テクニック編


 【項 目】
 竿 / 道糸 / リール /  / サビキ / アミカゴ / 針とハリス / 餌 /
  仕掛け / クーラーボックス / 時間帯 / 二本竿 / 投錨 / タナ /
  テクニック ・巻き上げる・合せ・手返し / 情報収集 / 釣れないとき/
  釣れない原因 / 釣れる日 / 魚の処理 / アジ料理 / 服装 /
 マナー / わたしのジンクス
  ※毎月中旬を目途に書いてゆく予定にしています
  掲載は逆順としています



 針とハリス

 堤防のチヌ釣りでは大きめの針を選ぶのが一般的です。3号でいいと思え
ば4号を、4号と思えば5号といった具合に。魚の口は思った以上に大きいも
のです。呑み込ませず、針掛かりをよくするために大きめの針がいいので
す。呑み込みを防ぐことができればハリスを細くできます。呑み込まず口元
に掛かっていれば1kgのチヌでも1号あれば十分でしょう。また大きい針は
餌盗りが掛からなくなるので煩わしくありません。ベラやフグやゼンゴ(関西
方面では「ゼイゴ」という)など、掛かれば外す手間がいりますからね。わた
しは昼間のチヌは0.8号か1号のハリスに4号のチヌ針を付けます。夜釣りで
はハリスはあまり関係ないので、また夜間はビッグサイズが出るので、ハリ
ス2号に針4号か5号です。ハリス3号でもよいのですがチヌ釣りに根掛りは
付き物で、3号は根掛りに対処しづらい。根掛りのために海中を騒ぎ立てる
と魚を散らすことになるので、2号であっさり切れてくれた方がいいのす。

 市販の針セットには針5号にハリス2号を取り付けては売っていません。
針が大きくなるとハリスも3号、4号と太いものが取り付けてあります。そう
いった意味で、針にハリスを自分で自分の好みで、結ぶことができなけれ
ば釣果のあがる釣りはできません。ついでながら、針と糸、糸とサルカン、
糸同士を結ぶことは釣り人にとって基本中の基本と言えます。

 ところで、サビキは逆で針は小さいほどよいのです。市販のサビキは針と
ハリスの大きさは比例していますから、サビキを選ぶ場合はハリスを決める
のが先になります。ゼンゴサイズならハリス1号以下で十分ですが、それを
超えると2号から3号が必要で、針も伸ばされないようチヌ針のサビキを使用
します。同じハリスでも針サイズは数種類ありますから、そのなかから針の
小さいものを選べばよいわけです。但し、ハリスが細いとパーマネントしや
すくなります。

 サビキは新しいのに越したことはありませんが、使用後数回は使えます。
次回までに日数がたてばサビてしまいますが。またすぐに使う予定があれ
ば、自分で専用のサビキ巻きを作っておくことをお勧めします。それはダン
ボール紙が一番いいのですが、なければ普通の硬めの用紙を使います。
菓子が入っていたような箱を崩すといいでしょう。縦横10cm程度に切り、鋏
で両端に5mm程度の切れ目を八箇所ほど入れればできあがりです。使用
後のサビキの仕舞い方は、下の針から順に紙の左溝から掛けていく。ハリ
スは下の溝に引っ張って掛けていきます。こうやると多少よじれているハリ
スも次回にはしゃんとなっています。最後の針が一番右側にきます。針を点
検しながら掛けていくといいでしょう。少し伸びているのもあるかも知れませ
ん。それがバレの元凶だったかも。ペンチで元の曲がりになおすか、枝素の
根元から切っておくのがいいでしょう。そのように癖をつけておけばいつで
も右から外していけばよいのです。初めに付いているサビキの台紙には下
に溝がありませんし、紙質が弱いから曲がってハリスがしゃんとなりませ
ん。

 針が切れたからと言って、捨てないで以上の方法で保管しておくことで
す。必ずすぐにでも同じように針の切れたサビキができます。サビキ同士を
繋げば新しいサビキより針数が多いものが出来上るではありませんか。サ
ビキ同士を繋ぐとき、サルカンの上に夜光玉を通しておきます。これがミソ
でなぜか夜光玉ゼンゴの針によく掛るようになります。リサイクルは三度くら
いが限度でしょう。スキンや針に光沢がなくなって、釣果が落ちます。

