展開されていきました。そのバトルをレッドブルKTMアジョのP.アコスタが制し,今季4勝目を挙げました。2位にCIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が入り,昨年10月に行われた第12戦テルエルGP以来の表彰台獲得となります。3位には,繰り上がりでレオパード・レーシングのD.フォッジアが入りました。トップ争いに最後まで加わっていたSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生は,一旦は7位でチェッカーを受けましたが,ファイナルラップの争いの中でトラックリミットを超えて走行したため,1つ順位を下げられて8位ということになりました。カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖は,トップ争いに加わる中で15周目に転倒し,再スタートを切って18位完走を果たしています。ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝は,こちらも序盤にトップ争いに加わっていましたが,4周目に転倒してリタイアに終わっています。

☆初優勝(JRR)
○第4戦筑波大会の決勝レースが,前日と違って好天に恵まれた筑波サーキットで行われました。今回の大会は,JSB1000クラスのみ開催されず,しかもどのクラスも前日にレース1が,そしてこの日にレース2が行われています。
ST1000クラスは,レース序盤から複数台によるトップ争いが展開されていく中,9番グリッドからスタートを切ったAstemo Honda Dream SI Racingの作本輝介がどんどん順位を上げていき,ついにはトップに立ち,さらに差を広げて行きました。その後方では,14番グリッドからスタートしたWestPower SUZUKIの津田拓也がこちらもどんどん順位を上げていき,2位にまで浮上しました。作本が独走態勢を築いていく中,SDG Motor Sports RT HARC-PRO.の榎戸育寛が転倒を喫し,その際マシンがコース上に残ってしまったため,危険回避のため赤旗が提示されました。レースはそのまま成立となり,作本が嬉しい初優勝を飾りました。3位には,序盤トップに立つこともあったbLUcRUニトロレーシング51YAMAHAの岡本裕生が入っています。
ST600クラスは,レース開始直後からアクシデントが多発し,3周目の多重クラッシュで赤旗中断となりました。リスタート後には3〜4台によるトップ争いが展開されていく中,徐々に速さを見せたのがMuSASHi RT HARC-PRO.の野口遥希でした。10周目にトップに立つとその順位を最後まで保ち,このクラスで自身初となる勝利を収めました。2,3位には,それぞれMOTO BUM HONDAの荒川晃大,日本郵便 HondaDream TPの小山知良が入っています。
J-GP3クラスは,ポールからスタートしたSunnymotoPlanningの小室旭が好スタートを切ってトップに立つと,その後はどんどん差を広げて行き,完全な独走態勢に持ち込みました。2,3番手もこのクラスらしくなく(?)それぞれ単独走行となり,トップ3はそのままの順でチェッカーとなり,小室は今季3勝目を挙げました。2,3位には,それぞれP.MU7CGALESPEEDの尾野弘樹,realizeracingteamの細谷翼が入っています。

☆3連勝(F1)
○3週連続開催となるF1ですが,その最初のレースである第7戦フランスGPの決勝レースが,一時雷雨になったものの,決勝レース時はドライコンディションとなったポール・リカール・サーキットで行われました。初日の走行からレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンと,メルセデスAMG勢との間でタイム更新合戦が繰り広げられていきましたが,決勝レースでもこの3台によるトップ争いとなりました。これまではメルセデスAMGの戦略が高く,レッドブル・ホンダが後塵を拝してしまうということが起きることがありましたが,今回はレッドブル・ホンダの戦略がメルセデスAMGを上回る結果となりました。タイヤ交換のタイミングをずらしたフェルスタッペンは,最終盤に入ってまず2位走行のV.ボッタスをオーバーシュートし,さらにトップを行くL.ハミルトンとの差を詰めていきました。そして,差が1秒を切っていき,残り2周目のターン8でハミルトンをパスしてついにトップに立ちました。その後はハミルトンとの差を広げて行き,3秒近い差をつけて今季2勝目を挙げました。前戦がトップが確実視される中でタイヤバーストで優勝がフイになっただけに,その不運を払拭する優勝となりました。前戦でチームメイトのS.ペレスが優勝していますので,チームとしては3連勝となります。その前戦の勝者であるペレスは,ペースが落ちたボッタスを交わして3位でチェッカーを受け,表彰台の2つをレッドブル・ホンダ勢が占めるというホンダにとってはまたとない結果となりました。アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーは,7番手でチェッカーを受けてポイントを獲得しています。前日行われた予選でノータイムに終わった角田裕毅は,ギヤボックス交換で5グリッド降格ペナルティを科され,さらに予選時と同じ仕様のフロアへの交換ができなかったことからピットレーンスタートが科されてしまいました。当然最下位での走行となりましたが,少しずつポジションアップを果たしていったものの,思うようにマシンが仕上がっておらず,最後に交わされたこともあって13位でチェッカーとなっています。そもそもが予選でのクラッシュが原因でしたので,ルーキーである角田にとって新たな学習になったのではないかと思います。

☆初優勝(SF)
○第4戦の決勝レースが,前日の雨が上がり,午後からは好天となったスポーツランドSUGOで行われました。レース序盤は,ポールからスタートしたcarenex TEAM IMPULの関口雄飛と,スタートで出遅れたものの,すぐにポジションを回復した2番グリッドスタートのDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの福住仁嶺との間でトップ争いとなりました。その2人のトップ争いは,17周目に関口がピットインしたところで大きく動きました。ピットインを遅らせた福住は,関口がピットインしたタイミングでペースアップし,さらにタイヤ交換も福住側の方が速くでき,ついに福住がトップに立ちました。その福住が独走態勢に持ち込む中,タイヤ交換がうまくいかず,一旦は順位を下げたTCS NAKAJIMA RACINGの大湯都史樹が鬼神の走りを見せてポジションを回復していき,ついには20周目に関口を交わして2位に浮上しました。勢いがある大湯でしたが,福住も速いペースを維持して大湯の追撃を交わしていき,最終的に3秒以上の差をつける独走でトップチェッカーを受け,フル参戦3年目にして嬉しい初優勝を飾りました。2位,3位はそれぞれ大湯と関口でした。
2021/06/20(日)
☆転倒しても(MotoGP)
○第8戦ドイツGPの予選が,好天に恵まれたザクセンリンクで行われました。
MotoGPクラスは,プラマック・レーシングのJ.ザルコが,ラスト2アタックまでトップタイムをマークし,さらにタイムアップに向けてラストアタックに臨みました。ところが,アタックを終えてスロー走行していたモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが前に現われました。クアルタラロ自身道を譲り,ザルコも彼を交わしたのですが,運悪くそのタイミングがよくなくて,交わした直後のコーナーへの侵入が微妙にタイトとなってしまい,転倒を喫する結果となってしまいました。幸いなことに,その前に記録していたタイムを誰も更新することができず,ザルコは今季初のポールを獲得しました。2番手にクアルタラロが入り,予選終了後のパルクフェルメでは,2人は笑顔で会話していました。予選で3番手タイムをマークしたのがアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニのA.エスパルガロで,『MotoGPクラス』となってからは,2000年最終戦以来のフロントロー獲得となります。Q2からの出走となったLCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,ラストアタックの1コーナーで転倒を喫してしまい,残念ながら9番グリッド獲得にとどまっています。
