差別禁止法を考える

                                         中学2年 高向 優之介
                                           2004年 10月15日

 
昨年11月18日にハンセン病の回復者の人々を地元に招待する「ふるさと訪問事業」で熊本県南小国町のホテルが22人の宿泊を拒否するという事件が起きた。県は抗議し、感染のおそれは無いと説明したが、拒否の方針は変えなかった。県は去年9月に、このホテルに「11月18日に1泊し、25人程度で高齢者が多い。」と伝えたが、その後ハンセン病の回復者とわかると、「めいわくなので遠慮してほしい」と電話があった。しかし、このとき、従業員は受け入れの準備をしていた。国立ハンセン病療養所菊池恵楓園の太田自治会長は「入所者に対する差別で、ハンセン病への偏見は根強い」と話した。
 
 ハンセン病とは、らい菌により感染する病気で、感染力は極めて弱く、うつることはまずない。しかし、昔は、その人たちを強制隔離し、人権侵害を行ってきた。今では、薬で簡単に完治することができる。更にこの訪問事業に参加した人たちはすでに回復していて菌は持っていない。

 なぜ、宿泊拒否のような問題が起きたのか。それは、ハンセン病に対する知識の無さがこの事件の起きた一番の原因だと思う。うつるわけのないものを「うつる可能性がある」といって拒否した。卑劣な人権侵害だと思う。

 この事件の結果は、お客を一方的にキャンセルしたということで、ただの旅館業法違反で罰金2万円。かたや、回復者の人々は被害者なのに、ホテル側は正しいという人たちから中傷メール等が届いた。

 ホテル側は間違ったことをしているのに、なぜ被害者の回復者の人々が非難を受けなければならないのか憤りを感じる。そして、ハンセン病をわずらったからということで宿泊を拒否したホテル側は、差別したことに対しての旅館業法違反で罰金2万円。人権を侵しておきながら別の罰で罰金2万円という結果はおかしいと思う。

 ここで必要となるのが、差別禁止法である。差別禁止法とは、個々の場面で差別を受けた人が裁判で救済を求める際、具体的な個別法や実体法、そして個人と個人との間の差別を禁止する法律が差別禁止法。しかし、まだこの法律は日本には制定されていない。

 ハンセン病回復者の方はこう話してくれた。
「まず国がとった政策や方針を常に監視するシステムを作り上げること、そして、憲法では損害賠償をとることはできるが、人権侵害として訴えようとしたときに法律が無いため、裁判に持ち込めない。米国には差別禁止法がある。韓国には憲法裁判所もあり、パリ原則に基づく組織ができている。」

 パリ原則とは、裁判には差別等の問題を根絶するための方策を提言する機能はないので、国連は裁判という形ではない人権侵害の根絶を目的とする方策を提言する機関を各国内に整備することを奨励している。このための会議がパリでまとめられ「パリ原則」と呼ばれる。

 なぜ差別禁止法が必要なのか、それは、ホテル側が差別したことに対しては罰せられず、ただの旅館業違反で罰せられた。更に誹謗中傷した人への罰則もない。しかし、憲法では、何が差別なのかがはっきりせず、抽象的だ。更に、金銭での賠償のみとなる。お金をあげて差別が解決するわけではない。苦しんでいる人を守り、救済することのできない、そして人として生きる権利を侵害した者をほおっておくような法律では無意味である。差別され、苦しんでいる人を救済し差別を罰することができる法律が絶対必要となる。

 民事の損害賠償ではなく、差別を受けたことで塗炭の苦しみをし、更には、死へと追いやられた人などの無念の思いは金銭では解決できるものではなく、何らかの刑事罰が必要となるが現存の法律では裁判には持ち込めない。人が人として生きる権利をむしばまれるようなことがあったとき、それを根本から解決するためにも早急に実現すべきだ。

 このような事件になったのもだけでなく、あらゆる差別、中傷、いじめにも対応できるものでなければならない。精神的苦痛を強いられた全ての人を守るものが法律だと思う。

 最後に、回復者の方からいただいた言葉の一部を紹介します。
「私は、顔に後遺症を持っていますから、偏見と差別を受けてきたし、今も受けています。・・・・・・差別禁止法が必要ということを常日頃から強く感じています。。・・・・そのための運動も行われていますが、皆さまの支援が大切だと思っています。」

 地球上の全ての人類が、笑顔で安心して生きていける世界になるためにも、自分たち一人一人が考え、行動していくべきだと強く思う。

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