 針とハリスの関係と、もう一つ必ず注意をしたいのは、ハリスの長さです。
高価なサビキほどハリスが長い。長い上に大きな夜光玉が付いている。い
かにも魚を惹きつけそうですが、確かに海中では惹きつけているのかも知
れませんが、掛りは悪いです。ハリスが長いと垂れるからです。夜光玉が一
層、垂れ下げることになります。

 まとめると、針は小さいほどよく、ハリスは短いのを選ぶ、ということになり
ます。あとは魚のサイズによって決めます。


 アミカゴ
 アミカゴは大きければ大きいほどいいというものでもありません。20号
から30号の錘だけでも、巻き上げるのに苦労するというのに、アミカゴ
まで大きいと海水の抵抗でさらに重くなります。電動リールなら別です
が、2、30mの水深で電動リールを用いている人は少ないし、わたしも
面白味が半減するので用いません。アミカゴが大きいと海中を帯を引い
たように潮に流れていく撒餌も多くなり、魚は帯に群がるということにな
るのです。アミカゴの大きさを選ぶのは水深との兼ね合いが大切でしょ
う。

 アミカゴはわたしは専らステンレス製の横ドア式のものを使っていま
す。糸網製も悪くはないのですが、フグやカワハギ、タチウオ、エソなど
から網を突き破られることが多々あります。横ドア式は投げ入れると開
くことがありますので、口が甘くなったら締める(入り口を開く)必要があ
ります。

 ステンレス製を買うときの注意があります。網の目に違いがあるので
す。これらは混ざって同じサイズの箱に入れてある、または客が混ぜ
る、ことが多いですから、目の大きさには注意を払わず買ってしまいま
す。

 目の大きさは小さいのがいいときもあれば、大きい方がいいときもあ
ります。小さいのは海底に達するまでにバラけ散る量を抑えられます
が、振っても出が悪く竿を大きく煽(あお)って散らす必要がでてきます。
アジには疑似餌が存在をアピールするこの「煽り」が必要で、アジの注
意を引くのに役立ちます。網の目が小さいことを自分で意識していれば
自然と煽る回数も増えることになり、それはいいことです。

 この点、網の目が大きいと散りやすいので、寄せ効果が高まります
が、一方では無くなるのが早くなります。ジャンボが溶けていないうちは
まだいいのですが、溶けてくると噴煙を引くように海中に沈んでいく様子
がよくわかります。海底に到達したときには半分近くなくなっているでし
ょう。散りやすい分、魚を集める効果は高いわけですが、数回振ってア
タリがなければ、巻き上げなければなりません。要は自分がどちらをつ
けているかを知っておく必要があるということです。

 わたしはアタリのない暇なときは目の小さい方を使い、時々振って様
子をみます。人にアタリがあったり、釣れたりするとすぐに目の大きい方
に取り替え、もっと多くの魚を寄せる、そして居つかせるために大量に
散らすようにしています。居付けばまた目の小さいもの、そして型も小さ
いものに取り替えます。小さくすることによって早く沈む、巻き上げやす
くなるといった機動性が出ます。

 最近は竿やリール、錘、アミカゴ、いろんな中古が出ていますね。リー
ルはよく点検して購入する必要がありますが、錘、アミカゴはあまり神
経を使わずに買っても問題ありません。中古品で十分で、わたしは中古
品店に行く機会が多くなりました。


サビキ

 サビキにもチモトに夜光塗料が塗ってあるものや夜光玉が付いているも
の、茶透明なカワハギの皮、光ファイバーのようにキラキラ光るラメ繊維付
きのもの、スキンだけのものなど、また、スキンの色にもピンクや白、緑と数
多くの種類があり、値段が高ければ高いほどよく釣れるような気がします。
しかしはっきり言って釣れる、釣れないは値段とは関係ありません。選ぶと
きには次のようなことに注意して下さい。

