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2009/6/30(火)
☆新チームへ(F1)
○今シーズン絶好調のブラウンGPですが,そのマシンにはそれほど多くのスポンサーのロゴは入ってなく,現在のところ一番のスポンサーは,R.ブランソンが率いるヴァージングループで,1レースあたり25万ドル(約2400万円)のスポンサーマネーではないかと言われています。ホンダの撤退を受けてチームの存続自体が危うくなり,シーズン前にようやく参戦が決定したチームだけに,とても安価なスポンサーマネーにならざるを得ない状況にありました。ところが,ドライバー,コンストラクターのどちらもランキングトップを走るチームになったため,一挙に市場価値が高まることとなり,来シーズンは年間500万ポンド(約8億円)になるのではないかといわれるほどになりました。つまり,現在の2倍になったと考えていいことになります。安価なスポンサーマネーでF1に関わろうとしている同グループとしては,来シーズンもブラウンGPに投資するわけにはいかなくなります。そこで目をつけたのが,来シーズンから新規参入を開始するチームです。新たに参入するのは全部で3チームですが,ブランソンの選んだのはマノーFIチームのようで,既に2010年の契約を済ませているという噂も出ています。
もう一つ新規参入チームのスポンサーに関して噂が出ているのが,チームUSF1です。同チームは,オールアメリカンを目指して設立されました。それだけに,スポンサーに関しても,アメリカ系の企業になることが最もチームの趣旨に沿うこととなります。そこで噂に上っているのが,C.ハーリーがS.チェン,J.カリムとともに2005年に設立した動画共有サービスYouTubeです。アメリカ人であるハーリーがCEOを務めるアメリカの企業であるYouTubeがスポンサーに就くのは,実に自然な形ですから,単なる噂で終わらないかもしれませんね。
2009/6/29(月)
☆圧勝(FN)
○第4戦の決勝レースが,富士スピードウェイで行われました。併催となる全日本F3の決勝レースの頃から雨脚が強まり,ヘビーウェットのコンディションとなってしまいました。このため,2周にわたってセーフティーカー先導によるレーススタートなりました。ポールからスタートしたPIAA NAKAJIMAのL.デュバルは,オープニングラップからトップに立ち,前に他車がいないためクリアな視界を活かして後続との差を広げていきました。レース途中でセーフティーカー導入がありましたが,それでも順位を落とすことなく順調に差を広げていき,圧勝で今季2勝目を挙げました。予選7番手からスタートしたPETRONAS TOM'Sの大嶋和也は,ノーピット作戦が功を奏して2位に入りました。FNルーキーの大嶋は,参戦4戦目にして初の表彰台を獲得したことになります。今季再びFNに参戦しているR.ライアンが3位に入り,復帰後初となる表彰台を獲得しています。この日注目されたのは,大嶋のチームメイトで雨を得意とするA.ロッテラーでしょう。8番グリッドからスタートしたロッテラーは,得意な路面コンディションを活かしてどんどん順位を上げていきました。一時は表彰台圏内を走行していたものの,セーフティーカー導入の段階で混乱が生じ,さらにロッテラーがピットインした時にピットロードがクローズとなってしまい,一挙に順位を下げるという不運が重なりました。結局,最終的には予選と同じ8番手でのチェッカーとなっています。ここ数年チームタイトルをとり続けているIMPULですが,この日は昨年のチャンピオン松田次生と,ランキングトップのB.トレルイエの両方ともマシントラブルによりリタイアに終わっています。
2009/6/28(日)
☆100勝(MotoGP)
○第7戦オランダGPの決勝レースが行われました。「ダッチウェザー」と言われるほど天候が安定しない場合が多いものの,今回は全クラスともドライコンディションの中でのレースとなりました。MotoGPクラスは,通算100勝目に王手をかけているフィアット・ヤマハのV.ロッシが,前日の予選でポールを獲得していました。オープニングラップこそ2番手に順位を下げたものの,2周目にトップに出てからは安定した走りで後続との差を広げ,最終的には2位に5秒以上の差をつけてトップでチェッカーを受け,通算217戦目にして見事100勝目(125ccクラスが12勝,250ccクラスが14勝,MotoGPクラスが74勝)を挙げました。ロッシのチームメイトであるJ.ロレンゾが,3戦連続となる2位に入りましたフィアット・ヤマハ勢によるワンツーフィニッシュは,今季3回目です。3位には,ドゥカティのC.ストーナーが入っています。ヤマハとドゥカティは順調に表彰台を獲得しましたが,それに対抗するレプソル・ホンダ勢は,D.ペドロサ,A.ドビツィオーゾ共に4位走行中にそれぞれ転倒リタイアに終わっています。ブービーである予選18番手からのスタートとなったスコット・レーシングの高橋裕紀は,ここ2戦はノーポイントレースとなっていたものの,今回は15位完走でわずか1ポイントではありますがポイントを獲得しています。
250ccクラスは,2番グリッドからスタートしたスコット・レーシングの青山博一が,オープニングラップでは6位に順位を下げたものの,徐々に順位を回復していって,最終的にはアプリリアのA.バウティスタとのバトルとなりました。ランキング1位,2位を争う両者のバトルは,残り2ラップとなったところでバウティスタが青山のテールに接触するというアクシデントとなりました。幸いなことに青山はそのまま走行しましたが,バウティスタは転倒してリタイアとなりました。青山はトップの座を守ってチェッカーを受け,今季2勝目を挙げると共に,バウティスタがノーポイントで終わったため,再びランキングトップに立ちました。2位には,ポールからスタートしたアプリリアのH.バルベラが,3位には,来シーズンMotoGPクラスにステップアップが決まっているジレラのM.シモンチェリが入っています。ホンダの富沢翔也は,オープニングラップで転倒リタイアに終わっています。
125ccクラスは,S.ガデア,N.テロル,J.シモンのアプリリアを駆る3人のスパニッシュライダーによるトップ争いとなりました。テロルがトップを走行していたものの,最後でガデアがテロルを交わし,1000分の78秒差でトップチェッカーを受け,昨年の開幕戦以来となる勝利を挙げました。2番手でテロルが,3番手でシモンが,4番手でアプリリアのB.スミスがチェッカーを受けましたが,テロルがショートカットをして順位を上げた行為を違反と見なし,レース終了後に20秒加算のペナルティとなりました。このためテロルは5番手に順位を下げることとなり,2位にシモン,3位にガデアが繰り上がっています。日本人勢ですが,アプリリアの中上貴晶は,6台による13位争いを展開していったものの,17位でチェッカーを受けて惜しくもノーポイントに終わりました。昨年型エンジンに載せ替えて決勝レースを戦ったロンシンの小山知良は,9周目に転倒を喫してリタイアに終わっています。
☆まさかの(FN)
○第4戦の予選が,富士スピードウェイで行われました。前戦のウィナーであるPIAA NAKAJIMAの木暮卓史は,フリー走行,予選のQ1,Q2と全てのセッションでトップタイムをマークして好調さを示していました。ところが,最終的なグリッド決定の場となるQ3でまさかのスピンを喫してしまい,6番手に終わってしまいました。木暮のチームメイトであるL.デュバルがトップタイムをマークし,今季初のポールを獲得しました。2番グリッドを獲得したのは,Team LeMansの石浦宏明でした。そして,3番グリッドを獲得したのは,開幕戦でポールシッターとなったahead IMPULの平手晃平でした。2年連続チャンピオンに輝いているLOWSON TEAM IMPULの松田次生は,今季自己最高となる4番グリッドを獲得しています。
2009/6/27(土)
☆実質上初(MotoGP)
○第7戦オランダGPの予選が,曇り空のアッセン・サーキットで行われました。MotoGPクラスは,黒い雲が部分的に広がっていていつ雨が降り出すか分からないことから,早めにタイムアタックを開始する動きが見られる状態での予選開始となりました。しかし,最後までの雨が降ることはなく,ドライコンディションの中での予選となりました。そのような中でトップタイムをマークしたのは,今大会に通算100勝目をかけているフィアット・ヤマハのV.ロッシでした。ロッシのポール獲得は日本GP以来ですが,この時は天候不順により予選が中止となっています(前日に行われたフリー走行でのタイム順でグリッドが決定)ので,実質上はロッシにとって今回が今シーズン初ポールということになります。2番手タイムをマークしたのは,いまだに股関節骨折の怪我が癒えていないレプソル・ホンダのD.ペドロサでした。完璧な体調ではなかったものの,ちょうどロッシがポールタイムを刻んだ時にすぐ後ろを走行していて,ロッシに引っ張られるような形で2番手タイムをマークしています。3番手タイムは,ロッシのチームメイトであるJ.ロレンゾでした。これでロレンゾは,ここまでの7戦全てがフロントローからのスタートとなります。スコット・レーシングの高橋裕紀は,前戦で負った怪我や,前日の走行がほとんどできていない(転倒を喫したのですが,スペアマシンがないため走行できませんでした。)ことが影響したのか,19台中18番手タイムをマークするにとどまっています。
