第92回天皇杯全日本サッカー選手権大会2回戦
 大分トリニータ VS 水戸ホーリーホック
2012.9.9
しんと静まりかえったスタジアム。
なんだなんだこの異様な雰囲気は。これが生のPK戦の息づかいなのだな。

おっと、もう蹴るのかい、間がなさすぎじゃないかい。っと、安川のしんけん蹴りまくったPKがネットに刺さる。
スタジアムがわきかえる。
ふう、この慣れてなさ感が、さらに緊張をあおるよ。

なんか誰が出ても失敗しそうで怖い。
PKを決めたあとの為田のガッツポーズと破顔一笑のあどけない笑顔が、緊張の度合いを想像させる。

4人目、阪田の蹴ったボールがバーを叩いてピッチにバウンドする。
凍り付くスタンドは、絶望感を希望に変えようと、GK丹野のセーブを祈る。

しかし、無情にも水戸の5人目はきっちりとゴールを決める。
喜びを爆発させ抱き合う水戸の選手たち、呆然と佇む大分の選手たち、対照的なピッチ上の風景に、スタンドがまた静寂に包まれる。
天皇杯の位置づけは難しい。
もちろん大事なタイトルのかかったカップ戦ではある。だが過密日程のなか、一番重要なリーグ戦に重心を置けば、いささか戦い方を変える必要もある。
リーグ戦で出場機会を得られいない選手の起用も、またサポーターから見れば、天皇杯の楽しみのひとつなのだ。
この試合で与えられたチャンスを、生かすも殺すも選手自身。気の抜けたプレーはできない。来期の契約まで視野に入れた、アピールチャンスに、どんなプレーを見せてくれるのだろう。

シーズン初め、得点を重ね大分のラッキーボーイになった木島。しかし、徐々に出場機会も減り、ベンチ入りメンバーから外れることも多くなった。
ケガから復帰し、今シーズン完全復活を期した小手川。シーズン当初こそ輝きを見せたが、徐々にベンチ入りもなくなった。
作田は、先月のアウェイ水戸戦で退場となり、劇的逆転負けの原因を作った。信頼を取り戻すためにも因縁の水戸戦に期す思いは計り知れない。
ベンチにはこれまで機会のなかった若狭や、ケガから復帰はしたがまだ出場はない井上、FW転向がウワサされるキムチャンフンらも控える。
高松と木島の2トップ。
ウラへのロングボールが面白いようにチャンスをつくる。木島の抜けだしからのボールキープ、高松のポスト、為田の2列目からの飛び出し、丸谷のハイプレスからのチャンスメーク。
シンプルでバランスもいいし、スピード感もある。サイドも中も使える。
為田の中盤から相手DFの間をナナメにウラヌケするクロスっていいね。2度ほど、ビッグチャンスになりそうな気配のボールが通った。

そんな中で、丸谷が輝く。
左サイドからもらったボールをよく抑え、コントロールされたミドルシュート。
ネットの角に気持ちよくおさまった。
うおおおお、すっげー、入った〜。
なんとこれがプロ初得点じゃないですか。

そして後半、小手川のクロスから丸谷のヘッド、ポストに当たってゴールイン。
2点目ゲット!!

丸谷って激しく走ってる印象はないんだけど、守備でも攻撃でもいいとこいるんだな。
こぼれ球が来るとか、いい距離感でシュートチャンスのボールもらうとか、高い位置でボールを奪ってチャンスメイクするとか、そんなプレーが光る。

宮沢をアンカーに置いて、高い位置から丸谷がプレッシャーをかけ、低い位置から為田ががんがん上がってくる。攻守がうまくいってる時間帯は、この3人の関係がとてもいい。
丸谷は、高い位置で使うともっともっと働けそうだ。
サイドで起用された小手川。
2点目のアシストとなるクロスをあげたんだけど、プレー全般的には、なんだかもうひとつキレがない。んー、なんか違うだろって思うんだけど。アグレッシブさにも欠ける気がする。
こちらの期待が大きすぎたからなのか。

GK丹野。
1失点目は、クロスをはじきに行ったにもかかわらず、ボールに触れずの折り返しだから悔しいだろうな。
2失点目のFKは、どう見てもGKが届かない位置に、どうぞどうぞとばかり壁をすこーんと開けてるんだけど、ふつうに蹴ったら入るよね、なんで?たまたま見た角度がそう見えるだけ?
若狭、強いね。
屈強な対人プレーはまかせろ的なDF、かつスピードもありそう。田坂サッカーに求められる攻撃参加の部分が今後どう開花するのか楽しみ。

で、キムチャンフン。
FWに転向したっていうけど、うーん、厳しいね。
ロングボールも全然競れないし、足元もおぼつかない、ほとんどボールに触れてないんじゃない?終盤、得点のニオイがしなくなったのは、ボールに触れないチャンフンと、へろへろになりすぎてたジョンハンという2トップだからってとこ大きい。
他の選手もかなり消耗してたしね。
さて、リーグ戦はもう金曜日にせまっている。しかも、昇格争いの直接ライバルである京都戦。
中2日でアウェイ熊本戦と、連戦が続く。
大分の心臓である為田、、丸谷、宮沢って120分出ちゃったけど、大丈夫なんだろうか。さんぺーや石神のコンディションも心配だし。
でも、ここを乗り切らんと昇格はない。やるしかないのだ。

負けはしたけど、試合そのものは楽しかった。
ヒーローになりそこねた丸谷に乾杯!
普段味わえない、延長戦からPK戦の独特の雰囲気にも触れることができたし、いいよいいよ。
天皇杯はもう忘れて、京都戦に思いを馳せるとしましょうか。
<トリニータオフィシャルより結果>
さぁ行こうぜ 俺たちの誇り 
愛しているぜ
 ラララ ラーラー ラララ ラーラー
 前を向き 突き進め
「サンバDEデート」

トリニータ応援blog
reported by miyashu
風に吹かれて