『新聞という産業は今、様々な危機に直面している。止まらない読者の減少、低下し続ける広告収入、ITの包囲網、消費税アップ、特殊指定の見直し――そして何より、金科玉条としてきた「部数至上主義」すなわち泥沼の販売競争は、すでに限界を超えている』
生活のなかで新聞を必要としてない人が増えているから、部数が落ち続ける。実際に一日のうちでどのくらいの時間読まれているのだろう。情報量は多いけど自分の欲しい情報がどれほどあるのか。新聞という形で情報を提供することで“無駄”が発生するのか。加えて販売戦略によって実際には読まれていない新聞を刷っている。膨大なエネルギーの無駄だ。
筆者は毎日新聞社の元取締役。新聞の内幕を深く知っているのだろう。販売競争、新聞によるテレビ支配、ネット・携帯電話の台頭…。業界が抱える問題点を一つ一つ挙げ、その解決を訴えている。紙面には正論を載せ、内部の問題には触れない。新聞業界は変われるのか、それともこのまま倒れてしまうのか。もちろん、ジャーナリズムとしての新聞の役割はまだある。それを最大限に生かすことで生き残りを図るべきだろう。
(新潮新書、700円+税)
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