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 日本国内における2輪ロードレースの最高峰,それがこの全日本ロードレース選手権(このサイトでは,JRRで表記します。)です。そのJRRにおける最高峰が,JSB1000クラスです。以前は,メーカー直系のワークスチームのみにタイトル獲得の可能性が実質的にあるという状態でしたが,JSBクラスとなってからワークスの参入が認められなかったため,原則としてプライベーター同士の争いが展開されていきました。しかし,ヤマハがワークス参戦を復活させてから,中須賀克行の国内における圧倒的な強さと速さもあって連続してチャンピオンを獲得する状況となり,他メーカーも対策を考えざるを得ない状況となってきました。
 2020年シーズンでタイトルを獲得したのは中須賀の弟分である野左根航汰でしたが,2021年シーズンにはその野左根がSBKへと戦いの場を移し,ヤマハワークスは中須賀の1台体制となりました。2020年こそ野左根にタイトルを奪われましたが,中須賀&ヤマハYZF-R1のタッグは相変わらずの速さを見せました。開幕戦から連勝を飾って波に乗ると,最後までその勢いは衰えることを知らず,最終的に全戦全勝という偉業を成し遂げました。これは,ヤマハ,チーム,中須賀の努力が報われた結果と言えます。ただ,果たしてこうした流れがJRRにとってどうなのかという疑問を持たざるを得ないのも事実です。もちろん,中須賀を含めたヤマハ陣営の不断の努力は賞賛に値するものです。ただ,例えスタートで中須賀が出遅れても,周回を重ねる度に順位を挽回し,2位につけるとトップを行くマシンの後ろについて機をうかがい,その後トップに立つとあとは2位以下との差を広げて行くという流れが常に見られ,手に汗を握る攻防がほぼないままレースを終わってしまいます。これではレースへの興味がそがれてしまいます。近年2輪車の売り上げが回復してきています。街中を走っていても,しばしば中・大型バイクが見られています。バイクの売り上げが全てレースへの興味に繋がるわけではありませんが,JRR復活に好機となることも確かです。そうした状況の中で,最高峰クラスが一強状態ではそうした好機を失いかねません。ヤマハ陣営はもちろんこれまでのがんばりを継続していって欲しいですが,他のメーカー,チーム,ライダーのさらなる奮起が熱望されます。
 2019年シーズンまでは,JSB1000クラスを最高峰とし,中量級クラスにはJ-GP2とST600が,軽量級クラスにはJ-GP3クラスとがありました。その中でJ-GP2クラスはMotoGPのMoto2クラスを視野に入れてのものでしたが,そのMoto2クラスはワンメークエンジンがトライアンフ製となり,このエンジンは日本国内で手に入れることができず,J-GP2クラスの存在意義がなくなってきました。そのため,2019年シーズンをもってこのクラスは廃止となり,2020年シーズンから新たに1000ccマシンで争われるST1000クラスが発足しました。1000ccマシンとなるとJSB1000クラスとかぶることになりますが,新たなST1000クラスは改造範囲がかなり狭くなっていますから,排気量は同じでも戦闘力にはかなりの差がありますので,共存は十分に可能となっています。
 なお,今シーズンは再びSFとの併催である2&4が復活します。また,筑波サーキットについては,コースの特性上排気量が大きいクラスにはその能力が余り活かせないままでの走りが強いられます。そうしたこともあって,筑波での大会はJ-GP3クラスのみの開催となっています。また,例年最終戦は『MFJ-GP』として開催されてきましたが,昨シーズンはコロナ禍の影響により例外的な開催となりました。しかし,今季は最終戦の流れが復活すると共に,JSB1000クラスについては,3レース制が導入されています。
 かつては,「全日本でチャンピオンに輝いて世界へ」という流れがありましたが,今はその流れが全くと言っていいほど見られなくなりました。それと呼応するように,観客動員を含め低迷した状況が続いています。2輪業界は,250ccを除いて販売台数がずっと低迷してきています。それを象徴するかのように,かつては「HY戦争」と言われたホンダとヤマハが,50ccバイクの製造で提携をするという事態にまで至っています。日本の2輪レース界の,さらに2輪販売の活性化のためにも,関係者の努力がより一層必要になってきています。

《レーススケジュール》
決勝日 サ ー キ ッ ト 開催クラス
第1戦 4月 3日 モビリティリゾートもてぎ 全クラス(JSB1000は2レース)
第2戦 4月24日 鈴鹿サーキット JSB1000のみ開催(2レース),2&4
第3戦 5月22日 オートポリス JSB1000のみ開催(2レース),2&4
第4戦 6月 5日 スポーツランドSUGO 全クラス(JSB1000,ST600は2レース)
第5戦 6月26日 筑波サーキット J-GP3クラスのみ
第6戦 8月28日 オートポリス 全クラス(JSB1000は2レース)
第7戦 9月18日 岡山国際サーキット 全クラス
第8戦 11月 6日 鈴鹿サーキット 全クラス(JSB1000は3レース,MFJ-GP)

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