5.エピローグ

 温泉が好きになったのは、大学の卒業論文で温泉地を選んだことがきっかけである。タイトルは「甲府市湯村温泉の発達と機能」だったと思う。しかし、子供の頃、父親の職場旅行で、和倉(わくら)温泉(石川県)に行き、そこで七尾湾に面した露天風呂に入浴した印象が強く残っている。この旅館は廃業してもう無いが、いまでも記憶は鮮明である。

 温泉が大好きになったのは、94年4月に別府大学へ着任してからである。すぐにしたことは、別府八湯の制覇、その次にしたことが市営温泉の制覇であった。その後は、一般に開放された温泉施設を逐次回り、98年秋からは友人達と「温泉友の会」を作り、毎週のように温泉浴を楽しむことになった。常連とした温泉は、みかゑり温泉、その他では、紙屋温泉、パストラル、神丘温泉(泥湯)、地獄原温泉などである。いまは、一般客は入浴禁止となっているが、観海寺の復興泉も何回となく入浴した。「温泉友の会」では、入浴後、浴室の清掃をした。しかし、私の大阪への転勤で、会は自然消滅してしまった。

 そういう訳で、私の温泉好きは、いまに始まったことではない。とはいえ、温泉道が新しいステップになったことは、紛れも無い事実である。この文章は、大急ぎで書いたため、ストーリー性はないが、温泉道の一ファンとして、湯遍路に対する道しるべが提供できれば、これ幸いである。「温泉道を極めれば、湯快な人生拓けよう」「男一人、温泉の道、ひとすじに」