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もじどおり2輪における世界最高峰のレースが,このMotoGP世界選手権。さらにその中の最高峰クラスが,4サイクルマシンで争われるMotoGPクラスです。以前は,2サイクル500ccマシンで争われていましたが,02年から現在の4サイクルマシンに変更されました。2014年シーズンからは共通ECUが導入され,レギュレーション上は基本的にこのECUを搭載したマシンを走らせるのが原則となりました。そして,2017年シーズンからは「原則」が外れ,全てのマシンが共通ECUを採用しなければならなくなっています。このレギュレーション変更に伴い,最高峰クラスは2つのクラスに分けられ,ワースチームが『ファクトリー』に,プライベートチームが『インディペンデント』となっています。タイヤに関しては,2015年シーズンまでブリヂストンがワンメークタイヤを供給していましたが,そのブリヂストンがGPから撤退し,2016年シーズンからは,かつてGPにおいて圧倒的強さと速さを誇ったフランスのタイヤメーカーであるミシュランが復活し,タイヤとのマッチングがレース結果に大きな影響を与えています。 2021年シーズンも,コロナ禍によりレースカレンダーが大幅に変更となり,日本GPが2年連続開催中止となったように,ほぼヨーロッパや中東を中心とした開催となりました。しかし,新型コロナの流行は相変わらず続いているものの,昨シーズンは日本GPが復活したように,通常開催がほぼできるまで回復していきました。今シーズンも,昨年と同じくレースカレンダー通りの開催が行われるでしょうし,その開催数はこれまでより1戦多い全21戦の開催が予定されています。 これまでのMotoGPは,ホンダやヤマハを中心とした日本メーカーが中心となっていましたし,そのマシンに乗らないとチャンピオンになれない状態がずっと続いていました。ところが,特に昨シーズンはそうした流れは大きく変わっていきました。その筆頭にあげられるのがイタリアンメーカーであるドゥカティです。数年前までは最高速で劣らないものの,全体的なポテンシャルは日本メーカーに遅れを取っていました。しかし,ウィングレットやライドハイトデバイスといった先進的な物を取り入れたり,供給するチーム及びライダーをどんどん増やしていって多くのデータを得ることができるようにもしていきました。その結果は年々現れてきて,昨シーズンついにドゥカティ・レノボ・チームのF.バグナイアがライダーとしてのタイトルを獲得しただけでなく,チーム,メーカー等全てのタイトルを獲得するに至りました。それに対して,日本メーカー勢は,唯一ヤマハが一昨年のチャンピオンであるモンスター・エナジー・ヤマハMotoGPのF.クアルタラロを擁してタイトル争いにうわわったものの,結局タイトルを逃しました。ただ,そのヤマハは,クアルタラロ以外はポイント獲得がようやくといった状況にまで落ち込み,さらに今シーズンはサテライトチームがなくなり,ワークス1チームのみの参戦となってしまいました。二台分のデータしか得られないわけですから,マシン開発の上で大きなハンデを負うことになります。しかし,そのヤマハはタイトル争いに加わっただけいい方で,つい数年前まで常にタイトル争いの先頭に立っていたホンダについては,ポイント獲得さえままならず,何とメーカータイトルで最下位に落ちるという屈辱的なシーズンになってしまいました。残りのスズキに関しては,昨シーズン限りで撤退するという事態となってしまっています。海外メーカー勢はドゥカティだけが活躍しただけでなく,同じイタリアンメーカーであるアプリリアも飛躍的に戦闘力を高めていき,シーズン後半までタイトル争いに加わる大活躍を見せました。この活躍により,昨シーズンまでテスト回数や投入エンジン基数等の規制が緩やかになる措置であるコンセッションが適用されていましたが,今季から他メーカーと同様の規制がかかります。これは,ある意味独り立ちできるまでになったともいえます。そのアプリリアですが,昨シーズンまでスズキと同様になかったサテライトチームがないメーカーでしたが,昨シーズンまでヤマハのサテライトだったRNFレーシングが今季からアプリリアのサテライトとして参戦することになりました。テスト回数等の制限は加わりますが,投入マシン数が倍増することになる訳で,その分データも増えることになります。