 同じサビキでもいいサビキと悪いサビキがあります。わたしは白スキンを
使っていますが、ピンクでも緑でも同じように釣れますから、スキンの色にも
あまりこだわらないでいいと思います。食いが立てば白にもピンクの人にも
釣れるものです。白とピンクの竿を並べておいたら、同時に両方にアタリが
あり、釣れ始めることはよくあることです。

 わたしの色分けは、通常白スキン、10m前後の浅場ではピンク、曇りや雨
模様の日は緑としています。たまたまそういう設定で大釣りをしただけのこ
となのですが。ただ、サバには緑がいいと言われていて、アジ、サバ両方回
ってくるようなポイント、時期ではミックスがいいでしょう。

 いいサビキと悪いサビキとはどういうことでしょうか?まったく同じ種類の
サビキでもよく見ると違いがあることにお気づきでしょうか。チモト(針と糸の
接点部分)に塗ってある夜光塗料の発光具合です。表装したまま暗い所で
見てみると優劣一目瞭然です。選び方は、チモトに夜光塗料がたくさん塗ら
れているものを買うことです。それと白っぽい色でなく、緑の濃い夜光塗料
がよいように思います。釣具店でひと瓶三百円程度で売っている夜光塗料
を塗り足してみたところ、効果は確かにあがりましたから、チモト部分が光る
ことはいいのです。ただ、自分で塗ったのは1回の釣行で剥げ落ちてしまい
ました。

 チモトに夜光玉が付いているのは塗ってあるものより効果があります。夜
光塗料や夜行玉の効果をさらに上げるには、次の二つの方法があります。
ひとつは袋から出すまえに電気の光を当てておくのです。竿にセットしたあ
とでもいいですが、やりにくいです。また電気の光は豆球の懐中電気より、
LED光の方が数段光らせる効果があります。
 もうひとつの方法はソフトタイプの夜光玉をサビキの針の先から通します。
ひとつ置きに通しても数個並べて通してもいいでしょう。夜光玉はできるだ
け大きいものがよいですが、針先からすっぽ抜けないほどのものにしてお
きます。アジは相当の確率で夜光玉のある針に掛かります。先にも述べま
したが、要は蛍光性であって、スキンの色ではないのです。チヌ針に夜光玉
を付けたものだけでも食ってきます。

 悪いサビキ、これは安価なものに多いようですが、同じハリス3号でも大ア
ジやカイワリ(大分ではヒラアジと言っていますが)のような引きの強い魚が
掛かると、切られることがよくあります。魚の勢いや歯でハリスが切られる
のではなく、枝素(幹糸から別れた糸)から針がすっぽ抜けているのです。
強い引きのあとバラしたとき、枝素から全部がないときもあります。結び方
が雑なのではないかと思われます。安価なサビキでも十分釣れますから、
対処としては使用前に結び目に瞬間接着剤を落としておくことが無難です。
 
 夜光玉と同じくらい重要なことは、ハリスの長さです。このサビキは大きな
夜光玉が付いていて、スキンもラメ繊維が付いています。これを使ったとこ
ろ、同行者にはがんがん釣れているのに、わたしにはまったく掛りません。
その理由はハリスの長さにありました。このサビキのハリス長は15cmです。
同行者のは6cmで半分以下でした。さっそくハリスの短いサビキに取り替え
たところ、とたんに釣れるようになったのです。

   
おそらく、ハリスが長いせいで垂れてしまい(写真A)、中には幹糸に絡ん
で、魚の食いが悪かったのだろうと考えています。取り替えたサビキ(写真
B)は幹糸からピンと張り出しています。Aのようなサビキは潮流のあるポイ
ントでは有効でしょう。値段や形ではなく、自分のポイントに合ったサビキを
選ぶことが大切です。
  A            B
   



(おもり)
 錘は水深と潮流によって決まります。水深20mでは20号、30mは30
号の錘と、水深と同じ重さを目安にし、潮流の速さを加味するようにしま
す。仕掛けがまっすぐ海底に向かって落ちて行くようではよくありませ
ん。気持ち斜めに落ちて行くのが理想ですが、お隣さんと絡みやすくな
るので、その辺は見極めなくてはならないことです。

