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子どもの心を傷つけない治療
かずの歯科診療所 数野正
昭和57年6月1日 健窓 より
かずの歯科の前院長の新聞記事です。
小児歯科についてです。

26年前から
基本的な考え方は
変わりません。

「小児歯科」の必要性

 小児歯科専門の歯科医院がなぜ必要でしょうか。今まで大人の患者さんの間で、小さくなって歯の手当てを受けていました。思いきり安心して泣ける環境、気兼ねのない子どもばかりの患者さん。のびのび治療のできる環境が小児歯科専門フロアーです。
 小児の治療は、大人と違って特殊技術が必要です。先ず、子どもの大好きな先生、子どもを可愛がる歯科衛生士や歯科助手が必要です。
 一回か二回、思いきり泣くと、痛くないのが分かれば、子どもは一人で治療台に登りだします。一回でも子どもの意思に反して、強制的に痛い目にあわせると、心の奥に焼きついた苦しみの記憶は、一生涯の長い間、性格異常となって残ります。
 □の中に「むし歯」がたくさんある青年がよく来院します。しかし歯の痛みがとれると来院しません。歯でどれほど苦労することでしょう。
 小さい時に焼きついた、ある不幸の思い出は、無意識の世界に潜んでいて、無意識に性格をゆがめています。特別の性格異常となり
ます。ひがんだ心の持ち主となってしまいます。
 小児歯科専門医の仕事は、非常に大切なのです。痛くない治療、無理をしない治療、子どものなっとくのいく状態での治療が必要なのです。少し痛い目にあっても、そのあとで安心のできる治療と、ひきつづいて治療のできる状態を作ることが大切です。
 歯科治療によって受ける幼児の心の痛手を、お母さんは簡単に考えないで下さい。すなおな子どもに育てるために、小児歯科は絶対に必要な専門分野です。
 当診療所では、今回の新築を機会に、2階を一般診療所、3階を小児歯科専門のフロアーとして実現しました。そしてお母さん方に、おやつのこと、砂糖の害、食事の重要性、噛み方、歯の正しい手入れ法などの指導をしています。
 小児歯科は遊びの中でいま一つ大切なことは、幼児の遊びの中で治療を実施することです。幼稚園のような雰囲気の中で歯科治療に新しい環境を作ってみました。子どもたちが喜んで来院する遊び場をもった歯科治療の専門フロアーを3階に設置しました。
 子どもの治療は非常にむずかしいのです。大人でも、小さい外科手術に手を縛って安全を期しますように、子どもの小さい口の中は動いたら大へんです。歯科治療は進歩しています。どのような、あばれる子どもでも安心して治療が受けられます。
 治療する歯だけを出して、薬品が□の中に流れこまないようにします。
 幼児期は、発育の盛んな時期に使う大切な乳歯です。大人と同じように充填したり、金冠を入れたり、義歯を入れて大人の歯の正しい位置を確保したりもします。
 乳歯の手当ての適否は大人の歯に影響します。楽しい歯科治療の夢を実現しました。子ども同志の競争心理を上手に活用できるのも小児歯科専門フロアーの特徴です
 三人も同じ子どもが治療台に並ぶと、面白いほど子どもの心理は動きます。子どもの歯医者さんという雰囲気が、小児歯科には必要です。
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子供の健康は母親次第

