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| 日本国内における2輪ロードレースの最高峰，それがこの全日本ロードレース選手権（このサイトでは，JRRで表記します。）です。そのJRRにおける最高峰が，JSB1000クラスです。以前は，メーカー直系のワークスチームのみにタイトル獲得の可能性が実質的にあるという状態でしたが，JSBクラスとなってからワークスの参入が認められなかったため，原則としてプライベーター同士の争いが展開されていきました。しかし，ヤマハがワークス参戦を復活させてから，中須賀克行の国内における圧倒的な強さと速さもあって連続してチャンピオンを獲得する状況となり，他メーカーも対策を考えざるを得ない状況となってきました。 そのような中，中須賀＆ヤマハが6年連続チャンピオン獲得を目指してスタートした昨シーズンでしたが，タイヤのサイズが昨年までの17インチから16.6インチへと変化したのに対して中須賀＆ヤマハのマッチングがうまくいかなかったのが，シーズン前半は完走さえままならない状況となりました。それに対して力を見せたのが，ホンダのエースライダーである高橋巧と，昨年発売が開始された新型のCBR1000RR SP2でした。中須賀がノーポイントを続けている時に優勝を飾ったりしてポイント差を広げていき，最終的に自身初となるチャンピオンを獲得しました。ただ，中盤から終盤にかけて中須賀&ヤマハが昨シーズンまでの強さと速さを見せるようになり，シーズン序盤の状況がなければ高橋のチャンピオン獲得が厳しかったかもしれません。それに対応するためか，今シーズンからホンダも再びワークス参戦することを決断し，ディフェンディングチャンピオンの高橋を"TEAM HRC"から参戦させることになりました。最高峰クラスのおけるHY戦争が，再び始まる状況となっています。 今シーズンのもう1つの話題は，レース数の増加でしょう。昨シーズンまでは年間1桁のレース数しかなく，国内最高峰のレースとしてはちょっと寂しい状況が続いていました。しかし，大会数自体は変わらないものの，2レースの大会が複数組まれるようになったため，今シーズンから一挙にレース数が増え，年間13に増加しています。 地球環境の悪化から，現在の2輪レース界は，2サイクルマシンが徐々に姿を消し，4サイクルマシンによるレースへと変貌しました。MotoGPの中・軽量級クラスが，全て4サイクルマシンに替わったのと同じく，JRRも2012年シーズンから全てのクラスが4サイクルマシンでのレースとなり，今シーズンもJSB1000，ST600，J-GP2，J-GP3の4クラスでの開催となっています。ただ，まだ今シーズンもJRRの正式カテゴリーではありませんが，このところ隆盛を見せている4サイクル250ccで争われるカテゴリーであるJP250クラスが2016年シーズンから発足しました。正式カテゴリーでないだけに，決勝レースは原則として土曜日に実施されます。しかし，入門カテゴリーとして今後ますます重要視されることは間違いなく，いずれ正式カテゴリーとしてJRRに加えられる可能性を秘めたものと考えていいでしょう。 かつては，「全日本でチャンピオンに輝いて世界へ」という流れがありましたが，今はその流れが全くと言っていいほど見られなくなりました。それと呼応するように，観客動員を含め低迷した状況が続いています。2輪業界は，250ccを除いて販売台数がずっと低迷してきています。それを象徴するかのように，かつては「YH戦争」と言われたホンダとヤマハが，50ccバイクの製造で提携をするという事態にまで至っています。日本の2輪レース界の，さらに2輪販売の活性化のためにも，関係者の努力がより一層必要になってきています。 なお，昨シーズンはST600クラスに，我が大分県を代表するヤングライダーである清末尚樹と和田留佳が，カワサキ陣営の有力プライベートチームの1つであるRS-ITOHに所属して今シーズンもフル参戦しました。その内，清末尚樹が同クラスを卒業し，今シーズンからJSB1000クラスへとステップアップを果たしました。最高峰クラス1年目ですから，ポイント獲得が当面の目標になるものと思われます。和田選手も含め，ぜひ皆さん2人のライダーへの応援をお願いします。 |
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