平成16年12月1日発行 第28号


障害者施策の改革案 グランドデザイン


10月12日、これからの障害保健福祉施策について厚生労働省から改革のグランドデザイン案が発表されまし た。それによると、おおむね5年後をめどに障害者福祉の仕組みが大きく変わることになります。障害者の生活 に係ることだけに、どんなに変わるのか大変気になるところです。


改革の基本的視点が示されました
グランドデザイン案では、まず改革の基本的視点が示されました。それによると、これからの障害保健福祉施策の 基本的な視点は次の三点となります。@障害保健福祉施策の総合化、A自立支援型システムへの転換、B制度の持 続可能性の確保、です。

@障害保健福祉施策の総合化
これまで、障害者の施策は身体障害者、知的障害者、精神障害者というように各障害別に行われていました。それ を年齢、障害種別や病気に関係なく一つの施策で対応しようとするものです。しかもできるだけ身近なところで必 要なサービスが受けられるよう市町村を中心にして施策を進めます。そうして障害者が安心して暮らせる地域福祉 を実現します。

A自立支援型システム
これまでの保護を中心とした仕組みから自立支援へと方向転換をします。そして障害者の自己実現と社会貢献をめ ざします。障害者が、就労を含めてその人らしく自立して地域で暮らし、地域社会にも貢献できる仕組みを作りま す。

B制度の持続可能性の確保
いくら良い制度であっても、それが長続きしなければ何もなりません。障害者を支える制度が、国民の信頼を得て 安定して運営できるよう、より公平で効率的な制度にします。そのためには、給付の重点化と公平化(本当に必要 な人に必要なサービスを提供すること)、制度の効率化と透明性(むだのない、国民誰もが納得できる制度とする こと)が欠かせません。

施設体系が変わります
見直し後、施設は図1のように「日中活動の場」と「住まいの場」に機能が分けられます。これまで入所施設は住まいの場と日中活動の場が一緒になっていましたので、これは画期的な転換といえます。 日中活動の場はその機能によって次の六つに分けられています。

(表1)



事 業
対 象
内 容
備 考
生活療養事業 障害者支援施設等において常時介護を要する重度の障害者
(身体)
療養上の管理、看護、医学的管理下における介護、その他日常生活の世話 医療施設で実施
生活福祉事業 常時介護を要する重度の障害者
(身体・知的)
介護、その他日常生活上の世話を行うほか、レクリエーション、創作的活動、就労的活動など  
自立訓練事業
(機能訓練)
身体機能に障害のある人
(身体)
治療、リハビリ、独立生活に必要な訓練 有期限のプログラムに基づく
自立訓練事業
(生活訓練)
その障害の状態から自立生活が困難な人
(知的・精神)
地域での生活を営む上での必要な訓練を行い、地域生活へ移行するための必要な訓練を行う 有期限のプログラムに基づく
就労移行支援事業 就労を希望する障害者
(身体・知的・精神)
職場実習等の訓練を通じて一般企業等への就労に向けて、必要な知識、能力を育むための訓練を行う 有期限のプログラムに基づく
要支援障害者雇用事業 一般企業での就労が困難な障害者
(身体・知的・精神)
一般企業での就労が困難な障害者を雇用し、その者の職業遂行を支援し、職業能力の向上を図る  


住まいの場は、障害者支援施設と居住支援サービスです。障害者支援施設は現在の入所施設の生活する部 分、居住支援サービスはグループホームやケアホームや福祉ホーム等です。乱暴な言い方ですが、夜寝る ところと言ったらイメージしやすいでしょう。

このようにこれからの施設体系は日中活動の場と住まいの場を分けています。そうするとこんな利用もで きるようになります。入所施設に住みながら昼間は違う施設の生活福祉事業を利用し、休みの日は地域生 活支援事業の移動支援やコミュニケーション支援を利用して余暇を過ごします。

また、多くのサービスは個別給付となりますから、1週間のうち4日は自立訓練事業を利用し、1日はデ イサービスを利用して息抜きをするなんてどうでしょうか。また、ケアホームで暮らしながら昼間は近く の自立訓練事業(生活訓練)を行っている施設へ通い、月のうち2日は自立訓練事業(機能訓練)に行っ て機能訓練を受けるなどということもどうでしょうか。こうして、その人の多様なライフスタイルとニー ズに合わせた利用ができるようになります。

現在は施設に入ると生活全てがその施設の中だけで終わってしまいますから、このグランドデザインによ る、その人に合わせた多様な支援は期待できそうです。

しかし、このグランドデザイン案はまだまだデッサンの段階と思います。これからお金の話が入ってきた り当事者や業界の考えなどが出てきたりすると少しずつ手直しがされてくると思います。せっかく出され た改革案です。真に障害者の暮らしと人生を豊かにすることができる制度になることを願っています。 18歳未満の児童については、おおむね5年後の施行をめどに3年以内に結論を出すことになっています。 見直しの方針は@措置権を都道府県から市町村に移し、大人の障害者と同様の制度にあらためる、Aサー ビス体系を機能に着目して再編し、効果的・効率的にサービスが提供できる体系を確立する、B教育と連 携を図りながら「発達支援・育児支援システム」を体系的に整備していく。そのために、障害受容を促す ための事業や適切な発達を確保していくための事業を実施する、としています。

(田北)