平成17年4月1日発行 第30号


本の紹介 「ベテルの家」流


浦河ベテルの家を紹介し ます。浦河は北海道のまちの名前です。気象通報を聞いたり天気図を取ったことのある人だとすぐピンとく るはずです。そうです。「浦河、北北西の風、風力8、天気晴れ……」という海上気象通報で27番目に出 てくる場所です。場所は北海道の襟裳岬に近い町です。

この浦河町に精神障害者の生活の拠点ベテルの家があります。ベテルの家での人々の生活はユニークです。 そこでの生き方もユニークです。支援もユニークです。

ベテルの家について知れば知るほど私たちの人生観、そして支援のあり方について考えさせられます。「こ の仕事に人生をかけない。やりがいや生き甲斐を求めない」ソーシャルワーカーの向谷地さんと、「治さな い、治せない精神科医」の川村先生と、多くの精神障害者と、浦河町の人々、この人たちの生きざまは私た ちの「常識」を根本からひっくり返してしまいます。ベテル流の生き方は、人が人らしく、一人ひとりが主 体である自然な生き方であるだけに、私たちの「常識」とは何だったのか、それは「非常識」ではなかった かと考えさせられます。そして、私たちの支援は本当に相手を主体にした支援であったかと反省させられます。 あらためて当事者主体を考えさせられます。それは、次の一文に通じるものがあります。

「非障害者に合わせるのではなく、私は私、ありのままの私として生きたい、と当事者の自己実現が生まれ つつある。これまで周辺におかれ、言葉を奪われ、話しても聞いてもらえず、専門家支配のもとに置かれて きた社会的弱者が、当事者として発言しつつある。当事者学は、専門家の知を超えるだろう。そして私たち の社会が生き延びるために必要な知恵を示してくれるだろう。」(「当事者主権」中西正司・上野千鶴子著 、岩波新書、204頁)

浦河ベテルの家の様子を知ることのできる数々の本やビデオが出されています。それらを紹介します。ぜひ ベテル流の生き方にふれていただきたいです。

(田北)



<本>
ベテルの家の本−和解の時代−:
ベテルの家の本政策委員会編、
ベテルの家、
1992年、
1000円

「ベテルの家」に学ぶ:
鼎談・向谷地生良・川村敏明・清水義晴
、博進堂文庫、
1996年
、 500円

浦河ベテルの家の歩みから:
ライブトーク、
同時代プロジェクト、
2000年、
500円

悩む力−ベテルの家の人びと−:
斉藤道雄著
、みすず書房、
2002年、
1800円

とても普通の人たち:
四宮鉄男、
北海道新聞社、
2002年、
1800円

ベテルの家の「非」援助論:
浦河ベテルの家編、
医学書院、
2002年、
2000円

降りていく生き方−「ベテルの家」が歩む、もう一つの道−:
横川和夫、
太郎次郎社、
2003年、
2000円

ベテルの家の「当事者研究」:
浦河ベテルの家、
医学書院、
2005年、
2100円

<ビデオ> 「ベリー オーディナリー ピープル〜とても普通の人々〜」
(監督)四宮鉄男

ベテルの家の日常を撮り続けたビデオ。
全7巻、各巻2100円

「精神分裂病を生きる」
ベテルの家自主企画ビデオ、
全10巻、各巻6300円(税込・送料別)