以下、オイルの基礎知識を知りたい方は、ご参考までご一読下さい。
◆◇ 車道楽:オイルについての基礎知識(1) ◇◆
[はじめに]
現在のエンジンの長寿命化は、潤滑オイルの性能向上に負うところ
が大きい。メーカーの技術者によればエンジンそのものの改良によ
るところは10年前から殆ど変化していないそうである。最近10
年でオイルの性能向上は著しく、エンジンの性能維持、寿命に大き
く寄与している。その重要なオイルの基本知識を正しく理解する事
が大切である。
[潤滑の基礎知識]
1.エンジンの潤滑はオイルによる流体潤滑が基本になる。流体潤
滑が維持できる限り磨耗も焼付きも発生しない。流体潤滑の摩擦係
数は0.1−0.15となり何ら特殊な潤滑剤を必要としない。し
かしピストンの上下死点、エンジン始動時の各軸受、カム等の潤滑
はオングストローム単位、数10オイル分子層の境界潤滑になる。
境界潤滑では部分的なメタルコンタクトが起こり、磨耗、微視的な
焼付きと油膜の修復が繰り返されて、潤滑上の数々の対策が必要に
なる。この境界潤滑ではオイルの性能の差がエンジンコンディショ
ン、耐久性に大きく影響する。
2.回転する軸受の潤滑はシャフトの回転によりオイルがクサビの
ようにつり込まれ(ドラムブレーキの自己倍力)シャフトが油膜に
浮いて流体潤滑が形成される。ところがシャフトが低回転では自己
倍力が発生せず、又、高荷重時は油膜が切れて境界潤滑が主体にな
り著しく磨耗が進行する。このような状態では固体潤滑剤やフリク
ションモディファイア(摩擦調整剤)等が磨耗対策上必要になる。
エンジンのベアリング潤滑は高回転より低回転、高荷重時が磨耗が
激しくなる。
◆◇ 車道楽:極圧添加剤と慣らし運転について ◇◆
1月23日大安・吉日。
我が家に2台目となる(?)ホンダ・オルティアエアロが、納車さ
れた。そう、売れ悩んだ時の苦策、エアロバージョンである。(^.^)
しかも今回は息子の希望でワインレッドである。(希望を聞く親は
えらい!..か?)
で、これからいわゆるあたりを付けるための慣らし運転を行なうの
であるが、今回は極圧添加剤を使ってみる事にした。
そこでオイルの基礎知識シリーズからちょっと寄り道をして、極圧
添加剤の話しをしたいと思う。
ちなみに慣らし運転は5,000kmを終点として500 1,000 2,000 3,000
4,000kmの各ポイントでオイルとフィルターを交換し、最後に目的
とするオイルを入れる。(私は1,000km毎の交換とする。)
使用添加剤:FORMULA85(3,000km 4,000km時にそれぞれ添加予定)
【極圧添加剤の使い方】
極圧添加剤は
(1)摩擦面で温度が上がってはじめて効く。
(2)その効き方は材料の表面の物質(多くは金属原子)と反応し
て下地より柔らかい皮膜を作り、自己犠牲的に多少磨耗しつつ摩擦
を軽減するように作られているから(←ここポイントね!)この性
質にあった使い方をすべきである。
まず(1)については、基油に油性剤を添加したものは低温で低摩
擦となるが、温度が限界値(150℃くらい)を超えるあたりから
吸着層の脱着が起こって効果を失う。一方、極圧添加剤を加えた場
合に、むしろある限界値から反応してそれ以上の温度領域で低摩擦
となる。これを組み合わせた潤滑油は全領域で有効な配合となると
いうわけである。
一方(2)については反応皮膜が自己犠牲的に多少磨耗する点が問
題になる事もある。焼付きを防ぎつつ、この種の磨耗を極力抑える
よう、極圧添加剤の量、活性、種類、組み合わせなどを調整して使
用する必要がある。このような腐食磨耗を積極的に利用したのがな
じみ運転油で、活性の高い油で初期磨耗を促進して当たりを出し、
その後は安定の良い連続使用の油に切り替えるという方策である。
(というわけで、極圧添加剤の効果的な使い方、そして添加すると
何故、フリクションロスが軽減されるか理解して頂けましたか?
ちなみにホンダ純正オイルにはこの極圧添加剤が含まれています。
ずーっと使い続けるとちょっと怖い?.(まあお金持ちで3年毎に
車を買い替えられる人は関係ないでしょうけど..)
