『四国八十八ヵ所を巡る「お遍路」がブームだ。自らの足で巡り歩く「歩き遍路」の数も着実に増えている。「巡礼は道中にあり」という言葉が示すように、道すがら出会う地元の人々や同じ歩き遍路との交流なくして巡礼の醍醐味は得られないからだ。いつの日か四国を歩いてみたいと考える未来のお遍路さんに向けて、知られざる四国遍路の実相を伝え、巡礼を「癒し」の一言で括ろうとする時代風潮に舌鋒鋭く迫る異色の遍路入門書』
お遍路ブームらしい。年間、何万人が四国を廻るという。車やバスなら、お金と時間を別にすれば、それほど苦労することなく四国1周ぐらいできるかもしれない。でも、歩き遍路だったらどうだろう。現代人が1日に何十キロも歩くことはまずないし、知らない土地を何十日と彷徨うことも考えにくい。
副題が「人生ころもがえの旅」となっているように、人は、人生の区切りに期すものがあって、お遍路さんになるのだろう。筆者の加賀さんは2度の遍路経験から、遍路がまとう白装束や四国の人々との交流、お接待、食事、野宿などについて軽妙なタッチで書いている。「癒し」を求めるのではなく、予定の立たぬ旅を「独りゆくべし」
オートポリス500ラップは目標だけど、歩いて四国1ラップは憧れ(笑)
(ちくま新書、720円+税)
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