250ccクラスは,前戦のポールシッターであるアプリリアのH.バルベラが,今回も最速タイムをマークして2戦連続ポールを獲得しています。2番手タイムは,ここまでランキング2位を行くスコット・レーシングの青山博一でした。3番グリッドを獲得したのは,ランキングトップを行くアプリリアのA.バウティスタでした。ホンダの富沢翔也は,なかなかタイムアップを果たすことができず,トップから2秒以上遅れた16番手タイムで予選を終了しています。
125ccクラスは,デルビのS.コルテセが,最終ラップで最速タイムを刻み,参戦73戦目でうれしい自身初となるポールを獲得しています。アプリリアのJ.シモンが,惜しくも1000分の11秒差で2番手となっています。同じくアプリリアのN.テロルが,今季自己最高タイとなる3番グリッドを獲得しています。日本人勢は,アプリリアの中上貴晶が21番手,ロンシンの小山知良はわずか5周しかできずに32番手でした。なお,小山については,予選を今季型エンジンで走行しました。しかし,相変わらずまともに走行することができなかったため,決勝は昨年型エンジンで走行することになりそうです。
2009/6/26(金)
☆先陣(MotoGP)
○『ダッチTT』としてお馴染みの第7戦オランダGPが,アッセン・サーキットにおいて開幕しました。通常のレースは,金曜日に開幕して日曜日が決勝レースですが,ここオランダGPは,日曜日が「安息日」ということで,木曜日に開幕し,土曜日が決勝という形を伝統的にとっています。さて,開幕を前にして,ホンダ系の有力サテライトチームであるサンカルロ・ホンダ・グレシーニが,先陣を切って来シーズンの体制について発表を行いました。それによると,昨年の250ccクラスチャンピオンであるM.シモンチェリが,同チームとの契約が成立し,MotoGPクラスにステップアップすることになりました。昨シーズン終了後には最高峰クラスへのステップアップが噂されたシモンチェリでしたが,今シーズンは250cクラスに留まってタイトル防衛を目標にしていました。ところが,今シーズンは,シーズン前のテストで怪我を負ったりしたこともあって思うようにポイントを伸ばすことができず,第6戦終了段階ではランキング5位とディフェンディングチャンピオンとしてはやや低迷しています。しかし,今回めでたくステップアップを果たすこととなりました。なお,シモンチェリのチームメイトが誰になるのかは,今回は発表がありませんでした。
今回の発表では,メインスポンサーであるサンカルロ社との契約延長も明らかとなりました。スナック菓子メーカーであるサンカルロ社は,昨シーズンから同チームのメインスポンサーとなりました。「ロッシ2世」とも言われるイタリアの若き有力ライダーを獲得した同チームだけに,イタリアの企業であるサンカルロ社としてはいいタイミングでの契約延長となったと言えそうです。
2009/6/25(木)
☆分裂回避(F1)
○昨日は,新たなシリーズを立ち上げると宣言したFOTAの暫定レースカレンダーについてお伝えしました。こうした情報をリークすることで,M.モズレーの独裁状態にあるFIA側に対してFOTAの圧力をさらに強める狙いがあることは明らかでした。こうした新シリーズへの移行を進めると同時に,FIAとの協議も水面下で進めてきたFOTAですが,この度FIA会長のモズレーと,FOM代表のB.エクレストン,そしてフェラーリ会長のL.ディ.モンテゼモロをはじめとするFOTAメンバー及びFIAメンバーが集まってワールド・モータースポーツ・カウンシルの会議が行われました。11時間に及ぶこの会議では,FIAとFOTAそれぞれの主張するコスト削減案と,モズレーの独裁が争点となりましたが,モズレーが10月に行われるFIA会長選挙に出馬せず退任すること,さらにFOTA側とコスト削減案について同意することが決定すると共に,FOTAに対しては独自シリーズの立ち上げを取り下げること,2012年までのコンコルド協定にサインしなければならないことが決定し,ようやくF1の分裂が回避されることになりました。
この会議を受けてFIAから来シーズンのエントリーリストが発表されると同時に,今回の話し合いの具体的な決定事項も発表されました。この発表によると,FOTAがこの間に計画していた新シリーズは実行に移されず,既存の参戦チーム全てが来季以降もF1参戦を継続します。また,レギュレーションは2009年4月24日に同意された規則が継続して使用されます。そして,今回の分裂劇の引き金となっていたコストについてですが,チーム側は2年以内に1990年初頭のレベルまでコストを下げるという目標が設定されています。そのことと関連して,メーカー系チームは2010年にエントリーする新規参入チームに対し技術的な援助をすることが記されています。チーム側はまた,2012年までにF1の商業面に関する交渉を再度行って,1998年のコンコルド協定のアップグレード版を支持することが明らかにされています。
今回発表された来シーズンのエントリーリストですが,既存の10チームに加え,既に前回発表された新規参入チームであるカンボス・メタ・チーム,マノー・グランプリ,チームUSF1の合計13チームとなっています。使用エンジンについては,新規参入チームは全てコスワースエンジンユーザーとなります。既存チームは,基本的に今シーズンと同様になりますが,トロロッソ,レッドブル,ブラウンGPの3チームは未定となっています。
2009/6/24(水)
☆暫定レースカレンダー(F1)
○バジェットキャップ制を巡るFIAとFOTAの対立は,既にお伝えしたようにFOTA側が新シリーズを立ち上げるというところまで発展してしまいました。そして,この度その新シリーズが予定している暫定のレースカレンダーが明らかとなりました。それによると,今シーズンのカレンダーに含まれている開催サーキットとして,モンテカルロ,シルバーストン,モンツァ,アブダビ,シンガポール,そして日本では鈴鹿が含まれています。また,最近まで開催されていたサーキットとしては,イモラ,モントリオール,インディアナポリス,マニ−クールが入っています。さらに,懐かしい開催地であるヘレス,ブエノスアイレス,メキシコシティーといったサーキットも入っています。新規開催のサーキットとしては,ポルティマオ,ラウジッツリンク,ヘルシンキが含まれています。なお,最終戦となっているオーストラリアGPについては,アデレイドかサーファーズパラダイスのいずれかになっています。今回の暫定カレンダーをリークすることにより,FIA側への圧力をさらに増すことになるでしょう。なお,具体的なカレンダーは,以下のようになっています。
FOTAシリーズ 2010年レースカレンダー(暫定)
決勝日 サーキット 開催国
第1戦  3月 3日 ブエノスアイレス アルゼンチン
第2戦  3月21日 メキシコシティー メキシコ
第3戦  4月11日 ヘレス スペイン
第4戦  4月25日 ポルティマオ ポルトガル
第5戦  5月 2日 イモラ サンマリノ
第6戦  5月23日 モンテカルロ モナコ
第7戦  6月 6日 モントリオール カナダ
第8戦  6月13日 インディアナポリス アメリカ
第9戦  7月 1日 シルバーストン イギリス
第10戦  7月25日 マニクール フランス
第11戦  8月15日 ラウジッツリンク ドイツ
第12戦  8月29日 ヘルシンキ フィンランド
第13戦  9月12日 モンツァ イタリア
第14戦  9月26日 アブダビ UAE
第15戦 10月10日 マリーナベイ シンガポール
第16戦 10月24日 鈴鹿 日本
第17戦 11月 8日 アデレイドorサーファーズパラダイス オーストラリア
2009/6/23(火)
☆初表彰台(IRL)
