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もじどおり2輪における世界最高峰のレースが,このMotoGP世界選手権。さらにその中の最高峰クラスが,4サイクルマシンで争われるMotoGPクラスです。以前は,2サイクル500ccマシンで争われていましたが,02年から現在の4サイクルマシンに変更されました。2014年シーズンからは共通ECUが導入され,レギュレーション上は基本的にこのECUを搭載したマシンを走らせるのが原則となりました。そして,2017年シーズンからは「原則」が外れ,全てのマシンが共通ECUを採用しなければならなくなっています。このレギュレーション変更に伴い,最高峰クラスは2つのクラスに分けられ,ワースチームが『ファクトリー』に,プライベートチームが『インディペンデント』となっています。タイヤに関しては,2015年シーズンまでブリヂストンがワンメークタイヤを供給していましたが,そのブリヂストンがGPから撤退し,2016年シーズンからは,かつてGPにおいて圧倒的強さと速さを誇ったフランスのタイヤメーカーであるミシュランが復活し,タイヤとのマッチングがレース結果に大きな影響を与えています。 リーマンショック以後,2輪,4輪問わずメーカーの撤退が目に付きましたが,景気回復と共に再びメーカーが参戦を復活させてきていますが,MotoGPでもその傾向が見られています。それまでは,ホンダ,ヤマハ,ドゥカティの3メーカーが正式にマシンを供給していましたが,2016年シーズンから再びスズキとアプリリアが参戦することになりました。スズキは,以前のようにメーカー直系のチームからの参戦という形を採っていて,復活以来チーム・グレシーニをワークスチームとして起用してきたアプリリアは,今シーズンから新たにワークスチームを編成してフル参戦することになりました。また,中・軽量級クラスで実績を残してきているオーストリアのバイクメーカーであるKTMは,他メーカーと同様ワークス体制で参戦をしていて,メーカー的にも群雄割拠の時代に突入しています。 昨シーズンの話題は,何といっても生ける伝説であるV.ロッシが引退したことでしょう。長年にわたって第一線で活躍し,彼のパーソナルカラーであるイエローでスタンドが埋まる状況となってきました。しかし,さすがのロッシも40歳を超えて速さと強さに衰えが見られるようになり,通算200勝を目前にして引退するという決断を下しました。大きな柱を失ったMotoGPではありますが,それを補う形で新たな力が台頭してきています。 昨シーズンも,コロナ禍によりレースカレンダーが大幅に変更となり,日本GPが2年連続開催中止となったように,ほぼヨーロッパや中東を中心とした開催となりました。そうした中でのシーズンとなりましたが,ロッシの引退に象徴されるように,新たな力がどんどん台頭してきていて,どのメーカーが,どのライダーが勝つのか全く分からない状況となりました。つい数年前は,ホンダのワークスライダーであるM.マルケスが連戦連勝を飾る状態でしたが,2020年シーズンに負った怪我によりシーズンを棒に振り,昨シーズンから復活を遂げましたが,体調が万全でないこともあって3勝を挙げたに留まりました。それに対して,2021年シーズンからヤマハのワークスライダーとして中心的立場になったF.クアルタラロが安定した,そして速いレースを展開し,2戦を残してチャンピオンを獲得しました。2020年シーズンは鈴木のJ.ミルが獲得していますので,各メーカーのエースライダーの誰がチャンピオンに輝いてもおかしくない状況となっています。果たして今シーズンは誰が力を見せるのか,全く予想がつかないだけに,1戦1戦楽しみなレースとなるでしょう。 2018年シーズンに4年ぶりに最高峰クラスへ日本人ライダーが復活しました。そのライダーとは,一旦はGPにステップアップを果たしたものの,シートを失って再びGP復活を目指してJRRにフル参戦を開始。圧倒的なリザルトを残して見事GPに復活を果たしてMoto2クラスにフル参戦を開始した中上貴晶です。残念ながらチャンピオンを獲得することができませんでしたが,2年連続して勝利を収め,ついに青山博一以来となるMotoGPライダーとなりました。その中上は,マルケスが欠場し,群雄割拠となった2020年シーズンに大活躍を見せました。彼には1年落ちのRC213Vが供給されていたのですが,そのマシンを駆って一昨年タイトルを獲得したマルケスのデータが示されました。それをうまくいかした中上は,予選でポールを獲得したり,Q2からの出走が当たり前のような状況となりました。決勝レースにおいては,残念ながら表彰台獲得までは至らなかったものの,トップ0圏内はもちろん,トップ5圏内も珍しくない活躍を見せました。その結果,一昨年シーズンはホンダのエースといえる状況となりました。その活躍が認められ,これまで型落ちのマシンが供給されていましたが,昨シーズンはワークスと同じ今季型マシンが供給されることになりました。ところが,その肝心のマシンの戦闘力が劣り,さらに中上自身も安定性に欠けるレースを展開してしまい,昨年も悲願の表彰台獲得に至りませんでした。今季の中上は,2年契約の2年目だけに,来シーズンの保障は全くありません。まさに背水の陣で臨むシーズンとなるでしょう。 2輪のレース界は,環境問題への対応から4サイクル化の波が押し寄せていて,最高峰クラスだけでなく,2010年シーズンからは中量級クラスが,そして2012年シーズンからは,軽量級クラスも4サイクルエンジンを使用することになり,中量級クラスがMoto2クラス,軽量級クラスがMoto3クラスへと名称が変更になりました。それらのクラスは,エンジンとタイヤはワンメークですが,シャーシはレギュレーションさえ満たしておけば参戦は自由となったため,何種類ものコンストラクターがマシンを供給し,フルグリッドとなる盛況を見せています。なお,Moto2クラスに関しては,18年シーズンまでホンダの市販車であるCBR600RRのエンジンがワンメークとして供給されていました。しかし,2019年シーズンからイギリスのバイクメーカーである『トライアンフ』が市販する『ストリートトリプルRS』に搭載されている3気筒765ccエンジンがワンメークとして供給されることになっていて,新たな展開が見られるようになりました。また,2019年シーズンからは,電動バイクによって争われるMotoEクラスも始まりました。まだヨーロッパラウンドの一部の大会だけで行われる限定的な開催ではありますが,今後さらなる発展が見られる可能性の高いクラスと言えるでしょう。なお,そのMotoEですが,登場以来マシンを供給していたエネルジカ社との契約が今季限りで満了となり,来シーズンからドゥカティがマシンを供給することが決まっています。 |
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