Moto2クラスは,ランク2位をいくレッドブルKTMアジョのR.フェルナンデスが,コースレコードを更新する速さを見せ,今季3度目のポールを獲得しています。2番グリッドを来季からMotoGPクラス進出を決めているフェデラル・オイル・グレシーニMoto2のF.ディ.ジャンアントニオが,同じく来季MotoGPクラス昇格を決めているレッドブルKTMアジョのR.ガードナーが3番グリッドを獲得しています。Q2からの出走を決めたイデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,トップから1秒以上遅れの8番グリッド獲得となりました。
Moto3クラスは,リヴァコールド・スナイパーズ・チームのF.サラッチが自身初となる最速タイムを刻み,チェコ人ライダーとしては2018年の第10戦チェコGPでJ.コンフェール以来のポールシッターとなります。2番手タイムをレオパード・レーシングのD.フォッジアが,そしてSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が日本人最速となる3番手タイムをマークしています。他のフル参戦日本人ライダー勢ですが,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が5番手タイムをマークしてトップ10圏内でのフィニッシュを果たし,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が16番手,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が21番手で予選を終えています。

☆初優勝(JRR)
○第4戦筑波大会が開幕し,初日は雨に見舞われる中で各クラスの予選とレース1が行われました。今回は,狭い筑波サーキットということもあって,最高峰のJSB1000クラスは開催されず,他のクラスが2レース制で開催されています。
今回の大会で最高峰となるST1000クラスのレース1は,オープニングラップ終了後で転倒が起きて赤旗中断となりました。再スタート後にトップに立ったのがSDG Motor Sports RT HARC-PRO.の榎戸育寛でした。一時は2位との差を広げた榎戸でしたが,マシンに何らかの不調が生じたのか,ペースが落ちていき,2位走行のAstemo Honda Dream SI Racingの作本輝介との差がどんどん縮まっていきました。しかし,終盤に入って再びペースをやや取り戻し,最終的に100分の9秒差で逃げ切り,今季初優勝を飾りました。3位には,作本のチームメイトである渡辺一馬が入っています。
ST600クラスは,12周目に転倒があって赤旗中断となり,残り5周という超スプリントレースで再開となりました。リスタートしてトップに立ったのが,ヒート1でトップだったNCXXRACING&善光会 TEAMけんけんの長尾健吾でした。その長尾をFLASH村&eS_Styleの家根谷大晟が追いましたが,ペースに勝る長尾が逃げ切って得意とする筑波で今季初優勝を飾りました。3位には,超ベテランライダーの日本郵便 HondaDream TPの小山知良が入っています。
J-GP3クラスは,Sunny moto Planningの小室旭とWJ-FACTORYの森俊也との間でトップ争いとなりました。順位を入れ替えながらの走行が続きましたが,森が一歩抜け出す形となりました。ところが,14周目にトラブルが発生してマシンがストップし,そのままリタイアとなりました。1位に浮上した小室はそのままトップの座を守り,今季2勝目を挙げました。team-hiro'ck&HARC-PROの江澤伸哉とrealize racing teamの細谷翼との2位争いは,江澤がこれを制しています。

☆開幕戦以来(F1)
○第7戦フランスGPの予選が,曇り空となったポール・リカール・サーキットで行われました。Q1でアタックに入ったアルファタウリ・ホンダの角田裕毅は,ターン1でゼブラゾーンに乗ってスピンしてしまい,この段階で予選終了となり,今日行われる決勝れーすは,最後尾からの出走となります。前日のフリー走行はレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンとメルセデスAMG勢との間でのタイムバトルとなりましたが,予選でもその流れは変化はありませんでした。そのバトルを制したのはフェルスタッペンで,開幕戦以来となるポールを決めました。2,3番グリッドは,それぞれL.ハミルトン,V.ボッタスとなっています。他のホンダ製パワーユニット勢は,レッドブル・ホンダのS.ペレスが4番手,アルファタウリ・ホンダのP.ガスリーが6番手で予選を終えています。

☆3年ぶり(SF)
○第4戦が宮城県のスポーツランドSUGOで開幕し,激しい雨の中で予選が行われました。難しいコンディションでトップタイムをマークしたのはcarenex TEAM IMPULの関口雄飛でした。彼がポールを獲得するのは,2018年に岡山国際サーキットで行われた第6戦以来およそ3年ぶりとなります。2,3番グリッドを獲得したのは,それぞれDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの牧野任祐,P.MU/CERUMO・INGINGの坂口晴南でした。
2021/06/19(土)
☆今季初(MotoGP)
○2週連続開催となるMotoGPですが,その最初のレースである第8戦ドイツGPが,路面温度が50度を超えるコンディションとなったザクセンリンクで始まり,初日は2回のフリー走行が行われました。
MotoGPクラスは,前戦の勝者であるレッドブルKTMファクトリー・レーシングのM.オリベイラが,今季自身初となる初日総合トップタイムをマークしました。総合2,3番手タイムをそれぞれF.クアルタラロ,M.ビニャーレスがマークし,モンスター・エナジー・ヤマハMotoGP勢が占めています。唯一とも言える絶不調な状況にあるホンダ勢ですが,FP1でレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスがトップタイムをマークし,FP2でそのチームメイトのP.エスパルガロが総合5番手,LCRホンダ・イデミツの中上貴晶が総合6番手と,復調に向けてやや期待を持たせる初日になっています。なお,FP1ではトップだったマルケスですが,最終的には総合12番手で予選を終えています。
Moto2クラスは,既に来季MotoGPクラス昇格が決まっているレッドブルKTMアジョのR.ガードナーが,2回のフリー走行共にトップタイムをマークし,自身初となる初日総合トップタイムでした。総合2番手タイムをR.フェルナンデスがマークし,初日はレッドブルKTMアジョ勢のワンツーでした。ガードナーと同じく,来季MotoGPクラス昇格が決まっているフェデラル・オイル・グレシーニMoto2のF.ディ.ジャンアントニオが総合3番手タイムでした。イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,転倒したこともあってタイムが伸びず,総合20番手で初日を終えています。
Moto3クラスは,FP2でタイムが伸び悩むライダーがいたりして,FP1のタイムで総合トップ2が決まりました。総合トップがペトロナス・スプリンタ・レーシングのJ.マクフィーで,総合2番手が日本人ライダー勢ではトップとなるSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生でした。総合3番手タイムは,FP2でトップだったレッドブルKTMアジョのP.アコスタでした。他のフル参戦日本人ライダー勢ですが,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が12番手,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が13番手,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖は24番手で初日を終えています。なお,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢は,前戦の転倒で頭を打っていて,大会前のメディカルチェックでドクターストップがかかったため,今大会は欠場となっています。