○第7戦の決勝レースが,アイオワ州にあるアイオワ・スピードウェイで行われました。前日に行われる予定だった予選は,コースに水がしみ出すというアクシデントにより中止となり,第6戦までのランキング順でのスターティンググリッドとなりました。ポールからスタートしたチーム・ペンスキーのH.カストロネベスと3番グリッドからスタートしたチップ・ガナッシのS.ディクソンとの間で序盤はトップ争いが展開されていましたが,18周目に何と両者が接触してマシンにダメージを受け,リタイアにはならなかったものの,両者共に大きく後退しました。代わってトップ争いを演じたのは,チップ・ガナッシのD.フランキッティとチーム・ペンスキーのR.ブリスコーでした。250周で争われる決勝レースの内,197周目のピットストップまではブリスコーがトップを走行していましたが,最後のピットストップでフランキッティが行ったセッティングの変更が功を奏し,一気にペースアップがはかられました。トップに浮上したフランキッティは,最終的に5秒以上の大差をつけて第7戦のウィナーとなり,今季2勝目を獲得しました。3位には,アンドレッティ・グリーン・レーシングの武藤英紀が入りました。昨シーズンのこの大会で2位表彰台を獲得した武藤は,今大会でもこのサーキットのと相性のよさを証明する形で,今シーズン初となる表彰台を獲得しました。今回の結果により,ランキングトップがブリスコーという点では変化がなかったものの,ランク2位のフランキッティとの差がわずか3ポイントとなりました。また,今季初表彰台の武藤は,12位から10位へとポジションがアップしています。
2009/6/22(月)
☆ワンツー(F1)
○第8戦イギリスGPの決勝レースが,曇り空のシルバーストーン・サーキットで行われました。2戦連続ポールスタートとなるレッドブルのS.ベッテルは,好スタートを切ってトップの座を守りました。その後も,ファステストラップを連発したりして後続との差を広げ,最後までトップの座を脅かされることなく独走で走り抜け,今シーズン2勝目,自身通算3勝目を挙げました。2番手争いは,2番グリッドからスタートしたブラウンGPのR.バリチェロと,3番グリッドからスタートしたレッドブルのM.ウェーバーとの間でバトルが繰り広げられました。序盤はバリチェロが2位を走行していましたが,1回目のピットストップでウェーバーが2番手に浮上。その後はバリチェロとの差を広げていき,こちらも単独走行での2位チェッカーとなりました。これにより,レッドブルがワンツーフィニッシュを達成しています。今季圧倒的な速さを見せているブラウンGPですが,バリチェロが3位表彰台を獲得したものの,J.バトンが6位となって今シーズン初めて表彰台を逃しました。予選で自己最高位となる5番手からのスタートとなったウィリアムズ・トヨタの中嶋一貴でしたが,予選では燃料搭載量が一番少ない状態でのアタックでしたので,決勝レースでは誰よりも早いピットストップ作戦となりました。序盤こそ4番手を走行したものの,早め早めのピットイン作戦が裏目に出てしまい,レースウィーク中の速さを生かすことができず,最後は11番手というポイント圏外でのチェッカーとなりました。前日までいい走りを見せていただけに,何とも残念な結果でした。
☆今季初優勝(SGT)
○第4戦の決勝レースが,マレーシアのセパン・サーキットで行われました。GT500クラスは,予選でポールを獲得した本山哲&B.トレルイエ組のMOTUL AUTECH GT-Rがトラブルによりピットスタートという波乱の幕開けとなりました。実質的にトップからスタートした予選2番手であるR.クインタレッリ&安田裕信組のHASEMI TOMICA EBBRO GT-Rが,トップの座を守って走行を続けました。その後,2位争いが激化したこともあって後続との差が徐々に広がっていき,完璧なレース運びで今季初優勝を飾りました。昨シーズンのGT300クラスチャンピオンである安田にとっては,GT500クラスにおいて自身初優勝となります。また,同チームが使っているミシュランタイヤにとっては,2001年の第3戦以来久々のGT500クラス優勝となります。後方から驚異的な走りで順位を上げてきた金石年弘&塚越広大組のKEIHIN NSXがごぼう抜きを演じ,見事2位争いを制しています。3位には,R.ファーマン&伊沢拓也組のARTA NSXが入りました。
GT300クラスは,予選でトップタイムをマークしたものの,その後レギュレーション違反が見つかって最後尾からのスタートとなった加藤寛規&吉本大樹組のI.M JIHAN CO.LTD・APPLE・Shidenが,その予選トップをマークした速さで最後尾からどんどんポジションを上げていきました。そして,ピットインのタイミングを利用してトップに立つと,そのまま逃げ切って見事な勝利を収めました。2位には,折戸学&片岡龍也組のウェッズスポーツIS350が入っています。3位には,このサーキットを得意とする谷口信輝&折目遼組のM7 MUTIARA MOTORS 雨宮 SGC7が入りました。同チームは,今シーズンここまで全戦で表彰台を獲得してきていますが,今回もその記録を伸ばしています。
2009/6/21(日)
☆2戦連続&自己最高(F1)
○天候は曇り,気温14度,路面温度21度と肌寒さを感じる天候の中,第8戦イギリスGPの予選がシルバーストーン・サーキットで行われました。昨シーズンチャンピオン争いを演じたマクラーレン・メルセデスのL.ハミルトンがQ1で,フェラーリのF.マッサがQ2で脱落し,相変わらず両チームとも今シーズンの不調から抜けられないでいます。そのような中,前戦のポールシッターであるレッドブルのS.ベッテルが,最後のアタックで1分19秒台中盤のタイムをたたき出し,2戦連続ポールを獲得しました。終了ぎりぎりまでトップタイムだったブラウンGPのR.バリチェロは,惜しくも2番手となりました。3番グリッドを獲得したのは,ベッテルのチームメイトであるM.ウェーバーでした。圧倒的な速さでランキングトップをいくブラウンGPのJ.バトンは,思うようにタイムアップすることができず,3列目6番グリッドからのスタートとなりました。唯一の日本人ドライバーであるウィリアムズ・トヨタの中嶋一貴は,初日のフリー走行から好調な走りを見せていて,予選での走りがどうなるか楽しみでしたが,ここでも今大会での好調な走りを見せ,予選としては自己最高位となる5番手を獲得しています。
☆3戦連続(SGT)
○気温30度,路面温度40度をはるかに超える状況の中,第4戦の予選が,SGT唯一の海外レースとなるマレーシアのセパン・サーキットで行われました。GT500クラスでポールシッターに輝いたのは,本山哲&B.トレルイエ組のMOTUL AUTECH GT-Rでした。ここ2戦タイムアタックを担当しているのが本山哲ですが,その本山は今回の予選でも速さを見せ,3戦連続ポールという快挙を成し遂げています。2番グリッドをR.クインタレッリ&安田裕信組のHASEMI TOMICA EBBRO GT-Rが獲得し,GT-Rがフロントローを独占しました。3番手タイムを出したのは,道上龍&木暮卓史組のROCKSTAR童夢NSXでした。このサーキットを得意とするJ−P.オリベイラ&荒聖治組のHIS ADVAN KONDO GT-Rは,7番グリッドからのスタートとなりました。
GT300クラスは,加藤寛規&吉本大樹組のI.M JIHAN CO.LTD・PPLE・Shidenがトップタイムをマークしました。ところが,予選終了後にウェイトハンディの搭載位置が,規定のところに搭載されていないことが分かり,レギュレーション違反により予選タイム抹消となってしまいました。ウェイトハンディは,車輌により搭載する位置が決められているのですが,今回はその位置とは違うところに搭載していたようです。これにより,昨年のチャンピオンチームで,今回2番手タイムだった星野一樹&柳田正孝組のエスロード MOLA Zがポール獲得となりました。今シーズン速さを見せているフェラーリ勢ですが,その一角である田中哲也&平中克幸組のJIMGANER ADVAN F430が繰り上げで2番グリッド獲得となりました。繰り上げで3番グリッドとなったのは,折戸学&片岡龍也組のウェッズスポーツIS350でした。
2009/6/20(土)
☆分裂(F1)
○来シーズンのエントリー締め切り日である19日になって数時間後に,F1に参戦するチームで組織するFOTAが声明を発表し,今シーズンをもって現行のF1シリーズから撤退し,新たなシリーズを組織することを発表しました。バジェットキャップ制をめぐるFOTAとFIAとの対立は,ついにシリーズ分裂という最悪の局面を迎えてしまいました。ただ,これはある程度予想できたものでもあります。M.モズレーを中心とするFIAは,FOTAに対していくつか妥協案を示したものの,解決に向けて大きく前進するものではなく,最後まで強硬姿勢を崩しませんでした。FOTA側も,FIAと商業権所有者に対しての不信感をぬぐうことができず,分裂を臭わすという手法を最後までとり続けました。その結果が,今回の発表という形になりました。今回の件は,もちろんバジェットキャップ制を巡るものですが,それはあくまでも「表向き」のことだということもできます。その裏には,長年の対立材料だった各チームへの分配金問題の存在があります。F1というコンテンツを通して得たお金の一部は,各チームに分配金という形で還元されています。問題はその金額で,FOTA側はずっとその分配金を増やすよう要求してきましたが,M.モズレーを中心とするFIAとB.エクレストンを中心とする商業権所有者つまりFOMは,FOTA側の要求に対して十分答えることをしてきませんでした。