2012年1月14日


松本公博氏 (カテリーナ古楽器研究所主宰)


中世の楽器を大分県産の竹で復元したりオリジナルの楽器を製作している松本さんのお話です。
竹は製竹(かんてき)せず、曲がっていてもそのまま笛する。
虫食いやカビも気にしない。虫が喰う材料と喰われない材料が有るが
喰われるものは澱粉質を多く含んでいるのでせっかく楽器にしても喰われてしまう可能性が高い。
なので屋外の棚に並べて置いて、竹喰い虫が喰いたければ喰われるままにしてるそうです。
そのようにお聞きして、私の経験と照らし、外に放置しても喰われない材があることに思い当たります
今までの私は喰われまいとしてしょっちゅう点検をしていましたが、
無駄な抵抗をしていたのではなかろうかと考えさせていただきました。
私としても、かねてより思っていたことですが、曲がっているのが当たり前の竹を真っ直ぐに製竹などせず、有るがままの姿形で笛にし、それを手にとって吹いた方が納得してくれるような
笛職人になりたいとの思いを深めました。


岸本タロー氏(ケーナ・アイリッシュフルートなど様々な楽器の演奏家)

スローテンポの曲を笛で吹くと聴いた人が癒されると言ってくださいます。
笛の音と言うのは確かにそう言うものだと思っていましたが
タローさんは癒しと言うのは優しいだけでは満たされないのだとおっしゃってました。
元々笛と言うのは神仏との交信、魂を目覚めさせるなどの儀式に使われたものなので
強さも必要、その強さの中に癒しも存在すると仰ってました。
そのようにお聞きして思い当たることがあります。
神事に使われる竜笛は力強い音で演奏されますが、それは神に降臨してもらう為の
強い願いが込められているからなのでしょう。

コンサートでも力強く吹いたり、優しく吹いたりしますが優しい演奏だけを聴いていると
数曲で聴き飽きてしまうことに思い当たります。

本当に僅かな時間しかお話しを聞くことが出来ませんでしたが
お2人からうかがって心に強く残った貴重なお話でした。