オーストラリアメーカーであるKTMに関しては,シーズン序盤こそホンダと下位争いを展開する状況でしたが,徐々に戦闘力を上げて勝利するまでになりました。果たして今シーズンは日本メーカーがどこまで海外メーカーと戦えるのか,日本人レースファンとしてはそうした点が大きな注目点と言えます。別の視点としては,今季からF1で取り入れられている『スプリントレース』が導入されることになります。これは,これまで原則日曜日に行われている決勝レースに加え,新たにその前日に周回数が決勝レースより少ない形で行われるレースです。これにもポイントがつくことになりますので,タイトル争いへの影響がどうなるのか注目となります。 2018年シーズンに4年ぶりに最高峰クラスへ日本人ライダーが復活しました。そのライダーとは,一旦はGPにステップアップを果たしたものの,シートを失って再びGP復活を目指してJRRにフル参戦を開始。圧倒的なリザルトを残して見事GPに復活を果たしてMoto2クラスにフル参戦を開始した中上貴晶です。残念ながらチャンピオンを獲得することができませんでしたが,2年連続して勝利を収め,ついに青山博一以来となるMotoGPライダーとなりました。その中上は,マルケスが欠場し,群雄割拠となった2020年シーズンに大活躍を見せました。彼には1年落ちのRC213Vが供給されていたのですが,そのマシンを駆って一昨年タイトルを獲得したマルケスのデータが示されました。それをうまくいかした中上は,予選でポールを獲得したり,Q2からの出走が当たり前のような状況となりました。決勝レースにおいては,残念ながら表彰台獲得までは至らなかったものの,トップ0圏内はもちろん,トップ5圏内も珍しくない活躍を見せました。その結果,一昨年シーズンはホンダのエースといえる状況となりました。その活躍が認められ,これまで型落ちのマシンが供給されていましたが,2021年シーズンからワークスと同じ今季型マシンが供給されることになりました。ところが,その肝心のマシンの戦闘力が劣り,さらに中上自身も安定性に欠けるレースを展開してしまい,トップ10入りがようやくといった状況がずっと続いています。そうしたことと,可能性を大きく秘めているイデミツ・チーム・アジアの小椋藍がMoto2クラスでタイトル争いを展開したこともあって,今季はシート喪失の可能性がありましたが,その小椋がMoto2クラス残留を望んだこともあって,何とか今季も同様にシートを得ることができました。とはいえ,今季限りでシートを失う可能性がかなり高いことは事実です。それだけに,最低限でも表彰台獲得は至上命題と言えるのではないでしょうか。ただ,ホンダのマシンがそこまでポテンシャルを上げることができればという点はありますが・・・。昨シーズンは惜しいところでMoto2クラスでのタイトル獲得を逃した小椋ですが,今季こそは見事タイトルを獲得し,来シーズンの昇格を期待したいところです。 2輪のレース界は,環境問題への対応から4サイクル化の波が押し寄せていて,最高峰クラスだけでなく,2010年シーズンからは中量級クラスが,そして2012年シーズンからは,軽量級クラスも4サイクルエンジンを使用することになり,中量級クラスがMoto2クラス,軽量級クラスがMoto3クラスへと名称が変更になりました。それらのクラスは,エンジンとタイヤはワンメークですが,シャーシはレギュレーションさえ満たしておけば参戦は自由となったため,何種類ものコンストラクターがマシンを供給し,フルグリッドとなる盛況を見せています。なお,Moto2クラスに関しては,18年シーズンまでホンダの市販車であるCBR600RRのエンジンがワンメークとして供給されていました。しかし,2019年シーズンからイギリスのバイクメーカーである『トライアンフ』が市販する『ストリートトリプルRS』に搭載されている3気筒765ccエンジンがワンメークとして供給されることになっていて,新たな展開が見られるようになりました。また,2019年シーズンからは,電動バイクによって争われるMotoEクラスも始まりました。まだヨーロッパラウンドの一部の大会だけで行われる限定的な開催ではありますが,今後さらなる発展が見られる可能性の高いクラスと言えるでしょう。なお,そのMotoEですが,登場以来マシンを供給していたエネルジカ社との契約が昨シーズン限りで満了となり,今季からドゥカティがマシンを供給することが決まっています。 |
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