第168回 12月19日更新

「小泉デタラメ政治は今年限りだ」
「見えない理念」
「自衛隊派遣で米のご機嫌取り」
「年金改革は数字の変更だけ」

イラクのサダム・フセイン元大統領が米軍に拘束された。報道によると、首都バグダッド陥落から八カ月間、米英占領軍へのテロ攻撃を地下で指揮していたというより、ひたすら小人数で逃げ回っていたようだ。

シンボリックな存在だけに一定の治安効果はあるかもしれないが、イラク国民の占領軍に対する不信感が簡単に和らぐものではない。テロ行為は一般国民の支援を受けて続けられているだけに、事態は大きく変わらないのではないか。

現に、元大統領の拘束直後にバグダッドで大規模テロが発生している。

米英軍はフセイン政権という独裁体制を壊すことに成功したが、イラク国民の心をつかむことには成功していない。先日も米国は「イラク復興事業の受注先は協力的な国の企業に限る」と発表したが、これが内外の激しい批判を浴びている。「占領行政は行き詰まりつつある」との指摘すらある。

こういう現状で、小泉純一郎首相は憲法的解釈やグローバルな理念も示さないまま、自衛隊を派遣して米国のご機嫌を取ろうとしている。日本として、果たしてそれでいいのだろうか?

やはり、米英軍主導のイラク統治を一刻も早く国連主導にして、イラク国民を復興の主人公にする仕組みを構築すべきだろう。急がば回れで、これこそがイラク国内の治安を安定させ、復興活動を円滑に行わせると僕は考えている。

もう一つ、小泉政権の姿勢について疑問を感じさせる動きがある。国民最大の関心事といえる年金改革だ。

厚生年金の保険料水準の上限でいうと、厚生労働省案(年収の二〇%)と財界案(同一六%)が対立し、自民、公明両党はほぼ中間の一八・三五%とすることで決着したが、事の本質は「構造改革」を掲げながら、抜本的改革には一切手をつけず、「負担増大」「給付削減」となる数字だけを変更しようとする首相自身にある。

これまで何度も厚生大臣を務めてきた首相は、その度に「抜本的改革をやる」といっては年金改革法案を提出してきたが、やはり保険料や給付額の数字をチマチマと変更するだけで、年金制度の構造を本質から変えるような改革には取り組んでこなかった。

まさに、デタラメな政治家の極みなのだ。国民の方々の豊かな老後のためにも、こんないい加減な政治は今年限りにした方がいい。