2012Jリーグ ディビジョン2
PLAY-OFFS FINAL
 大分トリニータ  VS ジェフユナイテッド千葉
2012.11.23 National Studium,Tokyo
おおおおおお、タケ、抜けたああ、おお
うわあああああ、あげちゃっったよおお、え、えええええ
入ったあああああああ!!!!!!!!
入ったよ、入ったあああ!!!!!!!!!!!!

涙があふれる、抱き合う、わけがわからない、ハイタッチ、叫ぶ!!
みんな泣き叫んでる。
誰彼となく歓喜を爆発させ合う。

”泣くな!終わってねえぞ!!”
すぐ前でサポーターを鼓舞し続けていたカズさんが叫ぶ。

86分、まだ86分。
正気に返った。歓喜と恐怖が交錯する。
あと4分+アディショナルタイムは、一瞬で我々を奈落の底にたたき落とすに十分な時間なのだ。
攻めるしかなくなった千葉は、猛攻をしかけてくるだろう。
まさに、”日本一残酷な、歓喜の一戦”である。
因縁の西京極で、森島が爆裂し4−0の完勝、プレーオフ決勝進出が決まった瞬間、もう国立行きを決めていた。
早速ネットで飛行機をチェック、、、大分発なし、北九州も福岡もキックオフに間に合う時間帯はなくなりかけてる。
なんとかかんとか福岡発着の予約をキープ、ホテルはもちろんとれない、新宿のグリーンプラザというカプセルがよさげなので、ここをキープ。
福岡空港周辺の駐車場が、3件目でようやく予約OK、よく考えたら3連休だもんね、ふう。
とりあえず東京行きが出来る状況に。
08年のナビスコ決勝以来の国立。この看板を見ると、思い出すなあ。雨降る中、ぞくぞくっと武者震し、ゲートイン。
冷え切った体を温めるのは、スタグルメニューの中から迷わず牛タンカレー(笑)
あ、あの人も来てる、おお、よくぞこの人も、って感じは、ナビスコと同じ。やっぱり大分サポはいざってときは、民族大移動も辞さないのだ。
どんくらい入るのかなあ。
アディショナルタイム5分。
なにそれ〜、おい、きりきりと胃が締め付けられるような、緊張で頭がきんきんするような、歓喜の瞬間を思い浮かべながらも、最悪のシナリオがアタマから離れない。
歓喜は一瞬で、地獄に変わる。

選手は、最後の最後まで走る。
体を入れ、ボールを奪ったらとにかく蹴る。長い時間をとにかく使う、使う。
いつのまにか向こうにはオーロイが入ってるぞ、え、こっちも若狭が。
全然見えてない。無我夢中すぎて。

千葉のクロスが入る、えーー中にはオーロイが・・、必死にクリアするトリニータの選手。
よし、さんぺー、キープだ、持って上がれ。
叫んでるのか、チャントを歌ってるのかわからない、もう何がなんだか。
刻一刻、時は進む。
こんなに長い5分を、今まで体験したことがあろうか。
いつのまにか雨も上がった、よしこのままもってくれ、と祈りつつ、キックオフを待つ。
目の前にはゴール裏からバック、メインまで黄色い帯が広がる。たまたまカッパの色が黄色の人も混じってるだけじゃんと、ムチャブリな言い訳も言いたくなる。
ふふ、こうでなくっちゃ、痺れる闘いを前に、黄色い目の前の風景に毒づいてやるぜ。
ざわめく黄色。
なんか犬コロが3匹、失礼っ、かわいいワンちゃんが御三方、走り回りって千葉サポーターを盛り上げている。
ふん、走り回るな、雨で濡れてるからこけるぞ。
こちらのカメ様は、いつもの麗しいお姿で、堂々と落ち着いていらっしゃる。
雨で濡れたピッチのせいか、やはり地力に勝る千葉相手だからなのか、前半は圧倒的に千葉に攻め込まれる。ひえ〜っと肝を冷やす場面も何度か。
しかし、大分の最後の砦、GK丹野はスーパーセーブで難所をクリアする。
出場機会にも恵まれず、それでも腐らず準備を続けてきた丹野。
天皇杯で得た出場機会も、満足のできとは言い難かった。
たまたま清水の体調不良で回ってきたリーグ戦出場のチャンス。それを逃さずしっかり結果を出した。結果は自信となり、自信はさらによい結果に結びつく。
福岡戦の後の山形戦では、正直、え、ケースケが復活したなら戻した方がいいんじゃないの?と思っていた。でも、この試合は、丹野でよかったと心底思った。
田坂監督の起用法は間違ってなかったと、誰もが納得しただろう。
前半、千葉に圧倒的に押されたが、やられてるってイメージはなかった。選手はしっかり走っていたし、闘えていた。大分の代名詞、サイド攻撃もジョンハンを軸に、見えていた。
前半スコアレス。
多くの人は千葉の勝機を見いだしたかもしれない。でも、大分サポーターは、誰一人千葉が勝つなんて思っちゃいなかったんだよ。
後半、どっちに転んでもおかしくない展開。
大分のカウンターが、得点へと近づく。森島のシュートは、あとわずか枠を捉えきれなかった。
千葉の決定機を丹野が遠ざける。からだを張ったディフェンスが、最後の最後、守護神の前で留める。