これが,長い年月をかけて溝を深めていき,ついに分裂という最悪のシナリオになってしまったと言っても過言ではないでしょう。FOTAが立ち上げる新シリーズの概要に関しては,今後徐々に明らかにされていくものと思われます。ただ,ウィリアムズとフォース・インディアに関しては,以前から現行のF1シリーズにエントリーすることが決まっていましたから,新シリーズはこの2チームを除いた8チームで組織されることになります。単純に考えれば,各チームとも2台のエントリーですから,16台によるレースが展開されることになります。しかし,それでは台数がやや寂しいですから,各チーム3台,合計24台でのレースとなる可能性もあります。FOTA側に対しては,欧州自動車工業会(ACEA)が先週支持を表明していましたし,主立ったドライバーやスポンサー等も同様の姿勢をとっています。強気の姿勢を示してきたFIA&FOMですが,シリーズを継続したとしても,収入が大幅に減ることは間違いありません。半分以上減るのではないかという試算も出されています。フォーミュラマシンのシリーズ分裂といえば,アメリカでのことが思い出されます。それまで世界3大レースの一つである『インディ500』に代表されるCARTシリーズとして絶大な人気を誇っていたアメリカンフォーミュラシリーズでしたが,運営を巡って対立が生じ,新たにIRLシリーズが発足しました。しばらくの間,アメリカ国内において2つのシリーズが存在するという事態となってしまいましたが,当初劣勢に立たされていたIRLが徐々に力をつけていき,現在はCARTシリーズがなくなり,IRLに集約されるという形になっています。世界最高峰のレースが今後どのような道をたどっていくのか,野次馬的には興味がわくものの,レースファンとしては何とかいい形に落ち着くことを願いたいですね。
2009/6/19(金)
☆無制限(F1)
○バジェットキャップ制をめぐるFIAとFOTAとの対立は続いていますが,FIAが指定した来シーズンへのエントリーが今日締め切りとなります。FOTAがFIAに対して新たな提案を示し,それに対してM.モズレーを中心とするFIA側が歩み寄りを見せていますので,何らかの合意が今日見られるようになるかもしれません。さて,そのバジェットキャップ制において新規参入となったカンボス,マノー,USF1の3チームは,コスワース製エンジンを使用することになっています。現在F1に参戦しているエンジンは,全て18000回転という制限が設けられています。来季から再登場となるコスワースについては,この制限が適用されず,回転数が無制限となっています。既存エンジンには制限が,コスワースについては無制限といういわゆる2重構造となること,そして既存エンジンが不利になるということがFOTA側がバジェットキャップ制に反対している理由の一部となっています。このエンジン回転制限に対して,FIA側がFOTAに対して歩み寄りを見せているようで,全てのエンジンに対してコスワースと同じく回転数無制限となる可能性が出てきたようです。さて,両者の対立がどうなるのか,時差の関係でその点がはっきりするのは深夜になることが予想されますが,イギリスGP開幕を前にしてとても気になるところですね。
2009/6/18(木)
☆移籍(MotoGP)
○今季ジャック&ジョーンズに所属して125ccクラスにフル参戦しているS.コルシが,シーズン途中でチームを移籍することになりました。昨シーズン125ccクラスでランキング2位に輝いたコルシでしたが,今シーズンは第6戦終了時までに獲得したポイントがわずかに4ポイントで,ランキング23位と低迷しています。ポイントを獲得しているライダーが全部で26名ですから,下から数えて4番目という状態です。1〜3戦目までは,それぞれ15位,15位,14位と何とかポイント圏内でフィニッシュしたものの,第4戦以降は3戦連続してノーポイントレースに終わっています。これは,マシンだけでなく,モチベーションが下がっていることも影響しているものと思われます。そもそものつまづきはオフシーズンからで,開幕ぎりぎりになって昨年使用したアプリリアRSAが投入されるという状態でした。さらに,チーフメカニックなどのチーム体制も変更された状態で開幕戦を迎えるというドタバタ劇で,マシンがまとまるはずがありませんし,ライダーの不信感も開幕の段階であったのではないかと思われます。コルシの移籍先はフォンタナ・レーシングで,次のアッセンTTからL.サバドーリのチームメイトとして参戦することになります。もっとも,そのサバドーリもここまでのポイント獲得がわずか7ポイントで,コルシよりは若干上ではあるものの,ランキング21位と低迷しています。
2009/6/17(水)
☆導入決定(F1)
○予算制限を設けるバジェットキャップ制導入で対立しているFIAとFOTAとの対立ですが,両者の間で歩み寄りをしようと何度か話し合いがもたれましたが,解決の糸口が見つからないまま推移してきました。そして,15日(月)にFOTAの金融部門代表とFIAとの話し合いがもたれ,最終的に両者の溝を埋めることができませんでした。これを受け,FIAは声明を発表し,FIAが既に提案しているバジェットキャップ制に関して一切変更を加えないという結論に達しました。これにより,FOTA側がFIAの提案を飲まない限り分裂は必至の状態となりました。先日来シーズンのエントリーリストが発表されましたが,ウィリアムズとフォースインディアを除く他の既存参戦チームは,条件付きでのエントリーとなっています。その際19日を参戦期限に設定されましたが,この設定についても変更は加えられませんでした。メーカー系のチームを中心とする既存チームがどのようにするのか,下駄は彼らにゆだねられた形となっています。FOTAがFIAの軍門に下るのか,新しいシリーズを立ち上げるのか,今週末に行われる第8戦イギリスGPの開幕日が要注目です。
2009/6/16(火)
☆16年ぶり(ル・マン)
○世界3大レースの一つ『ル・マン24時間耐久レース』が,フランスのル・マンサーキットで行われました。今年も,ここまで5連覇を果たしているアウディと,それを阻止しようとするプジョーとの対決が注目されていました。そして,その両者の対決は,アウディにトラブルが発生したこともあって,見事プジョーが16年ぶりとなる勝利を飾りました。その快挙を成し遂げたのは,D.ブラバム&M.ジェネ&A.ブルツという元F1ドライバー3人を揃えたプジョー9号車で,彼らの駆ったプジョー908は,ル・マン投入3年目での勝利でした。2位には,ポールからスタートしたS.ブルデー&F.モンタニー&S.サラザン組のプジョー8号車がトップから1周遅れで入り,見事ワンツーフィニッシュを達成しています。6連覇を目指したアウディのエースチームであるアウディ1号車のR.カッペロ&T.クリステンセン&A.マクニッシュ組は,トップから6周遅れで3位表彰台を獲得しています。日本関係のチーム及びドライバーは,次々にトラブルが発生してしまいました。過去このル・マンを制したことがあるチーム・ゴウ(ドライバーは荒聖治&国本京佑&S.マーセン)は,ゴールまであと1時間となったところでスピンを喫してタイヤバリアに激突し,荒聖治の駆るポルシェRSスパイダーは大破したためリタイアを余儀なくされました。野田英樹がステアリングを握るKSMのローラ・マツダ・スパイダーは,エンジンにオイル漏れが発生したためピットに向かいましたが,ピットロードに入ったところで完全にストップしてしまい,さらにこのオイルに火がついてしまったため,こちらもリタイアを強いられてしまいました。SGTでもお馴染みであるJLOCのランボルギーニ・ムルシエラゴは,M・アピチェラ&余郷敦&山岸大の3人がステアリングを握りましたが,わずか1周でレースを終えています。
☆今季1回目(MotoGP)
○14日に第6戦カタルニアGPの決勝レースが行われたカタルニア・サーキットでは,今年初となるシーズン中の合同テストが行われました。コスト削減策の一つとして,今シーズンはシーズン中の合同テストは2日間のみに限定されました。その2日間というのは,今回のカタルニアGP翌日と,第11戦チェコGPの翌日です。
さて,貴重な1日となる今回の合同テストですが,モンスター・ヤマハ・テック3は今回のテストをキャンセルしています。また,大腿骨骨折という怪我を押してカタルニアGPに出場したレプソル・ホンダのD.ペドロサも,キャンセルしたライダーの一人です。また,カタルニアGP決勝レースのオープニングラップにおいて,スズキのC.バーミューレンがブレーキングポイントの手前でブレーキをかけたため,それを避けようとしたスコット・レーシングの高橋裕紀は,彼のブレーキレバーとバーミューレンのマシンとの間に指が挟まってしまって転倒を喫し,リタイアに終わっていました。その際,右手中指が骨折する怪我を負ってしまいました。次戦オランダGPには出場する見込みですが,今回の合同テストはキャンセルしています。そのため,今回のテストは,10チーム15人が参加しました。そのような中でトップタイムをマークしたのは,今回のレースでも惜しいところで表彰台を逃したレプソル・ホンダのA.ドビツィオーゾでした。最終ラップの最終コーナーまでトップ争いを演じたフィアット・ヤマハのV.ロッシとJ.ロレンゾの二人は,ロッシがニュースペックのエンジンテストを,ロレンゾが電子制御関係のテストを行い,それぞれ2,3番手タイムをマークしています。ドゥカティ勢は,話題となっているカーボン製とアルミニウム製のリア・スイングアームのテストを行っています。
