レモンを絞った時にふわっと広がる香りで気持ちがリフレッシュしたり、ペパーミントの香りで頭
がすっきりしたり、お線香の香りで落ち着いた気持ちになったり・・・みなさんの生活の場面で自
然と香りと接する機会があるかと思います。実はアロマセラピーの基本は、ここにあります。アロ
マセラピー=芳香療法では、精油(エッセンシャルオイル)を用います。精油は、花や葉、果実、
樹脂や樹皮から香りの成分を、特殊な方法で抽出したもので、これらには、身体や肌、そしてここ
ろに対してもさまざまな効果があると言われています。
☆なぜ香りがよいの?
なぜ、香りが身体やこころに影響を与えるのでしょう。
目に見えない香りは、鼻という器官を通して、私たち人間の気持ちや感情を変化させてくれます。少
し難しいかもしれませんが、鼻から入った香りは嗅覚神経を経て、脳の中間あたりにある大脳辺縁系
に伝わります。この大脳辺縁系は、人間に進化する前の性質、つまり動物として生きていくために必
要な機能を持った部分で、快楽や苦痛といった人間の感情的な反応や記憶にも強く結びついているこ
とがわかっています。悪臭には不快感を持ち、良い香りには心地よいというのがわかりやすい例で、
そのような香りから懐かしい思い出が蘇るような体験をされたことがあると思います。
大切なことは、その人がその香りを好きだと思えることです。そしてその香りを楽しい体験を通して
記憶することでしょう。
☆ほっとでのアロマとこれから
このようなことを踏まえて、ほっとの利用者の方にデイサービスのプログラムの中で、『香りと遊ぶ』
をテーマに、楽しみながら香りを体験していただくことを目的として始めました。
ラベンダー、グレープフルーツなどの数種類の香りを試し、好き嫌いやその時の気分などをスタッフの
方と一緒に体験していただきました。又、香りをブレンドして新しい香りを作りました。実際にその香
りを用いて、蒸気吸入(コップや洗面器にお湯を張って精油を垂らし香りを楽しむ方法)や部分浴(香
りを感じながら足浴や手浴)、温タオル(タオルに香りを移して首筋などに置いて温める)の方法で、
リラックスした感じやほっとする感じ、眠くなる感じなどを体験していただきました。利用者の方の表
情を見ていると、香りによって笑顔がこぼれたり、時には苦手な香りもあったりと、いろいろな反応が
ありました。
又、精油をスィートアーモンド油で希釈して、タッチやハンドマッサージを行ないました。どの方法を
用いるかは、スタッフの方と相談して、その方に適した方法で行いました。タッチやマッサージを、普
段から仲の良いスタッフの方と行うことで、お互いに香りを楽しみながらコミュニケーションをされて
いるようでした。音楽が流れる中、利用者の方、スタッフの方から笑い声が聞こえたり、ゆったりした
り、ほっとオリジナルの香りを作ろう!という話しが飛び出したりと、楽しいひとときでした。
アロマセラピーで用いる代表的な
香りは約50種あるとされています。今後も、ほっとのみなさんにいろ
いろな香りを楽しんで頂きながら、目を閉じて安静にしたり、音楽を流したり、うたた寝したり・・、
楽しい時間を過ごしていきたいと思います。そしていつの日か、好きな香りは生活の一部となり、疲れた
時、落ち込んだ時などにみなさんの強い味方になってくれることでしょう。そして利用者の方はもちろん
のことスタッフの方も、香りを通して元気に一日を過ごしてくださることを願っています。
別府大学大学院 臨床心理学専攻/ITECアロマセラピスト 中村 亜紀子