『遍路の歩き旅には予想外のことが次々に起こる。三日も歩けば本にないことばかり。ならば気になる作法などもガイドブックに頼るのではなく、見よう見まねで学んでいく。解らなければ人に聞く。自分の頭で考える。正解は一つではない。不自由や過酷を楽しむつもりでいれば、事前にすべてを知っている必要はないのだ』
遍路ブームで四国に向かう人は多い。必然的にリタイヤしてしまう人も…。きっかけは何だったのか。人それぞれだろうが、誰かが書いた本に触発されて旅に出た人も多いのでは。
1200`を歩き抜いたお遍路さんが書いた本は感動的であり、普通の生活では味わえない体験、新しい発見がある。でも、それは“追体験”でしかない。自分の足で歩くしか遍路とは何かを知ることは出来ないのかもしれない。
加賀山さんの遍路本を読むのはこれで2冊目。サブタイトルは「美人をたずねて…」。『お遍路入門』と同じように面白く読ませる本かと思って買ったが、ちょっと違う感じ。この本の方が少し“硬い”。短いエッセイの中に旅の心得を書き込んでいる。たぶん、いや、きっと、歩き遍路は楽しいものではなく厳しいに違いない。だから憧れるのですね。
(平凡社新書、740円+税)
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