

平成16年12月1日発行 第28号
「特別支援教育」とは、子どもたち一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な支援が図られることによ
って、個々の子どもの生きる力を育てる教育のことです。
現在の学校制度において、障害がある子どもたちに対する教育は、大きく3つの仕組みで行われてい
ます。@盲・聾・養護学校という学校制度A特殊学級、これは普通の小・中学校の中に設けられる比較
的軽い障害の子どもたちを対象にする制度B通級指導、これは普通の学級に在籍しながら一部通ってく
る形で特別の指導を受ける制度です。この3つの制度的な枠組みが設けられています。
近年の変化として、盲・聾・養護学校及び小・中学校の特殊学級の在籍者並びに通級による指導を受
けている児童生徒の総数の占める比率は増加する傾向にあります。また、学習障害(LD)、注意欠陥/
多動性障害(ADHD)、高機能自閉症等、学習や生活の面で特別な教育的支援を必要とする児童生徒数
について、文部科学省が平成14年に実施した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児
童生徒に関する全国実態調査」の結果では、約6%程度の割合で通常の学級に在籍している可能性が示さ
れています。
特殊教育を取り巻く最近の動向として、児童生徒の障害の重度・重複化や多様化、より軽度の障害のあ
る児童生徒への対応や早期からの教育的対応に関する要望の高まり、高等部への進学率の上昇、卒業後の
進路の多様化、ノーマライゼーションの進展などが進んでいます。
このような動向を踏まえ、文部科学省では、「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」
を設置して検討を行い、平成13年1月に「21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)〜一人一人
のニーズに応じた特別な支援の在り方について〜 」を取りまとめ、今後は、一人一人の教育的ニーズを
踏まえて適切な教育を行うとの考え方を示しました。
また、この考え方を踏まえた今後の具体的な対応の在り方について検討を行いそして、平成15年3月
に「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」が取りまとめられました。
本報告書においては、柔軟で弾力的な制度の再構築、教員の専門性の向上と関係者・機関の連携による
質の高い教育のためのシステム作りをめざして主に次の提言がなされました。
@障害のある幼児児童生徒一人一人について個別の教育支援計画を作成すること。
A盲・聾・養護学校はもとより小・中学校に特別支援教育コーディネーター(仮称)を置くこと。
B行政部局間の連携のための広域特別支援連携協議会(仮称)を都道府県に設置すること。
C地域における障害のある子どもの教育のセンター的な役割を果たす学校としての盲・聾・養護学校を特
別支援学校(仮称)に転換すること。
D小・中学校における特殊学級や通級の指導の制度を、通常の学級に在籍した上で必要な時間のみ「特別
支援教室(仮称)」の場で特別の指導を受けることを可能とする制度に一本化すること。
具体的に行うこととして、各学校でひとり一人の子どもに応じてその障害の状況・どういったケアが必
要かなどの教育支援計画を立て、特別支援教育コーディネーターを各学校の中で指名する、あるいは校内
委員会を設置して学校全体の問題として検討する、教育委員会レベルでは医療・福祉・労働などの関係機
関との連携をとる、といった提言が出されています。
別府発達医療センターでは、障害児に対する専門の療育機関として「発達をサポートする」ために、医
師の診察や訓練等のサービスを行っています。また、「育ちのサポート」として巡回相談や施設支援を行
っています。施設支援では、保育所、幼稚園、学校などにスタッフを派遣して先生方の相談に応じていま
すが、最近小学校や養護学校から学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、高機能自閉症
等の児童に対する実際の対応についての相談が増えています。
別府発達医療センターで行われている専門の療育サービスを活用してもらうことで、教育との連携を
行い、子どもたち一人ひとりが地域のなかで教育ニーズに応じた適切な支援が行われることを「特別支
援教育」に期待しています。
(首藤)