◆◇ 車道楽:【オイルについての基礎知識(2)】 ◇◆
(編)前回は我が家のオルティア納車に関連してちょっと寄り道をしてしまい
ました。今回は、【オイルの組成と粘度】についてです。
僕もこのコーナーは資料を読んで、転記して、と、とても勉強になって
います。(誰も言ってくれないので、自分で言っちゃいました。)
1.ベースオイル
原油を精製した鉱油系とナフサより合成した化学合成系(ポリαオレフィン)
の2つに大別される。(動植物系の化学合成オイルも少数存在する)粘度指数
、耐熱性、耐酸化性、油性等の限界性能で化学合成系が優れている。
2.鉱油の分類
粘度変化の少ないペンシルベニア原油(パラフィン系)が最も良質で、粘度変
化の大きいガルフコースト原油(ナフテン系)は潤滑油に適していないと言わ
れているが、水素化分解法などで精製する現在ではそれ程の差は無い。
ちなみに粘度指数とはペンシルベニア基油を100、ガルフ基油を0とした経
験式であり、当然マイナスや100以上も存在する。(100以上は計算式が
全く異なる)又、軟らかいオイル程、数値は大きくなる。(2cStの理想オ
イルで365)。比較は同粘度のオイルでしないと意味が無い。
3.オイルの粘度
例えば同一粘度範囲で同一粘度指数の鉱油系と化学合成系のオイルが有るとす
ると、両者の粘度安定性は同一ではなく、圧倒的に化学合成系オイルが優れて
いる。鉱油系基油の粘度指数は最高で120位であり、それに粘度指数向上剤
(高分子ポリマー)を添加して化学合成オイル並の粘度指数にしても高回転、
高負荷ではポリマーの分子が整列して基油の粘度に戻ってしまう。更に高回転
高圧の状態が続くとポリマーの分子鎖が切れて新油の粘度性能を保てなくなる。
鉱油系は約2000kmでこの状態になると言われている。更にポリマーの殆ど
はピストン、燃焼室の洗浄性に悪影響を与えるので、航空用レシプロエンジン
オイルでは配合されていないし、ディーゼル用も配合量を少なくしている。
◆◇ 車道楽:【オイルについての基礎知識(3)】 ◇◆
(編)あるディーラーでエンジン燃焼系統クリーニングシステム(環境汚染防
止車検整備)なるものを導入・実施しているとの事。ガソリンE/Gの場合、
洗浄液を混ぜたハイオクガソリンでエンジン内部に蓄積した不純物を20〜3
0分程度で燃焼・除去するのだと言う。つまり、ナプロGXの効果を一つの装
置で&短時間で実現したものなのであろうか?(ちょっとあ・せ・り..^_^;)
では、基礎知識シリーズの最終章をお届けしましょう。
【オイルの清浄性】
潤滑油は使用過程において酸化されて油に不溶のスラッジを生成する。又、一
部は燃焼室で燃えてカーボンデポージットを生じ、ピストンリング等では蒸し
焼きにされてリングこう着を引き起こす。酸化を遅らせる為には酸化防止剤が
添加され、スラッジの凝集を防ぎ油中に分散させる為に清浄分散剤が配合され
るが、正確には高温スラッジに対する清浄剤と、比較的低温で発生するスラッ
ジを分散する分散剤に分けられる。
清浄分散剤には金属系石鹸系と無灰清浄分散剤系があり、最近は分散効果の大
きい無灰系が注目されている。
金属系(スルホネート、フェネート、ホスホネート)
◆◇ 車道楽(1):【エンジン燃焼系統クリーニングシステム】 ◇◆
前号で少しだけご紹介した当システムですが、ある業界筋より投稿がありま
した。その中から気になる部分を文意を変えずにご紹介すると..