 お母さんの考え方が、子どもの健康を左右します。妊娠中にビタミン剤などを服用したお母さんから生まれた子どもには、歯牙に着色した歯が生えてくるという報告があります。
 妊娠中にお母さんが食べたものが、赤ちゃんの体質を創っているのです。
 妊娠中のお母さんが、胎児のことを考えて、毎日の食品を選んで食べているか否か、たとえばカルシウムの多い食べものを知っているかどうか、子どもの歯質はお母さんの考え一つでどうにでもなります。 
子どもの飲みものを調査した統計があります(第1表)。
 この統計は、親の責任ある育児方法が、子どもの健康を左右することを明示しています。
 4歳児で上下20本全部むし歯の子どもが来院しました。お母さんに次のようなお話をしてあげました。
「昔は自然の食べものがたくさんありました。今はお店に行くと食品という名の商品ばかりです。工場で作った食べものを食品といいますよ。最近は成分の分からないものがたくさんあります。よほど注意して選んで下さい」
 このお母さんに、話の意味が分かったでしょうか。
 研究室で、ラットに普通の水道水だけを飲ましておけば「むし歯」はできません。むし歯ができないだけではありません。精神、神経も正常ですから、おとなしく育っていきます。同じカゴに数匹入れても、共食いすることもありません。硬い固型食を与えて、よく噛むようにしてやれば、全く安心して育てられます。
 ところが糖分を加え、粉食にすると脱カルシウム現象が起こります。精神状態がおかしくなって、むし歯ができるばかりか、顎骨全体がボロボロになってきます。
 清涼飲料水を一年間飲んだラットの骨は、標本にすると顎骨本体は穴だらけです。脱カルシウム現象が一見して分かります。
 砂糖は毒です。水道水だけで育ったラットは正常な顎骨で、何の異常もみられません。
 粉食の飼育と固型食の飼育では固型食で飼育されたラットは、体格も骨格も壮健に発育します。
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粉食と砂糖は最大の敵 

人間も全く同じことです。「むし歯」が問題ではありません。何を食べるか、よく噛むか噛まないかで、精神も神経も、情緒の発育も大差がつきます。
 むし歯がたくさんできると噛まないで食べるから、偏食がはじまります。硬いものを食べなくなると、歯は弱くなります。歯の根の周囲の血流の流れが弱く、顎骨の発育が遅れます。大人の歯並びまで乱れだします。
 硬いものを力づよく噛む振動が大脳下部の脳下垂体を刺激して、成長ホルモンの分泌を盛んにしますから、強い体格ができます。
 頭の骨の中に大脳があり、噛む振動は大脳皮質の脳細胞を刺激して、コンピュータの役目をなす脳細胞間の連絡網を密にします。
 甘いもの食べて血液を酸性にしますと、脳内の血の巡りは悪く酸素供給も少なくなり思考力も弱くなります。
 よく噛む人は、その振動で脳内血流を早め、酸素供給を盛んにしますから、判断力も増大します。
 自閉症の子どもには砂糖の摂取を最少限にして、力づよく噛む食事法を三ヵ月も実行すれば、その効果がはっきり分かります。
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昔は硬いものを噛んだ 

よく噛める歯並びが一番大切な問題点です。新生児がお母さんの母乳に力づよく吸いつくことが、子どもの行く末の健康を左右します。昔からつよく吸いつくほど、健康な子どもに育つといわれたことは経験の中に生まれた格言で、強く噛むことの始まりです。
 小学校三年、四年生のころになって、大人の歯並びが拙いことに両親はあわてだします。「この子は軟らかいものばかり食べていました」とお母さんは告白します。
 核家庭の両親は、よく噛み噛みしなさいという教育なんて知らないのです。歯ごたえのある硬い食べものや、おやつがなくなってしまいました。
 歯が生えてきた赤ちゃんに、たくあんの古漬けの一片をしゃぶらすということは、今では全くなくなってしまいました。たくあんの古漬けそのものが姿を消してしまいました。食習慣の変化が、体も心も変えつつあります。
 子どもの歯並び(乳歯の歯ならび)に乱れはほとんどありませんが、大人の歯並びが乱れているのです。この乳歯の歯並びのときに力づよく噛む訓練が一番必要なのです。大人の歯並びをよくするために。
 乳歯の下に大人の歯が、大人の歯の頭がすでにできています。三歳、四歳のときに、お母さんの間違った愛情で、軟らかいもの、甘いもの、消化のよいものばかり与えてしまいますと大変です。
 世の中が変わって、昔のような生活の知恵が、家庭の中に生まれません。昔は、手づくりの硬いおやつしかなかったのです。私は香川県で生まれたのですが、そら豆をほうろくで妙ってかじっていた記憶があります。硬い豆です。かりかり噛みます。
 噛めば噛むほど顎の骨は頑丈に発育します。正しい歯並びが揃います。顎の骨だけではありません。体全体の骨格が強く発育するのです。
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耳下腺から出る 若返りホルモン