 なぜ斜めに落ちるのがいいかというと、まずは潮通しがいい場所という
証ですね。それから魚は縦の線を警戒し、斜めの線の方が食いつきや
すいと経験上思います。型のいいアジは海底付近にいることが多いの
で、できるだけ多くの針を海底近くに漂わせるようにしたいこともありま
す。直下まで巻いて来ることによって広い範囲を探れることにもなりま
す。

 わたしは人より軽めを選び、15号から始めてみます。お隣さんと絡ま
ないよう長めの竿を使い、お隣さんより遠方に落とすのもひとつの手で
す。
錘を軽くした場合、海底に到着するまでに時間がかかり、もどかしいで
す。食いが立つと魚を散らさないよう、手返しを早くし、コマセをできるだ
け早く海底で撒かなければなりません。釣った魚を生簀(いけす)に放り
込むのもあと回しです。それくらい早い手返しが要求されますから、そう
いう場合は錘も重いものに取り替えます。ですから錘は20号から35号く
らいまではすぐに手の届くところに置いています。

 釣れはするが、さほど釣果が上がらない人は、大方にして、サビキも
錘もアミカゴも納竿するまで、最初にセットしたままにしていますね。仕
掛けは状況に応じて臨機応変に取り替える必要があることは言うまで
もありません。

 重い錘はバレの原因を作るひとつの要因でもあります。重ければ重い
ほど道糸は海底に向かって一直線になります。掛かった魚は逃れよう
と上下左右に必死に泳ぐわけですが、重い錘はその動きを妨げ、柔ら
かい唇を切り、バレるのです。これは硬い穂先を使っていることと同じ原
理になります。バラすことが多い時はサビキを疑うまえに錘に着目して
下さい。確実に釣りあげている人に何号の錘を使っているか、聞いてみ
るのもいいでしょう。

 上層にはペンシルサイズのどうにもならないマルアジやサバが寄って
いる場合があり、軽い錘は彼らに捕まってしまいます。いつまでたって
も海底に届かない、なんて暢気に構えていると、サビキがグシャグシャ
にされています。こんな時も錘をプラス10号くらい重くしなければなりま
せん。

 仕掛けが流されるからと言って、流されないまで重くしていくのも考え
ものです。なぜ流されるのか原因を知らなくてはなりません。得てして船
が風の向きによって、アンカーロープの緩みを半径に海面を滑っている
場合があるのです。北寄りから南に、と極端には変わりませんが、海上
の風向きは常に一定ではありません。しかし無風でない限りわずかに
でも左右に動いているものです。そういう場合はどれだけ重くしても意
味がありません。自分が動いているのですから。

 以上のように錘も釣果を左右する重要なポイントのひとつであること
がおわかりだと思います。重すぎてもまた、軽すぎてもよくないし、状況
に合わせて取り替えねばならないのです。船の上で錘について考える、
時々、取り替えてみる、それだけでも自分の釣りの形ができていくこと
になります。


リール
 リールにもフライリール、両軸リール、スピニングリール、電動リール
など、色んな型や大きさがありますよね。糸よれが出ない両軸リール、
糸よれは構造上出るが遠投やスピーディーに対応できるスピニングリ
ール。それぞれに一長一短です。ダイワ精工から「ツイストバスター」と
いうスピニングリールでも糸よれを改善したものが出ていますが、わた
しはまだ使っていません。

 小さいのは軽いが直径が小さい分、道糸のよれる可能性が高くなりま
す。それに4号以上のラインは巻けません。両軸リールは落下・巻上げ
速度が劣ります。スピニングリールは糸よれをうまく解消できればトラブ
ルもなく最適のリールとなります。あとで述べる「テクニック・巻き上げ
る」を参照のうえ、糸よれを押さえ、スピニングリールの使用をお勧めし
たいです。

