平成18年1月1日発行 第34号


障害者自立支援法 もう一つの杞憂


障害者自立支援法に言う「自立」とは


障害者自立支援法が昨年10月31日に衆議院本会議で可決、成立しました。11月7日に公布され、今年4月から 施行されます。この法案に対しては多くの障害当事者が反対の運動を展開しました。多くの問題を含みながらも障害 者施策の画期的改革がスタートしたのです。障害者自立支援法では利用料負担の問題が大きく取り上げられてきまし たが、あまり議論されることはないにもかかわらず障害者施策の根幹に関わる大切なことがあると考えます。それは 「自立」という考え方です。

「自立」とは何を指すのでしょうか。私たちは「自立」を「自活すること」ととらえがちです。日常生活動作が自分 でできること、職業についていること、経済的に自立していることなどをイメージしてはいないでしょうか。もしそ うであれば重い障害をもつ人にとって「自立」とは縁遠い存在になってしまいます。

「自立」とは、自分で選び(自己選択)自分で決める(自己決定)ことができる生き方であり、自分の人生を自分で 選び、自分で決めることではないでしょうか。自己選択、自己決定はどんなに重い障害をもつ人であっても可能で す。どんな方法であれYes, Noや快不快さえ表明できればかなりの意志を伝えることが可能です。自分で選び、自分 で決めることをお手伝いし、そうやって決めた自分の人生を送ることをお手伝いする、それが障害者福祉と考えま す。どんな重い障害をもつ人であっても適切な支援があれば「自立」は可能です。

そんな目で今一度障害者自立支援法を読んでみると、そこには自立訓練、就労へと続く流れが大きな柱になっている ように思えてしかたありません。就業からは遠い、重い障害をもつ重症心身障害の人たちの「自立」した生活の支援 と人生の支援が見えてきません。

「障害者基本法が昨年改正された時の基本の理念がどこかに忘れられている」との指摘もあります。(川崎医療福祉 大学学長 岡田喜篤先生)

これがただの危惧に終わってくれればと願わずにはいられません。重症心身障害という重い障害をもつ人たちやその 家族が、障害者自立支援法をめぐる国会内外のやり取りをみながらどんな思いをしているのか、つらい思 いをしているのではないかと思いをめぐらす余裕を私たちは持ちたいと思います。そしてあらためて「自立」に ついて真剣に考えたいと思います。

(田北)