
平成13年11月1日発行 第10号
スヌーズレンの始まりは?
「スヌーズレン」とは、もともと知的に障害をもつ人たちとの関わりの方法として、およそ25年前にオランダのエデにある
障害をもつ人の施設、ハルテンベルグセンターで生まれ広がってきました。
そこでは、障害をもつ人たちが、受け入れやすい刺激や環境を作っています。その中で、障害をもつ人自身が、自分の考えで
刺激や環境を選び、自分の好きな時間を持ちます。
介護する人も同じようにして、刺激や環境を楽しみ、一緒に感じ方や喜びを共有します。
スヌーズレンという言葉の意味は?
スヌーズレンという言葉は、オランダ語からできています。
それは、「スヌッフレン」(クンクン臭いを嗅ぐ)と、「ドゥーズレン」(うとうとする)という二つの、いつも使われてい
る単語からできた、新しい言葉です。「ドゥーズレン」は、スヌーズレンの持つ安らぎの部分を表しています。「スヌッフレ
ン」は、行動的な部分を指しています。今では、オランダ語の辞書にも載っていて、一般的な言葉になっています。
スヌーズレンの内容は?
障害をもつ人が感じ取りやすく、楽しみやすいように、光、音や音楽、いろいろな素材の触れる物、香りなどの刺激を揃えた
環境を作り、提供します。
その環境の中で、障害を持っている人と持たない人が、同じ活動をします。同じ活動をする中で、障害を持っている人自身の
活動のペース、人や物への関わり方をありのままに受け入れ、障害を持たない人も一緒にその場を楽しみます。要するに、快
い刺激を揃えた環境の中で、人と人が出会い、お互いの感じ方や喜びを共有し、関係を深めるのです。
スヌーズレンの広まりは?
スヌーズレンは現在、ヨーロッパから、アメリカ、カナダ、アジアにまで広がっています。ヨーロッパでは、グループホーム
などで居間を、スヌーズレンの部屋のようにしつらえて、だれもがくつろぎやすい空間にしているところもあります。又、老
人など多くの人たちに、安らぎと憩いを与えるものとして応用されるようになってきました。痴呆症や精神障害をもつ人々へ
の、ケアー(介護・配慮)としても大変興味を持たれています。日本では、重症心身障害児(者)の施設や知的障害者の通所
施設などを中心に、スヌーズレンを取り入れているところが増えてきています。平成11年10月に、スヌーズレンを一緒に
学んでいこうという人たちで、日本スヌーズレン協会もできました。
スヌーズレンのもたらす環境とは?
オランダにある知的障害者の施設、ハイテンベルグセンターで開発され、広がっていったスヌーズレンの器具や環境整備は、
障害を持っている人が、視覚(見る)・聴覚(聞く)・触覚(触れる)・嗅覚(臭う)などへの刺激を、感じ取り、それを楽
しみ、くつろいでもらえる環境を提供できます。
スヌーズレンは、障害を持っている人が、リラックスして楽しめると同時に、障害を持たない人にとっても、日常のストレス
に満ちた生活から離れ、心身共にくつろぎ、新たな活力をわきあがらせてくれます。
スヌーズレンで重要なことは、障害を持っている人と持たない人が、同じ人間として、同じ環境でいろいろな刺激を経験し、
互いの感じ方や喜びを共有する事、それを通して人と人との関係を深めることです。
ひばり園では‥‥‥
平成12年8月から、スヌーズレンの部屋を設けました。
主となる専用器具は高価なので、身近にある物、安価ですぐ準備できる物(つるつるカーテン・きらきらカーテン・シャワー
カーテン・イルミネーション・ボールプール・ぽんぽんプール・大型鏡・布団収納ケース・ビーズクッション・おくるみ・快
い音楽・癒しのある臭い…など)を利用しています。
スヌーズレンルームを設けたことで、子どもたちが自分の必要とする遊びを、自分で選び楽しみながら、感覚入力をしています。
スヌーズレンの中で得る感覚には、「視覚〜見る」、「聴覚〜聞く」、「臭覚〜臭う」、「触覚〜触ったり、触れたり」、「前
庭感覚〜体の動き、体の揺れやバランスをとるなどの運動を生じさせてくれる」、「固有受容覚〜身体の各部がどの位置にある
かと言うことを教えてくれたり、筋肉への圧迫を感じ取る」などがあります。
これらの感覚が統合されることにより、情緒面も安定し、人や物などの環境にうまく関われるようになります。又、お母さんと
子供が一緒に楽しむことで、発達の基盤である母子関係にも良い影響を与えています。
スヌーズレンを利用している、ひばり園のお母さん方から、子どもが情緒不安定でぐずっていたときや泣いているとき、部屋に
入ると気持ちが安定し笑顔になる、光を見て色の変化を楽しんだり、触って感触を楽しみながら、とても満足し落ち着いている
ようだ、などの意見が聞かれました。
昨年度までは主に、お母さん方が子どもたちを、スヌーズレンの部屋へ誘って、一緒にリラックスしながら楽しんでいましたが、
今では子どもたち自身が活動の場、リラックスできる場を選択し、自分が必要とする環境を選ぶ姿が見られるようになってきて
います。選択できる権利を持つことにより、その日の気持ちを大切にし、心の安定を得られることで、療育の中での参加態度が
整ってきました。又、職員も子どもたちと利用することにより、ともにリフレッシュする中で、共有関係が深まり、豊かな気持
ちで療育に取り組むことができ、質を高めるのにも役立っています。
(保育士 吉弘)