☆好スタート(F1)
○第7戦フランスGPがポール・リカール・サーキットで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。前戦では優勝まであと一歩というところでタイヤバーストに見舞われ,惜しくもリタイアとなったレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンが総合トップタイムをマークし,前戦の不運を振り払うことが期待される好スタートを切りました。ただ,そのフェルスタッペンからわずか1000分の8秒差で,メルセデスAMGのV.ボッタスがつけています。さらに,ボッタスのチームメイトであるL.ハミルトンが3番手につけていますが,この2人はFP1でトップ2を占めていますので,混戦となりそうな気配が感じられる初日の走行となりました。他のホンダ製パワーユニット勢ですが,前戦で3位表彰台を獲得したアルファタウリ・ホンダのP.ガスリーが7番手,前戦の勝者であるレッドブル・ホンダのS.ペレスが12番手,アルファタウリ・ホンダの角田裕毅が13番手で初日を終えています。
2021/06/18(金)
☆新体制(MotoGP)
○MotoGPクラスにフル参戦しているグレシーニ・レーシングから発表があり,来季からドゥカティ陣営のインディペンデントチームとしてフル参戦を継続することになりました。そして,ライダーとして,現在Moto2クラスにフル参戦しているF.ディ.ジャンアントニオと,今季アビンティア・エスポンソラーマからMotoGPクラスにフル参戦しているE.バスティアニーニを起用することになりました。近年の同チームは,アプリリアとタッグを組んでワークスチームとしてフル参戦してきました。しかし,そのアプリリアが単独でワークス参戦することになると共に,同チームはいずれかのメーカーと組んでサテライトチームとして参戦を継続する選択を行う決断を下していました。ただ,どのメーカーと組むかははっきりしておらず,今回発表となったドゥカティか,サテライトチームを持っていないスズキとなるのか,はたまた大逆転でサテライトにはなるものの,アプリリアとの関係を継続するのか,噂は絶えない状況でした。しかし,このところドゥカティの線が濃くなってきていて,今回の発表に至っています。なお,タイトルスポンサーには,香港の輸送用コンテナ製造会社で,Moto2クラスにおいてポンス・レーシングのスポンサーを務めているフレックスボックスが就くことになりました。このチームは,残念ながら今季新型コロナウイルスに感染して命を失ったレジェンドライダーでもあるF.グレシーニさんが,自ら立ち上げたものです。推測の域を出ませんが,恐らく彼がある程度のレールを敷いていた今回の決定なのかもしれません。それだけに,天国で彼も今回の発表を喜んでいることでしょうね。ここであらためてグレシーニさんのご冥福をお祈り致します。

☆長期契約(F1)
○今日からポール・リカール・サーキットにおいて第7戦フランスGPが開幕しますが,それを前にした6月16日(水)にフランスを拠点にするアルピーヌF1チーム(昨シーズンまではルノー)から発表があり,今シーズンの同チームからフル参戦しているE.オコンとの間で2024年まで契約を延長することが決まりました。昨シーズンから同チームのレギュラードライバーを務めていますので,5年間同チームからフル参戦するという長期契約が成立したことになります。今回契約が成立したオコンは,ロータスのジュニアドライバーだった彼は,2016年にルノーのリザーブドライバーを務めました。この年の途中にマノー(この年でチームは消滅)からF1デビューを果たし,2017,2018年シーズンにフォース・インディア(2018年からレーシングポイントF1に変更)に所属してレギュラードライバーに昇格しました。2019年シーズンにはレギュラードライバーとしてのシートを失ったため,メルセデスのリザーブ兼テストドライバーとして1年を過ごしました。そして,母国のチームであるルノー(現アルピーヌF1チーム)に所属してレギュラードライバーに復帰しています。これまでの戦績は,表彰台に一度のぼっていて,2020年シーズンの第16戦サクヒールGPで2位表彰台を獲得しています。ランキングでは,フォース・インディアに所属していた2018年シーズンの8位が最高位で,昨シーズンはルノー自体が不振だったこともあって12位に留まっています。今季は,ここまで12ポイント獲得してランク12位で自身,そしてチームにとっての母国GPを迎えることになります。
2021/06/17(木)
☆調査結果(F1)
○第6戦アゼルバイジャンGPは,レッドブル・ホンダのS.ペレスの移籍後初優勝で幕を閉じました。ペレスにとってはもちろん嬉しいものだったでしょうが,チームにとっては完全には喜べない優勝だったことでしょう。というのは,残り5周まではチームメイトで,同チームのエースドライバー,そしてランクトップを行くドライバーでもあるM.フェルスタッペンがトップを走行し,ほぼ優勝は間違いないものと誰もが思っていた中,ストレート走行中に突然タイヤがバーストしてリタイアに終わってしまったからです。このレースでのタイやバーストは,彼だけでなくアストンマーティンのL.ストロールもフェルスタッペンより早い段階で同じくストレートでタイヤバーストに見舞われてしまっていたのです。同じようなアクシデントが起こったことで,ワンメークタイヤを供給しているピレリ側に問題があったのではないかという疑いも浮上しました。こうしたことを受け,ピレリはこの大会におけるタイヤに関してレース後に調査を行い,6月15日(火)にその調査結果を発表しました。それによると,各マシンが実際に使用したタイヤには,いずれも製造上の欠陥や品質上の欠陥はなかったということです。メルセデスAMGのL.ハミルトンの左リアタイヤに,レース中深い傷がありましたので,コース上に散乱しているデブリが原因ではないかという可能性も浮上していましたが,調査によりこれも否定されています。さらに,チーム側が指定されている空気圧と違う設定をしていたのではないかという疑いも浮上していましたが,もちろんチーム側はこれを否定していましたし,ピレリの調査でもその可能性は否定されています。結局はっきりとした原因は発表されておらず,レース中の何らかの要因が重なってのアクシデントになったような感じです。今回のことを受け,FIA(国際自動車連盟)は,今週末に行われる第7戦F1フランスGPから,それぞれのマシンがタイヤの空気圧を低くして走っていないかを確認するため,走行後のタイヤに新たなチェック手順を導入することになりました。走行前に空気圧チェックをすることは可能ですが,肝心の走行中のチェックはほぼ不可能です。まあ,全くできない訳ではないでしょうが,場合によってはペナルティが科されることになる訳で,そのチェックは正確なものでなければなりません。そうなるとかなり厳しいのは事実でしょう。レース後であればもちろん正確にチェックすることはできますので,今回の決定に至っています。なお,チェックに関しては,抜き打ちに行うことで,さらに正確性を持たせるようです。
2021/06/16(水)
☆ロゴなしで(F1)