 この、大人の歯の歯並びの乱れ(歯列不正)は、軟らかいものばかり食べていると、顎の骨が大きくならないから、歯が窮屈に並びます。
 大脳の直下に脳下垂体という成長ホルモン(パロチン)の分泌を司る中枢があります。この脳下垂体による成長ホルモンの分泌を刺激する振動は、力づよく噛む上下の歯が衝突して顎骨を伝わり、大脳内にひびく振動です。飛びはねる運動も大きな刺激が大脳下部に伝わります。
 太陽の下で遊び回ることが、小さいときから大切なのです。自家製の成長ホルモンを十分に摂ることを考えて下さい。
 ひとロ10回ぐらい噛んで食べる人と、ひとロ100回噛んで食べる人とでは、自家製の若返りホルモンの分泌量は10倍も違います。食事は粗食で、少量を三〇分以上時間をかけて食べることは健康の秘訣です
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大切な歯の生長の過程

 子どもの歯も、生え変わる大人の歯も、□の中に生えるときは、歯の頭だけが真っ先に見えます。□の中に見えたときは、歯の根はその時から、だんだんに顎の骨の中に根を突き出します。
 口の中に頭を出し、この頭でモノを噛みはじめますと、この噛む力に対するように歯の根が伸びて、顎の中にしっかり根を下ろします(歯の生長の様子は前頁のカットの絵を見て下さい)。
 乳歯が生えるとき、先ず乳歯の頭が口の中にできます。それから乳歯の根が顎骨の中に伸びだします。この乳歯の根の下に、永久歯の歯がでてきます。乳歯の根が無くなるにつれて、大人の歯の頭が上に伸び上がります。
 懐妊後、約六週間で、体長11cmていどの胎児のころ、すでに歯の芽ができはじめます。出産時には乳歯ばかりか、永久歯さえ頭を出す時期を待っています。
 発育が進むと歯も成長し、歯ぐきの粘膜を突き破って白い歯を表わします。
 歯のはえる時期は、個人によって差があります。お母さんの食べものがすべてを決定します。
 乳歯の健康は永久歯の成長に大きな関係をもっています。乳歯の治療は大人の歯を護るために必要です。抜ける歯だから、と安易に考えないで下さい。
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美食は不健康のもと

 美食、大食、偏食は難病の原因です。現在、難病の多発時代で、どこの病院も満員です。
 自分の健康は、健康なときに一日も早く自分で管理できるようになって下さい。発病してからでは手おくれです。
 それには食べものを選ぶことが肝要です。よく噛まないと、ほんとうの味がでない食べもの、逆にいえば、噛めば噛むほど味の出る食べものを摂って下さい。
「美食」とは口あたりのよい軟らかい食べもの、なめておいしい食事のことです。こういう食事は、口が喜んでお腹が困る食べものといいます。美食をやめて粗食にして下さい。
 さらに「大食」はいけません。お腹はいつも、もう一杯と思ったらやめることです。腹八分は食事の常道、健康の基礎です。
 噛むことに努力すれば、大食はできません。ひとロ100回噛む食事を実行できれば、何を食べても安心です。粗食もおいしく食べられます。その結果、医者にも薬にも頼らない自信がえられます。
 ひと口五〇回噛むことから、先ず実行して下さい。
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一家だんらんの食事

 よく噛んで食べる食事は、なごやかな雰囲気の中で、いや、よく噛んで食べていると、なごやかな雰囲気が生まれます。
 自然食とは何か、健康食とは何か。こんな話題を、時々出して下さい。食事の環境をなごやかにして下さい。よく噛んで食べる食卓が実現します。
 玄米・菜食は、一家全員の協力が必要です。ことに、小さい子どもさんのいる家庭では偏食にならないように海の幸、山の幸を色よく、少しずつよく噛んで食べる習慣を作って下さい。
 偏食の子どもは「むし歯」も多いのです。小さい時からよく噛む習慣を身につけると、問題児が発生しません。よく噛んで食べる子どもは、身も心も健康に、すくすく育ちます。
 歯も体も、心も一体です。
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