第8章  住んでみて、はじめて気づく

<1997年 8月>
7月末、ついにわたしたちの新居は完成しました。引き渡し、検査を終え、引っ越せる状態になったのです。何度も訪れたミサワホームのショールームで、鍵を受け取り、花束をもらい、拍手で送られました。ちょっとこそばゆい気分です。
8月のはじめに引っ越しをし、新しい生活が始まりました。
めでたし、めでたし。
で、完結してしまっては、家づくりは面白くもなんともありません。よく言われる言葉に、「家は3回建てたら満足いくものができる」というのがあります。「工事が終われば家は完成」ではないのです。本当の意味での家づくりは、ここから始まるのです。
住んでみて、はじめて気づくということが多々あります。
いくら完璧に設計したつもりでも、いざ使ってみると案外落とし穴があるものです。でも、それはメーカーのせいでも、自分のせいでもありません。気づかないで当たり前なのです。いくつか例をあげましょう。
掃き出し窓は2メートル超の採光のよいものです。当然掃除には労力が入ります。でも、掃除に労力がいるからといってこれが失敗なわけではありません。
2階の傾斜天井は雰囲気はよいのですが、はじっこは普通の天井より低く圧迫感があります。また、傾斜天井の一番高い部分が踊り場とクロゼットになっており、部屋としては傾斜天井のいちばんおいしい部分を損なっています。でも、おかげでクロゼット中のタンスの上には衣装ケースを3つも重ねられます。
LDKは広いので、冷暖房が心配でしたが、これは思ったよりよく効きます。密閉型のおかげでしょう。反対に夏の温度上昇にはきついものがあります。夏暑く、冬暖かいというのが現状です。
軒の出ゼロなので、雨が直接窓に当たります。窓の汚れが普通よりひどくなります。これは盲点でした。
付和室タイプの和室に縁側をつけたのはとても使い勝手がよいです。ふつうなら、2畳分増やして和室を広くするところでしょうが。
階段下に工事中急遽、収納をつくってもらいました。これがことのほか便利です。子ども部屋は南の掃き出し窓しか窓がありません。これは反省点でした。

などなど、数えあげたらきりなくいろいろと出てきます。
しかし、だから家づくりが失敗したというわけではないのです。不便なところは生活の中で工夫していく、使いづらいところは改造してもよいでしょう。家族の年齢が変化していけばそれ相応にリフォームもするでしょう。
年とともに、家も成熟していくのです。そこに住む人とともに家も変わっていく。それが家づくりなのではないでしょうか。

ですから、家づくりは「建物の完成がスタート」なのです。さてさて、これから我が「自由空間2」はどんな人生を歩むのでしょうか。また機会があればお伝えしたいと思います。
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