○かつてモータースポーツのスポンサーと言えば,何といってもタバコブランドと切っても切り離せない関係にありました。鈴鹿のWGPに私が観戦に行ったとき,大会自体のスポンサーがフィリップモリス社で,『Marlboro』のタバコを会場内で無料配布していたこともありました。しかし,世界的な健康志向の流れの中で,タバコ広告が年々規制されるようになって現在に至り,まず目にしないようになっています。しかし,唯一いまだにタバコ会社のスポンサーがついているチームがあります。それが,赤いパッケージで親しまれているMarlboroブランドを販売しているフィリップモリス社で,赤がコーポレートカラーとなっているフェラーリです。ただ,もちろん直接的なロゴは表示されておらず,ここ数年は無煙代替品推進の思いを込めた『Mission Winnow』のロゴが飾られています。これは,MotoGPで赤を基調としているドゥカティも同様のロゴが飾られています。今週末には,第7戦フランスGPがポールリカール・サーキットで開催される予定になっています。どの国もタバコ広告が制限されていますが,その中でもフランスはその規制がさらに厳しい国の1つです。こうした状況を受け,フェラーリF1から発表があり,そのフランスGPでは,マシンはもちろん,ドライバーのレーシングスーツやスタッフのウェア等で『Mission Winnow』のロゴを全て外すことになりました。エントリーしているチーム名に関しても,『スクーデリア・フェラーリ・ミッションウィノウ』から『スクーデリア・フェラーリ』に変更されることになっています。
2021/06/15(火)
☆今季初(SBK)
○第3戦エミリア・ロマーニャ大会が開催され,6月12日(土)にレース1が,13日(日)にスーパーポール・レースとレース2がそれぞれ行われました。
レース1は,ここまでランクトップを行くカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKのJ.レイと,Aruba.it レーシング-ドゥカティのM.ルーベン.リナルディとの間でトップ争いが展開されていきました。リナルディが先行し,それをレイが追っていったのですが,10周目にレイがあわや転倒かという事態に見舞われてコースオフし,順位を3位に下げてしまいました。そのレイに替わって2位に浮上したのが,2番グリッドからスタートしたパタ・ヤマハwith BRIXXワールドSBKのT.ラズガットリオグルでした。しかし,単独走行となったリナルディを抜くところまでは至らず,3秒以上の大差をつけてリナルディが今季初優勝を飾りました。
スーパーポール・レースは,レース1を制したリナルディが,レース中盤にトップを行くラズガットリオグルを交わしてトップに立つと,そのまま振り切って連勝を飾りました。3位にレイが入り,レース1と同じトップ3の順となりました。
レース2は,ここまでの2戦と同じく連勝を飾ったリナルディと,連続して2位になったラズガットリオグルとの間でトップ争いが展開されました。勢いに乗るリナルディがトップを走行していましたが,2戦連続してその後塵を拝したラズガットリオグルが気を吐き,中盤にさしかかるところでリナルディを交わしてトップに立ち,一時差を詰められるシーンはあったものの,最後は1秒以上の差をつける独走でトップチェッカーを受け,今季初優勝を飾りました。3位にレイが入り,今大会は全て3位で終えました。リナルディとラズガットリオグルが今季初優勝を飾ったのに対し,レイは今季初めて1勝もできないまま大会を終えています。
なお,今季からフル参戦しているGRTヤマハ・ワールドSBKチームの野左根航汰は,レース1とレース2が13位,スーパーポール・レースが12位に入り,今回も堅実にポイントを獲得しています。
2021/06/14(月)
☆完勝(EWC)
○6月12日(土)〜13日(日)にFIM世界耐久選手権(EWC)シリーズの開幕戦となる『ル・マン24時間耐久ロードレース』の決勝が,ドライコンディションとなったフランスのル・マン-ブガッティ・サーキットで行われました。今回の大会は,コロナ禍の影響で残念ながら無観客レースとなっています。11日(金)に行われた予選では,EWCにおけるヤマハのワークスであるK.ハニカ&M.フリッツ&N.カネパ組のYART-Yamaha Official Team EWCがポールを獲得しました。決勝レースでは,そのYARTがエンジンがかからなかったため出遅れるという波乱が起きました。さらに,オープニングラップの2コーナーで多重クラッシュが発生し,その中の1台が出火するという事態となり,いきなりセーフティカーが先導するさらなる波乱が起きました。そのような波乱の中,序盤からトップに立ったのが,スズキのワークスチームで,今季ヨシムラとタッグを組んでディフェンディングチャンピオンとしてシーズンに臨んでいるG.ブラック&X.シメオン&S.ギュントーリ組のYOSHIMURA SERT MOTULでした。24時間という長時間のレースですので,スタート時の波乱だけでなく,他の時間帯でも波乱が起きていきました。その中には,YARTのリタイアも含まれています。スタートこそ順位を下げたYARTでしたが,すぐに順位を回復していって,トップをいくSERTには差をつけられたものの,2位のポジションをしばらくの間守って行きました。ところが,9時間を過ぎたところでトラブルが発生して長時間にわたってピットに留まり,最終的にリタイアとなってしまいました。YARTに替わって2位に浮上したのが,ホンダのワークスであるJ.フック&高橋裕紀&M.ディ.メッリオ組のF.C.C. TSR Honda Franceでした。ヨシムラそしてTSRと,日本を代表するコンストラクターによるワンツーとなっていましたが,その状態は長く続かず,TSRにガス欠,エンジンがかからない,転倒といったトラブルやアクシデントが何度かおき,リタイアにはなりませんでしたが,トップ争いから完全に脱落しました。トップをいくSERTは,ライバルの脱落を横目に見ながら順調に走行を続け,最終的に2位に8周の差をつける独走で開幕戦を制しました。序盤からトップをずっと守って行ったSERTですが,8時間,16時間経過段階でトップに与えられる中間ポイントも獲得していて,まさに完勝と言える結果を残しました。8周の大差をつけられてしまいましたが,2位にはJ.ガルノニ&E.ニゴン&Dチェカ組のWEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE TRICKSTARが入りました。TRICKSTARは,日本を代表するカワサキ系のコンストラクターですので,そうした意味で日本関連チームのワンツーとも言えます。3位には,M.ライターベルガー&I.ミハルチク&J.フォレス組のBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMが入りました。アクシデントやトラブルで大きく遅れをとったTSRは,トップから39周遅れの10位でレースを終えています。
2021/06/13(日)
☆来季の体制(MotoGP)
○このところドゥカティやKTMが来季の契約に関して発表していますが,長期契約を結んでいて,昨シーズンの段階で来季まで契約済みのライダーがいたりしています。ライダーだけでなく,チームとして5年間の長期契約が決まっているところもあれば,MotoGPへの参戦は決まっているものの,どのメーカーのマシンを駆ることになるのか未定のチームもあります。ここでその点を整理しておきたいと思います。
2022年 MotoGPクラスの体制(現段階)
チーム メーカー ライダー 契約期間
ファクトリー
(ワークス)
レプソル・ホンダ・チーム ホンダ M.マルケス 2024年
P.エスパルガロ 2022年
モンスター・エナジー・ヤマハMotoGP ヤマハ M.ビニャーレス 2022年
F.クアルタラロ
ドゥカティ・レノボ・チーム ドゥカティ J.ミラー 2022年
F.バグナイア
チーム・スズキ・エクスター スズキ A.リンス 2022年
J.ミル
アプリリア(来季はワークス体制) アプリリア A.エスパルガロ 2022年
未定 未定
レッドブルKTMファクトリー・レーシング KTM M.オリベイラ 2022年
B.ビンダー 2024年
インディペンデント
(サテライト)
LCRホンダ ホンダ A.エスパルガロ 2022年
中上貴晶(?) ?
ペトロナス・ヤマハSRT ヤマハ F.モルビデリ 2022年
未定 未定
プラマック・レーシング ドゥカティ J.ザルコ 2022年
J.マルティン
チーム・グレシーニ ドゥカティ(?) F.ディ.ジャンアントニオ(?) ?
? ?
VR46 ドゥカティ(?)
ヤマハ(?)
L.マリーニ(?) ?
