平成17年4月1日発行 第30号


障害者自立支援法案の背景と‥‥


<前号では「障害者自立支援法案」について紹介しました。今回はこの法律案の背景となった今の障害者福祉の現状とこの法 律が目指しているのは何かについて取り上げます


平成15年に支援費制度が始まりました。これによりサービスの利用者が増え、障害者の地域生活支援が一歩前進しま した。しかし、あまりにも利用者が増え、それも予想をはるかに超える利用となったため国の予算が追いつかず、 このままでは支援費制度自体が持ちこたえられなくなってしまったのです。言い換えれば国のお金が足りなくなった と言うことです。

次には、大きな地域格差が生まれたことがあげられます。サービス利用について全国共通のルールがないことや地域 におけるサービスの差、市町村の財政力による差などが大きな地域格差を生んでいます。平成15年4月に国がとり まとめた都道府県間の比較では、支援費支給決定者数は7.8倍の差がありました。介護保険は1.7倍ですからこの差は 大きいと言えます。

地域間の格差に加えて障害種別毎に大きなサービスの格差があります。ホームヘルプサービスを実際に提供した市町 村数では、身体障害は全市町村のうち78パーセントになりますが、知的障害は53パーセント、障害児は37パーセント の市町村しかサービスを提供していません。そして障害種別によって施策の差もあります。精神障害者は支援費には 入っていません。身体・知的・精神・障害児の福祉はそれぞれの福祉法で行われ、サービスには差があります。

また、働きたいと思っている障害者が必ずしも働けていない現状があります。養護学校を卒業する人のうち55パーセ ントの人が入所或いは通所の施設へ行っていますが、施設から就職のために出た人は年間約1パーセントにしかすぎ ません。障害者の就労は大変厳しいと言えます。

このような現状を踏まえて障害保健福祉施策の改革案(改革のグランドデザイン案)が示され、「障害者自立支援法 案」によって障害福祉の新しい制度が作られようとしています。

障害者が自立してふつうに暮らせるまちづくり、そして、地域に住む人が障害の有無や老若男女を問わず自然に交流 し支え合うまちづくりによって、自立と共生の地域社会を作ろうと言うのが今回の改革であり、「障害者自立支援法 案」の目指すところです。

法案は今の国会で提案され、5月の連休の頃審議が始まると言われています。改革の方向としては良いところもあり ますが、内容については定率負担(応益負担)やサービスの内容や市町村の役割など多くの問題点と不安要素を含ん でいます。この改革が、障害者が本当にその人らしく暮らせる地域社会を実現することになるのか、これからの推移 をしっかり見定めつつ私たちの意見を発信していきたいものです。

サービスの利用者負担については次回取り上げます。
    

(センター長 田北光洋)