

平成17年2月1日発行 第29号
前号で障害保健福祉施策改革のグランドデザイン案を紹介しました。この案に対しては各方面から、賛否両論、多くの見
解が出されました。問題点や懸念される点だけでなく評価できるところも示されました。それらを受けて、障害者保健福
祉施策の具体的なところが検討されているようです。グランドデザイン案を実施に移す法律として「障害者自立支援法」
が今の国会に提出されました。この法案を見てみましょう。
「障害者自立支援法案」の第1条にはこの法律の目的が次のように書かれてあります。
「第1条 この法律は、(略)その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児がその有する
能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付その
他の支援を行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個
性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。」
法律文は普段あまり読む機会がありません。それだけに取っつきにくいものです。しかしそれは練りに練って作られてい
ます。一つ一つの言葉や言い回しに意味が込められていて、じっくり読むといろんなことが分かってきます。
「…障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ……」は、前に出された案では「…能力を活用し…」となってい
ました。それが「応じ」と変わっています。(この法案は昨年12月に「障害者自立支援給付法」として発表されました
が、国会に提出されたときには「給付」がなくなり中の文章も変更されています。)「活用」から「応じて」になったこ
とは、障害当事者を主体にしようとしていて一応は評価はできると思いますが、「その有する能力及び適性に…」は、何
だか「その人」の「主体(その人そのもの)」が抜けていて、その人の属性である能力や適性ばかりに視点が当てられて
いるように思えます。次に続く「自立した…」が本当に「自分が自分の人生の主人公として生きる」ことであるなら、
「能力及び適性」ではなくもっとその人の主体性を表す言葉であって欲しいと思います。
「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現…」は、これか
らの障害者の地域生活を支援するためには大事な見方であると思います。ここには「人格と個性を尊重」とあります。障
害児・者の「人格と個性」をもっと大切にし、中心に据えて欲しいと思います。
「障害者自立支援法」はこの目的から始まり、続いて市町村と県の責務に続きます。
第3条では、「すべての国民は、その障害の有無にかかわらず、障害者等が…自立した日常生活又は社会生活を営めるよ
うな地域社会の実現に協力するよう努めなければならない」と国民の責務を述べています。しかし、なぜ「協力する」な
んて他人事なのでしょうか。「地域社会を実現しなければならない」とか「地域社会の実現に努力しなければならない」
とか、もう一歩踏み込んで、国民が主体的に関わるようにできないものでしょうか。
法律の前の部分にはその法律の「理念」に当たる内容が書かれています。この「理念」がこれからの障害者保健福祉施策
を進めていく「理念」となるはずですから、今一度この法律の目的をじっくり読み直してはどうですか。
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様々な意見が
障害者保健福祉施策改革のグランドデザイン案に対しては関係する各団体から意見が出されています。その内容には違いが
ありますが、評価する点と問題点はどの団体にも共通してしているようにあります。もちろん、一つ一つの問題点に対する
考え方は違いますが。
共通して取り上げられた問題点は、利用者負担の問題(応益負担)、認定審査会の問題、サービス体系の問題、制度の谷間
の問題(発達障害や難病)、相談支援体制の問題、財源の問題(介護保険との問題)などです。
これから作られようとしている制度の問題点をこうしてしっかり指摘していくことは必要なことです。
今、グランドデザイン案を実施に移す障害者自立支援法案が国会で審議されています。私たちの声を届けることで、真に
「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現」を目指したい
と考えます。
(センター長 田北光洋)