未定 未定
レック3KTMファクトリー・レーシング KTM R..ガードナー 2022年
未定 未定
2021/06/12(土)
☆3人とも(EWC)
○今シーズンのEWC(世界耐久選手権)は,当初4月17日(土),18日(日)に決勝レースが行われる伝統の『ル・マン24時間』で開幕する予定でした。ところが,新型コロナウイルスのパンデミックにより予定が変更となり,ル・マンは6月12日(土),13日(日)に行われることになりました。他の大会も予定が変更となっていて,例年7月末に行われている真夏の祭典『鈴鹿8耐』は,11月7日(日)に変更となり,いわば「秋の祭典」となっています。
そのEWCシリーズがようやく開幕し,昨日はその開幕戦であるル・マン24時間の予選が行われました。通常の予選は,1周の走行タイムで一番速いライダーがいるチームがポールとなりますが,今大会については,3人の総合タイムで争われますので,まさにチームとして総合力が問われることになります。その予選でトップタイムをマークしたのは,EWCシリーズにおける実質的ヤマハワークスであるYART-Yamaha Official EWC Teamでした。K.ハニカ&M.フリッツ&N.カネパの3人でエントリーしている同チームですが,全参加チームの内唯一全員が1分35秒台のタイムをマークしてのポール獲得でした。1回目の予選で暫定ポールを獲得していたのが,今季はヨシムラとのコラボでエントリーしているスズキのワークス的立場にあるG.ブラック&X.シメオン&S.ギュントーリ組のYoshimura SERT Motulは,2回目の予選でYARTに逆転される形で2番グリッドとなりました。3番グリッドは,BMWのワークス的立場にあるM.ライターバーガー&I.ミハルチク&J.フォーレス組のBMW Motorrad World Endurance Teamでした。昨年この大会を制し,元GPライダーで,昨年JRRのST1000クラス初代チャンピオンに輝いた高橋裕紀が今シーズンから加わっているF.C.C. TSR Honda Franceは,ポール争いに加わることができず,6番グリッド獲得で予選を終えています。
2021/06/11(金)
☆2日間とも(JRR)
○来週末,筑波サーキットにおいて第4戦が開催される予定になっています。その筑波サーキットは,JRRが開催されるサーキットで最もタイトなサーキットということもあって,最高峰であるJSB1000クラスの開催はなく,ST1000クラスが最も大きな排気量のクラスとなります。そのST1000クラスは昨年から始まったクラスですが,昨シーズンの筑波大会はコロナ禍の影響で開催中止となってしまいましたので,同クラスにとっては今回が初めての筑波ということになります。その大会を前に,6月9日(水)と10日(木)の2日間にわたって特別スポーツ走行が行われました。実質的に初開催となるST1000クラスにとっては,当然公式スケジュールとしては初走行となりますので,データ取りの貴重な機会となります。その2日間の走行で速さを見せたのは,SDG Motor Sports RT HARC-PRO.の榎戸育寛でした。初日には榎戸が唯一1分56秒台をマークし,2日目になるとさすがに1分56秒台に入るライダーが現われましたが,それでも榎戸が2日間総合でもトップとなる1分56秒474をマークしています。総合2番手タイムはbLUcRUニトロレーシング51YAMAHAの岡本裕生が,総合3番手タイムはAKENO SPEED・YAMAHAの南本宗一郎でした。
なお,今回はST600クラス,J-GP3クラスも同様に走行がありました。ST600クラスはTOHO Racingの國峰拓磨が,J-GP3クラスはSunny moto Planningの小室旭が,榎戸と同様2日間ともトップタイムをマークしています。
2021/06/10(木)
☆判断は・・・(MotoGP)
○第7戦カタルニアGPの注目点となったのが,KTMファクトリー・レーシングのM.オリベイラの今季初優勝でした。そして,それと同じくらい注目となったのは,一旦は3位でチェッカーを受けたモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロでしょう。ポールからスタートし,トップ争いを展開していたクアルタラロでしたが,徐々にペースが落ちていき,最終的に3位でのチェッカーとなりました。その原因は,もちろんタイヤということもあったかもしれませんが,走行中に突然ライディングスーツのファスナーが開き,高速走行に支障がきたしてしまったということも大きな要因となったことでしょう。ファスナが-開いたまま走行を続けて3位チェッカーとなった彼ですが,レース終了後にコース外走行で3秒,スーツが空いたままの走行で3秒の合計6秒加算のペナルティが科され,最終的に6位というリザルトとなりました。優勝争いしていたライダーが,6位フィニッシュですから,ポイント争いに影響を与えたことは事実です。ただ,レースに携わっている私の勝手な見解では,6位であってもポイントを獲得できたこと自体が問題と考えます。本来は,失格でノーポイントになってもおかしくはなかったと思います。レース終了後,彼が使っているスーツのメーカーで,プロからアマチュアまでとても人気のあるブランドの1つであるアルパインスターズが彼のスーツのチェックをした結果,開いてしまったスーツは普通に閉めることができましたし,その場でチェックしても大きな問題はなかったというような内容の発表を行いました。もちろんメーカーとしては会社に持ち帰ってさらなる検証を行い,後日詳細な調査結果が発表されるものと思います。スーツに問題があったということも考えられなくはないですが,原因はともかく,開いたまま走行を続けた,もしくは続けることを容認したライダー側とレースコントロール側の判断が大いに問題ありと考えます。クアルタラロ自身も,自分の非を認めレース後に反省のコメントを出していましたが,できればレースを続けたいという思いをライダーが抱いてしまうのは分からなくはありません。ただ,やはり自身の,そして他のライダーの安全を考えると,開いたままの走行,そしてチェストガードをコース上に落として走行したことは大いに反省するべきです。何より,レースコントロール側は,安全に関するレギュレーションを厳格に守るように判断するべきです。完全に前が開いたまま走行を続けているライダーに対しては,失格を告げる黒旗はもちろん,ただちにコース外に出ることを指示するオレンジボールの提示をコースオフィシャルに指示するべきです。もし自分がその場にいるコースオフィシャルだったとすれば,早く提示するよう指示を出して欲しいと思っていたと思います。前戦イタリアGPでは,残念ながらMoto3クラスのライダーであったJ.デュバスキエ選手が19歳という若い命を散らしてしまいました。この事故の場合は,レース中のアクシデントでなかなか避けることができないことでもありました。今回のクアルタラロの場合は,スーツが開いたことはある程度仕方ないことですが,それ以後の判断は,彼やその他のライダーの命に影響を与えた可能性が十分ありうるものでした。今回の判断については,関係者に猛省を促したいと思います。
2021/06/09(水)
☆2戦ぶり&2戦連続(WRC)
○6月6日(日)に第5戦『ラリー・イタリア・サルディニア』最終日の走行が行われました。地中海にうかぶサルディニア島で行われた今回の大会は,狭く滑りやすい中をハイスピードで駆け抜けていくラリーとなります。こうしたコースというだけでなく,砂の下には大きな石や岩盤があるということもあり,非常にタフなコースの中での走行を強いられます。実際,初日の段階ではヒュンダイi20クーペWRCを駆るO.タナクが首位,2位にD.ソルドがつけていて,ヒュンダイ勢のワンツーという状況でした。ところが,2日目にはタナクとソルドが揃ってアクシデントに見舞われてリタイアとなり,初日3位だったトヨタ・ヤリスWRCを駆るS.オジエが順調に走ってトップに立ち,4位につけていたチームメイトのE.エバンスが2位に浮上しました。TOYOTA GAZOO Racing WRT勢のワンツーでスタートした最終日でも,両者ともに順調に走り抜け,オジエとしては今季3勝目,そしてTOYOTA GAZOO Racing WRTとしては2戦ぶりのワンツーフィニッシュとなりました。3位には,ヒュンダイi20クーペWRCを駆るT.ヌービルが入っています。今シーズンからTGR WRCチャレンジプログラムの下でトヨタ・ヤリスWRCを駆ってフル参戦している勝田貴元は,最終日にコドライバーが熱中症の症状に見舞われるというアクシデントの中,堅実な走りを展開して順位を堅持し,前戦にマークした自己最高位と同じ順でゴールし,2戦連続して4位フィニッシュを果たしています。