2009/6/15(月)
☆同ポイント(MotoGP)
○第6戦カタルニアGPの決勝レースが,レースウィークを通して好天に恵まれたカタルニア・サーキットで行われました。MotoGPクラスは,初日のフリー走行,2日目の予選共にフィアット・ヤマハ勢のワンツーでしたが,決勝レースもこの二人による激しいバトルが展開されていきました。最終ラップの最終コーナーまで2台はテールトゥーノーズのバトルとなり,その最終コーナーでV.ロッシが狙い澄ましたように前を行くJ.ロレンゾのインに飛び込んでトップに浮上し,そのまま逃げ切って今季2勝目を挙げました。前回の勝利が第3戦スペインGPでしたから,奇しくも今季の勝利は全てスペインでの大会ということになります。また,ロッシ自身の通算99勝目でもありますので,いよいよ通算勝利数100に王手がかかりました。3位争いがドゥカティのC.ストーナーとレプソル・ホンダのA.ドビツィオーゾとの間で展開され,最終的にストーナーが3番手でチェッカーを受けました。ワークスチーム1年目のドビツィオーゾは,今回も惜しいところで表彰台を逃しています。この結果,ランキングトップ争いでは,今回の上位3人が106ポイントの同点で並ぶ形となりました。なお,スコット・レーシングの高橋裕紀ですが,オープニングラップで転倒リタイアに終わっています。また,今回から高橋のチームメイトとして参戦することになったG.タルマクシは,他のライダーから随分離されはしたものの,無事最後まで走りきって最下位でチェッカーを受けています。
250ccクラスは,ランキングトップを行くアプリリアのA.バウティスタが,トップに浮上するとそのまま逃げ切り,母国GPを独走で飾って今季2勝目を挙げました。6番グリッドからスタートしたホンダの青山博一は,レース中盤にストレートで急に失速するというアクシデントが発生しました。しかし,その後のマシンは再び勢いを取り戻してどんどん前のマシンを交わしていくようになりました。最終的に2位までポジションアップを果たし,そのままチェッカーとなりました。3位には,母国GPに燃えるアプリリアのH.バルベラが入っています。ホンダの富沢翔也は,ポイント圏内を走行していたものの,残念ながらマシントラブルが発生して途中リタイアに終わっています。
125ccクラスは,8番グリッドからスタートしたアプリリアのA.イアンノーネが徐々にポジションアップしていき,日本GP以来となる今季3勝目を挙げました。2,3位には,それぞれN.テロルとS.ガデアがそれぞれ入っています。ポールからスタートしたアプリリアのJ.シモンは,3位争いを展開して最終ラップを走行中,ゴールを1周勘違いしてしまったため僅差で4位に終わりました。日本人勢ですが,21番グリッドからスタートしたアプリリアの中上貴晶は,追い上げて15位に入って貴重な1ポイントを獲得しています。ロンシンの小山知良は,残念ながら17位でノーポイントに終わっています。
☆完勝&参戦休止(8耐)
○『鈴鹿8耐』の前哨戦となる『鈴鹿300q』の決勝レースが,夏のような好天に恵まれた鈴鹿サーキットで行われました。ポールからスタートしたのは,今年の8耐を制する最有力候補であるTSRの秋吉耕佑&伊藤真一組でした。2番手からスタートしたHARC-PROの山口辰也が好スタートを切ってトップに出たものの,2周目に秋吉がトップを奪い返しました。その後は二人でのトップ争いとなり,まずは山口が小西良輝とライダーチェンジ。これは,燃料の残量切れを示す赤ランプが点灯したためによるもので,予定より1周早いライダー交代でした。その翌周に秋吉から伊藤にライダーチェンジを行いましたが,その作業中に小西がトップに躍り出ました。しかし,30周目のバックストレートで伊藤が小西を交わしてトップに浮上すると,後は順調に差を広げていき,見事秋吉&伊藤組がポールトゥーフィニッシュを果たしました。3位には,ピットワークに定評のあるヨシムラの酒井大作&徳留和樹組が入っています。
ところで,ここで一つ残念なニュースがあります。ヤマハ発動機から発表があり,今年の鈴鹿8耐への参戦を休止することになりました。これは,世界的な経済危機によってヤマハも厳しい経営環境に置かれていることが原因です。ただし,JRRへの参戦はこれまで通り参戦を継続しますので,昨年のチャンピオンである中須賀克行が所属するYSP・レーシング・チームもこれまで通り参戦を継続します。それにしても,今年の8耐は,ホンダやヤマハのワークス活動が休止となっていますし,当日はMotoGPやSBKと同日開催ですのでそこに参戦しているライダーも出場できません。リニューアルが行われたばかりの鈴鹿サーキットでの開催だけに,例年に比べるとやや寂しいところがあるかもしれません。まあ,それでも,暑い日に熱いバトルが展開されることには変わりありませんけどね。
2009/6/14(日)
☆ワンツー(MotoGP)
○第6戦カタルニアGPの予選が行われ,MotoGPクラスはフィアット・ヤマハのJ.ロレンゾがポールポジションを獲得しました。彼のポール獲得は,今シーズン3回目で,前戦イタリアGPに続いて2戦連続となります。2番グリッドをV.ロッシが獲得し,前日と順位は入れ替わってはいるものの,2日連続フィアット・ヤマハ勢によるワンツーとなっています。ランキングトップを行くドゥカティのC.ストーナーが3番グリッドを獲得していて,今シーズンのランキング3位までが上位3つのグリッドを獲得した形となりました。G.タルマクシの突然の加入により苦しい立場に立たされている高橋裕紀は,16番グリッドからスタートすることになりました。
250ccクラスは,アプリリアを駆るH.バルベラが,今シーズン初となるポールを獲得しました。2番グリッドは,ここまでランキングトップを行く同じくアプリリアのA.バウティスタでした。今シーズンはスペイン人ライダーが各クラスで活躍していますが,この日の予選もスパニッシュライダーのワンツーでした。昨年のチャンピオンであるジレラのM.シモンチェリが,トップ2と同じ1分46秒台に入れて3番グリッドを獲得でした。日本人勢は,ランキング2位を行くホンダの青山博一が6番手,同じくホンダの富沢翔也が今季予選自己最高位となる15番グリッドを獲得しています。
125ccクラスは,アプリリアのJ.シモンが,今季3回目となるポールを獲得しました。デルビのP.エスパルガロが,トップから100分の2秒遅れで2番グリッドとなっていて,このクラスもスペイン人ライダーによるワンツーです。3番グリッドを獲得したのは,アプリリアのJ.フォルガーでした。日本人ライダー勢は,ロンシンの小山知良がラストラップにタイムアップを果たして15番手,アプリリアの中上貴晶は21番手でした。
☆2台体制(MotoGP)
○昨日お伝えしたように,元125ccクラスチャンピオンであるG.タルマクシが,高橋裕紀の所属するスコット・レーシングとの契約が成立し,母国ハンガリーの支援を受けてシーズン途中ながら最高峰クラスに参戦することになりました。この契約により,同チームにホンダから供給されている2台のRC212Vを2人でシェアする形となりました。このことは,昨日お伝えしたように2人にとってかなり不利なこととなりますので,シーズン途中(今大会限り)で高橋が解雇されるのではないかという噂が出てきました。そのためか,スコット・レーシングが予選終了後にプレスカンファレンスを開き,今シーズンは最後まで2人体制でシーズンを送ることが発表されました。途中解雇という噂が否定され日本人ファンとしてはひとまず一安心といったところですが,懸念材料がないわけではありません。まず,サテライトチームにこれ以上ホンダからのマシン供給が増やされることは難しく,シーズンを通して一人1台という状況に変化はなさそうです。それだけに,転倒することが許されず,ある程度押さえた走りを強いられることになります。また,今回のタルマクシの契約では,来シーズンから2年間のオプション契約が含まれていることも明らかとなりました。シーズン当初の予想では,最高峰クラスルーキーである高橋は,今年が勉強の,そして来シーズンが結果を求められる年になるのではないかと思われていました。しかし,来季マシン供給の増加がなかった場合,今年と同じように1台ずつシェアする体制を組むことは考えにくく,強力なスポンサーを持たない高橋がシートを失う可能性が十分考えられます。客観的に見れば,資金獲得に苦労するプライベートチームだけに,このことはある意味当然とも言えます。最悪の場合,高橋は1年限りで最高峰クラスのシートを失うと共に,来シーズンは同クラスに日本人が一人もいないという状況になりそうな気配が出てきました。