 滅多に釣行しない人ほどリールの手入れは必要です。使用後は軽く
水洗い、拭き取ったあと一晩乾かして、ベイルアーム、ハンドルのツマ
ミ、軸などの動点などに機械油を注しておきます。これをやっておかな
いと、いざという時にサビて動かないようになっています。
 海水につけてしまうと、ほぼ確実に動かなくなります。穂先の絡みをな
おすために穂先ばかりに気がいって、竿尻が垂れ下がりリールが海水
漬けになるのです。この場合は内部を開け、湯を通し、乾燥させたあ
と、リール用の油かグリスをしっかり塗っておかねばなりません。ネジを
緩めるということも大切なのです。なぜかというと時々廻しておかない
と、サビ付いて緩まないようになってしまうからです。

 ちなみに、海水がかかればどんなものでも劣化します。生活防水の腕
時計さえ、故障してしまいます。帰宅後の水洗いは欠かせません。
 リールを購入するときは、同じものを2つ買ったり、スプールが2個付い
ているのが便利です。異なる太さの道糸を巻いて、時と場合により使い
分けができますし、故障の際、部品供給になります。修理に出すと、新
品を買える程度の金額がかかります。安いリールの場合は修理不能と
いうこともあります。

 安いリールで構わないのです。自慢ではありませんが、わたしは高級
リールは持っていません。中古店では需要が少ないせいか、中型以上
のリールが非常に安価に手に入ります。電子部品など組み込まれてい
ないのですから、余り神経質にならずに、ハンドルやベールの動きがス
ムースであり、内部開閉ネジがサビていなければいいと思います。た
だ、安いリールほど、使用後の手入れを怠ってはいけません。わたしの
リールは安いのに、手入れなどしません。週2回も行くので、劣化する暇
がリールにはないのです。


道糸
 リールに巻く糸を道糸と言ったり「ライン」、漁師用語で「スジ」と言った
りします。道糸には大きく分けて従来からのナイロン糸と糸を幾本もよっ
たPEラインがあります。むろんサーフ用、淡水用、バス用、エギング用
などという分け方もあるでしょう。

 ナイロン糸かPEラインどちらを使うかといいますと、電動リール以外で
はわたしはナイロンを選んでいます。PEは絡んだとき切ってしまう以外
に手がありません。お隣さんと絡んだり、自分の仕掛けが道糸に絡むこ
とは結構あることです。

 ナイロン糸の場合、絡んだとき、ほどきやすくするためにはコツがあり
ます。それには絡んだ直後の処置が重要になります。お隣さんと絡んだ
場合、互いが巻き上げるのはサビキ同士が絡む原因となるのでよくあ
りません。両者が巻き上げると、絡みは次第に下部サビキへ移動して
いき、海面に上がってきたときには、サビキ同士が絡んだ状態になって
いて、ほどくにほどけないひどい状態になっているわけです。どちらか
一方が巻き上げ、片方は引かれるままに糸を出すようにします。道糸
同士やサビキが相手の道糸に掛かっていることが多いからです。ほど
き終わったら、船底をくぐっている場合はすぐに巻き上げず、仕掛けが
沈むのを暫く待ってください。十分沈ませて巻き上げると道糸が船底や
スクリューに引掛かることもありません。

 ほどくときは、できるだけアミカゴやオモリは取り外しましょう。道糸とサ
ビキはサルカンで結んでいますから、場合によっては道糸からも取り外
しましょう。再度取り付けの手間暇を厭がるより、取り外した方がよほど
スピーディーに絡みを解消することができるでしょう。

 ナイロン糸にもよくまあ、これほど、と思うほどの種類があります。「超
高分子量ミクロシリコーン+云々」「紫外線による劣化を防ぐ」「高い滑
り特性」・・・ラベルにはありったけの文言が書かれてありますが、わた
しはそういうことには関心がありません。磯と違い、船釣りではサビキが
根掛りすることはあっても、道糸が瀬に絡むことはあまりありませんか
ら、特別上等な糸でなくてもいいと思っています。特売があれば、3号か
ら7号までまとめて買うこともあります。

