平成13年11月1日発行 第10号


コーディネーターの思い


母「田北さん、私たち、西宮に行って来たよ。」

私「え? 西宮?」

母「ほら、西宮のフォーラムよ。」

私「ああ、地域生活支援ネットワークの西宮フォーラムのこと。で、どうだった?」

母「良かったよ。勉強になったよ。」

私「いい話が聞けた?」

母「西宮に行って良かった。私たち西宮市に移り住みたい気分。」

私「・・・?」

母「私たちって、重い障害をもった子どもを育てているでしょ。以前、この子を抱えてこれから先、どう生きていこうかと思ってたとき、横浜の『朋』の話を聞いたことがあった。その時は、ああ横浜に住みたいなと思ってた。でも、そのうち大分のフォーラムなどで滋賀や北海道や新潟の様子を知って、私たちもやればできるんじゃないかと思えるようになった。」

私「そうだよね。」

母「この大分でがんばってもいいかなと思っていた。でも、今度西宮に行っていろんな人と会って、西宮というまちを知ることができて、気持ちが変わった。大分を出て西宮に移り住みたくなった。」

私「・・・」

母「西宮ってまちはいいんだよね。『青葉園』とかだけが頑張っているんじゃないんよ。一つの施設とかじゃなくて、まちにあるいろんなところの人たちが障害をもつ人の生活を支えている。まちぐるみで障害をもつ人の暮らしを考えているんよ。そんな町に住みたいのよね。」

私「そうか、西宮って『青葉園』があって有名だけど、それ以外に目に見えるところだけじゃなく見えないところでも障害をもつ人達の地域生活を支えていくものがあるんだね。それはネットワークかも知れないね。」

母「まちの中でいろんな人と会って、それがひしひしと伝わってきた。」

私「そうなると、それはもう文化だね。」

母「私たちの住んでいるところはまだまだ。何だかはるか彼方に西宮があるって感じ。」私「でも、大分を見捨てないでよ。確かに、私たちのところはまだまだ地域全体で考えていこうと言うところまでは行っていないかも知れない。障害のことは専門の施設に任せておけば、そこが頑張ってくれれば、生活支援は支援センターほっとが頑張ってくれれば良いと考えてるところがある。」

母「そうそう。」

私「でも、それじゃまちでの暮らしは成り立たない。暮らしを支えるまちのネットワークがないと暮らしていけない。」

母「そう、今回、それをつくづく感じた。」

私「障害をもつ人一人ひとりを支えるまちのネットワークを作って行かなくちゃ。福祉って、まちづくりと言っていいのかも・・。」

母「西宮のまちって、そうだった。」

私「このことは、療育にも言えるよね。障害をもつ子どもたちがまちで育つってことは、まちの中のいろんなところが一緒になってやって行かなくっちゃいけない。別府発達医療センターにすべてお任せじゃね。」

母「だけど田北さん、私たち、子どもが大きくなってそのことはやっと分かってきたけど、小さいうちはどうしてもセンターを頼るのよね。センターに行っていれば何とかなる、訓練士さんにさわってもらっていれば、それで安心といった。これって、仕方ないと思うよ。」

私「そうだよね。そのへんのところ自分はうまく説明できないけど、いい本が出たよ。是非読んでみるといい。『子育てを支える療育』(宮田広善著、ぶどう社、2000円)と言うんだけど、療育って何かを考え直すことができる。これはお母さんたちもだけど、療育の専門家と言われている人たちに是非読んでもらいたい本だよ。」

母「読んでみるよ。もっと勉強しなくっちゃね。」

私「障害をもつ子どもたちが、うまく育ち、暮らしていけるまちを一緒に作っていきたいね。」

母:ある障害をもつ子の母 私:田北