

平成17年10月1日発行 第33号
腰痛とは…
近年日本は世界有数の長寿国となり、人生も80年以上となっています。この長い生涯で、一度は腰痛を経験する人は80%以
上と推測されています。この腰痛の原因は、生活習慣や性別 、年齢、職業などが複雑に関係しているので一概には言えませ
んが、多くの場合、腰を支える骨、筋肉の故障が原因となっているそうです。若い世代は過激なスポーツによって腰痛を起こ
す場合が多く、中高年以上では運動不足、肥満、過労、ストレスなどが引き金となって腰痛が起こりやすくなっています。腰
椎や椎間板は老化によって変性することが多く、高齢者の場合は骨粗鬆症のような病気で骨がもろくなって腰痛を起こす場合
もあります。
1.(整形外科で)レントゲン、MRI、血液検査などの検査を受けて…
椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、脊椎分離症などの診断を受けた方は、腰痛の原因はこれらの病気によるものです。主治医の
指示を受けてください。
2.(内科で)内臓などに病気があると診断を受けて…
内臓に病気があると体の思わぬところに痛みが現れることがあります。たとえば、胃の調子が悪いことが背中や腰に痛みを生
じることもあります。これらは関連痛ともいい、痛むと思われる部分の骨や筋肉には異常が見あたりません。胃・十二指腸潰
瘍、腎結石、子宮筋腫そして癌の骨転移やストレスなどが原因で腰痛が起こることもあります。妊娠中は、子宮内膜症や子宮
外妊娠などから腰痛が起こることもあるので注意が必要です。症状が続くときは一度、専門の整形外科で診断、治療を受ける
ことが一番です。
3.レントゲン、MRI、血液検査などで異常がなく、腰痛がある場合…
いわゆる腰痛症とも言われるもので、体を動かしたり、中腰になったり、腰の筋肉を押すと痛みがありますが、具体的にどこ
が痛いかは分からないことが多いです。腰痛症は若い人に多く、症状はそれほど重くなく、急な悪化もありません。原因の一
つとしては、重労働やオーバーワークにより背骨(脊柱)を支える筋肉が疲労けいれんし、筋肉の収縮(力が入っている状態
)が長く続きます。そのため血行が悪くなって老廃物がたまり、さらに筋肉がけいれんを起こし、また老廃物(疲労の原因と
なる物質)が蓄積されていきます。この悪循環で、筋肉が耐えられなくなるとじん帯に影響がおよび、じん帯が耐えられなく
なると背骨を支えるクッション(椎間板)や背骨の関節に影響が及びます。そのため腰痛となってあらわれていることが考え
られます。
対処方法としては、まず安静にしているとほとんどの場合が治まります。その後ストレッチや体操(腹筋や背筋が弱いことも
あるので、腰痛になりにくい、バランスのとれた腹筋や背筋を作ることも重要です)などをすると良いです。やむをえない場
合はコルセットなどを利用しましょう(コルセットもなるべく付けないですむように腹筋や背筋を鍛えましょう)。
4.ぎっくり腰とは…
何かしようと体を動かしたときに、ギクッと腰に痛みがはしり、少し体を動かそうとするだけで激痛が生じる症状です。声
をあげる余裕もなくその場にうずくまってしまうほどの強い痛みが生じます。無理な姿勢や不用意な動作、中腰の姿勢、同じ
姿勢を長時間続けたりすると起こりやすいようです。日常生活では、腰を曲げずに重い物を持ち上げたり、ゴルフなどで十分
なウォーミングアップをせずにプレーしたりすると引き起こしやすくなります。原因としては、背骨を支えるクッション
(椎間板)や筋肉、じん帯などに小さな損傷が起こった場合や、“1.(整形外科で)レントゲン…”で述べた病気を
起こした場合、背骨の骨折を起こした場合などが考えられます。
対処方法は、痛みの強い始めの2〜3日は、鎮痛剤を飲んだり、局所麻酔薬を注射したりしますが、楽な姿勢で安静に寝てい
ること(仰向けに寝るときはひざの下に布団や座布団などをいれひざを曲げると腰への負担が軽くなります)が最も大切で
す。原因が、小さな損傷によるものであれば、痛みは軽くなりますが、まったく効果がない場合やかえって悪化する場合も多
いので、専門の整形外科で診断、治療を受けることが大切です。
ぎっくり腰は再発しやすいので、痛みがおさまった頃から、ストレッチを十分にし、腰痛体操や運動などで腹筋、背筋を鍛
えましょう。腰を温めたり(温熱療法)、腰を引っ張ったり(けん引療法)することも有効です。
5.いわゆる腰痛症(原因となる病気がない)が長く続く場合…
多くの場合、痛む場所が特定できず、痛みが強くなったり、弱くなったりしますが、生命にかかわるような状況ではないよ
うです。痛みは身体が発するサインであり、そのサインから自身の生活習慣の中で腰痛を引き起こしている原因を自分なり
に見直してみることも大切です。
まずは日常の姿勢を見直してみましょう。長時間、同じ姿勢で座っていませんか?立っていませんか?同じ姿勢は、腰に過
度の負担を与えます。また、ハイヒールも腰への負担がかかりやすいので、なるべく低いものが望ましいです。
次に物を持ち上げる仕事をする人、中腰の姿勢で仕事をする人は、腰痛に悩まされることが多いと思います。物を持ち上げ
る時は自分の体をできる限り物に密着させる、可能であれば中腰の姿勢を避けるなど、腰への負担を減らしましょう。
腰には大小さまざまな筋肉があり、腰にかかる負担を分散させてくれています。運動不足によって筋力が低下すると、不自
然な姿勢になりバランスが崩れ腰への負担が増してしまいます。腰痛になるとマッサージなどで痛みをやわらげるだけになり
がちですが、自分の筋肉を鍛えて腰痛を予防できる身体を作ることも大切です。
肥満は、お腹を突き出して後ろに反り返る姿勢になりがちなため、腰に大きな負担がかかってしまいます。食事に注意し、
適度な運動で減量することが大切です。
最後に、寝る時の姿勢ですが、うつぶせは腰に負担をかけやすくよくありません。仰向けに寝るときはひざの下に布団や座
布団などを入れ、ひざを曲げると腰への負担が軽くなります。寝具は柔らかすぎると、腰が沈んで背骨が曲がり腰への負担が
増します。少し硬めのマットレスや敷き布団が良いです。
(理学療法士 末廣 淳)