2009/6/13(土)
☆ワンツー(MotoGP)
○第6戦カタルニアGPが開幕し,初日は各クラスともフリー走行1が行われました。MotoGPクラスは,昨年のチャンピオンであるフィアット・ヤマハのV.ロッシがトップタイムをマークしました。2番手タイムを,前戦のポールシッターであるJ.ロレンゾがマークし,フィアット・ヤマハのワンツーとなりました。3番手タイムは,現在ランキングトップを行くドゥカティのC.ストーナーでした。スコット・レーシングの高橋裕紀は,9番手タイムと好位置につけました。母国GPに何とか出場しているレプソル・ホンダのD.ペドロサは,痛みに耐えながらの走行をして14番手でした。
250ccクラスは,アプリリアのA.デボンが最速タイムをマークしました。2番手タイムは,現在ランキングトップを行くアプリリアのA.バウティスタがマークしましたが,デボンとの差はわずか1000分の38秒差でした。スコット・レーシングの青山博一が3番手タイムをマークし,好位置につけての初日となりました。ホンダの富沢翔也は,電子系のトラブルが発生したため,わずか5周しか走行することができず,20番手タイムに終わっています。
125ccクラスは,アプリリアのJ.シモンがトップタイムをマークしました。2番手タイムをS.ガデアがマークし,チーム・アスパー勢のワンツーで初日を終えています。アプリリアのN.テロルが3番手タイムでした。日本人勢は,ロンシンの小山知良が13番手,アプリリアの中上貴晶が19番手タイムでした。
☆チームメイト(MotoGP)
○第6戦カタルニアGP開幕にあたり,高橋裕紀が所属するスコット・レーシングから発表があり,一昨年125ccクラスでチャンピオンを獲得したG.タルマクシとの契約が成立し,今回の第6戦からMotoGPクラスに参戦することになりました。今シーズンのタルマクシは,250ccクラスにステップアップを果たしてバラトンリンク・レーシングから参戦していました。しかし,肖像権などの契約問題が発生し,わずか3戦出場しただけで契約を解除していました。その後,複数のチームと交渉を開始し,ついに最高峰クラスのシートを獲得したのです。今回の契約に当たっては,彼の母国であるハンガリーの石油及びガス関連会社であるMOLグループの支援を受けています。ハンガリーの英雄であるタルマクシだけに,こうした資金面のバックアップが国を挙げてありますので,モータースポーツがそれほど市民権を得ていない日本人ライダーにとっては何ともうらやましい限りでしょう。今回の契約でチームは資金面でプラスとなりますが,突然チームメイト(開幕2時間前に告げられたそうです)が誕生した高橋にとっては,かなり複雑な心境なのではないかと思われます。通常2台体制となった方が,データがその分増えますので有利に働きます。しかし,プライベートチームのため,ホンダからは2台しかマシンの供給がありませんので,タルマクシは高橋のスペアマシンを使用することになりました。ということは,スペアマシンのなくなった高橋は,万が一トラブルや転倒でマシンを失った時は,マシンを修復してから再スタートを切らないといけないことになります。さらに,前戦のようにレース中のコースコンディションが変わり,マシンを乗り換えるということになった場合は,タイヤ交換をしてからコースインすることになります。耐久レースならともかく,スプリントレースでのタイヤ交換は,即順位を大幅に下げることを意味します。最高峰クラスルーキーの高橋ですから,その分転倒のリスクが常に付きまといます。逆に,転倒をすることによってマシンの限界を知ることができ,それがルーキーにとってプラスとなります。ところが,今回から転倒することができなくなりますので,ある程度押さえた走りをしなければならないことになります。何とも高橋にとっては大きなマイナス要因を背負ったことになりました。なお,昨日行われたフリー走行1でのタルマクシは,最下位のタイムで初日を終えています。
☆エントリーリスト発表(F1)
○FIAから,来シーズンのエントリーリストが発表されました。それによると,既存の8チームに加え,来季からの新規参入チームとしてカンボス・グランプリ,マノー・グランプリ,チームUSF1の3チームのエントリーが認められました。この3チームとも,来シーズンから導入されるバジェットキャップ制に基づいてコスワースエンジンを使用することになります。来季の新規参入については,この3チーム以外にもプロドライブやロータスといった複数のチームが名乗りを上げていましたが,今回の発表では,GP2の有力チームであるカンボス,ユーロF3のトップチームであるマノー,そして早くから参戦を表明していたUSF1の3チームがエントリーリストに載りました。
ただ,このバジェットキャップ制に関しては,いまだにFOTAを構成する既存チームとの対立が解消していません。既存チームの中でウィリアムズとフォースインディアは,このFOTAとの距離を置きましたが,今回のリスト発表後も他のチームは強硬姿勢を変えていません。レギュレーションが二重体制となるバジェットキャップ制の見直しを訴えるため,新リーグ設立をちらつかせています。また,今回新たな取り組みとして,世界モータースポーツ評議会(WMSC)に調停を求めることにしました。来シーズン参戦のデッドラインが6月19日に延期されましたが,まだかなりの紆余曲折が予想されます。
2009/6/12(金)
☆スペイン(MotoGP)
○MotoGPでは,各クラス共にイタリア人ライダーとスペイン人ライダーによるバトルが展開されていますが,今シーズンはどちらかというとスペイン人ライダーの活躍が目についているところがあります。そのスペインでは,今日から第6戦カタルニアGPが開幕します。このカタルニアGPでは,現在MotoGPクラスでランキングトップを行くフィアット・ヤマハのJ.ロレンゾがスペシャルカラーリングで参戦することが発表されました。サッカーのスペインリーグに所属するFCバルセロナは,今シーズンのヨーロッパ・チャンピオンズリーグで3度目の優勝を飾りました。また,国内リーグ及びカップ戦を制して,クラブ史上初めて3冠を達成しました。この度,これを記念して,スペイン人ライダーのロレンゾが,地元で開催されるグランプリに同チームのロゴマークの入ったM1とヘルメット,ツナギ,グローブをつけて走行することになったのです。
また,前戦イタリアGPのフリー走行2で右足大腿骨大転子を骨折するという重傷を負ったレプソル・ホンダのD.ペドロサが,わずか2週間しかインターバルがなかったものの,今回のカタルニアGPに参戦することになりました。入院及び手術といった治療ではなく,数日間絶対安静するという診断だったのですが,この度バルセロナの病院で精密検査を行い,医師から参戦の許可が出ました。この診断には,かなりペドロサの思いが反映されていたのではないかと思われます。熱狂的な母国でのGPですし,チャンピオン争いを戦う上でも,これ以上のノーポイントは何としてでも阻止したいところです。まだかなり痛みは残るようですが,1ポイントでも多く獲得する走りを見せてくれるのではないでしょうか。もう一人のスペイン人ライダーであるドゥカティのS.ジベルノーも,万全な体調ではないものの,先日参戦を発表しています。やはりラテンの血は,かなり熱いものを感じさせてくれますね。
2009/6/11(木)
☆新型車で(SGT)
○先日,昨シーズンまでGT300クラスに参戦していたR&D SPORT社から発表があり,8月23日(日)に鈴鹿サーキットにおいて決勝レースが行われる第6戦「鈴鹿700q」(昨年までは「鈴鹿1000q」として行われていたレースです。)から出場することが発表されました。同社は,レース車両の開発及びレース参戦を主業務とするモータースポーツ専門会社で,昨シーズンまではVIEMAC320Rといったオリジナルレース車両を開発・販売していました。今シーズンは参戦を見合わせていましたが,今回の参戦で使用することになるマシンは,つい先日フルモデルチェンジして発売が開始されたスバルのレガシィB4をベースとしたものです。スバル車と言えば,昨シーズンまでクスコがインプレッサでフル参戦(クスコは,今シーズンの参戦を取りやめています。)していましたが,今回のマシンはこれとは全くの別物になります。今シーズンのGT300クラスは,トヨタのアクシオやレクサスIS350といった4ドアの車をベースとしたマシンが参戦していますが,もう1台4ドアの市販車のマシンが増えることになります。なお,チーム体制,ドライバー,スポンサーといった具体的なことに関しては,後日発表されることになっています。
2009/6/10(水)
☆F1も?(F1)