村井に心震える。
後半、ひときわ気持ちを見せたのが、千葉から大分にやってきた村井だった。まだここまで走れるのかというくらい走った。拾ってくれた大分への恩返し、そして、長い間世話になった千葉への置きみやげ。ゴール前に進出する村井には、鬼気迫る迫力があった。

スコアレスが続く、もう時間も迫っている。このままなら負け。千葉はこのままなら勝ち。
ドローという結果も両者の頭にちらついてきた。
ここで、田坂スイッチが入る。

林、高松という攻撃のカードを切る。DFを減らしての高松投入は、ピッチの選手を奮い立たせるメッセージだった。
タイムアップの笛は、歓声に消されて聞こえなかった。
選手がピッチに崩れ落ち、あるいは両腕を高々と上げ、試合の終わりを告げた。
ベンチからは皆猛然と歓喜のダッシュで選手に駆け寄る。
勝利の歌をみんなで歌う。再び、涙し、抱き合い、握手し、喜び合う。ここにいるのはみんな大分の勝利に歓喜するものばかり。仲間だ。
誰もが笑顔と泣き顔で勝利を分かち合うのだ。

”泣くな”と最後の最後までサポーターをあおり続けたカズさんは、喜びの輪の中でうずくまり嗚咽している。その姿に熱いものがこみ上げる。
静まりかえった千葉サポーターを遠目に、チャントが止まらない大分サポーター。
千葉サポーターの思いにも胸が痛む。
これがサポーターってやつだ。

準決勝の地、西京極で京都の選手として大分をJ1から落としたゴールを決めた林丈統。
それが国立で大分をJ1に上げるゴールを、林の古巣千葉から奪うとは、何というドラマ。
いや、ドラマでもここまでできすぎたシナリオは、できすぎなゆえに書けませんぜ。
林の心中の複雑さは、推して余りある。

J最速のスタートから、J1復帰宣言、サポーターによる1億超の募金、行政、企業、県民の協力からの借金返済。
6位ぎりぎりで昇格プレーオフに滑りこみながら、下克上を繰り返し、ついに昇格を手に入れた。

信じて信じて信じて、夢は叶った。
千葉サポーターのゲーフラにあった”奇跡も魔法もあるんだよ”って言葉がつい浮かぶ。

選手も驚くほど成長した。
成長という意味で、MVPをあげたいのは、安川有。
去年、けちょんけちょんになって自信も失っただろうし、悩みもしただろう。
でも、今年の成長具合は破格だった。体を張ったディフェンス。危険も怖れずヘッドで飛び込む。
サイドを駆け上がれば、自らシュートチャンスまで作り出す。
攻守共に気力迫力あふれるプレーは、わくわくさせてもらった。

森島のメンタルの成長も、大分昇格の大きな要因だ。
特に終盤でのプレーのキレは、メンタルの部分が大きかったと思う。
胸のエンブレムを握りしめ、サポーターをあおる姿も板に付いてきた。
大分愛と感謝を常に口にし、スパイクに三位一体と記すなんて、もう、ね、いいよ。
J1のステージへ、ふたたび。
田坂体制の継続も決まった。高松も選手生命をかけて手術に挑む。来期の契約も決まっていくだろう。残る残らないに関しては、プロの世界、情に流されない部分もある。
国立のピッチで闘ったメンバーは、もう再びそろうことはない。でも、トリニータはトリニータ、新しいチームも、トリニータなのだ。

J1の舞台は、厳しいものになる。
「J1残留」が目標となるが、ともあれ、新しいスタートが切れる喜びをしばらくは味わおう!
さあ、祝勝会だ!!!!!
新宿は「異邦人」って中華やさん。某おばちゃんの声かけに、甲府、松本、名古屋、新潟サポさん、もちろん大分サポさん集合。
勝利の美酒ってヤツはいいねえ。いやいやなんとも楽しい夜をありがとう。
同じ店で偶然志茂田景樹さんに会うハプニングも。
二次会も、新宿某所でおっさん集合でまったりやりました。さいこー!
<J'sGOALより結果>
一緒に闘おうぜ
誇りと夢を抱いて
僕らは 僕たちは 大分トリニータ
必ず勝利する 
最強のチームなんだ
最高で 最愛の 大分トリニータ
「大分よりの使者」

トリニータ応援blog
reported by miyashu
風に吹かれて