「この装置はオーバーホール経費の軽減の為に使用されていると言う認識です。
エンジン内部の不純物を除去するという意味では、効果的なのかもしれません。
但し、現在の燃料を使用しつづけた場合、燃焼系統をクリーニングしただけで、
環境汚染防止になるのでしょうか。また、使用する溶剤は、安全なものと言い
きれるのか、不安が残るところではないかと思います。」
(編)確かにご指摘のとおりだと思います。
新聞での実験では排気ガス中の公害物質の濃度が下がり、車の馬力アップも体
感出来たとあったものの、使用し続ける燃料(ガソリン)の問題等、完全なる
環境汚染防止にはなっていないと言う事を誤解してはいけないですね。
HP中、ナプロのコーナーの「添加剤Q&A」でも触れたとおり現在の市販燃
料を改質しない限り、環境汚染問題は解決しないのかも知れません。
「オーバーホール経費の軽減」という効果のみがこの装置の正しい効果なので
しょう。(ただ、7,8万という費用はちょっと高すぎます。)
◆◇ 車道楽(2):【オイルメンテナンス】 ◇◆
【更油期間】よく論議される事に高級オイルを長期間使用するか、安いオイル
を頻繁に交換するかという問題があるが、一概には結論を出せない。
現在のエンジン設計はオイルの性能に負うところが多く、安いオイル=低グレ
ード油と言う事であれば安いオイルは賛成出来ない。何故ならばそのオイルで
は充分な潤滑が得られずに例え頻繁に更油しても磨耗は避けられない。磨耗の
弊害は短時間ではなかなかわかりづらいから、後からツケがまわってパワーダ
ウンする。もしSFクラスを安く(1L/500円)入手出来るのであればそ
れを2000km走行位で交換するのが理想と言える。忙しくて半年以上使用し
たい時は化学合成油を選ぶしかない。この時もカーボンデポージット発生の多
い車(オイル上がり、下がり)ではエレメント交換は勿論、更油期間もなるべ
く早めにする事を薦める。エンジンに常に高負荷(高回転、低水温からのスタ
ート、低回転高荷重)を強いる人は予防を考慮すれば合成油系が安心出来る。
突発的なトラブルには鉱油系は不安材料が残る。(極圧系添加剤の問題)
【保険潤滑】保険潤滑とは局部的な油膜切れに潤滑皮膜を形成し、局部的焼付
(スカッフィング)から潤滑面を保護する為、予め潤滑剤(FM剤)を配合し
ておく事だが、広義には極圧剤も入るものの皮膜はあくまでも潤滑性を有する
ところがFM剤の特徴である。FM剤には二硫化モリブデンも含まれるが一般
的には有機モリブデンと油性剤を含む複合摩擦調整剤をさす。最近省燃費を目
的として5W−30や7.5W−30の低粘度オイルが主として自動車メーカ
ーの出荷時充填オイルとして採用されているが、これらの低粘度油の高温時の
油膜切れの対策としてFM剤が配合されている。(グリーンのオイル)、多く
の自動車メーカーが採用すると言う事は、省燃費(低粘性抵抗=高出力)、高
潤滑性について学術的にも承認されているという事である。(因みに省燃費効
果は二硫化モリブデンが一番大きい)
◆◇ 車道楽(1):続・極圧添加剤 ◇◆
オイルがギアオイル臭ければ、まず極圧添加剤が混入されています。
何故、又極圧添加剤なのかというと過去、私も愛用した事があるテフロン系添
加剤「フ○○○ィア」。実はテフロンなどほんの数パーセントしか入っておら
ず、主成分は極圧添加剤なのです。予想以上に世の中には出回っていると言う
事です。何度も言いますがエンジンにあたりを付けるために1万キロまでに数
回使用する事は良いのですが、連続使用は後で高いツケを払う事になりますよ。
◆◇ 車道楽(2):【フラッシング】◇◆
フラッシングの必要性についてとかく否定意見を述べる自動車雑誌が多いが
一般にフラッシングと言われているものは、ドレン直前の廃油にフラッシング
剤を添加してアイドリングする事でエンジン内のスラッジ、デポージットを除
去する共洗いであるが、このメソッドは専門書でははっきりと否定されている。
つまり泥水で顔を洗うようなものであり、洗浄効果にも疑問がある。
また一時的に多量のスラッジが混入すればオイルラインを詰める可能性がある。
○フラッシング油の作り方(ナプロウエストのテキストより)
・SAE#30のシングルグレードオイル(2L)
・軽油2L
・メーカー純正フラッシング剤。
以上を混合させる。
○フラッシング法
1.オイルが熱いうちにドレンしてフラッシング油を規定量注入し0.5〜1
時間アイドリングさせる。(絶対に走行しない)
2.終了後完全にドレンし、安いオイルを規定量入れ15分程アイドリングさ
せる。(押し出しオイル又は置換油とも言う)
3.オイルエレメントを交換し使用するオイルを規定量入れる。
※フラッシング後はオイルの皮膜が再生する30キロから50キロは全開走行
を控えて下さい。