○バジェットキャップ制問題で対立するFIAとFOTAですが,条件付きでFOTA側は来シーズンのエントリーをしていますが,その条件をFIA側が飲むかどうかも微妙な情勢です。このままで行くと,現在F1に参戦しているほとんどのチームが来シーズン以降の参戦を見送ることになってしまいます。そのことに関して,新たな噂が浮上して生きています。その噂というのは,FOTA側が新たなシリーズを立ち上げるのではないかと言うことです。もしそうなった場合,誰か(どこかの組織)が統括する必要性が出てきます。そこで名前が挙がっているのが,DORNA代表であるC.エスペラータです。2輪レースに興味のある方はご存知の人物ですが,そうです,現在MotoGPの商業圏を所有しているあのスペインの企業です。一時期人気にややかげりが見え始めたGPでしたが,DORNA社がイニシアチブをとってMotoGPとして開催されるようになってから,再び現在のようにヨーロッパを中心にして人気シリーズになっています。まあ,運営の全てがうまくいっているとは言えず,いくつかの改革で反対の声が上がったりしますが,総じて今のところF1ほど大もめになるような状態ではありません。報道によると,既にFOTAとエスペラータとの話し合いはもたれているようで,今後大きな進展があるかもしれません。ただ,4輪の最高峰であるF1と,2輪の最高峰であるMotoGPの両方とも1つの企業が統括することになってしまいますので,放映権など色々な点で価格が上昇する可能性もあります。これはこれでまた新たな問題となりそうです。
2009/6/9(火)
☆廃止か?(F1)
○今シーズンの目玉の一つであるKERS(エネルギー回生システム)が,1年限りでF1から無くなることになるかもしれません。これは,F1に参戦するチームで組織するFOTAが,トルコのイスタンブールで行った会議で来シーズンこのKERS廃止を決定したことによります。もちろん,あくまでもFOTA段階での話ですから,今後FIAとの交渉となり,そこでの話し合い如何によっては廃止とならない可能性も残されています。今シーズンから新規導入となったKERSですが,当初は搭載の義務化がうたわれていました。しかし,開発に時間やお金がかかることもあって,義務化は廃止され,搭載に関してはチームの判断に任せることになりました。その結果,実際に搭載したのは,フェラーリ,マクラーレン,BMWザウバー,ルノーの4チームに留まりました。しかも,BMWとルノーに関しては,既に搭載を休止しているような状態で,フェラーリとマクラーレンの2チームのみが実質的に使用している状態にまでなっています。バジェットキャップ制に揺れているF1界ですが,これは予算を削減することが目的です。その予算削減で言うと,このKERSシステムは予算を高騰させる原因の一つになっています。環境問題への対応を目的に生まれたこのシステムですが,お金はかかるし,開発段階での安全性に問題があったり,レース結果にそれほど大きな影響を与えているわけでもないですし,スタンドで観戦している側にも使っているのかそうでないのかがわかりにくかったり(テレビでは,画面に電池のような形のものが出て,それが黄色に変わると使っているというのがわかりますが。)しています。こうしたことを受け,KERSシステムの推進に積極的だったBMWは難色を示したものの,現在搭載している2チームも廃止に賛成の立場に回ってFOTAでの話し合いでは廃止が決定となりました。
2009/6/8(月)
☆4連勝(F1)
○第7戦トルコGPの決勝レースが,ドライコンディションのイスタンブール・パーク・サーキットで行われました。2番グリッドからスタートしたのは,ランキングトップを行くブラウンGPのJ.バトンで,ポールからスタートしたレッドブルのS.ベッテルと共に好スタートを切りました。両者の争いはオープニングラップから展開され,早くも1周目でバトンがベッテルをパスしてトップに躍り出ました。そのバトンは,ファステストラップを連発したり,2位のマシンよりコンマ数秒速い走りをしたりして徐々に後続との差を広げていき,最終的にはタイムを落とすクルージング走行となって4連勝となる今季6勝目を挙げました。2位には,ベッテルのチームメイトであるM.ウェーバーがベッテルを押さえて入り,レッドブル勢2ツースリーという決勝結果となりました。優勝したバトンのチームメイトであるR.バリチェロは,マシンとの接触があったりして順位を下げ,最終的には同チーム初となるリタイアに終わっています。唯一の日本人ドライバーであるウィリアムズ・トヨタの中嶋一貴は,ピットストップを少し遅らせたこともあって一時期は4位を走行していました。ピットに入ってからもポイント圏内を走行するいい走りを見せていましたが,最後のピット作業で左フロントタイヤの装着に時間がかかってしまって順位を下げ,最終的には12位でチェッカーとなっています。今季初ポイント獲得を狙っていた今回のレースだけに,何とも惜しい結果となってしまいました。
2009/6/5(金)
☆本命(8耐)
○『鈴鹿8時間耐久レース』の前哨戦として位置づけられている『鈴鹿300q』は,14日(日)決勝レースが行われる予定になっています。その鈴鹿300qに向け,6月2日(火),3日(水)の2日間にわたって4メーカーの合同テストが鈴鹿サーキットで行われました。今年の大本命と目されているのは,今シーズンからHRCの開発ライダーとなり,8耐ではTSRから参戦することになっている秋吉耕佑と,8耐でも優勝やポール獲得といった輝かしい戦績を残している同じくTSRの伊藤真一のペアです。その大本命と言えるペアが,初日にトップタイムをマークしました。このタイムは秋吉が出したものですが,そのタイムと同じタイムをYSP Racing Teamの中須賀克行も出しています。ただし,両者の違いは,秋吉が8耐に合わせた耐久仕様のマシンなのに対し,中須賀は通常JRRで使用しているスプリント仕様のマシンですから,より秋吉の方が好タイムと表現できるでしょう。耐久仕様マシンでの2番手タイムは,先日オートポリスで行われた第3戦をポールトゥーフィニッシュで制したHARC-PROの山口辰也でした。同チームは,ペアライダーである小西良輝はもちろん,今シーズン籍は同チームにあるものの,通常のレースには出場機会のない元ST600チャンピオンの安田毅史も走行し,8耐本番に向けて盤石の体制を整えていると言えます。
2日目の走行は,初日がドライだったのに対して,この日は途中で雨がぱらつき,やや低い路面温度というコンディションでした。そのような中でもトップタイムだったのは,TSRの秋吉耕佑でした。秋吉のタイムが2分8秒0だったのに対し,ペアライダーの伊藤真一も2分8秒5の好タイムをマークし,2人の相性のよさを示して大本命の座を守ったような結果でした。2番手タイムも,初日と同じく山口辰也がマークしています。初日はマシントラブルが発生してほとんど走行できなかったヨシムラの酒井大作と徳留和樹(今シーズン秋吉と入れ替わる形でHRCからヨシムラに移籍)でしたが,2日目は酒井が伊藤真一と同じタイムを出しています。
2009/6/4(木)
☆名門復活(F1)
○FIAが導入しようとしているバジェットキャップ制については,これまで何回もお伝えしたように既存のチームから撤退をちらつかせながら大反対を受け,まだ具体的な決定は見ていないものの,変更が加えられることは間違いないこととなっています。ただ,今回のこの制度が,新しいチームの参戦を促進していることも確かです。既に複数チームがエントリーを届けていますが,その中の一つにマーチ・レーシング・オーガニゼーションがあります。マーチ・レーシングといえば,現在FIA会長を務めるM.モズレーをはじめ,A.リース,G.コーカー,R.ハードらによって1969年に設立したチームです。1977年まではフル参戦を,それ以後はチーム売却などで散発的な参戦となり,1992年シーズンをもってF1から姿を消していました。その間,207戦に出場していて,優勝3回,ポール4回、ファステストラップ7回を獲得しています。また,N.ラウダやR.ピーターソンなど有名ドライバーも走らせています。1989年には赤城明氏に売却され,『レイトンハウス』のチーム名で参戦していますので,こうした点でも日本人に馴染みのあるチームではないでしょうか。1990年にI.カペリ(オールドファンにはなつかしい名前ですね。)の手により2位表彰台を獲得したものの,翌年に赤城氏が不正融資で逮捕され,1992年にA.フィットン氏にチームが売却されました。その後も施設等は売却されたものの,チーム名の権利はフィットン氏が所有し,今回の復活劇となりました。
