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2006年8月17日(木)
世田谷一家殺人事件 侵入者たちの告白(齊藤寅)

『私は、アジアを中心とした外国人留学生のあいだにつくられているという、クリミナル・グループ(犯罪集団)の実態解明に没頭していった。探索していくうちに、この世田谷事件の取材が、イコール、クリミナル・グループにたいする全体的な探索・調査であることを確信していた』

2000年12月30日深夜に発生した世田谷一家殺人事件。いまだ解決を見ないこの大事件の実行犯を点と点を結ぶように特定していく。その点とは大阪の風俗嬢殺人であり、大分の恩人夫婦殺害である。捜査に関わる刑事らから得られた情報をつなぎ合わせて、三つの事件の犯人たちの関わりを浮かび上がらせていく。そしてクリミナル・グループに属する外国人から実行犯の「告白」を聞く。

クリミナル・グループは「金を得る」目的だけを介してつながっている。インターネットで情報を交換し、狙いを定める。実は大分の事件は私の生活圏の近くで起こった。この本を読んで、凄惨な犯行に改めて息を呑む思いだった。日本に対する屈折した思いが、留学生らを犯行に走らせたのだとしたら悲しい。

先日、警察庁か警視庁がこの本について事実と違うと発表していた。警察の“セクト主義”が事件解決を阻んでいると批判されたことに対して、異例の反論ということだろうか。事実を知りたい。
(草思社、1400円+税)