2021/06/08(火)
☆連続&最多周回数(MotoGP)
○KTMファクトリー・レーシングのM.オリベイラの今季初優勝で終わった第7戦カタルニアGPですが,その会場であるバルセロナーカタルニア・サーキットにMotoGPクラスにフル参戦する全てのチームはそのまま同地に留まり,今季2回目となるシーズン中のオフィシャルテストに臨みました。それぞれのチーム及びメーカーは,テストメニューに則って今季型マシンをさらに改良したり,来季型マシンを走らせたりといった作業を行ったようです。その中でトップタイムをマークしたのは,5位で決勝レースをフィニッシュしたモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのM.ビニャーレスでした。カーボン製のスイングアーム等のテストに取り組んだようですが,参加者中2番目の周回数をこなしてのトップタイムでした。前回第4戦スペインGP後にオフィシャルテストが行われましたが,その時も彼がトップタイムでしたから,連続してのトップとなります。総合2番手タイムをランクトップのF.クアルタラロがマークしていますので,今季好調なモンスター・エナジー・ヤマハMotoGP勢のワンツーとなっています。そして,総合3番手タイムは,LCRホンダ・イデミツの中上貴晶がマークしました。カタルニアGPので中上は,後半までホンダ勢トップを走行していたものの,ロングラップペナルティが2回も科されたために13位フィニッシュとなってしまいました。今季メーカーの中で唯一ともいえる大不振のホンダ勢ですが,今回のテストが良いきっかけとなるとシーズン全体がさらに面白くなるので,今回の好結果で今後に期待したいと思います。さて,そのホンダ勢ですが,エースであるレプソル・ホンダ・チームのM.マルケスが,参加者全体の最多周回数である87周をこなしています。タイムとしては総合11番手ではあるのですが,前回ヘレスで行われたオフィシャルテストでは,わずか7周しただけで走行をとりやめていますので,体調が戻ってきていることを印象づけられました。
2021/06/07(月)
☆今季初(MotoGP)
○第7戦カタルニアGPの決勝レースが,好天に恵まれたバルセロナ-カタルニア・サーキットで行われました。
MotoGPクラスは,レース中盤までトップに立っていてKTMファクトリー・レーシングのM.オリベイラに,ポールからスタートしたモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが追いついて2人によるトップ争いがしばらく展開されました。しかし,選択したタイヤの違いが影響したのか,ハードタイヤを前後に選んでいたオリベイラがクアルタラロとの差をつけていき,最後は独走態勢に持ち込み,今季初優勝を飾りました。それに対して,クアルタラロは少しずつ順位を下げていき,コースをはみ出したり,なぜかレーシングスーツを開けて装着義務がされているチェストガードを外してしまいました。レーシングスーツは両手でないとファスナーを閉めることができませんから,前を開けたままの走行が最後まで続いて3位でチェッカーを受けました。トップのオリベイラは2位に入ったプラマック・レーシングのJ.ザルコにコンマ175秒差をつけて今季初優勝を飾りました。一旦は3位にフィニッシュしたクアルタラロですが,コースオフしたことと,装着義務のチェストガードをつけていないことからそれぞれ3秒のペナルティが加算され,最終的に6位フィニッシュ扱いとなりました。彼の脱落により,3位には,ドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーが繰り上がっています。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,トップ10目指して走行中の9周目にコースオフして走行したことからロングラップペナルティが科され,順位を最下位にまで下げました。しかし,中位のライダーが転倒したりして徐々に順位が回復していき,最終的に13位でフィニッシュしてポイントを獲得しています。KTMが優勝してどんどん成績が高まっているのに対し,唯一ともいえる不振のホンダは今回もその不振から抜け出すことができていません。ワークスであるレプソル・ホンダ・チームの二人は転倒リタイアに終わっていますし,サテライトであるLCRホンダはA.マルケスの11位が最高位でした。今日MotoGPクラスは怪我で欠場のA.リンスを除いて全員このまま同地に滞在してオフィシャルテストを行う予定になっています。KTMが新しいシャーシを投入して成績が向上しているのですが,ホンダ勢も何らかの大きな対策が必要だと思われます。今回の表彰台は,KTMとドゥカティのヨーロッパメーカー勢が独占していますので,日本メーカーとしてホンダの復調も重要な位置を占めるのではないでしょうか。そのためには,ホンダにはより一層高いレベルでマシン開発ができるテストチーム(ライダー)が必要だと思います。
Moto2クラスは,前戦に引き続いてR.フェルナンデスとR.ガードナーのレッドブルKTMアジョ勢によるトップ争いとなりました。前戦では,ファイナルラップでガードナーがフェルナンデスをパスして優勝していますが,今回のガードナーが追う展開となりました。残り3周までフェルナンデスの後ろにつけていて,同じような作戦で臨むのかと思われましたが,フェルナンデスがあえて後ろに行こうとしたこともあったのか,1コーナーの突っ込みでガードナーがトップに立つと,そのまま3周を走りきり,来季MotoGP昇格を決めているガードナーが連勝を果たしました。3位には,単独走行でペトロナス・スプリンタ・レーシングのX.ビエルヘが入り,2018年の第17戦オーストラリアGP以来およそ3年ぶりとなる表彰台を獲得しています。イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,7位走行中の20周目に転倒を喫してしまい,今季2度目となる転倒リタイアに終わっています。
Moto3クラスは,いつものように10台を超えるマシンでのトップ争いがファイナルラップまで続きました。時折マシン同士が衝突する激しいバトルが最後まで繰り広げられ,ソリューション・ガスガス・アスパー・チームのS.ガルシアが,2位に入ったインドネシアン・レーシング・グレシーニMoto3のJ.アルコバに1000分の15秒差で今季2勝目を挙げました。3位には,レッドブルKTMテック3のD.オンジュが入っています。日本人ライダー勢は,優勝争いのグループに入っていたCIPグリーン・パワーの鳥羽海渡は9位でチェッカーを受けたものの,レッドブルKTMテック3の佐々木歩夢は残り1周の所で転倒リタイアに終わっています。同じく序盤までトップグループにつけていたSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生は,転倒したライダーを避けようとして他のマシンと接触してこちらも転倒リタイアに終わっています。他のライダーは,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が12位,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が14位でポイントを獲得し,ワイルドカード参戦の松山拓磨は18位完走を果たしています。

☆移籍後初(F1)
