みなまたのミケ 2010.6.1.きょうこ作
1.

猫のミケは、海のすぐそばで家族と仲良く暮らしていました。
毎日魚をとって売っていました。
「魚はいりませんか?みなまたの魚はおいしいよ。」
ミケは魚が大好きです。毎日この海でとれる魚を食べていました。
ミケのおなかの中には、あかちゃんがいます。
「元気に育ってね。わたしのあかちゃん。」
ミケは、あかちゃんが生まれてくるのをとても楽しみにしていました。
2.

ある日、ミケは、突然、手足がしびれて、体ががたがたと震えてきました。
「あれ、おかしいなあ。どうしたんだろう?」
ミケは不安でたまりません。ミケのおじいさんもおばあさんも 少し前から手足がしびれていました。
「そういえば、この前、カラスが空から落ちてきて死んだよ。海の魚も浮かんでいるよ。なんだか変だねー。」
ミケの周りで、何かおそろしいことがおきているのでしょうか?
3.

ミケの家族が次々と病気になると、近所のねこたちは、こんなうわさを始めました。
「ミケの家のねこたちは、なにかうつる病気らしいよ。うつるといけないから、近寄らない方がいいよ。」
それまで、仲のよかった猫たちも、ミケの家に来なくなりました。それだけではありません。近所の猫たちは、ミケの家族に言いました。
「この村から出て行け。」
4
「どうしてこんなことになったんだろう?わたしたちは、何も悪いことはしていないのに・・・」
「こんなつらいめにあうくらいなら、いっそ死んでしまいたい。」
ミケは、何度もそう思いました。でも、おなかのあかちゃんのことを思うと
それはできませんでした。
原因がわからないまま、村には、同じ病気のねこたちが、どんどん増えていきました。
5、

しばらくして・・・・。
ミケに、あかちゃんが生まれました。とてもかわいいあかちゃんです。
名前は、タマです。
[タマ、元気にそだっておくれ。」
ミケは、タマのためにも、大好きな魚をたくさん食べました。
6,

タマは、1さいになりました。
ところが、まだ歩くことができません。お話もうまくできません。
タマは、体を思うように動かすことができず、ねたままなのです。
「どうしてこんなことに・・・。」
7.

ミケは、考えました。
「病気になった猫は、みんな魚を毎日食べていたよ。」
「もしかして、きつねの家から出ている黒い水が原因では?」
ミケは、友だちに調べてもらいました。
友だちが、言いました。
「きつねが流している黒い水には体に悪い毒が入っていたよ。たいへんなことだよ。」
8,

ミケは、なんとかしなくてはと思いました。
きつねのところに話に行かなくては・・・・。でも、村のねこたちの多くが、きつねに仕事をもらっている。そのきつねに意見するのはむずかしいなあ。
ミケは、悩みました。
しかし、同じように病気になって苦しんでいる仲間をこれ以上増やすことはできません。
ミケは、病気の仲間といっしょに、勇気を出して話しに行きました。」
「きつねさん、あなたが家から流している水には毒が入っています。すぐに流すのをやめてください。」
しかし、きつねが言いました。
「どこに証拠があるんですか?言いがかりはやめてください。今まで私がどれだけあなたたちのために仕事をあげたと思っているんですか?」
きつねは、それからも黒い水を流し続けました。
9,

ミケがきつねのところに行ったことを知ったねこたちは、
「よくも、ミケは、きつねのところに意見しにいったねー。そんなことをして
仕事をもらえなくなったら、どうするつもりだ。きつねさんのおかげで、このまちは、さかえているんだぞ。」
ミケへのいやがらせが続きました。
お店に行っても、ミケには何も売ってくれません。
「おまえたちとお金を交換したら病気がうつるよ。帰れ。」
ミケは、魚を売って暮らしていましたが、もう買ってくれるねこもいません。
10、

「わたしたちは何も悪いことはしていない。まちがっているのは、きつねの方だ。おかしいことをおかしいと言って何が悪いんだ。」
ミケは、あきらめずに、何度も何度も話し合いに行きました。
ミケのすがたを見て、いやがらせを恐れて、病気を隠していた猫たちも、少しずつミケのところに集まってきました。
「このままでは、いけないね。勇気を出して言おう。ぼくたちの海も守らなければ。」
ミケを応援する仲間も増えてきました。
そして、だんだんと病気の原因がきつねの流している黒い水のせいだとみんなにわかっていきました。
11.

長い長い時間がたちました。
ミケが病気になってから50年がたちました。
ミケは、病気のタマの世話をしながら暮らしていました。
「わたしたちの病気は、きつねの流した水のせいです。きつねは、きちんと反省してください。たくさんのねこたちが病気で苦しみ続けています。わたしたちの一生をかえしてください。二度とこのような無責任な仕事はしないでください。」
ミケは、あれからずっと言い続けてきました。
病気で苦しんでいるねこたちのために、大好きな海を守るために。