 安い糸はどこが悪いか。あいにく悪いと感じたことはないのです。根
掛りをしたあとなど点検し、必要に応じ巻きなおしていますが、それでも
年に一回も巻きなおしてはいないと思います。また、巻きなおすと言っ
ても、30mほど引き出して切り、新しい糸を繋いでいます。リールの根
元の方はいつまでも最初の糸が巻かれたままということになります。年
間百回近く釣りに出るわたしとしては、出来る限りのコストダウンが求め
られているのです。そんな心配のない方はどうぞ、いいラインを買って、
几帳面に巻きなおしを繰り返して下さい。

 道糸の太さとしては、わたしは5号を使っています。4号ではサビキの
針素(ハリス=針に巻きつける糸)が3号であるから根掛りに対して心も
とない。しかも20号程度のオモリや仕掛けを支えるにはパーマ(パーマ
ネント=糸がちりぢりになること)になりがちです。6号以上では潮流の
抵抗で流される割合も高くなりますし、中型リールに6号、7号を巻くには
バランスが取れないのです。そういうわけで、わたしは5号に落ち着いて
いるというわけです。

 道糸の先端には大きめの丈夫なスナップサルカンを繋いでいるので
すが、スナップサルカンの前に大きな飛ばしウキを通しておくことをお勧
めします。これがないと、つい巻きすぎて仕掛けのサルカンを竿先のガ
イドにぶっつけ、穂先を折る危険性があります。小さめのピンポン玉を
通して目印にしている人がほとんどですが、それよりも飛ばしウキの方
がいいのです。飛ばウキは重みがあるので、ふらふらせず、仕掛けが
竿に巻きつくのを防いでくれます。


飛ばしウキだと
仕掛けが真っすぐに下に張った状態になります。


竿
 船釣りでは短い竿を選びがちです。軽いし穂先に絡んだ糸を外すの
にも手間がかかりません。遠投するわけでもないし、広範囲を探る必要
もありません。竿尻が人を突つくこともないでしょう。しかし船釣りといえ
ど、長く細身の竿が有利で、その有利な点とは次のことが挙げられま
す。

 まず、仕掛けの操作が容易になります。アジ釣りには針が6本から8本
付いたサビキという仕掛けを使いますが、サビキは短いものでも2m、
長いものでは3m近くあります。サビキまでいっぱいに巻き竿を立てる
と、仕掛けの下位部がつかめ、サビキがたるまず竿やガイドに絡みま
せん。また、釣れた時はどうでしょう。魚の重みで竿が曲がり、仕掛け全
体を船に取り込むことができず、魚は空中でブルブル、遂には取り逃が
してしまいます。竿を立てた時、仕掛けの最下部が手元にすーと寄って
く来る、それより少し長めの竿が適しているのです。

 長い竿は海底でカゴを振るアクションが大きくでき、コマセを散らしや
すくなります。魚が掛かったとき、合わせる角度も大きく取れますから合
いやすいです。大きなアジほど引き込む力が強く、バラしやすいもので
すが、細身の長い竿はしなりも大きいからバレにくくなります。
 アタリが取りやすいのもこれらの竿で、穂先が曲がればゆっくり立てる
だけで針掛かりしています。餌盗(えさと)りのカワハギなどにも敏感に反
応します。

 このような理由でわたしは長めのオモリに合った柔らかい竿を用いて
います。長めと言っても3mほどもあればいいのです。欠点は重くなり、
腕が疲れやすくなることですね。また穂先やガイドに道糸が絡むと厄介
なことになります。長めの竿は扱い慣れた人向きでもあるでしょう。その
解決にはインナーロッドがいいと思います。軽く扱いやすく初心者でもト
ラブルが少なくなるはずです。

 普段は使わないが、予備に携行しておくといいのは、ハヤ釣り竿のよ
うな非常に柔らかい竿です。餌盗りにカワハギが多い場合や海面が穏
やかな春からサヨリが、秋にはカワハギやサンバソウがアジのコマセに
寄ってくることがあります。沖のサヨリは30cm以上あり、集団で船の周
りに居つくことがあります。見える魚は釣れないと言いますが、サヨリや
カワハギなどは釣れます。トウガラシウキに噛み潰しオモリ、ハヤ針を
セットして、竿袋に忍ばせておくのも楽しみなものです。






 





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