そして,もう一つ過去の名門チームの名前が,ここにきてエントリーするのではないかということで浮上しています。それは,J.ブラバムらを中心にして1960年に設立された「ブラバム・グランプリ・リミテッド」です。過去にはB.エクレストンも所有したことのある名門チームですが,およそ30年に及ぶ活動の間,402戦に出場し,ドライバーズタイトル4回,コンストラクターズタイトル2回、優勝35回、表彰台120回、ポール獲得40回、ファステストラップ43回、総獲得ポイント数832となっています。また,N.ラウダ,G.ヒル,N.ピケなどがドライバーとして所属していました。現在はフォームテック社がブラバムの権利を有していますが,このフォームテックは,昨シーズンスーパーアグリF1が撤退した際,施設やマシン等を買収した会社でもあります。名門ブランドと昨年まで実際に使われた施設を有しているわけですから,単なる噂に留まらない可能性が高いのかもしれませんね。
2009/6/3(水)
☆再び(MotoGP)
○レプソル・ホンダのD.ペドロサは,先週行われたイタリアGPのフリー走行2において,転倒はしなかったものの,リアタイヤがスライドした際にバイクで右足太腿の付け根あたりを強打するというアクシデントに見舞われてしまっていました。激痛に耐えながら予選,及び決勝に出場し,予選は8番グリッドを獲得したものの,決勝は11位走行中の13周目に転倒を喫し,リタイアに終わっていました。レース終了後にバルセロナに戻って精密検査を受けた結果,右大腿骨に骨折があることが判明しました。現段階では入院治療の必要はないようですが,投薬による治療と安静が必要だとのことです。ペドロサといえば,昨シーズンのオーストラリアGPで痛めた左膝を,今年3月に行われたカタールでの合同テストで再び痛めるというアクシデントに見舞われ,しばらくの間思うように足を動かすことができない状況にありました。最近になってようやく回復し,連続表彰台獲得するまでになっていました。ところが,ここに来て新たな怪我に見舞われることになってしまい,まさに「泣きっ面に蜂」という感じです。来週は母国GPとなるカタルニアGPがありますが,それに出場できるかどうかは,今週中に新たに受ける精密検査の結果次第ということです。
2009/6/2(火)
☆大人気(MotoGP)
○GPでの中排気量クラスは,長年2ストローク250ccマシンで争われてきましたが,来シーズンから4ストローク600ccマシンが登場することになり,名称がMoto2クラスへと変更されます。ちょうど最高峰クラスがMotoGPクラスとなり,4ストローク990ccマシン(現在は800cc)になったのと同じと言えます。そのMotoGPクラス初年度は,それまでの2ストローク500ccマシンとの混走でしたが,Moto2も同様で,初年度となる来シーズンはそれまでの250ccマシンと新規の600ccマシンとの混走で行われることになっています。先月30日が来シーズンのエントリー締め切りとなっていて,先日その結果がFIMより発表されました。それによると,全部で47チーム91名のライダーの届け出があったとのことです。その内250ccマシンでの参戦希望は,わずか2名しかいなかったようです。ここ数年の内に,JRRではST600クラスへの参戦者が大幅に増えて大人気となっていますが,Moto2クラスも同じような状況になっているような感じです。
このMoto2マシンですが,これまた既に発表されているように,車体はレース専用でなければならず,エンジンに関しては,ホンダのワンメークとなっています。既にいくつかのチームが新しい車体を公開していて,その中には日本を代表するコンストラクターであるモリワキも含まれています。モリワキといえば国内におけるホンダ系の有力チームですが,もう一つの国内ホンダ系有力チームにTSRがあります。TSRは現在JRRでの活動がメインとなっていますが,以前250ccクラスのオリジナルマシンを販売していて,GPにおいて数々の勝利を挙げた歴史があります。どうやらこのTSRも,Moto2クラスマシンの開発が今後始まることになるようです。TSR代表の藤井正和氏によると,来シーズンの日本GPにワイルドカードでの参戦を目指しているとのことです。既に海外からの問い合わせがいくつも来ているようですから,もしかしたらマシン開発が急速に進むことになるかもしれませんね。
2009/6/1(月)
☆初優勝(MotoGP)
○第5戦イタリアGPの決勝レースが,不安定な天候のムジェロ・サーキットで行われました。250ccクラスのレース直前に雨が降った影響から,MotoGPクラスの決勝レースはウェットコンディションで始まりました。しかし,徐々に路面が乾き初め,ドライ用セッティングを施したマシンに乗り換えるレースとなり,徐々にペースアップを果たしたドゥカティのC.ストーナーが今季2勝目を挙げました。ストーナーの優勝は,開幕戦のカタールGP以来となります。イタリアの2輪メーカーであるドゥカティですが,今回が同社にとってGP母国初優勝となります。サイティングラップで足下をすくわれ,転倒を喫してしまうというピンチに陥ったフィアット・ヤマハのJ.ロレンゾでしたが,ピットロードクローズとなる前にマシンを乗り換えることに成功し,何とかグリッドにつくことができました。レース序盤はペースが上げられなかったものの,ドライ用マシンにスイッチしてからペースアップを果たして順位を上げていき,最終的に2位でチェッカーを受けました。母国GP8連覇及び自身通算99勝目を狙ったフィアット・ヤマハのV.ロッシは,マシンを乗り換えて順位を下げたものの,再びペースアップを果たして最終的に3位表彰台を獲得しました。この結果,ランキング争いでストーナーがトップに浮上し,以下ロレンゾ,ロッシの順になりました。最高峰クラス自己最高となる10番グリッドからスタートしたスコット・レーシング・チームの高橋裕紀は,マシンを乗り換えた直後に転倒を喫してしまい,残念ながらリタイアに終わっています。
250ccクラスは,冒頭に記したようにレース直前に雨が降り始め,ウェットコンディションでのレースとなりました。アプリリアのM.パッシーニとA.バウティスタ,ジレラのM.シモンチェリの3台によるトップ争いが展開されましたが,シモンチェリが強引にコーナーに飛び込んだためバウティスタと共にコースオフ。一旦はパッシーニが単独走行となりました。しかし,再びシモンチェリとバウティスタがペースを上げていき,終盤にはパッシーニとシモンチェリとのバトルとなって,最後はパッシーニが今季初優勝を飾りました。パッシーニの優勝は,昨年のカタールGP以来となります。2位に入ったシモンチェリと3位に入ったバウティスタに関してですが,レース途中の接触が問題となり,審議の対象となっています。場合によっては,シモンチェリに対して何らかのペナルティーが科せられることになるかもしれません。ランキング2位を行くスコット・レーシング・チームの青山博一は,ウェットコンディションで思うようにペースを上げることができず,6位でのチェッカーとなりましたが,ランク2位の座は何とか守っています。ルーキーの富沢翔也は,7周目に転倒リタイアに終わっています。
125ccクラスは,唯一ドライコンディションの中でのレースとなりました。アプリリアのB.スミス,N.テロル,J.シモンの3台による激しいトップ争いが展開されていきましたが,終盤になってシモンがややペースダウン。最後はスミスがテロルを少し離して今季2勝目を挙げました。ランク首位のシモンが3位に終わったため,今回優勝したスミスがランクトップに浮上しています。22番グリッドからスタートしたアプリリアの中上貴晶は,徐々に順位を上げていき,最後は15位に入って貴重な1ポイントを獲得しています。ロンシンの小山知良は,3周目にピットに戻ってそのままリタイアとなってしまいました。
☆サバイバル(FN)
○第3戦の決勝レースが,雨が降ったりやんだりという不安定な天候のツインリンクもてぎで行われました。その不安定な天候に翻弄され,レースはウェット用タイヤとドライ用タイヤとを履き替える難しいものとなりました。こうした難しいコンディションにより,足下をすくわれてアクシデントが次々に発生し,リタイアを喫するマシンが続出していきました。そのような中,ポールからスタートしたPIAA NAKAJIMAの木暮卓史は,トップに立ったり順位を下げたりといったレース展開となりました。38周目にピット作業を済ませた木暮は,ウェット用タイヤを履いたままコースに復帰しました。その段階でトップに立っていたHFDP RACINGの塚越広大は,ドライ用タイヤで走り続けました。木暮と塚越とのギャップはどんどん縮まっていき,残り3周というところでついに木暮がトップに浮上しました。木暮はそのトップの座を守り,今季初優勝を飾りました。ウェット用タイヤを選択したLAWSON TEAM IMPULのB.トレルイエが,続いてTeam LeMansの石浦宏明が塚越をかわし,表彰台を獲得しています。ファイナルラップで3位に立った石浦は,これが自身初となる表彰台獲得です。なお,リタイアが続出した今回のレースは,何と最終的に完走が全部で7台という厳しいサバイバルレースでした。
     
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