○第6戦イタリアGPの決勝レースが,市街地コースのため滑りやすい状況が続いていたバクー・シティ・サーキットで行われました。3番グリッドからスタートしたレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンは,18周目にトップに立つと後続との差を広げて行き,このまま逃げ切るかと思われていました。ところが,コース上に落ちているデブリを拾ってしまったのか,突然左リヤタイヤがバーストしてしまってコントロールを失ってクラッシュしてリタイアに終わってしまいました。散乱したパーツ等の回収が必要なため,レースは赤旗中断となり,残り2周という超スプリントレースで最下位となりました。フェルスタッペンの後ろにつけていたS.ペレスが自動的にトップに立っていて,その後ろには,ランク2位に落ちていたメルセデスAMGのL.ハミルトンがつけていました。リスタートでペレスをパスしようとしたハミルトンでしたが,ボタンの操作ミスがあったようでスピンを喫し,ポイント圏外まで順位を下げてしまいました。ペレスは順調にトップの座を守り,今季初,そして移籍後初となる勝利を収めました。2位には単独走行でアストンマーティンのS.ベッテルが入り,こちらも今季初,移籍後初の表彰台獲得となっています。3位にアルファタウリ・ホンダのP.ガスリーが入り,フェルスタッペンはリタイアしたものの,ホンダ製パワーユニット勢が表彰台の2つを占めています。自身初となるQ3に進出したアルファタウリ・ホンダの角田裕毅は,最後のリスタートで残念ながら順位を下げてしまったものの,自己最高位となる7位でチェッカーを受けました。開幕戦こそポイントを獲得できたものの,その後はなかなか成績が出せず,いろいろな批判を浴びてきた角田でしたが,最後の最後で順位を下げるという悔しさはありますが,ようやく溜飲を下げるリザルトを残しています。
2021/06/06(日)
☆5戦連続(MotoGP)
○第7戦カタルニアGPの予選が,ドライコンディションとなったバルセロナーカタルニア・サーキットで行われました。
MotoGPクラスは,ここまで4戦連続してポールを獲得してきていたモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロが,最初のアタックでマークしたタイムを誰も更新することができず,5戦連続してのポールとなり,これでヨーロッパラウンドに入ってここまで全てポールシッターということになりました。ラストアタックで転倒を喫してしまってタイム更新が果たせなかったドゥカティ・レノボ・チームのJ.ミラーですが,最初のアタックでクアルタラロからわずか1000分の37秒遅れで2番手タイムをマークしていて,このタイムのまま2番グリッド獲得となりました。3番手タイムをプラマック・レーシングのJ.ザルコがマークし,フロントロー2つをドゥカティが占めています。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,Q1を突破することができず,今日行われる決勝は14番グリッドからのスタートとなります。
Moto2クラスは,来季MotoGPクラスにステップアップすることが決まっている前戦の勝者であるレッドブルKTMアジョのR.ガードナーが,それを自ら祝福するかのようにトップタイムをマークし,今季2度目のポール獲得となりました。R.フェルナンデスが2番手タイムをマークし,レッドブルKTMアジョのワンツーとなっています。3番手タイムをプルタミナ・マンダリカSAGチームのB.ベンスナイダーがマークし,開幕戦以来のフロントロー獲得となっています。イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は7番手タイムで,3列目からの決勝スタートとなります。
Moto3クラスは,1番手タイムをG.ロドリゴが,2番手タイムをJ.アルコバがマークし,インドネシアン・レーシング・グレシーニMoto3勢のワンツーとなっています。3番手タイムをアビンティア・エスポンソラマMoto3のN.アントネッリがマークし,今季自己最高位,そして一昨年以来のフロントロー獲得となりました。日本人ライダー勢は,前戦のポールシッターであるSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が8番手タイムをマークし,彼が日本人唯一のトップ10圏内となります。CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が13番手,それに次ぐ14番手がレッドブルKTMテック3の佐々木歩夢,ホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が20番手,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が22番手,ホンダ・チーム・アジアからワイルドカード参戦の松山拓磨が27番手で予選を終えています。

☆2戦連続(F1)
○第6戦アゼルバイジャンGPの予選が,ドライコンディションとなったバクー・シティ・サーキットで行われました。ルーキードライバーであるアルファタウリ・ホンダの角田裕毅は,自身初となるQ3進出を果たしました。その角田が,今回の予選に大きな影響を与える結果となりました。最初のアタックで最速タイムを刻んだのは,前戦のポールシッターであるフェラーリのC.ルクレールでした。各車がラストアタックに臨んでいたとき,角田がターン3で右フロントをロックさせて曲がりきることができずクラッシュ。市街地コースでマシン回収に手間がかかることから今大会で何度も提示されてきている赤旗が提示され,そのまま予選終了となってしまいました。前日ワンツーで好調な走りを見せていたレッドブル・ホンダ勢もファイナルアタックにかけていましたが,それができないまま予選が終わってしまい,タイムアップすることができませんでした。この結果,ルクレールが2戦連続ポールということになりました。2番手がメルセデスAMGのL.ハミルトン,3番手がレッドブル・ホンダのM.フェルスタッペンでした。赤旗の原因となった角田は,予選自己最高位となる8番手タイムでした。なお,予選終了後に発表があり,Q1で赤旗が提示された際,マクラーレンのL.ノリスがすぐにピットインしなかったことからペナルティ対象となりました。これは彼が提示を見た位置がすぐにピットインするには微妙なところだったことも一因となっていました。通常は5グリッド降格となるのですが,この点が考慮されたのか3グリッド降格という判断が下されました。この結果,今日行われる決勝レースでノリスは6番グリッドから9番グリッドに降格となり,レッドブル・ホンダのS.ペレスが6番グリッドに,角田が7番グリッドに,アルピーヌのF.アロンソが8番グリッドにそれぞれずり上がることとなりました。
2021/06/05(土)
☆僅差で(MotoGP)
○2週連続開催となるMotoGPですが,その2つ目のレースとなる第7戦カタルニアGPがバルセロナ-カタルニア・サーキット開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。
MotoGPクラスは,ペトロナス・ヤマハSRTのF.モルビデリが一旦トップタイムをマークし,彼が初日トップに立つかと思われましたが,ファイナルアタックでプラマック・レーシングのJ.ザルコがそのタイムを上回り,1000分の21秒という僅差でザルコが今季2回目となる初日総合トップとなりました。総合3番手タイムは,ここまでランクトップにつけている前戦の勝者であるモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロでした。LCRホンダ・イデミツの中上貴晶は,ホンダ勢としては2番手となる総合11番手タイムで初日を終えています。
Moto2クラスは,前戦のポールシッターであるレッドブルKTMアジョのR.フェルナンデスがトップタイムをマークし,第2戦ドーハGP以来となる初日総合トップに立ちました。総合2番手タイムは,FP1のタイムでエルフ・マークVDSレーシング・チームのS.ロウズでした。来季MotoGPクラス昇格が決まったレッドブルKTMアジョのR.ガードナーが,こちらもFP1のタイムで初日総合3番手につけています。イデミツ・ホンダ・チーム・アジアの小椋藍は,7番手タイムとトップ10圏内で初日を終えています。
Moto3クラスは,インドネシアン・レーシング・グレシーニMoto3のG.ロドリゴがトップタイムをマークし,今季4度目となる初日総合トップに立ちました。そのロドリゴから1000分の78秒という僅差で,ペトロナス・スプリンタ・レーシングのD.ビンダーが初日総合2番手タイムでした。初日総合3番手タイムは,ハスクバーナのマシンを駆るステリルガルダ・マックス・レーシング・チームのR.フェナティでした。日本人ライダー勢は,前戦で4位という表彰台まであとわずかでレースを終えているレッドブルKTMテック3の佐々木歩夢の5位が最高位で,前戦のポールシッターであるSIC58スクアドラ・コルセの鈴木竜生が8番手タイムと,この2人がトップ10圏内で初日を終えています。今回から復帰するホンダ・チーム・アジアの國井勇輝が15番手,CIPグリーン・パワーの鳥羽海渡が18番手,カーエキスパート・プルエステルGPの山中琉聖が26番手,ホンダ・チーム・アジアからワイルドカード参戦となる松山拓磨が23番手で初日を終えています。

