平成18年3月1日発行 第35号


保育から 子育てQ&A


〜母子関係について〜

子どもにとって母親との絆は、すべての始まりといっても過言ではなく、情緒の発達に多大な影響を与え ます。「愛着(アタッチメント)」は、生後1年の間に形成される母と子の絆のことですが、これがうまく 作られたどうかで、子どもの身辺自立・認知・言語・社会性・運動など、その後の全面発達が左右され ます。

母子間の愛着を深めるには、快い感覚刺激遊びを母と子が共有し、心から楽しむ時間を持つことが大切で す。子どもは母親からの触覚刺激(マザーリング)や聴覚刺激(マザーリーズ)を受けることによって、 情緒の安心感と満足感を得ることができ、かわいい笑顔が母親に向けられることで、母親自身の母性も深 まります。母子間の相互作用が促され、互いの情緒が安定し豊かになります。母性刺激が子どもにスージ ング(なだめる)効果を与え、母子間の愛着形成と子どもの全面発達に影響してきます。

マザーリングとは、母親が乳児を抱きしめキッスするなどの肉体的接触をすることで育児上、最も重要と されています。母子関係では、皮膚と皮膚を合わせるスキンシップが、母子間の相互作用を促します。ス キンシップは副交感神経の働きを盛んにし、脳や体の成長を促します。副交感神経は、感覚神経からの情 報が大脳に伝わることで促進されますが、その感覚神経の末端が皮膚の表面に膨大に存在すると言われて います。ですから皮膚の表. 面への快い刺激やスキンシップは、母と子の相互作用を促し、絆を深め、情緒安定の基盤になり、人間の 成長にとって欠かすことのできないものなのです。

マザーリーズとは、お母さんのやや高いトーンの抑揚をもった、ゆったりと間をとりながらの子どもへの 語りかけです。これは育児に欠かせない聴覚からの刺激で、子どもの注意集中を促し、言葉の意味・内容 への理解につながります。このようなマザーリーズは子どもの情動を刺激し、母親と一緒にいる安心感や 満足感をもたらします。それによって母親への依存心から、興味・関心が育っていきます。やがて、母親 からす少しずつ、自分を取り巻く身近な人たちとのネットワークへと発展していき、人との関係が拡大し ていきます。

つまり、母と子の絆(アタッチメント)は、依存から自立への社会性への出発点なのです。母と子のふれ あい(やりとり)遊びには、マザーリングとマザーリーズが必要です。この行為により、母と子の二つの生 命体のリズムが同調します。これを「エントレメント」と呼び、育児に必要なベースとなるものです。


母子関係を育てる関わり方

1)子どもと共に楽しみましょう。
2)スキンシップをしましょう。
3)子どもの気持ちを汲んであげましょう。
4)親の考え方を一方的に押し付けないようにしましょう。めりはりある関わりをしましょう。 
               

 (保育士 吉弘)