☆ワンツー発進(F1)
○第6戦アゼルバイジャンGPが好天に恵まれたバクー・シティ・サーキットで開幕し,初日は2回のフリー走行が行われました。
市街地コースということで埃が路面にあったりして滑りやすい路面状況のため,スピンしたりするアクシデントが何回も発生しました。そのような中,今シーズンからレッドブル・ホンダに加入したS.ペレスが初日総合トップタイムをマークしました。M.フェルスタッペンが総合2番手タイムをマークしていて,レッドブル・ホンダ勢が今季初となるワンツー発進を決めています。3,4番手にそれぞれC.サインツJr,C.ルクレールのフェラーリ勢がつけ,これまでとはやや違った様相となる初日でした。アルファタウリ・ホンダ勢は,P.ガスリーが5番手,角田裕毅が10番手となり,初日はホンダ勢全てがトップ10圏内に入るという好結果を残しています。
2021/06/04(金)
☆体制維持(MotoGP)
○ドゥカティのサテライトチームであるプラマック・レーシングから来季の体制について発表があり,J.ザルコとJ.マルティンとの契約が成立しました。今季から2人を起用している同チームですが,来季も引き続いて起用することになります。昨シーズンはJ.ミラーとF.バグナイアを起用しましたが,その2人がそのままドゥカティのワークスへと昇格し,その空いたシートにザルコとマルティンが座っています。ここまでの2人のリザルトですが,ザルコについては,全6戦中2位表彰台に3度上り,ここまでランク2位につけています。マルティンについては,怪我により4戦を欠場してランキング上は17位と低いですが,第2戦ドーハGPにおいて2位のザルコに次ぐ3位表彰台を獲得しています。ライダーについてだけでなく,ドゥカティ・コルセとの間でも契約が成立し,来季から3年間もドゥカティ陣営として活動することになりました。プラマック・レーシングは,ドゥカティのサテライトチームの中でナンバーワンの扱いを受けていて,供給されるマシンはワークスと同じデスモセディチですが,この点についても継続となります。また,ザルコとマルティンは,所属するチームはプラマック・レーシングですが,契約自体はドゥカティ・コルセとなっています。来季についてもこの点は変更がありませんので,同チームは今季と同じ体制を維持することとなります。

☆欠場(MotoGP)
○2週連続開催となるMotoGPですが,今日からその2つ目のレースとなる第7戦カタルニアGPが開幕します。それに先だって,スズキのワークスであるチーム・スズキ・エクスターから発表があり,同チームからフル参戦しているA.リンスが欠場することになりました。今回の大会はカタルニア・サーキットが会場となっていますが,昨日ここで自転車によるトレーニングをしていたリンスですが,そこで転倒してしまいました。バルセロナ市内にある大学病院で精密検査を受けた結果,右前腕橈骨が骨折していることが判明しました。今日の午前中に同病院で手術する予定で,リンスはホームグランプリとなる今回の大会に出場できない結果となってしまいました。なお,代役については,今回は起用しないことも併せて発表がありました。
2021/06/03(木)
☆ステップアップ(MotoGP)
○KTMファクトリー・レーシングから発表があり,今季レッドブルKTMアジョからMoto2クラスにフル参戦しているR.ガードナーとの契約が成立し,来季からMotoGPクラスにフル参戦することになりました。彼が所属するのは,KTMのサテライトチームであるテック3KTMファクトリー・レーシングとなります。今回最高峰クラスに昇格することが決まったガードナーは,皆さんご存知のように1987年にWGP500ccクラスでチャンピオンに輝いた,レジェンドライダーの一人であるW.ガードナーの息子です。お父さんの方はずっとホンダのワークスライダーとして活躍していましたが,息子の方はKTMとの関係性を強め,今季KTMのプロジェクトである『KTM GP Academy』に加入しています。そのガードナーですが,MotoGPへは2014年に代役やワイルドカードでMoto3クラスに参戦したのがデビューとなります。2015年にCIPに所属してMoto3クラスにフル参戦し,その翌年Moto2クラスに昇格してタスカ・レーシングからフル参戦しました。2017年からの2年間は,来季から所属するテック3に所属し,2019年シーズンからSAGチーム(チームメイトは長島哲太)に2年間所属し,今季Moto2クラスにおけるKTMのワークス的立場にあるレッドブルKTMアジョに移籍しています。今季の成績は,先日行われた第6戦イタリアGPでの優勝を含め,6戦中5回表彰台を獲得するという安定して高い成績を出していてランキングでトップに立っています。昨日のこのページでお伝えしたように,来季に関して既にB.ビンダーの契約延長が成立していますから,4つのKTMのシートの内の2つが決定したことになります。
2021/06/02(水)
☆契約延長(MotoGP)
○KTMのワークスチームであるKTMファクトリー・レーシングから昨日発表があり,今シーズン同チームのレギュラーライダーであるB.ビンダーと2024年まで3年間契約を延長することになりました。今回契約が成立したビンダーは,2012年からMoto3クラスでマヒンドラのマシンを駆ってフル参戦を開始し,2015年からはKTMのワークスであるレッドブルKTMアジョに所属しました。そして,その翌年に南アフリカ人ライダーとしては36年ぶりのチャンピオンに輝きました。チャンピオン獲得の翌年には,チームのそのまま在籍してMoto2クラスにステップアップを開始。その初年度はランク8位だったものの,2018年が3位,そして2019年が2位と成績を向上させました。その活躍が認められ,2020年シーズンからついにMotoGPクラスにステップアップを果たしました。当初は,KTMのサテライトチームであるレッドブルKTMテック3からの参戦でしたが,シーズン途中でファクトリ・-レーシングからフル参戦していたJ.ザルコがチームを離脱したことを受け,その空いたシートにビンダーが昇格する形で移籍し,今シーズンに至っています。2020年シーズンには,第4戦チェコGPで初優勝を果たし,ランキング11位でシーズンを終えました。今シーズンは,KTMのマシンが昨シーズンほどの速さを見せていないこともあって,表彰台を獲得できてませんが,コンスタントなリザルトを残して現段階でランク8位につけています。第6戦イタリアGPでは,チームメイトのM.オリベイラが2位表彰台を獲得してKTMの速さが戻ってきたことを印象づけていますので,ビンダーの成績も向上してくるかもしれません。今回の3年間の契約延長により,3つのクラスを通じてビンダーは少なくとも10年間はKTM製のマシンを駆ることになります。
2021/06/01(火)
☆連勝(SBK)
○先週末に第2戦ポルトガル大会が,好天に恵まれたリスボン近郊にあるエストリル・サーキットで行われました。
29日(土)に行われたレース1は,3台によるトップ争いを制し,Aruba.it Racing- DucatiのS.レディングが優勝しました。2,3位には,それぞれPata Yamaha with BRIXX WorldSBKのT.ラズガットリオグル,ランクトップをいくKawasaki Racing Team WorldSBKのJ.レイが入っています。
30日(日)の午前中に行われたスーパーポール・レースは,ランキングトップ争いを演じているレイとラズガットリオグルの優勝争いとなり,これをレイが制しています。3位には,レース1の勝者であるレディングが入りました。
午後に行われたレース2は,スーパーポール・レースを制したレイが,他者と接触するアクシデントがあったものの,これを無事に乗り切ってトップを走行し,この日の2レースとも彼が制しています。2位には,レイからおよそ2.7秒遅れでTeam GoElevenのC.デイビスが入りました。レース中にロングラップ・ペナルティを科されてトップ争いから脱落したラズガットリオグルが入っています。
今季からフル参戦しているGRT Yamaha WorldSBK Teamの野左根航汰は,レース1とスーパーポール・レースが15位,レース2が13位に入って,いずれのレースでもポイントを獲得しています。ここまでの2戦で低いポイントではあるもののコンスタントにポイントを獲得していて,現段階でランク16位につけています。
 

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